石川県ピアノ協会「ピアノ協奏曲の午後」 垣内悠希指揮OEKと若手ピアニストの共演を楽しんできました。特にニコライ・ホジャイノフさんのモーツァルトは最高! #oekjp
本日の午後は,石川県ピアノ協会主催で3年に1回行っている「ピアノ協奏曲の午後」を聞いてきました。今回で10回目ということで,石川県ピアノ協会に所属しているピアニストとOEKの共演に加え,今回は,ロシアの若手ピアニストのニコライ・ホジャイノフさんをゲストに招いて,協奏曲3曲が演奏されました。
前半では,ベートーヴェンの三重協奏曲とシューマンのピアノ協奏曲が演奏されました。ベートーヴェンの方は,ソリストが3人必要なこともあり,演奏される機会の少ない作品です。本日はOEKの坂本久仁雄さんと大澤明さんの賛助を得て,石川県ピアノ協会所属の石冨絵里さんが出演しました。
ピアノ三重奏曲と協奏曲が合わさったような作品ということで,ベートーヴェンの中期の作品としては,やや密度が低いようなところはありましたが,3人のソリストとOEKとが一体となって,大らかでアットホームな雰囲気のある演奏を聞かせてくれました。
2曲目は石川県ピアノ協会所属の佐伯周子さんをソリストに迎え,シューマンのピアノ協奏曲が演奏されました。今年はこの曲の「当たり年」で,今年,OEKがこの曲を演奏するのは3回目だと思います。個人的に大好きな曲なので,毎回楽しんでいるのですが,本日の演奏もまた素晴らしい内容でした。
佐伯さんの音はとてもクリアに聞こえてきて,どの部分もニュアンスが豊かでした。第3楽章で速いパッセージが続く部分が特に好きなのですが,聞いていて胸が熱くなるような迫力を感じました。
後半は,ゲストのホジャイノフさんが登場して,モーツァルトのピアノ協奏曲第21番が演奏されました。これが本当に素晴らしい演奏でした。まず,垣内悠希さん指揮のオーケストラ・アンサンブル金沢の演奏が素晴らしく,「万全のモーツァルト!」という感じのテンポ感,音のバランスを聞かせてくれました。垣内さんの指揮でOEKの演奏を聞くのは初めてだったのですが,ウィーン在住ということで,これからもOEKの中心的なレパートリーである,ウィーン古典派の音楽などを聞いてきたいものです。
さて,ホジャイノフさんのピアノですが,本当に鮮やかでした。全曲を通じて,硬質でクリアな音でキリっと引き締まった演奏を聞かせてくれたのですが,そこには慌てた感じはなく,瑞々しく,若々しい印象を鮮やかに残してくれました。速いパッセージでの,明確なタッチも素晴らしかったのですが,有名な第2楽章での気品の高さを感じさせる叙情的な美しさも印象的でした。
ピアノが入るアインガングの部分や,カデンツァでは,自由で即興的な演奏を聞かせてくれたのも面白かったですね,アンコールでは,「フィガロの結婚」の中のアリア「もう飛ぶまいぞ,この蝶々」によるパラフレーズ(?)のような作品が演奏されましたが,かっちりとした鮮やかなテクニックと,自由な感性とが自然に両立しているような素晴らしいピアニストだと思いました。今後,注目のピアニストですね。
この日は一日中非常に寒かったのですが,午後からはたっぷりと協奏曲を楽しむことができ,充実した気分になりました。来週は菊池洋子さんがOEK定期公演に登場して,モーツァルトのピアノ協奏曲「戴冠式」を演奏しますが,今回のホジャイノフとの比較も愉しみになってきました。
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