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2016年8月

2016/08/23

沼尻竜典指揮OEKによる「英雄」とアダージェット,今川裕代さんのピアノによるシューマンの協奏曲。色々な点で工夫に満ちた北信テレネックス主催の公演を楽しんできました。 #oekjp

夏休みということで,8月はOEKの定期公演は行われませんが,北信テレネックス株式会社 創業50周年記念の演奏会が行われたので聞いてきました。今回の公演は,熊本地震被災地支援のためのチャリティーコンサートも兼ねており,指揮は沼尻竜典さんの,ピアノは今川裕代さんでした。

この公演は,企業主催のコンサートだったのですが,まず,マーラーの交響曲第5番のアダージェットで始まるなど,プログラム面でも演奏面でも大変充実した内容となっていました。

マーラーのアダージェットは,熊本地震被災者の追悼の意味を込めて演奏されたのですが,私の記憶によると,OEKがマーラーの交響曲(今回は一部ですが)を演奏するのは,室内オーケストラ版の「大地の歌」以来のことだと思います。弦五部とハープのみの楽章なので実現したのですが,心地よい浮遊感とやさしさに満ちた素晴らしい演奏でした

その後演奏された,シューマンのピアノ協奏曲とベートーヴェンの「英雄」については,両曲とも,今年定期公演で演奏されたばかりの曲ということで,万全の演奏でした。ちなみにこの選曲ですが,主催者の北信テレネックスの棒田社長が決めたものでした。1997年に福井にハーモニーホールがオープンした時に,ベルナルト・ハイティンク指揮ウィーン・フィルが公演を行ったのですが,その時と同じプログラムにしたとのこととです(ちなみに,この時のピアノは内田光子さんだったそうです)。

シューマンのソリストは,福井出身の今川裕代さんでした。棒田社長は,今川さんと親交があり,そのつながりで今回登場されたようです。すばらしいシューマンだったと思います。全体的に,テンポは遅めで,ちょっと重いかな,という気もしましたが,メランコリックな雰囲気が大変魅力的でした。第3楽章の最後の方では,ピアノが目まぐるしく上下に動く動きが繰り返される部分が大好きです。今川さんの演奏を聞いているうちに,色々な感情が溢れ,次第に幸福感を増していくように感じました。

今回の演奏で,もう一つ特筆すべきは,今川さんの手の動きをビデオカメラで撮影し,ステージ上のスクリーンに大きく投影をしていたことです。オーケストラのコンサートでこういう試みをするのを見るのは初めてでした。相当,照度の明るいプロジェクターがないと実現できない,とのことでしたが,プロのピアニストの超人的な手の動きをしっかりと楽しませてくれました。

後半の「英雄」は,井上道義音楽監督指揮で頻繁に演奏されている曲ですが,今回の沼尻さんの指揮による演奏もまた素晴らしいものでした。何より,沼尻さんのバトン・コントロールがすごいと思いました。この日は,1階席で聞いていたので,特によく分かりました。沼尻さんの指揮の動作には無駄がなく,大変自然で,流れの良い音楽をOEKから引き出していました。「指揮どおり」というのは,当たり前のことではあるのですが,ちょっとした指揮の動作にピタッと反応し,要所要所で「英雄」ならではのパンチの効いた音が飛び出してくる感じが本当に見事でした。

沼尻さんは,8月19日に京都市交響楽団の定期演奏会でショスタコーヴィチの交響曲第4番を指揮していますので(この公演の様子は次のブログのとおりです。 http://www.kyoto-symphony.jp/blog/index.php?itemid=327 聞いてみたかったです),今回の演奏会のためのリハーサルの時間はほとんどなかったと思うのですが,「さすが」という完成度の高さだったと思います。

ちなみにこの日のゲスト・コンサートマスターは,金沢市出身で岩城宏之音楽賞受賞者でもある,吉本奈津子さんでした。吉本さんは,オーストラリアのアデレード交響楽団のコンサートマスターをされているそうですが,こういう形での「里帰り」も,OEKファンとしても嬉しいですね。

北信テレネックスさんには,今後も重要なパトロンとして,OEKを支援していっていただきたいなぁ,(OEK事務局に成り代わって)と思いました。

2016/08/22

セイジ・オザワ松本フェスティバル2016スクリーンコンサート@金沢市文化ホール。小澤征爾指揮のベートーヴェンは巨匠的な重みのある演奏。ルイージ指揮の「典礼風」も感動的

ここ数年,この時期,金沢市でも恒例になっているセイジ・オザワ松本フェスティバルのスクリーンコンサートをを金沢市文化ホールで聞いてきました。「恒例」といっても,名称が変更になった昨年度は行われませんでしたので,2年ぶりということになります。

本日のコンサートの指揮は,前半がファビオ・ルイージさん,後半が小澤征爾さんでした。体力的に小澤さんが1つのコンサートを振り切るのは難しいため,この形を取ったと思うのですが,演奏曲目の方も,小澤さんの体力を気遣って,ブラームスの交響曲第4番からベートーヴェンの交響曲第7番に変更になりました。

やはり,小澤さんは,以前に比べると,かなりやつれて見えました。スクリーンコンサートだと,その辺がはっきり見えてしまい,楽章間ごとにたっぷりと休憩を取り,水分補給をしながらの指揮というのも,痛々しく感じました。ただし,その休憩の動作自体,どこか飄々としてユーモラスな感じさえあり,指揮をする仙人のような境地に入っているように見えました。

というわけで,どうしてもルイージさんの方は前座のようになってしまい,演奏会全体としてみると,小澤さん中心という形になっていました。

その小澤さんの指揮するベートーヴェンですが,まさに巨匠的なベートーヴェンだったと思います。小澤さんについては,ステージに登場するときに,「仲間といっしょに入ってくる」スタイルからして,「巨匠」という呼称は相応しくないと思っているのですが,オーケストラのメンバーが許さないのではないかと思います。

テンポ自体はそれほど遅くはなかったのですが,どの部分をとってもズシリとした質感がありました。第3楽章から第4楽章に掛けては,通常は「舞踏の権化」というニックネームどおり,音が飛び回る感じになるのですが,この日の演奏は,一音一音をしっかりと弾き切るような重みを感じました。その点で,「ベト7」らしくない,気もしましたが,小澤さんを盛り立てようとする,サイトウ・キネン・オーケストラのエネルギーが最大限に引き出された,大シンフォニーになっていました。

編成的には,やはり弦楽器の充実感がすごいと思いました。コンサートマスターは豊嶋泰嗣さんでしたが,その他にも東京のオーケストラのコンサートマスターが勢揃いしている感じでした。特に第1楽章のコーダでの,低弦の動きなど,映像で見ても迫力十分だったので,実演だとものすごい迫力だったのではないかと思います。日頃は聞こえないような,音の刻みがくっきり聞こえくる部分があったのも面白いと思いました。

管楽器の方は,外国人のメンバーが主体でした。この曲の場合,まず第1楽章のフルートに注目なのですが,この日は,おなじみのジャック・ズーンさんが首席奏者でした。見た感じ,もう少し跳ね回りたそうな感じがありました。それがまた,良いアクセントになっていました。

というわけで,演奏後は,いわゆる「一般参賀」のような状態になっていたのですが,朝比奈さんの時と違うのは,オーケストラのメンバー全員(+ファビオ・ルイージさんも)で「出たり,入ったり」していたことです。この辺が小澤さんらしいところだと思います。

前半のルイージさんが指揮した曲は,オネゲルの交響曲第3番「典礼風」でした。ベートーヴェンよりは大編成の曲でしたが,かなり渋い曲だったこともあり,スピーカーを通しての音量はベートーヴェンの方があったように感じました。ルイージさんの指揮ぶりには,誠実さがあり,音楽も知的に引き締まっている感じでした。

その中でいちばん印象に残ったのは,第3楽章の最後の部分です。3つの楽章を通じて,戦争の愚かさへの反発と平和への祈りが感じられる作品ですが,第3楽章では,行進曲風の部分に続いて,最後の最後に「平和」な気分になります。チェロの木越洋さん,フルートのズーンさん,ヴァイオリンの小森谷巧さん...と平和を象徴するような静かな感動を秘めた室内楽的な気分で終わったのが素晴らしいと思いました。ダイナミックな音響は,スクリーンコンサートで味わうことは特に難しいので,この曲については,是非,実演で聞いてみたいと思いました。

毎回,スクリーンコンサートに参加するたびに,拍手しても届かないもどかしさを感じるのですが,終演後は金沢でも大きな拍手が起こっていました。小澤さんの渾身の指揮ぶりは,オーケストラのメンバーを含め,多くの人に大きなエネルギーを与えてくれたのではないかと思います。

2016/08/21

IMA講師とOEKメンバーによる室内楽コンサート。今年はチェコ特集。ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタ,ドヴォルザークのピアノ五重奏など迫力十分の演奏

毎年8月下旬に行われている,いしかわミュージック・アカデミーの講師たちと,OEKメンバーによる室内楽コンサートが行われたので聞いてきました。今年はドヴォルザークとヤナーチェクの室内楽ということで,チェコの音楽特集ということになります。数年前までは,特にテーマを決めていませんでしたが,こういう形で統一テーマがある方が演奏会全体としての充実感は増す気がします。

前半は小編成の曲,後半は大編成の曲というのは,例年通りの構成でした。最初にホァン・モンラさんと,OEKの若松みなみさん,ヴィオラの石黒泰典さんで,ドヴォルザークの三重奏曲が演奏されました。初めて聞く曲でしたが,弦楽四重奏からチェロを引いた編成ということで,同一系統の楽器3台による陶酔的な響きを楽しむことができました。特にホァン・モンラさんの滴るような音が印象的でした。

2曲目のヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタは,ロラン・ドガレイユさんのヴァイオリンと鈴木慎崇さんのピアノで演奏されました。この曲は,以前から,ちょっと東洋風の独特の怪しい雰囲気が好きだったのですが,この日の演奏を聞いてさらに好きになりました。野性味と鬼気迫るような表情を持ったヴァイオリンとクールなピアノの響きとが絶妙のバランスで,全く別の世界に誘ってくれました。

後半のドヴォルザークのピアノ五重奏曲は,特に聞きごたえがありました。ピアノ五重奏曲には名作が多いのですが,この曲は親しみやすいメロディがいかにもドヴォルザークらしく,特に好きな作品です。

冒頭から,ハエスン・パイクさんのピアノ冴えた音と毛利伯郎さんの抑制の効いた清潔感のある音が印象的でした。その後,レジス・パスキエさんのヴァイオリンなどの楽器が加わって,ダイナミックに盛り上げっていくのが,ソリスト集団らしいと思いました。

じっく~と聞かせるドゥムカ風の第2楽章,予想外(?)の若々しさに溢れた第3楽章,楽し気に大らかに合わせた第4楽章とどの楽章も音楽する喜びにあふれていました。

前日に聞いた,受講生によるライジングスターコンサートも聞きごたえ十分でしたが,講師陣による,迫力十分の味わいに溢れた演奏もまた,聞きごたえがあります。受講生も大勢聞きに来ていましたが,色々な点で勉強になったのではないかと思います。

2016/08/20

金沢城公演 玉泉院丸庭園でOEKメンバーの弦楽四重奏に合わせてライトアップ。IMAとハシゴしてしまいました。やはり金沢は自転車移動がいちばんです。

本日の夜は,IMAのライジングスターコンサートが行われていたのですが,20:00頃からは金沢城公演の玉泉院丸庭園の方では,OEKメンバーによる弦楽四重奏に合わせてライトアップする,といる野外公演の行われていました。

IMAの公演が,20:00少し過ぎに終わったので,「もしかしたら見られるかも?」と思い,自転車で駆け付けたところ...やっていました。何ごともチャレンジしてみるものです。最初の曲には間に合わなかったような感じでしたが,OEKメンバーが演奏するボロディンのノクターンに合わせてライトアップが行われていました。

この日の夕方は少し雨が降ったようで(ライジングコンサートの間に降ったようです),演奏場所は屋根のある部分に変更になったのですが,庭園に行ってみると,しっかりと弦楽四重奏のロマンティックなメロディが響き渡っていました。

私のカメラだと,よく分からないかもしれませんが,次のような感じでした。この庭園も,段々と新しい名所として,親しまれつつあるようですね,

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IMAライジングスターコンサート2016 実力のある若手の演奏の連続。特に辻彩奈さんの緊迫感溢れる演奏が見事でした。

8月後半の恒例イベント,いしかわミュージックアカデミーのライジングスターコンサートが行われたので聞いてきました。このコンサートは,前年度のIMA音楽賞受賞者を中心とした若手奏者が続々と登場するコンサートです。IMA音楽賞受賞者からは,毎年必ず,国際的な音楽コンクールでの上位入賞者を輩出していますので,このライジング・スターコンサートを聞いておけば,後から「あの時のあの人か」と振り返ることができます。

今回は次の皆さんが出演しました。
ヴァイオリン:森山まひる,ユジン・イ,ジェウォン・ウィ,辻彩奈,スビン・イ
チェロ:金子遥亮
ピアノ:チェウォン・キム
ピアノ三重奏(内尾文香(ヴァイオリン),ユリ・ノ(ピアノ),矢部優典(チェロ)

今回も水準の高い演奏の連続でしたが,やはり,今年の6月にモントリオール国際音楽コンクールで優勝した,ヴァイオリンの辻彩奈さんの演奏が大変インパクトの強いものでした。ベリオ(現代音楽のルチアーノ・ベリオとは違う人です)の「バレエの情景」とエルンストの「シューベルトの「魔王」による大奇想曲」(こちらは無伴奏)という,滅多に演奏されない曲が2曲演奏されましたが,音の緊迫感と表現の幅の広さが凄く,強く演奏に引き込まれました。

特にエルンストの方は,「大奇想曲」という名前に相応しい,とんでもなく難しそうな曲でした。お馴染みの「魔王」自体,歌手は3人ぐらいの声色を使い分けますが,それに加え,最初から最後まで続くピアノの「3連音符」もヴァイオリン1本で演奏していました。途中,魔王がこどもを誘う部分で,フラジオレットを使って,金沢弁で言うところの「こそがしい(くすぐったい)」感じの音を出していたのが印象に残りました。このエルンストの曲は,一度,生で聴いてみたいと思っていたのですが,辻さんの集中力満点の演奏で聞くことができ,大満足でした。

その他の方では,最初に演奏した,森山まひるさんのバッハの無伴奏パルティーダ第3番の軽やかさが素晴らしいと思いました。他の奏者が,かなりバーンと強く押し出してくる演奏が多かったので,反対にその軽やかさが大変爽やかに感じました。

その他のヴァイオリン奏者は韓国の方ばかりでしたが,いずれも堂々とした「どうだ」という感じの演奏で,感服しました。ピアノのチェオン・キムさんは,リストの「ダンテを読んで」を演奏しました。そのコントロールされた音の美しさと,詩的な気分を持った抒情性も素晴らしいと思いました。

最後に若手3人によるピアノ三重奏で,ベートーヴェンの「大公」の第1楽章が演奏されました。落ち着いたテンポで,スケール感たっぷりに演奏されましたが,全体にやや緩い感じに思えました(最初に書いた辻彩奈さんの,緊迫感溢れる演奏の後だったからかもしれません)。やはり室内楽については,技術的な面とは別の難しさがあるのかも,と感じました。

さて,明日はIMAの講師による室内楽の演奏会が行われます。こちらもまた楽しみです。

2016/08/14

OEKおしゃべりクラシック 夏休みスペシャル! 鈴木織衛指揮石川県ジュニアオーケストラ,太郎田真理(語り)の「100万回生きたねこ」に感激。OEKエンジェルコーラスのモーツァルト,OEKメンバー他によるベリオも楽しい演奏

毎年この時期,朝日新聞,北陸朝日放送主催のOEKエンジェルコーラスと石川県ジュニアオーケストラが登場する演奏会が行われています。連日,暑い日が続いていることもあり,半分ほどは避暑(いわゆるクールシェアリングですね)を兼ねて聞きに行ってきました。

今回の特徴は,「いわゆるクラシック音楽」が入っておらず,動物の登場する,ナレーションまたは合唱入りの曲ばかりが演奏されました。いきなり,ルチアーノ・ベリオの作品番号獣番の中から3曲演奏されるなど,親子向け演奏会としては,かなり型破りの部分もありましたが,特に後半に演奏された,鈴木織衛さん指揮石川ジュニアオーケストラ,太郎田真理さんの朗読による「100万回生きたねこ」が素晴らしく,聞きごたえがありました。

ベリオの作品番号獣番は,20世紀に作られた木管五重奏曲ということで,かなり型破り作品です。今回は,きつね,ねずみ,猫などが出てくる曲が演奏され,5人のメンバーが楽器を吹きながら,セリフを言う(というか叫ぶ)という楽しいパフォーマンスでした。ただし,今回はコンサートホールで行われたこともあり,残念ながらセリフがはっきりと聞こえませんでした。この曲は編成的にも交流ホールか邦楽ホールで演奏する方が効果的だったかもしれません。

次に演奏された「こんにちはモーツァルト」は,おなじみ青島広志さんが,モーツアルトの色々な曲を編曲・再構成した合唱曲です。合唱はOEKエンジェルコンクールでしたが,この演奏では,歌うだけではなく曲のつなぎのセリフも担当していました。途中,ちょっとハラハラする部分もあったのですが,多彩な曲を生き生きと楽しませてくれました。

特に印象に残ったのは,デュエットで歌われた「すみれ」です。OEKエンジェルコーラスのメンバーの個人の歌唱力の素晴らしさも味わうことができました。

石川県ジュニアオーケストラによる「100万回生きたねこ」は,佐野洋子さん作のお話に,斎藤ネコさんが曲を付けたものです。まず,太郎田さんのナレーションが本当に素晴らしいものでした。明晰な発音で物語がしっかりと伝わってきただけではなく,全体的に落ち着きと凛とした品の良さがありました。太郎田さんは,過去何回か,OEKとナレーションで共演していますが,その実績どおりの見事な語りでした。

佐野洋子さんの原作については,タイトルは聞いたことはあったのですが,実は話を聞くのは今回が初めてでした。ネコが生死を100万回繰り返した後(成仏していない...という感じ?),本来の自分は「野良猫」であることを見出し,さらに人生の伴侶のネコを見つけます。そして,最後,この伴侶との別れを経て,寿命をまっとうする...こういった内容が,童話ならではのワクワクさせるようなタッチ形で展開していきます。

斎藤ネコさんの音楽も素晴らしいものでした。センチメンタルになり過ぎることなく,ちょっとクールさと透明感を感じさせるような,佐野さんのテキストにぴったりの音楽でした。ドラマ後半の盛り上がり,悟りのムードも素晴らしく...正直なところ,しみじみと感動してしまいました。鈴木織衛さん指揮石川県ジュニアオーケストラの演奏も,合宿の成果がしっかり出た,雄弁な演奏で,佐野さんのテキストの持つ,深さを実感させてくれました。

最後,この日登場したメンバーが勢揃いし,新実徳英「ぼくは雲雀」,杉本竜一「ビリーブ」という愛唱歌的になっている合唱曲が歌われて締められました。

今回は「動物」「おしゃべり」をテーマに,色々と工夫の凝らされたプログラムが取り上げられました。避暑のために出かけた演奏会でしたが,「100万回生きたねこ」を聞いて,「生きる」ということの喜びや悲しみについて,じっくりと考えることができました。これがいちばんの収穫でした。

2016/08/06

夕涼みを兼ねて,本多の森の石川歴博前の「デジタル掛け軸」前で行われた根来かなうさん,多田由美子さん,吉藤佐恵さんによるミニコンサートを聞いてきました。夜の空気にぴったり。

昨年に引き続き,兼六園周辺文化の森 夏のミュージアムウィーク:文化の森の夏祭り として本多の森でミニコンサートが行われたので,夕涼みを兼ねて聞いてきました。昨年と違ったのは,開催時間が少し遅くなり,石川県立歴史博物館のレンガの壁面に投影された「デジタル掛け軸」の前で演奏を行ったこととフルートが加わったことです。
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演奏は,ヴァイオリンの根来かなうさん(お名前が変わったようですね),フルートの多田由美子さんピアノの吉藤佐恵さんの3人でした。

曲は,少し涼しくなった夜の空気と映像が多彩に変化する幻想的な雰囲気に合わせて選ばれたものでした。最初にお馴染みのニュー・シネマパラダイスが演奏されました。楽器の音をマイクで拡大しているので,細かい音のニュアンスが拡大され,生々しさがあったので,ちょっと違和感を感じてしまいましたが,段々と慣れてきました。次第に夏の夜の空気にぴったりなムードになってきました。ヴァイオリンとフルートの伸びやかな音が気持ち良く夜空に広がっていました。
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演奏された曲では,ピアソラ作曲のアヴェ・マリアが特に気に入りました。初めて聞く曲でしたが,ピアソラ節的なメロディとパッヘルベルのカノンを思わせる雰囲気が合わさり,独特のアヴェ・マリアになっていました。アンコールを含め,最後は,タンゴで締められましたが,野外で聞く,ラテン系音楽は良いものです。

以下,写真で雰囲気を紹介しましょう。
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この日は,しいのき迎賓館裏では,野外で映画上映会,犀川では北陸中日新聞の花火と夜の野外イベントの集中日でした。このところ,日中は大変暑いので,夏休み中の夜のイベントを増やすのも,悪くはないですね。

石川門です。レンズが汚れているのではなく,カラスです。本日は三日月でした。
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しいのき迎賓館裏の映画会。準備中でしたが,いちどこの雰囲気で見てみたいものです。
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香林坊の裏通りを歩いていたら...花火が見えました。
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石川県立美術館に向かう広坂からも花火が見えました。
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2016/08/05

田島睦子ピアノ・リサイタル。ファッショナブルでタフでオールマイティの金沢のヴィルトゥオーサ。堪能しました。

このところ暑い日が続いています。本日は,その中を田島睦子ピアノ・リサイタルを聞いてきました。午後からかなり体力を使う仕事をしていたので,行こうかどうか迷っていたのですが,週末の開放感に加え,「このプログラムは金沢ではなかなか聞けない」という斬新さに惹かれ,聞きに行くことにしました。

田島さんは,金沢で行われている色々な演奏会に多数出演されています。実は,私がもっとも数多く演奏を聞いているピアニストかもしれません(例えば,7月31日に石川県立美術館で聞いたばかりです)。ただし,そのリサイタルを聞くのは...2回目のことです(前回私が聞いたのは,15年ぐらい前だったと思います。

今回のプログラムは,バッハ=ブゾーニのシャコンヌ,グルダのプレイ・ピアノ・プレイ,クライスラー=ラフマニノフの愛の悲しみ,そして,ラフマニノフの音の絵op.39ということで,金沢で行うには,結構冒険的なプログラムだったのですが,会場はほぼ満席でした。これは嬉しかったですね。金沢での田島さんの活躍が高く評価されていることの証だと思いました。

演奏を聴いて,その評価はさらにアップしたと思います。何といっても,「練習曲」というには,ハード過ぎるラフマニノフの「これでもか,これでもか」と迫ってくる演奏(ただし,全く暑苦しくない)に圧倒されました。最後が「行進曲」というのは,いかにもラフマニノフ的でしたが,いつもの甘さを抑えた重苦しさのある曲想をのびのびと聞かせてくれました。最後の最後にパワー全開の演奏を聞かせる,タフさもすごいと思いました。

前半のバッハ=ブゾーニのシャコンヌでは,さらりと始まった後,どんどん音楽が大きくなっていくのが見事でしたが,続く,グルダのプレイ・プレイ・プレイでの,ちょっとレトロな感じのジャズ風の作品もお見事でした。ピアノ・ソロの曲なのですが,複数のパートがセッションを行っているような楽しさがありました。

前半最後のクライスラー作曲,ラフマニノフ編曲の「愛の悲しみ」は,ヴィルトーゾの時代のアンコールピースといった感じの曲で,しっかりと前半と後半をつないでいました。

さらに凄かったのが...後半での田島さんのドレスです。前半は黒のシンプルな飾りのないドレスでしたが,後半のドレスは黒地に鮮やかな模様が浮き上がり,さらに...背中の部分がほとんどない...という大胆なものでした。

田島さんの唯一のウィークポイント(?)は,結構ハラハラするトークなのですが,これもまた逆に,愛嬌となって伝わって来ます。さらには,天性の演奏のすごさのようなものを強調しているようです。

久しぶりに聞いた田島さんのソロ・リサイタルは,本当に聞きごたえがありました。何よりも素晴らしいと思ったのは,レパートリーの広さとそれぞれの演奏の完成度の高さです。どんどん新しいレパートリーを広げていく,オールマイティの金沢のヴィルトゥオーサとして,今後の活躍に期待したいと思います。

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