OEKのCD

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2016年4月10日 - 2016年4月16日

2016/04/16

尾高忠明指揮OEK定期公演はリストを中心とした素晴らしいプログラム。江口玲さんも名技の連続。最後は熊本地震被災者に向けたレ・プレリュード #oekjp

木曜日の夜から,熊本を中心とした地震が続く中,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演マイスターシリーズを聞いてきました。今回の指揮者は尾高忠明さん,独奏者としてピアニストの江口玲さんを迎え,ショパンとリストの曲を中心とした東欧の音楽が演奏されました。

演奏時間的には20分以内程度の曲ばかりの定期公演というのは,とても珍しいのですが,見事なプログラミングでした。「熊本地震の被災者を元気づけることを思って演奏した」(尾高さんのトーク),というリストの交響詩「前奏曲」での充実した盛り上がりをはじめどの曲も聞きごたえがありましたが,演奏された各曲の作曲家相互につながりがあるのが素晴らしいと思いました。

最初に演奏された「カティンの墓銘碑」の作曲家パヌフニク(1914~1991)は,尾高忠明さんの父上の作曲家・指揮者の尾高尚忠と親交があったポーランドの作曲家。次に演奏された小組曲の作曲家ルトスワフスキはその同時代のポーランドの作曲家で,パヌフニクより1歳年上。ショパンとリストはやはり1歳違いで,どちら東欧出身の作曲家。ということで,飯尾洋一さんが解説で書かれてていたとおり,非常によく考えられたプログラムでした。

パヌフニクの作品は,コンサートマスターのソロで始まるのが印象的です。今回のコンサートマスターは,ゲストコンサートマスターの水谷晃さん(調べてみると東京交響楽団のコンサートマスターをされている方でした)で,どこか天の高いところから降りてくるような素晴らしい音を聞かせてくれました。尾高さんは何回も演奏されている作品とのことですが,今回の演奏では,演奏前,尾高さんはしばらく黙とうをされていた感じで,その後,色々な思いを込めて指揮をされたのだと思います。最後の力強い響きが印象的でした。

ルトスワフスキの作品は,難解な印象を持っていたのですが,今回演奏された「小組曲」は,どこかユーモアや暖かみを感じさせるようなところもある聞きやすい作品でした。

前半の最後には江口玲さんが登場し,ショパンのアンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズが演奏されました。今回江口さんが演奏した楽器は,ホロヴィッツが演奏していた由緒のある楽器(プレトークの時に事務局の方が説明されていたようですが,遠くにいたのではっきり聞こえませんでした)ということで,非常に軽く明快な響きでした。この曲の雰囲気にぴったりだと思いました。

江口さんの演奏は,慌てるところが全くなく,やすやすと華麗に聞かせてくれました。江口さんは,いろいろなヴァイオリニストの伴奏者(という書き方は失礼なのですが)のイメージを持っていたのですが,独奏者としても素晴らしい華を持った方だと再認識しました。

後半はリストの曲3曲でした。最初の「メフィストフェレス」は,ファウスト交響曲の中の1つの楽章で,メフィストフェレスのキャラクターを表現するように,スケルツォ楽章的な感じで始まった後,最後はどこかワーグナーの曲を思わせるような,崇高な感じで終わっていました。初めて聞く曲でしたが,とても面白い曲だと思いました。

死の舞踏では,再度,江口さんがソリストとして登場しました。「怒りの日」の有名なテーマに基づく変奏曲なのですが,まず最初に出てくる,鋼鉄を思わせる江口さんのタッチに圧倒されました。この日のOEKは金管楽器や低弦を増強していたので,それと相俟って,圧倒的な力強さを感じました。その後の変奏も大変鮮やかで,江口さんの実力に感服しました。曲の雰囲気としては,ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を思わせるところがあるなぁと感じました。

最後は交響詩「前奏曲」でした。この曲は名曲の割に,近年は実演でもレコーディングでも冷遇されているところのある曲です。編成上の問題もありますので,OEKがこの曲を演奏するのは,恐らく初めてなのではないかと思います。

上述のとおり,思わぬ地震災害を意識しての演奏ということで,途中の昔を回想するような部分の懐かしさ,コーダの部分での力強さなど,非常に実感がこもっていました。

この日,会場ではOEKメンバーや職員がバケツをもって募金活動を行っていました。OEKは岩城音楽監督時代以来,大規模な自然災害などが起こるたびにバケツ募金を行ってきました。個人的には,金沢と同様の城下町として,熊本城の石垣が崩れる映像を見て心が痛みました。しばらくは余震(というには大きすぎる)が続くようですが,少しでも早く,通常の生活(ゆっくり音楽を楽しめるような生活)が戻ることを祈っています。

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