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2016/11/06

石川フィルハーモニー交響楽団第30回定期演奏会でマーラーの交響曲第5番を聞いてきました。堂々たる演奏でした。

本日は午後から,石川フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聞いてきました。今回は記念すべき第30回ということもあり,大曲,マーラーの交響曲第5番を中心としたプログラムでした。金沢でマーラーの交響曲が演奏される機会は少ないので,聞き逃すわけにはいきません。

石川フィルのマーラーとしては,過去,第1番「巨人」,第2番「復活」,第9番を聞いたことがありますが,大変難易度の高い作品ということで,このオーケストラにとっても記念すべき演奏会になったのではないかと思います。全曲を通じて大変どっしりとしたテンポ設定で,マーラーの交響曲の中では,いちばん純音楽的といっても良い名曲を堂々と聞かせてくれました。

まず冒頭のトランペットが聞きものです。プレッシャーがかかる部分ですが,柔らかい音で安定した音を聞かせてくれ,お見事でした。その後のしっとりとした弦楽器の音も良いなぁと思いました。マーラーの交響曲といえば,「大仰で派手」という印象もあるのですが,この日の演奏は,この部分以外でも,チェロなどの弦楽器の合奏をしっとり聞かせる部分がとても丁寧に演奏しており,いいなぁと思いました。第2楽章では,音楽の動きが増し,最後の部分で大きく盛り上がります。第5楽章の最後を予想させるような部分ですが,この部分がとても爽やかだと思いました。

第3楽章はホルンが大活躍します。細かい部分ではミスはあったかと思いますが,7人のホルンが一丸となって,充実感のある音を聞かせてくれました。木管楽器は,時折かなり高くベルアップしていましたが,恐らくマーラーの指示通りに演奏していたのだと思います。こういう部分を見るのが,実演の面白さだと思います。3拍子の楽章ということで,もう少しくだけた雰囲気があっても良いと思いましたが,他の楽章同様に,誠実さを感じさせてくれる演奏だったと思います。

第4楽章のアダージェットもじっくりとしたテンポで演奏されました。この楽章だけは,管楽器,打楽器はお休みということで,全曲のオアシスのような雰囲気がありました。世紀末的なミステリアスさよりは,過ぎ去る時間を惜しんでいるような,どこか不思議な浮遊感を感じさせてくれました。

第5楽章は全曲のゴールという高揚感がありました。複雑に絡み合う音楽が続いた後,最後の最後,霧が晴れるようにトランペット4人によるファンファーレが聞こえてくると,いつも解放された気持ちになります。この日のトランペットは特に爽快だったと思います。疲れを全く感じさせないような瑞々しさがありました。

演奏会の前半では,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲「セリオーソ」の弦楽合奏版が演奏されました。この編曲者がマーラーということで,後半とのつながりのある選曲となっていました。オリジナルの弦楽四重奏版だと冒頭部などは,切り込むような鋭さがあるのすが,弦楽合奏版だとそれが少し薄まってしまうところがあります。その分,暗めの弦楽セレナーデを聞いているような聞きやすさがあると思いました。

というようなわけで,前半後半ともに,マーラーの楽譜に真っ直ぐ取り組んで,丁寧かつストレートに音楽の魅力を伝えてくれた素晴らしい演奏会だったと思います。

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