OEKのCD

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2016/10/21

オリバー・ナッセン指揮OEK定期公演。自作+武満+ブラームスのセレナード第1番という独特のプログラム。ほの暗い前半と爽快で田園的な後半の対比が鮮やか! #oekjp

オリバー・ナッセン指揮によるOEK定期公演フィルハーモニーシリーズを聞いてきました。ナッセンさんがOEKを指揮をするのは今回が3回目ですが,今回は特に渋いプログラムでした。

前半はスクリャービンのピアノ曲をナッセンさんが編曲した「スクリャービン・セッティング」,ナッセンさんの友人でもあった武満徹の「トゥリー・ライン」,そして,ナッセンさんの妻のスー・ナッセンさんを追悼して作曲された「レクイエム(スーのための歌)」の3曲が演奏されました。

どの曲もオーケストラの定期公演としては変則的で,室内楽に近い部分もあったのですが,ほのぐらいトーンに統一感があり,武満とナッセン(そしてスクリャービン)の類似性を感じました。ナッセンさんの作る音楽からは,ファンタジーの世界を思わせる美しさと繊細さが伝わってきました。

スクリャービン・セッティングは,ワーグナーの「トリスタン」を思わせるような,半音階的な動きが印象的でした。ナッセンさんは,非常に大きな方(縦にも横にも)ですが,それと反比例するような,緻密さと柔らかさのある音楽を聞かせてくれました。

武満徹の「トゥリー・ライン」は,弦楽四重奏+コントラバス+管楽器という独特の編成で,武満が仕事場にしていた信州の並木や自然を表現した曲です。初めて聞く曲でしたが...ピタリと波長が合ってしまいました。孤独感が漂っているけれども,それが大変気持ちよく感じました。曲の後半,オーボエの水谷さんがソロリソロリと退場し,舞台裏でカデンツァのような感じでソロを演奏して終わるという独特の終わり方も面白かったですね。

前半最後は,ナッセンのレクイエムが演奏されました。テキストとしては,通常のレクイエムの典礼文ではなく,エミリー・ディキンソンなどの詩を使っていたのが特徴で,祈りの音楽というよりは,シュプレッヒ・シュティンメ風の演劇的な雰囲気がありました。ソプラノのクレア・ブースさんの声は,暖かさと同時に清潔感があり,「現代的なレクイエム」に相応しい歌を聞かせてくれました。

前半全体として,ほの暗い感じがあったのですが,後半のブラームスのセレナード第1番は,その気分を振り払うような,爽快感な気分で始まりました。演奏会で取り上げられる機会が非常に少ない曲なのですが,ブラームスの交響曲第2番をさらに田園的にしたような雰囲気のある曲で(調性はどちらもニ長調ですね),大変面白く聴くことができました。全部で6楽章構成というのが,交響曲とは違うのですが,音楽の聞きごたえという点では交響曲同様の聞きごたえがありました。

第1楽章の鼻歌で歌えそうな冒頭部,狩を思わせる気分のある第5楽章など,ホルンの活躍する曲で,金星さんを中心に野性味と美しさを兼ね備えた音を楽しませてくれました。緩徐楽章の第3楽章でのじっくりとした歌いぶり,遠藤さんのクラリネットなどの木管楽器がしっとりとした音楽を聞かせてくれた第4楽章のメヌエット,そして,シューベルトの初期の交響曲を思わせるような運動性が楽しい第6楽章など,各楽章ごとに聞きところがありました。恐らく,全曲で45分以上かかっていたと思うのですが,全く退屈せずに楽しむことができました。

今回の公演は,前半・後半ともに有名曲が入らない「定期公演ならでは」のプログラムでした。OEKのレパートリーについては,編成的にどうしても制限がありますので,今回のような形で,知名度は低いけれども楽しめる作品を取り上げることは,大変良いことだと思いました。特にブラームスのセレナードについては,他のオーケストラも実演で,もう少し取り上げても良いのに,と思わせるような良い曲だとい思いました。

この日,ナッセンさんは,杖をついてゆっくりとした足取りで登場。しかもヒゲ面ということで,どこかファンタジーに出てくる「超人的な魔法使い」的な雰囲気もあると思いました。ナッセンさんには,是非また,OEKに魔法をかけるために再登場していただきたいと思いました。

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