OEKのCD

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2016年3月13日 - 2016年3月19日

2016/03/16

井上道義指揮OEK定期公演。ベートーヴェンの「英雄」はスケール感たっぷりの英雄らしい英雄。聞きごたえ十分。マリオ・ブルネロさんとの共演のシューマンの協奏曲もシューマンらしいシューマン。#oekjp

早くも3月半ばとなり,何かと慌ただしい年度末になりつつあります。その中,井上道義指揮OEKの定期公演を聞いてきました。ソリストは,OEKとの共演は久しぶりのチェリストのマリオ・ブルネロさんでした。

プログラムは,武満徹/ノスタルジア,シューマン/チェロ協奏曲,そして,ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」ということで,OEKにぴったりの内容でした。演奏も,「さすが井上音楽監督!」という感じの堂々としたスケール感とくっきりとした明快さとがブレンドした,見事な演奏でした。このところ,井上さんは他のオーケストラと,ブルックナーやショスタコーヴィチの大交響曲を次々と取り上げていますが,今回の「英雄」も,その原点になるような大交響曲としての演奏だったと思います。

第1楽章から,OEKの充実感たっぷりの響きが素晴らしく,音の響き方,テンポ感ともに,「英雄らしい英雄だなぁ」と思いながら聞いていました。OEKの作る気持ち良い音の流れを重視しながら,時々,楔を打ち込むように「英雄」交響曲ならではの強烈なアクセントを入れ,全曲を通じて心技体のバランスの取れた,理想的なバランスを持った演奏となっていました。

細かい部分ではちょっと粗はあったと思いますが,第1楽章コーダのトランペットを思う存分気持ちよく響かせたり,全曲を通じて「ここだ」という要所でティンパニを爽快に響かせるなど,大曲に相応しい豪快さもありました。井上さんとOEKの関係も長くなってきましたが,お互いを知り尽くしたような結びつきの強さを感じさせる演奏だったと思います。それでいて,第4楽章のコーダでは全身全霊を込めたような力強さを聞かせ,ルーティーンワークになっていないのも,このコンビならではだと思いました。

前半に登場したマリオ・ブルネロさんのチェロも素晴らしいものでした。個人的に,ブルネロさんといえば,「若手チェリスト」という印象をずっと持っていたのですが,そんなわけはありません。髪の色が「ミッシャ・マイスキー」を思わせるぐらいのグレーになっており,演奏の方も円熟味を増していました。

シューマンのこの協奏曲には,ロマンティックな表情と渋さとが同居しており,ちょっと親しみにくいかなと思っていたのですが,今回のブルネロさんの演奏を聞いて,「これは良い曲だ」「ブルネロさんの演奏も曲想にぴったり」と思いました。どうも私自も歳を取って,この曲に波長が合ってきたのではないかと思います。「死の影」というか「老いの影」のようなものを感じさせつつも,熱く歌おうとする感じに妙に共感してしまいました。

ブルネロさんの演奏に暗さはないのですが,じっくりと内面に入り込んでいくような奥深さを随所で感じました。それとがっぷり四つに組んだ,OEKの演奏も聞きごたえがありました。演奏後,ブルネロさんは,何と3曲もアンコールを演奏しました。その内容は...東京公演も控えているので,これはお楽しみということにしておきましょう。

最初に演奏された,アビゲイル・ヤングさんのヴァイオリン独奏をフィーチャーした武満徹/ノスタルジアを聞くのは,昨年9月の岩城メモリアル・コンサートに続いて2回目ですが,今回も熟練の演奏を聞かせてくれました。オーケストラと独奏が,絵画の遠景と近景のように感じられ,それが映画を観るようにゆっくり動いていくような,映像作品を見るような面白さがあると思いました。

OEKのバロック音楽シリーズも新鮮ですが,OEKのベートーヴェンというのは,やはりレパートリーの核なんだな,ということを再認識できた定期公演でした。

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