OEKのCD

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2016年7月

2016/07/31

石川県立美術館で開催中の展覧会「ビアズリーと日本」関連企画「ビアズリーが聴いた世紀末の歌」。石川公美さん,近藤洋平さん,田島睦子さんによる,親しみやすい演奏会を楽しんで来ました。

石川県立美術館で現在行われている展覧会「ビアズリーと日本」に合わせ,「ビアズリーが聴いた世紀末の歌」と題したコンサートが同美術館のホールで行われたので聞いてきました。まず驚いたのは,お客さんの数です。このコンサートは無料だったこともあり,超満員でした。

魅力的なネーミングに惹かれた方も多かったと思いますが,やはり,石川公美さん,田島睦子さんという,金沢ではお馴染みの実力のあるアーティストが登場するということが,「信頼のマーク」になっているのではないかと思います。

ビアズリーは,ワイルドの「サロメ」の中のモノクロで描かれた挿画の作者として有名です。今回登場した3人の演奏者は,それを意識して,黒と白の衣装でバッチリと揃えていました。特にピアノの田島さんの雰囲気は,ビアズリーにぴったりだったと思います。

今回演奏された曲は,「世紀末に演奏されていた曲」ばかりでしたが,マニアックな感じの曲はなく,石川さんの分かりやすい解説とともに,リラックスして楽しむことができました。

まず田島さんの独奏による,ドビュッシーの「月の光」で始まりました。この美術館のホールはコンパクトで,音が生々しく聞こえます。声楽の2人の声も大迫力でしたが,ピアノの音の細かいニュアンスもしっかり味わうことができました。

テノールの近藤洋平さんの声は大変軽やかでした。曲によってはちょっと味が薄いかな,という印象もありましたが,ストレートに切り込む声は大変若々しく,どの曲も新鮮に響いていました。

ソプラノの石川さんの方は,すっかりおなじみです。何といっても最後に歌われた「トスカ」の中のアリアでの情感がしっかりこもった歌が素晴らしいと思いました。

個人的には,時代としての「世紀末」だけではなく,「退廃的」という意味での「世紀末」的な曲も聞いてみたい気はしましたが,これはまた別の機会に期待したいと思います。

2016/07/23

OEK定期公演2015/2016の最後は,3つの顔を持つイエルク・ヴィトマンの日。熱いメンデルスゾーン,アイデアに溢れた自作を始め,先週に続き大満足の公演でした。 #oekjp

OEK定期公演,2015/2016のフィルハーモニー・シリーズの最後は,ドイツのクラリネット奏者,作曲家,そして指揮者のイエルク・ヴィトマンさんが登場しました。これまでOEKには,色々な「弾き振り」の指揮者が登場しましたが,クラリネットの弾き振り(吹き振り?)は初めてかもしれません。今回はさらにヴィトマンさんの作曲家としての顔にも触れることができ,まさに「ヴィトマン・デー」といった演奏会となりました。

3つの顔の中で,いちばん印象に残ったのは,指揮者としてのヴィトマンさんでした。最後に演奏されたメンデルスゾーンの交響曲第1番は,演奏会を締めるには,地味目の曲かな?と聞く前は予想していたのですが,全くそういうことはありませんでした。何より,曲自体が素晴らしかったのですが,ヴィトマンさんは,OEKから素晴らしいエネルギーを引き出していました。冒頭から力感に溢れ,キビキビとした音楽が続きました。

この日はバロックティンパニを使い,ホルンもオリジナル楽器を使っていたようですが,古楽奏法を思わせる感じで,強弱のコントラストのハッキリとした明快な音楽を聞かせてくれました。静かな部分や楽章でのすっと沈み込むような気分とのコントラストも見事でした。

上述のとおり,本当に素晴らしい曲でした。メンデルスゾーンは,十代のうちに「夏の夜の夢」序曲,弦楽八重奏曲などを書いてしまっているので,当然といえば当然なのですが,15歳の曲とは思えない完成度の高さと魅力がある作品でした。ベートーヴェン,ハイドン,モーツァルトといった,前の世代の作曲家の作品を踏まえた上で,それにロマンの香りを加えたような作品には感服しました。

前半のプログラムは,ウェーバーの小協奏曲とロッシーニのクラリネットと管弦楽のための序奏、主題と変奏曲の間にヴィトマンさんの自作が挟まれる形でした。

クラリネット奏者としてのヴィトマンさんも大変素晴らしい音楽を聞かせてくれました。2曲とも,OEKメンバーのそれぞれとコンタクトを取りながら演奏しているようで,大変生き生きとした音楽を聞かせてくれました。静かな部分での澄んだ音も素晴らしく,演奏に強く引き込まれました。

今回は,ヴィトマンさんの自作として,「セイレーンの島」と「180ビーツ・パー・ミニット」の2曲が演奏されました。前半に演奏された「セイレーンの島」の方は,大変神秘的でかなり難解な印象もありましたが(私の隣の席の方の反応はそういう感じでした),弦楽器の超高音が空間を飛び交い,重なり合うような不思議な気分があり,ドラマを感じることができました。

もう1曲の「180ビーツ・パー・ミニット」の方は,文字通り1分に180ビートというとで,大変テンポの速い曲でした。弦楽六重奏の編成(といってもヴァイオリン2,ヴィオラ,チェロ3という変わった編成)で指揮者なしで演奏され,リズムに浸るだけで楽しめました。バルトークの弦楽四重奏曲にロックのテイストを加えた雰囲気だな,と思いながら聞いているうちに,「ヘイ!」という掛け声が。1週間前のマイスター定期でのキラールのオラヴァでも,「ヘイ!」を聞いたばかりだったので,これは面白い偶然だな,と思いました。この掛け声の後,さらに音楽は熱を帯びていきました。この曲もまた,OEKのとっておきの1曲にできそうです。

この日の終演後,OEKメンバーが盛大に足踏みをしてヴィトマンさんを称えていたのが印象的でした。近年最大だったかもしれません。是非,3つの顔を持つ,ヴィットマンさんには再登場してもらいたいと思います。

# 本日は,実は楽堂の近くの某所で書いているのでものすごく早いアップロードになってしまいました。

2016/07/18

ルドヴィート・カンタ サロン・コンサート バッハ,スラヴ風の小品,定番曲,日本のメロディ,ピアソラ...味わい深い演奏の数々を楽しんできました

OEKメンバーの中でいちばん活発にソロ活動を行っているのは,首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんでしょう。毎年1回以上はリサイタルや室外楽公演を行っています。

今回は「サロン・コンサート」ということで,石川県立音楽堂交流ホールを使い,カンタさんのこだわりのプログラムからお客さんのリクエストに答えて選んだ定番曲まで,約1時間20分一気に楽しませてくれました。

最初に演奏された,バッハの無伴奏チェロ組曲第6番の中のアルマンドとクーラントは,今回演奏された曲の中でいちばん重い曲でした。最近,ヨーロッパを中心にテロ事件が頻発していることを意識して,「平和への祈り」を込めての演奏でした。特にアルマンドは,とつとつとした語り口で始まった後,思いの深さを感じさせてくれるような演奏でした。

その後,チャイコフスキー,ラフマニノフなどスラヴ系の小品が続きました。どの曲にも,さり気なくロマンの香りと味わいの深さがありました。その中で,チャイコフスキーのカプリッチョ風の小品の後半での,急速なパッセージが印象的でした。キュイのオリエンタルは,タイトルどおりオリエンタルな曲で気に入りました。それにしても,キュイという作曲家は名前だけは,5人組の1人として有名ですが,実際に曲が演奏されるのは,珍しいですね。

後半は,事前に行っていたお客さんからのリクエストを参考にする形で選曲されました。定番の「白鳥」「夢のあとに」は言うまでもなく,その後に演奏された,「荒城の月」「赤とんぼ」「ゆりかごの唄」の3曲の美しさが大変印象的でした。さらっと演奏しているのに,歌詞の内容が伝わってくるような味わい深さを感じました。

久石譲のLa pioggia(雨)は,久石さんがカンタさんのためにアレンジした作品ですが,せつなくなるような美しい曲です。この曲は,チェロの定番曲として残っていくのではないかと思います。

最後はすっかりチェロの定番曲となったピアソラのリベルタンゴとル・グランタンゴが貫禄十分に演奏されました。そして,アンコールで,カンタさんが得意とするモンティのチャールダーシュが演奏され,交流ホール独特のアットホームな雰囲気につつまれて演奏会は終了しました。

この日の公演を聞いて,カンタさんのレパートリーの広さと,次々と新たなレパートリーを増やしていることを実感できました。素晴らしいと思います。特に今回演奏された,「日本のメロディ」路線は,今後期待したいと思います。それと,久石さんのLa pioggiaのCD録音が欲しいですね。期待しています。

2016/07/16

井上道義OEK+北村朋幹によるマイスター定期はシリーズ最後に相応しい名曲の名演の連続。キラールの作品もOEKにぴったり! #oekjp

「ショパンと友人たち」というテーマで,ショパンの協奏曲的作品とその同世代の作曲家の作品を取り上げて来た今シーズンのマイスター・シリーズ。最終回は,ショパンのピアノ協奏曲第2番とメンデルスゾーンの交響曲第3番で締められました。指揮は井上道義OEK音楽監督,ソリストとして登場したのが若手ピアニストの北村朋幹さんでした。

どちらも名曲ですが,その魅力を十分に引き出した,100点満点の演奏だったと思います。北村さんは,複数の国際的なコンクールに入賞後,こだわりのコンセプトを持った選曲のCD録音をリリースし,高い評価を得ています。

今回のショパンでも,美しい音色をしっとりと聞かせると同時に,何とも言えぬ奥行を持った演奏を聞かせてくれました。しっかりとした主張を感じさせつつ,それが押しつけがましくなく,マイルドにスーッと音楽が染み渡るような感じでした。この曲では,3楽章のコーダ直前のホルンの信号が印象的ですが,この日はエキストラの根本さんが颯爽とした音を聞かせてくれました(演奏後,井上さんは一番に褒めていました)。その後の北村さんとOEKの音楽の流れも素晴らしく,大変気持ちよく締めてくれました。

最後に演奏された「スコットランド」は,いつも,スケールの大きな流麗な音楽を聞かせてくれる井上さんにぴったりの作品ですが,この日の演奏は特に素晴らしかったと思います。この日のコンサートミストレスは,アビゲイル・ヤングさんでしたが,ヤングさんは,スコットランドのグラスゴー出身。全曲を通じて第1ヴァイオリンは,憂いを持った滴るような美しさでしたが,ヤングさんのリードが効いていたのかな,と思いました。

第2楽章は,スコットランド風のメロディが遠藤さんのクラリネットで伸びやかに始まった後,キビキビと音楽が続いて行きました。この曲は,もともと「4楽章一気に」演奏することになっています。この日の演奏もそのとおりで,それぞれに魅力的な4つの楽章が滑らかに続いていました。第3楽章の品格の高さを持った落ち着き,第4楽章のシャキッとした躍動感。本当に良い曲だと思いました。

そして,お待ちかねの第4楽章のコーダです。そこまでのほの暗い雰囲気から一転して,雲が晴れたように転調します。この部分での非常に自然な高揚感が見事でした。トランぺットとホルンの力強い響きが音楽をぐっと盛り上げ,感動を噛みしめるように全曲を締めてくれました。

さて,この2曲の前に演奏されたキラールのオラヴァという謎の作品ですが...とんでもなく面白い作品でした。終演後のサイン会の時,井上さんに「この曲はどこで見つけてきたのですが?」と尋ねてみたところ,「OEKにぴったりだろ?」としてやったりという表情をされていました。実は,この曲は指揮者なしで,ヤングさんのリードで,15人編成の弦楽器だけで演奏されました。

曲は,バルトークがミニマルミュージックになったような感じでした。ヴァイオリン2本ぐらいで,ちょっと民族的な感じのする音型を繰り返し演奏していくうちに,音がどんどんと増えていき,絡み合い,厚みを増し...という感じで展開していきます。基本的にとても聞きやすい曲なのですが,突然,ノイズが入るように不協和音が入ったり...聞いていて大変スリリングな面白さのある作品でした。そして最後,音が熱狂的に盛り上がった後,「ヘイ!(多分)」とメンバーの掛け声が入って終了しました。この演奏は盛り上がりました。

OEKメンバーは,5×3列にきっちりと隊列を組み,その前でヤングさんがリードしていたので,まさにヤング隊長という感じでした。井上さんが言われたとおり,OEKにぴったりの曲でしたので,シュニトケのMOZ-ARTに引き続いて,OEKの持ちネタ(?)に加えて欲しいと思いました。

さて,この日の演奏会ですが,5月21日のマイスター定期で菊地裕介さんがキャンセルになったため演奏されなかった,ショパン/ポーランドの歌による幻想曲が,今回のプログラムに先立って演奏されました。演奏されること自体非常に珍しい作品ですが,今回は,さらに演奏前に「この曲の作曲当時のショパンの境遇」などを説明するような,門田宇さんによる語りが入っていました。曲自体は,ショパンのピアノ協奏曲の2楽章と3楽章をくっつけたような感じの曲で,協奏曲に比べるとやや密度が低い気はしましたが,協奏曲同様,北村さんが見事な演奏を聞かせてくれました。その後,10分の休憩が入りましたので,最初の1曲だけで,独立した世界を作っているようでした。

というわけで,定番名曲2つに加え,驚きの作品,滅多に聞けない作品を100%堪能できた演奏会でした。

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