OEKのCD

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2016/06/02

川瀬賢太郎指揮OEK定期公演。一柳慧の交響曲第10番(初演)とベリオのレンダリングの間に山根一仁独奏によるスコットランド幻想曲が挟まれる,かつてない選曲。2人の魅力が伝わる素晴らしい公演 #oekjp

「クラシック界のライジングスター!」と銘打たれたOEKフィルハーモニー定期公演には,近年どんどん活躍の場を広げている若手指揮者,川瀬賢太郎さんが登場しました。ソリストとして登場した山根一仁さんも,まだ20歳の若手ということで,OEK定期公演史上最もも若い(推測ですが)組み合わせではないかと思います。ちなみにこのお2人とも,図らずも,今年の出光音楽賞を受賞されており,その点でも話題性十分の演奏会となりました。

今回は演奏者だけではなく,演奏された曲も「初尽くし」でした。最初に演奏された一柳慧さんの交響曲第10番は,OEKが委嘱した作品で,本日が世界初演でした。2曲目のブルッフのスコットランド幻想曲もOEKが演奏するのは,多分初めてです。そして,3曲目のシューベルト-ベリオ作曲によるレンダリング(シューベルトの幻の「交響曲第10番」といってよい作品をベリオが色々手を加えた作品)。ブルッフの曲を交響曲第10番が挟むという,考えてみれば,非常にマニアックな曲の並んだプログラムでした。

それが大変新鮮に響いていました。山根さん,そして何といっても川瀬さんの指揮の素晴らしさの力だと思います。

最初に演奏された一柳さんの交響曲第10番は,没後10年となる岩城宏之さんのことを意識した作品ということで,マリンバや打楽器が活躍していました。最初,神秘的なムードで始まった後,色々な気分を持つ,いくつかの「部分」が順に出てきました。川瀬さんの指揮ぶりは,大変明快で,その音楽も鮮やかでした。最初のムードが,最後に再現されてくるなど,各部分が有機的につながっている感じがしたので,「やはり,これは交響曲だな」という実感の残る作品でした。

2曲目のブルッフは,「もしも,ブラームスがヨアヒムと一緒にスコットランドにいったら...」といったムードのある作品で,メンデルスゾーンのスコットランド交響曲に通じるような,哀愁と美しさに溢れた旅情のようなものが漂っていました。実演で聞くのは初めてでしたが,とても良い曲だと思いました。山根さんのヴァイオリンには,20歳とは思えぬ落ち着きがあり,この曲をじっくりとスケール感たっぷりに聞かせてくれました。最終楽章では,さり気なく華麗なテクニックが披露され,協奏曲としての華やかさも楽しむことができました。

後半は,ベリオのレンダリングが演奏されました。前述のとおり,一種のパロディ的な作品ですが,聞きごたえ十分,かつ,大変楽しめる作品でした。最初,大変明快に古典派的な交響曲の第1楽章が始まりました。明快すぎるぐらい明快だったのが,途中で,ドローンと全てが解けてしまったような感じで混沌の世界に入って行きます。このコントラストが大変楽しめました。夢現を行き来しているような不思議な感覚を味わうことができました。

曲は,3楽章構成(多分)で,どの楽章にもそのような部分がありました。川瀬さんは,時折,ジャンプをして指揮をされるなど,くっきりとしたメリハリのある音楽を作っていました。このジャンプにしても,全然大げさな感じはせず,すべてが「自然」に感じられました。

大変分かりやすい指揮ぶりで,OEKから,明快かつミステリアスな響きを引き出していたのが見事でした。終演後の雰囲気を見ていると,OEKメンバーも大歓迎といった感じでした。川瀬さんには,再度,OEK定期公演に登場していただきたいものです。

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