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2016年11月

2016/11/27

今月2回目のマーラーの交響曲5番の実演。西本智実指揮エルサレム交響楽団で聞いてきました

西本智実指揮エルサレム交響楽団による演奏会が,石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。西本さんの指揮については,数年前のラ・フォル・ジュルネ金沢で聞いて以来のことですが,今回もマーラーの5番を中心に大曲をたっぷりと聞かせてくれました。

エルサルム交響楽団については,実演を聞くのも初めてでしがが,名前を聞くのも初めてでした。聞いた印象としては,超一流のヴィルトーゾ・オーケストラという感じではなく,フル編成にしてはやや響きが薄めな気がしました(今回,3階席で聞いたこともあるかもしれません)。どこか鄙びた感じもしましたが,マーラーの5番の”肝”である,トランペットもホルンも好調で,最終楽章の最後の輝かしいフィナーレでは,充実した音を聞かせてくれました。

第1,2楽章では,テンポ感が重苦しく,停滞した感じがしましたが,第3楽章辺りから変化に富んだ軽やかさが出てきました。この変化に富んだ気分はマーラーらしいな,と思いました。第4楽章アダージェットもじっくりと演奏されましたが,終盤に行くと音楽が高揚し,どこか華麗な雰囲気が出てくるのも西本さんらしいと思いました。

前半に演奏された,ドヴォルザークのチェロ協奏曲は,ドミトリ・ヤブロンスキーさんとの共演でした。この方は,20年以上前にOEKと共演したことがある方です。その時の印象はすっかり残っていないのですが,今回の演奏については,全体的にテンションが低い印象で,やや物足りなさが残りました。それと,やはりマーラーと組み合わせるプログラムとしては,やや長すぎるかなと思いました。

マーラーの5番については,今月前半に石川フィルの演奏でも聞いたばかりでした。一月の間に2回実演で聞いたのは初めてのことでしたが,それぞれに面白い演奏だったと思います。何よりも,曲自体が素晴らしいなぁと実感できました。

2016/11/23

石川県ピアノ協会「ピアノ協奏曲の午後」 垣内悠希指揮OEKと若手ピアニストの共演を楽しんできました。特にニコライ・ホジャイノフさんのモーツァルトは最高! #oekjp

本日の午後は,石川県ピアノ協会主催で3年に1回行っている「ピアノ協奏曲の午後」を聞いてきました。今回で10回目ということで,石川県ピアノ協会に所属しているピアニストとOEKの共演に加え,今回は,ロシアの若手ピアニストのニコライ・ホジャイノフさんをゲストに招いて,協奏曲3曲が演奏されました。

前半では,ベートーヴェンの三重協奏曲とシューマンのピアノ協奏曲が演奏されました。ベートーヴェンの方は,ソリストが3人必要なこともあり,演奏される機会の少ない作品です。本日はOEKの坂本久仁雄さんと大澤明さんの賛助を得て,石川県ピアノ協会所属の石冨絵里さんが出演しました。

ピアノ三重奏曲と協奏曲が合わさったような作品ということで,ベートーヴェンの中期の作品としては,やや密度が低いようなところはありましたが,3人のソリストとOEKとが一体となって,大らかでアットホームな雰囲気のある演奏を聞かせてくれました。

2曲目は石川県ピアノ協会所属の佐伯周子さんをソリストに迎え,シューマンのピアノ協奏曲が演奏されました。今年はこの曲の「当たり年」で,今年,OEKがこの曲を演奏するのは3回目だと思います。個人的に大好きな曲なので,毎回楽しんでいるのですが,本日の演奏もまた素晴らしい内容でした。

佐伯さんの音はとてもクリアに聞こえてきて,どの部分もニュアンスが豊かでした。第3楽章で速いパッセージが続く部分が特に好きなのですが,聞いていて胸が熱くなるような迫力を感じました。

後半は,ゲストのホジャイノフさんが登場して,モーツァルトのピアノ協奏曲第21番が演奏されました。これが本当に素晴らしい演奏でした。まず,垣内悠希さん指揮のオーケストラ・アンサンブル金沢の演奏が素晴らしく,「万全のモーツァルト!」という感じのテンポ感,音のバランスを聞かせてくれました。垣内さんの指揮でOEKの演奏を聞くのは初めてだったのですが,ウィーン在住ということで,これからもOEKの中心的なレパートリーである,ウィーン古典派の音楽などを聞いてきたいものです。

さて,ホジャイノフさんのピアノですが,本当に鮮やかでした。全曲を通じて,硬質でクリアな音でキリっと引き締まった演奏を聞かせてくれたのですが,そこには慌てた感じはなく,瑞々しく,若々しい印象を鮮やかに残してくれました。速いパッセージでの,明確なタッチも素晴らしかったのですが,有名な第2楽章での気品の高さを感じさせる叙情的な美しさも印象的でした。

ピアノが入るアインガングの部分や,カデンツァでは,自由で即興的な演奏を聞かせてくれたのも面白かったですね,アンコールでは,「フィガロの結婚」の中のアリア「もう飛ぶまいぞ,この蝶々」によるパラフレーズ(?)のような作品が演奏されましたが,かっちりとした鮮やかなテクニックと,自由な感性とが自然に両立しているような素晴らしいピアニストだと思いました。今後,注目のピアニストですね。

この日は一日中非常に寒かったのですが,午後からはたっぷりと協奏曲を楽しむことができ,充実した気分になりました。来週は菊池洋子さんがOEK定期公演に登場して,モーツァルトのピアノ協奏曲「戴冠式」を演奏しますが,今回のホジャイノフとの比較も愉しみになってきました。

2016/11/17

音楽堂室内楽シリーズ「トリオ・ソナタの愉しみ」 OEKの原田智子さんと松木さやさん,チェンバロの辰巳美納子さん,チェロの福野桂子さんによる,精緻で瑞々しい純粋な音の世界を楽しんできました #oekjp

OEKメンバーが中心となって行われる音楽堂室内楽シリーズの今年度第3回「トリオ・ソナタの愉しみ」を聞いてきました。トリオ・ソナタと言いつつ,今回の出演者は4人でしたが,フルート+ヴァイオリン+「チェンバロとチェロによる通奏低音」の3声部によるトリオということになります。

演奏された曲は,J.S.バッハ,C.P.E.バッハ,ヘンデル,スカルラッティの4人の曲でした。今回の公演は,OEKのヴァイオリン奏者,原田智子さんが中心になって企画されたものだと思いますが,配布された曲目解説の充実ぶりどおり(今回出演された皆さんが執筆したものです),演奏の方も大変充実したものになっていました。精緻で瑞々しい純粋な音の世界を楽しむことができました。

ヘンデルとJ.S.バッハのトリオ・ソナタは,それぞれ緩-急-緩-急の4つの楽章からなっており,フルートとヴァイオリンと通奏低音が作る小宇宙を楽しませてくれました。両作曲家の個性が出ているのが面白いと思いました。やはり,J.S.バッハの曲の懐の深さが素晴らしいと思いました。原田さんのヴァイオリンの,知的ですっきりとした雰囲気とOEKの松木さやさんのフルートの暖かみのある音が通奏低音の上でしっかりと絡み合っていました。

今回演奏された曲の中では,最後に演奏された”トリオ・ソナタの本丸”のような「音楽の捧げ物」の中のトリオ・ソナタの充実感が素晴らしいと思いました。他の曲にない,スケールの大きさのようなものを感じました。

それ以外の曲も素晴らしいと思いました。特にC.P.E.バッハのハンブルガー・ソナタは,モーツァルトのフルートの名曲よりも後に作られた古典派的な曲ということで,他の曲に比べると特に聞きやすい曲でした。以前から感じているのですが,C.P.E.バッハは,もっと聞かれても良い作曲家だと思います。松木さんのフルートのバランスの良い音の素晴らしさを堪能できる曲でした。

辰巳美納子さんのチェンバロ独奏で,D.スカルラッティのソナタ3曲も演奏されました。丁度,急-緩-急になっていたので,3楽章からなるソナタを聞くようでした。スカルラッティのソナタには,どの曲についても,短い中にアイデアが詰め込まれており,飽きることなく楽しむことができます。

もう1曲演奏された,J.S.バッハのヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番もとても印象的な演奏でした。原田さんと辰巳さんによる二重奏ということで,2人で作る精緻な音の絡み合いを堪能できました。

実演で「トリオ・ソナタの世界」に触れるのはほとんど初めてだったのですが,会場が交流ホールで,とても間近で聞くことができたこともあり,その面白さをストレートに感じることができました。是非,今後もバッハを中心とした室内楽公演に期待したいと思います。まだまだ深い世界がありそうですね。

2016/11/06

石川フィルハーモニー交響楽団第30回定期演奏会でマーラーの交響曲第5番を聞いてきました。堂々たる演奏でした。

本日は午後から,石川フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聞いてきました。今回は記念すべき第30回ということもあり,大曲,マーラーの交響曲第5番を中心としたプログラムでした。金沢でマーラーの交響曲が演奏される機会は少ないので,聞き逃すわけにはいきません。

石川フィルのマーラーとしては,過去,第1番「巨人」,第2番「復活」,第9番を聞いたことがありますが,大変難易度の高い作品ということで,このオーケストラにとっても記念すべき演奏会になったのではないかと思います。全曲を通じて大変どっしりとしたテンポ設定で,マーラーの交響曲の中では,いちばん純音楽的といっても良い名曲を堂々と聞かせてくれました。

まず冒頭のトランペットが聞きものです。プレッシャーがかかる部分ですが,柔らかい音で安定した音を聞かせてくれ,お見事でした。その後のしっとりとした弦楽器の音も良いなぁと思いました。マーラーの交響曲といえば,「大仰で派手」という印象もあるのですが,この日の演奏は,この部分以外でも,チェロなどの弦楽器の合奏をしっとり聞かせる部分がとても丁寧に演奏しており,いいなぁと思いました。第2楽章では,音楽の動きが増し,最後の部分で大きく盛り上がります。第5楽章の最後を予想させるような部分ですが,この部分がとても爽やかだと思いました。

第3楽章はホルンが大活躍します。細かい部分ではミスはあったかと思いますが,7人のホルンが一丸となって,充実感のある音を聞かせてくれました。木管楽器は,時折かなり高くベルアップしていましたが,恐らくマーラーの指示通りに演奏していたのだと思います。こういう部分を見るのが,実演の面白さだと思います。3拍子の楽章ということで,もう少しくだけた雰囲気があっても良いと思いましたが,他の楽章同様に,誠実さを感じさせてくれる演奏だったと思います。

第4楽章のアダージェットもじっくりとしたテンポで演奏されました。この楽章だけは,管楽器,打楽器はお休みということで,全曲のオアシスのような雰囲気がありました。世紀末的なミステリアスさよりは,過ぎ去る時間を惜しんでいるような,どこか不思議な浮遊感を感じさせてくれました。

第5楽章は全曲のゴールという高揚感がありました。複雑に絡み合う音楽が続いた後,最後の最後,霧が晴れるようにトランペット4人によるファンファーレが聞こえてくると,いつも解放された気持ちになります。この日のトランペットは特に爽快だったと思います。疲れを全く感じさせないような瑞々しさがありました。

演奏会の前半では,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲「セリオーソ」の弦楽合奏版が演奏されました。この編曲者がマーラーということで,後半とのつながりのある選曲となっていました。オリジナルの弦楽四重奏版だと冒頭部などは,切り込むような鋭さがあるのすが,弦楽合奏版だとそれが少し薄まってしまうところがあります。その分,暗めの弦楽セレナーデを聞いているような聞きやすさがあると思いました。

というようなわけで,前半後半ともに,マーラーの楽譜に真っ直ぐ取り組んで,丁寧かつストレートに音楽の魅力を伝えてくれた素晴らしい演奏会だったと思います。

2016/11/05

イェルク・デームスさんの無心の境地のような感動的なピアノと井上道義指揮OEKによるお得意のビゼー。至福の音楽時間を堪能しました #oekjp

爽やかな快晴の11月の午後,OEK定期公演フィルハーモニーシリーズを聞いてきました。今回の目玉は,何といっても,かつて「ウィーンの3羽烏」と呼ばれ,日本でも親しまれているベテランピアニスト,イェルク・デームスさんが登場することです。OEKとの共演は今回が初共演です。デームスさんは,1928年生まれですので,今年88歳の米寿になります。演奏生活64年ということで,大変息の長い活動をされています。そのレパートリーの中心は,モーツァルト,ベートーヴェン,シューベルトといったウィーン古典派の音楽です。今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏しました。

デームスさんが舞台袖に登場し,ゆっくりと歩く姿を見て,一瞬「大丈夫だろうか?」と思ったのですが,ピアノに向かうと一気に巨匠に変貌しました。その姿には,常に平常心が漂っていました。

さすがにピアノのタッチに力強さはなく,テンポも気ままに伸び縮みする感じでしたが,その何も邪気を感じさせないような無心のタッチを聞いて,音楽の原点に触れた気がしました。井上さんは,テンポを合わせるのが大変だったと思いますが,敬意に溢れたバックアップを聞かせてくれました。

アンコールでは,シューベルトの即興曲 作品90の3が演奏されました。純粋な音の流れだけが静かにゆっくりと続き,会場を全体を別世界に変えていました。感動的な音楽でした。

プログラムの後半では,井上道義さんの大好きなビゼーの作品が演奏されました。「子供の遊び」は,井上さんのキャラクターにぴったりの作品です。粋で品の良い演奏を聞かせてくれました。

「アルルの女」第1,第2組曲も親しみやすいメロディに溢れた名曲中の名曲です。第1組曲の前奏曲から,ビシッと引き締まった緊張感が溢れていました。その中にプロヴァンスの空に気を感じさせる,明るい詩情が溢れていました。井上さんは,本当にこの組曲が好きなんだなと思わせるような演奏でした。

管楽器の個人技も楽しめる作品です。特に要所で出てくる,サックスの甘い音は,この曲のトレードマークのような感じです。曲の魅力である「フランスの田舎風」の空気をしっかりと伝えていました。第2組曲のメヌエットでは,工藤重典さんのフルートのソロを楽しむことができました。その純粋な音が大変印象的でしたが,実演で聞くと色々な管楽器が絡み合ってくるのを楽しめるのも魅力です。カリヨンの冒頭のホルンのユニゾンの力強い演奏も見事でした。

最後のファランドールでは,この曲ならではのプロヴァンス風の太鼓のリズムに乗って気持ち良く盛り上がって行くのですが,テンポ設定には余裕があり,熱狂するけれども,荒れ狂う感じにはならない,音楽的な大人の演奏になっていました。

演奏後,井上さんは「本日はアンコールはありません。快晴なので。外にお出かけてください」と言ってお開きとなりました。この秋の空に相応しい気持ちの良い演奏会となりました。至福の時間でした。

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