OEKのCD

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2016年6月

2016/06/30

OEKのクラリネット 木藤みきさんとチェロのカンタさん+鶴見彩さんのピアノによるブラームスとベートーヴェンの室内楽曲。明るいけどしみじみとした世界が広がっていました。

OEKのクラリネット奏者,木藤みきさんを中心としたグループ,ムシカ・レソナンテによる室内楽を3曲聞いてきました。演奏された曲は,ベートーヴェンとブラームスの作品ということで,大変オーソドックスな内容でしたが,どの曲も親しみやすく楽しめる曲想だったこともあり,サブタイトルにあるとおり,「室内楽のたのしみ」をしっかり味わうことができました。演奏全体に「明るいけどしみじみ」といった風情があるのが,ベテラン奏者ならではの味だと思いました。

今回の編成は木藤さんに,同じくOEKのチェロ奏者であるルドヴィート・カンタさんと金沢を中心に活躍しているピアニストの鶴見彩さんが加わった三重奏でした。クラリネット,チェロとピアノという組み合わせの曲となるとかなり限定されるのですが,その中で,最初に演奏されたベートーヴェンの三重奏曲「街の歌」は,いちばんよく知られた曲だと思います。

木藤さんの音色には,ピリッとした張りがあるので,急速な楽章は特にキビキビとした気持ちの良い音楽となっていました。特にニックネームの元になっている第3楽章の「街の歌」の変奏での多彩な表情を持った響きは聞きものでした。カンタさんの柔らかい音としっとりと音が溶け合っていた第2楽章も大変味わい深いものでした。

2曲目に演奏されたブラームスのクラリネットソナタ第2番は,ブラームスの「本当に最晩年の作品」です。安らかさと明るさの中にちょっとしみじみとした味わいが翳る,魅力的な作品でした。第2楽章には,どこか堂々とした風格のようなものがありました。力強く締められた第3楽章のエンディングもさすがブラームスという渋さがありました。

後半演奏されたベートーヴェンの三重奏の方は,おなじベートーヴェンの七重奏曲を編曲したものです。この曲自体,6楽章からなる40分ほどもかかる大曲です。それを3つの楽器用に圧縮していたのですが,演奏時間の方は,ほぼ原曲と同じぐらいでした。

原曲の方は,室内楽にしても大きな編成で,小型オーケストラを聞くような豊かで多彩な音色が魅力的な作品です。それを二回りぐらい小ぶりにした今回の演奏は,音のボリューム感や色彩感の面では,少し地味になっていたましたが,演奏のキレの良さが浮き彫りになっており,速い楽章でのノリの良さが特に印象的でした。

7人を3人に減らして演奏ということで,ピアノの鶴見さんも大活躍でした。特に最終楽章などでは,古典的な清潔さのある,珠をころがすような音が素晴らしくOEKのベテラン奏者2人のペースメーカーになっているようでした。

というわけで,特に出ずっぱり(吹きっぱなし)だった木藤さんには大変ハードだったと思うのですが,滅多に聞くことのできない,クラリネットを中心とした室内楽をじっくりと楽しむことができました。

2016/06/26

グラズノフ,侮るべからず。金沢大学フィル サマー・コンサートで交響曲第5番をしっかり楽しんできました。

この時期恒例の金沢大学フィルのサマーコンサートを聞いてきました。金大フィルは,毎年1月頃にプロの指揮者による定期演奏会を行っており,どうしてもそちらの方が年間を通してのメインのイベントになるのですが,今年のサマーコンサートでは,メインプログラムとしてグラズノフの交響曲第5番という大胆な選曲がされました。この心意気に感銘(?)を受け,聞きに行くことにしました。この演奏が本当に良い演奏でした。この曲を取り上げた,思いが伝わってきました。

プログラム前半では,ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲とボロディンの「中央アジアの草原にて」が演奏されました,それぞれ,しっかりと真面目に演奏されていたのですが,どちらもやや味が薄いかなという印象でした。後半に演奏された,グラズノフの方は,一転して,冒頭から非常に深みのある音を聞かせてくれました。

実は,私自身,グラズノフという作曲家の作品自体,ほとんど聞いたことがありませんでした。バラキレフと混同しており,ロシア5人組の一人かな...と勘違いしていたほどです。年代的にはチャイコフスキーより若い世代で,ラフマニノフよりも年上です。

ロシアの作曲家といえば,ダイナミックで豪快という印象もあるのですが,グラズノフの場合,CDなどで聞いた感じ(少し予習をしました)では,チャイコフスキーの後継者的で,とてもまとまりの良い作品を作るロマン派の作曲家という印象を持ちました。ドイツの作曲家でいうとメンデルスゾーンのような位置づけでしょうか(実は,最近,メンデルスゾーンが大好きになってきたのですが)。

CDで聞くとちょっと印象の薄い感じのするグラズノフですが,今回の実演を聞いて,「この交響曲第5番は大変素晴らしい作品だ。グラズノフ,侮るべからず」と感じました。

第1楽章は3拍子系で書かれていることもあり,ベートーヴェンの「英雄」やシューマンの「ライン」の第1楽章などに通じる,堂々としたスケール感を持った流れの良さがありました。伸びやかさと自信に溢れており,ロマン派の交響曲らしいなぁと思いました。第2楽章はフルートを中心とした木管楽器が活躍し,メンデルスゾーンのスケルツォを思わせる粋な感じがありました。金大フィルの管楽器の音色もキラキラとしていました。

第3楽章はホルンの重奏から始まる,静かなロマンを感じさせる楽章でした。途中,トロンボーンなどに何かを警告するような感じの重いモチーフが出てくるのですが,その意味深な感じとの対比も魅力的でした。ラフマニノフの交響曲に通じるような切ない甘さもある見事な演奏でした。

第4楽章は,チャイコフスキーの初期の交響曲にありそうな,元気で素朴な曲想が印象的でした。途中,テンポが少しアップして,後半ではタン・タ・タン・タ・ター・ターといったメロディが何回も出てきます。これを中心として,段々盛り上がって行く感じが実に格好良いと思いました。

というような感じで,「~のような」という部分が多い曲なのですが,曲全体がとても健全にがっちりとまとまっており,大変聞きごたえがありました。これまで,この曲を実演で聞いたことはなかったのですが,もっと演奏されて良い曲だと思いました。

私の記憶によると,この曲が金沢で演奏されるのは,ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルが金沢で演奏会を行った時(私は行っていませんが1970年代中頃だと思います)以来ではないかと思います。

大胆な選曲で,しっかりと楽しませてくれた金大フィルの皆さんに大きな拍手を送りたいと思います。是非,これからもこの路線で(時々で良いと思いますが),知られざる名曲を発掘していって欲しいと思います。

2016/06/12

オーケストラ・アンサンブル金沢 ファンタスティック・オーケストラコンサート第4回 井上道義&大竹しのぶ<<音楽家の部屋>>

本日は,オーケストラ・アンサンブル金沢 ファンタスティック・オーケストラコンサート第4回 井上道義&大竹しのぶ<<音楽家の部屋>>が行われました。私は行かなかったのですが,家族が出かけてきたので,プログラムをお知らせしましょう。

次のとおり,前半が井上道義指揮OEKによる演奏。2曲目に一柳さんのパガニーニ・パーソナルが入っているのは,岩城さん没後10年にちなんだ選曲でしょうか。

後半は大竹しのぶさんをゲストに迎えたエディット・ピアフ物語。演奏の間にトークを交えて,シャンソンなどがウ渡れたようです。武満さんの曲が入っているのも,OEKならではですね。家族の話によると,トークの方は...バルコニー席だとちょっとマイクの音が聞きにくかったと言っていました。

この日のコンサートマスターは,神奈川フィルの石田泰尚さん,マリンバは神谷紘実さんでした。当初,一柳慧さんが,トークのゲストだったのですが,急病のため権代敦彦さんに交替になりました。


オーケストラ・アンサンブル金沢 ファンタスティック・オーケストラコンサート第4回 井上道義&大竹しのぶ<<音楽家の部屋>>

2016年6月12日(日)14:00~ 石川県立音楽堂コンサートホール

第1部 ようこそ音楽家の部屋
1) モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
2) 一柳慧/パガニーニ・パーソナル:マリンバとピアノのための(管弦楽版)
3) ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調.op.68「田園」~第4,5楽章

第2部 エディット・ピアフ物語
4) 武満徹/3つの映画音楽~訓練と休息の音楽(「ホゼ・トーレス」)
5) ルノワール/聞かせてよ愛の言葉を
6) 武満徹/死んだ男の残したものは
7) コブラール/群衆
8) デュモン/水に流して
9) モノー/愛の讃歌

●演奏
大竹しのぶ(歌*6-9),井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(コンサートマスター:石田泰尚),神谷紘実(マリンバ*2),権代敦彦(ピアノ)
ゲスト:権代敦彦

2016/06/02

川瀬賢太郎指揮OEK定期公演。一柳慧の交響曲第10番(初演)とベリオのレンダリングの間に山根一仁独奏によるスコットランド幻想曲が挟まれる,かつてない選曲。2人の魅力が伝わる素晴らしい公演 #oekjp

「クラシック界のライジングスター!」と銘打たれたOEKフィルハーモニー定期公演には,近年どんどん活躍の場を広げている若手指揮者,川瀬賢太郎さんが登場しました。ソリストとして登場した山根一仁さんも,まだ20歳の若手ということで,OEK定期公演史上最もも若い(推測ですが)組み合わせではないかと思います。ちなみにこのお2人とも,図らずも,今年の出光音楽賞を受賞されており,その点でも話題性十分の演奏会となりました。

今回は演奏者だけではなく,演奏された曲も「初尽くし」でした。最初に演奏された一柳慧さんの交響曲第10番は,OEKが委嘱した作品で,本日が世界初演でした。2曲目のブルッフのスコットランド幻想曲もOEKが演奏するのは,多分初めてです。そして,3曲目のシューベルト-ベリオ作曲によるレンダリング(シューベルトの幻の「交響曲第10番」といってよい作品をベリオが色々手を加えた作品)。ブルッフの曲を交響曲第10番が挟むという,考えてみれば,非常にマニアックな曲の並んだプログラムでした。

それが大変新鮮に響いていました。山根さん,そして何といっても川瀬さんの指揮の素晴らしさの力だと思います。

最初に演奏された一柳さんの交響曲第10番は,没後10年となる岩城宏之さんのことを意識した作品ということで,マリンバや打楽器が活躍していました。最初,神秘的なムードで始まった後,色々な気分を持つ,いくつかの「部分」が順に出てきました。川瀬さんの指揮ぶりは,大変明快で,その音楽も鮮やかでした。最初のムードが,最後に再現されてくるなど,各部分が有機的につながっている感じがしたので,「やはり,これは交響曲だな」という実感の残る作品でした。

2曲目のブルッフは,「もしも,ブラームスがヨアヒムと一緒にスコットランドにいったら...」といったムードのある作品で,メンデルスゾーンのスコットランド交響曲に通じるような,哀愁と美しさに溢れた旅情のようなものが漂っていました。実演で聞くのは初めてでしたが,とても良い曲だと思いました。山根さんのヴァイオリンには,20歳とは思えぬ落ち着きがあり,この曲をじっくりとスケール感たっぷりに聞かせてくれました。最終楽章では,さり気なく華麗なテクニックが披露され,協奏曲としての華やかさも楽しむことができました。

後半は,ベリオのレンダリングが演奏されました。前述のとおり,一種のパロディ的な作品ですが,聞きごたえ十分,かつ,大変楽しめる作品でした。最初,大変明快に古典派的な交響曲の第1楽章が始まりました。明快すぎるぐらい明快だったのが,途中で,ドローンと全てが解けてしまったような感じで混沌の世界に入って行きます。このコントラストが大変楽しめました。夢現を行き来しているような不思議な感覚を味わうことができました。

曲は,3楽章構成(多分)で,どの楽章にもそのような部分がありました。川瀬さんは,時折,ジャンプをして指揮をされるなど,くっきりとしたメリハリのある音楽を作っていました。このジャンプにしても,全然大げさな感じはせず,すべてが「自然」に感じられました。

大変分かりやすい指揮ぶりで,OEKから,明快かつミステリアスな響きを引き出していたのが見事でした。終演後の雰囲気を見ていると,OEKメンバーも大歓迎といった感じでした。川瀬さんには,再度,OEK定期公演に登場していただきたいものです。

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