OEKのCD

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2016/09/10

岩城宏之メモリアルコンサート 没後10年。山田和樹指揮OEK+東京混声合唱団による真摯で成熟したフォーレのレクエム。ヤングさんのバーバーの協奏曲も期待通りのすばらしさ #oekjp

9月はオーケストラの新シーズンが始まる月ですが,OEKの場合,前音楽監督の故岩城宏之さんの誕生日が9月ということもあり,この時期に「岩城宏之メモアリアルコンサート」を行っています。例年は,その年の岩城宏之音楽賞受賞者との共演を中心とした内容となっていますが,今年は岩城さんの没後10年ということもあり,岩城さんと縁の深い合唱団,東京混声合唱団がゲスト出演しました。

指揮は,岩城さん同様,世界各地のオーケストラの指揮しながら,東京混声合唱団の音楽監督を務めている山田和樹さんでした。山田さんは2年前のこのメモリアルコンサートに登場したことはありますが,東京混声合唱団と一緒に石川県立音楽堂のステージに立つのは今回が初めてです。

今年の岩城宏之音楽賞を受賞されたのは,OEKのコンサート・ミストレス,アビゲイル・ヤングさんでした。「身内の受賞」は,チェロのカンタさんに続いて2人目です。ここ数年のOEKに対する貢献度や,ソリストとしての活躍(武満徹のノスタルジアは,何回も演奏されていると思います)をを考えると当然といえます。

演奏会に先立って,ヤングさんに賞状と副賞が渡された後,1曲目のリゲティの無伴奏合唱曲,ルクス・エテルナが演奏されました。

ちなみに,この日,授賞式に井上道義さんが出席されていました。指揮をせずにステージに登場する井上さんというのは,かなり珍しいケースではないかと思います。

さて,このルクス・エテルナですが,大変型破りの作品でした。東混のメンバーはオルガンステージに並び,上の方からほとんどヴォカリーズのような感じで声が降り注いできました。メロディのようなものはなく,ほとんど動きのない(時々,超高音や低音が出てきましたが),一定の高さの音が16声部にも分かれて歌われました。その雰囲気は,まさに声で光を表現しているようでした。客席をかなり暗くしていたこともあり,オルガンステージだけが,宇宙空間の中で柔らかく光っているように思えました。この曲は,映画「2001年宇宙の旅」の中で使われたそうですが,冷たくも暖かくもない感じが,SF映画にはぴったりだと思いました。

続いて,アビゲイル・ヤングさんが登場し,バーバーのヴァイオリン協奏曲を演奏しました。実は,この曲が大好きです。編成は,OEKの基本編成とほぼ同じなのですが,OEKがこの曲を演奏するのは,恐らく,竹澤恭子さんが尾高忠明指揮OEKと共演して以来のことだと思います。

バーバーのこの作品は,クールで自然なロマンティシズムが大変魅力的です。冒頭,ピアノのポロンという音に続いてヤングさんが,しっとりと息の長いメロディを聞かせてくれました。ちなみに,本日のピアノですが,エキストラとして,岩城さんの奥様の木村かをりさんが担当していました。これは嬉しかったですね。ピアノの音はCDで聞いているとあまりよく分からないのですが,実演だと大変効果的で,この音が加わることで,透明感が増しているようでした。

第2楽章は加納さんのオーボエに続いて,ほの暗い音楽が続きます。ヤングさんの演奏には,いつも真摯さと自然な熱さがあります。そして,常に安心して演奏を聞くことができます。本当に頼りになるコンサートマスターだなぁと思います。この日のお客さんの多くも,ヤングさんのことを誇りに思っているのではないかと思います。

第3楽章は,うってかわって,延々と独奏ヴァイオリンが演奏を続ける,急速な楽章になります。前半の2つの楽章と全く曲想が違う「バランスの悪さ」は,賛否両論ありそうですが,実演で聞くとなると,こういう楽章がある方が盛り上がりますね。こういう楽章でもヤングさんの演奏には安定感があり,ちょっとしたウィットのようなものさえ感じさせてくれました。管楽器などが合いの手を入れるように華やかに盛り上げ,最後は切れ味よく終わりました。

その後,大変盛大で暖かい拍手に応え,ヤングさんの故郷のスコットランドの愛の歌が演奏されました。しばらく前のNHK連続ドラマ「マッサン」辺りに出てきそうな,親しみやすく,爽やかな曲でした。

後半は,東京混声合唱団とOEKの共演で,フォーレのレクイエムが演奏されました。この演奏を聞いて,山田和樹さんは,成熟した音楽を楽しませてくれるなぁと改めて実感しました。無理な音楽運びは全くなく,合唱とオーケストラの表現の幅の広さを堪能させてくれました。

この曲を実演で聞くと,オーケストラの編成がかなり変則的だということが分かります。ヴィオラの人数が非常に多く(2部に分かれていた?),その分,ヴァイオリンの人数が少なくなっていました。また,オーボエも編成に入っていませんでした。

そのことにより,オーケストラの音がくすんだ感じになり,フォーレのレクイエム独特の音世界を築いていました。パイプオルガンも補助的な役割なのですが,この日の演奏では,時にしっかりと主張している部分もあり,敬虔な気分を盛り上げてくれました。

東京混声合唱団は,山田さんの指揮の下,素晴らしい歌を聞かせてくれました。フランス音楽に相応しく,重苦しくなるところはなく,透明感があるのですが,芯の強さのようなものがあり,常に心地よい充実感がありました。

バリトン独唱の与那城敬さんは,若々しさのある声で,大変清潔感のある歌を聞かせてくれました。ソプラノの吉原圭子さんの出番は「ピエ・イエス」の1曲だけでしたが,その登場の仕方が印象的でした。この曲の時だけオルガンステージに登場し,パイプオルガン奏者の伴奏に寄り添うように暖かみのある声を聞かせてくれました。曲の丁度真ん中で,ホールの上の方に登場するということで,非常に象徴的な歌唱となっていました。

というわけで,大好きなフォーレのレクイエムとバーバーのヴァイオリン協奏曲を中心に,真摯で透明感のある音楽を堪能できた素晴らしい演奏会でした。

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