OEKのCD

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 2016年5月1日 - 2016年5月7日 | トップページ | 2016年5月29日 - 2016年6月4日 »

2016年5月15日 - 2016年5月21日

2016/05/21

ジャン・レイサム=ケーニック指揮OEK定期公演Mは,急遽代役で登場した若林顕さんのピアノとともに,初期ロマン派の作品を爽やかに表現 #oekjp

今シーズのOEK定期公演マイスターシリーズは,毎回,ショパンの管弦楽伴奏付きピアノ作品を核としたプログラムが組まれています。今回の第376回公演でも,ショパンの「ポーランドの歌による幻想曲」が演奏される予定だったのですが,菊地裕介さんが本人の体調不良により急遽出演がキャンセルになり,「ショパン抜き」に変更になってしまいました。

このこと自体は大変残念だったのですが,それを補うかのように,ジャン・レイサム=ケーニックさん指揮OEKと代役で登場した若林顕さんが熱のこもった演奏を聞かせてくれました。

前半は,ドビュッシー編曲のサティのジムノペディ(2曲)が演奏された後,シューマンのピアノ協奏曲が演奏されました。さらりと演奏されつつも,まどろむような「牧神の午後」的な後味を残す演奏はよかったのですが,他に演奏された曲と比べると,サティだけがちょっと中途半端,というか,違和感を感じました。当初のプログラムの「ポーランドの歌による幻想曲」との取り合わせを考えての選曲だったのでしょうか?

シューマンのピアノ協奏曲は,大変オーソドックスな演奏だったと思います。若林さんは,本当に急遽出演することになったようで,曲を仕上げるのがまず大変だったと思いますが,さすがという安定感のある演奏を聞かせてくれました。ただし,個人的にはこの曲については,もう少し屈折したような濃い味を期待していたので,少々物足りなさを感じましたが,この辺は仕方のないところかもしれません。OEKの演奏では,第2楽章中盤でのチェロパートの陶酔的な気分が素晴らしいと思いました。

急遽登場し,立派な演奏を行った若林さんに対する拍手が続き,アンコールでは,リストの「愛の夢」第3番が演奏されました。この曲での音の美しさとまどろむような気分が最高でした。こうやって聞くと,サティのジムノペディと巧い具合に対応しているなぁと思いました。

後半は,夏至を前にした「日の長い」季節にぴったりのメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」の抜粋が演奏されました。レイサム=ケーニックさんの意図としては,いちばん規模の大きな「序曲」=第1楽章,いちばん華やかに盛り上がる「結婚行進曲」=最終楽章。その間に,スケルツォ,間奏曲,ノクターンを挟むことで,交響曲的なまとまりをつくろうとしていたのではないかと思いました。

演奏は全体にキビキビとしており,フルートの松木さんをはじめとした木管パートが生き生きとした精彩のある音楽を聞かせてくれました。アビゲイル・ヤングさんを中心とした弦楽パートの引き締まった音も素晴らしく,初夏の雰囲気たっぷりの音楽になっていました。

最後,「結婚行進曲」で締めるというのは,この曲自体,実用音楽として親しまれ過ぎていることもあり,ちょっと軽い気はしましたが,びしっと揃った3本のトランペットを中心とした,新鮮味のある音楽は見事でした。

アンコールでは,ドヴォルザークのスラヴ舞曲op.72-2が演奏されました。演奏前に,「Ladies and Gentlemen...」とレイサム=ケーニックさんはお客さんに呼びかけていたのが,何かとても貴族的な雰囲気がありました。演奏の方は,熱い雰囲気でテンポを揺らす流れの良い演奏でした。

ソリストの急な交替というアクシデントはありましたが,「美しい5月」の休日の午後に聞くのにぴったりの演奏会でした。

2016/05/17

音楽堂室内楽シリーズ第1回は,OEKメンバー+高橋多佳子さんによるモーツァルト室内楽曲集。ケーゲルシュタット・トリオをはじめ,素晴らしい雰囲気の連続でした #oekjp

今年度の音楽堂室内楽シリーズの第1回は,「私のお気に入り・天才モーツァルト」と題して,ちょっとこだわりのありそうなモーツァルトの室内楽作品4曲が演奏されました。今回面白かったのは,各曲の編成が全部違い,それぞれに主役のように活躍する楽器があった点です。

プログラムは次のとおりでした。
モーツァルト/フルート四重奏曲第1番
モーツァルト/ディベルティメント第11番ニ長調,K.251「ナンネル七重奏曲」
モーツァルト/ピアノ四重奏曲第1番ト短調, K,478
モーツァルト/ピアノ三重奏曲変ホ長調,K.498「ケーゲルシュタット」

それぞれ,松木さやさんのフルート,加納律子さんのオーボエ,高橋多佳子さんのピアノ,遠藤文江さんのクラリネットが,おじさんたち(?)を中心とした弦の上に華を添える形になっていました。

間近で聞くOEKの管楽器の名手たちの音は素晴らしく,モーツァルトの曲の美しさや楽しさがストレートに伝わってきました。今回演奏された曲の中では,フルート四重奏曲第1番とピアノ四重奏曲第1番は,「名曲」として有名で,聞いたことはありましたが,それ以外の曲も大変楽しめました。

ナンネル七重奏曲は,弦5部+オーボエ+ホルン2(8人編成だけれども,コントラバスとチェロは同じメロディを演奏するので7重奏とのことです)という室内楽にしては大きめの編成で,大変上機嫌な音楽を楽しませてくれました。ホルンの2人はバルブのないホルンを使い,弦楽メンバーもとても力強い演奏を聞かせてくれたので,全体に野性味を感じさせてくれました。加納さんのオーボエには,美しさの中にどこか暖かいユーモアが漂っているのが良いと思いました。そして...最後に楽しい仕掛けがありました。これについては,レビューの方でご紹介しましょう。

最後に演奏されたケーゲルシュタットの方は,「モーツアルトがケーゲル(元祖ボウリングのようなもの)をしながら作った曲」という伝説がある曲です。ただし,クラリネット,ヴィオラ,ピアノという独特の編成ということもあり,私自身,CD録音を含め,聞くのは今回が初めてでした。

これが本当に素晴らしい曲であり,演奏でした。遠藤さんのクラリネットの純度の高く,大らかな歌が本当に心地よく響いていました。明るさの中に時折,「影」を感じさせてくれるのは,晩年のモーツァルトらしいところです。石黒さんのヴィオラ,高橋さんのピアノにも見せ場があり,大変聞きごたえがありました。

フルート四重奏曲での松木さんのフルートの爽やかさも良かったし,ピアノ四重奏曲での高橋さんのピアノの音楽する喜びに溢れた演奏も印象的でした。髙橋さんは,ナビゲーターの柳浦さんからの質問に対して「若い時苦手だったモーツァルトを演奏するのが今はとても楽しい」と語っていました。曲自体,ピアノ協奏曲的な部分もあったのですが,OEKメンバーと一体となった室内楽的な雰囲気がとても良い味わいを作っていました。

こうやって聞くと,OEKによるモーツァルトは,基本的なレパートリーだな,と再認識しました。モーツァルトの室内楽は色々な編成のものが,まだまだ沢山あります。是非,音楽堂室内楽シリーズで,モーツァルト特集の続編を期待したいと思います。今回の演奏会は,「こんな公演を聞きたかった!」と思わせる,OEKファンにぴったりの演奏会だったと思いました。

2016/05/15

第15回北陸新人登竜門コンサート <管・打楽器 声楽部門> この部門恒例,今回もまた,色々な楽器による色々な作品を楽しむことができました。 #oekjp

ラ・フォル・ジュルネ金沢が終わって間もない時期ですが,この時期恒例の北陸新人登竜門コンサートが行われたので聞いてきました。今回は,管・打楽器 声楽部門で,通算15回目となります。

この部門については,どういう新人が登場するのか?という楽しみ以外に,「どういう楽器が登場?」「どういう曲?」という楽しみがあります。今回もソプラノ,サクソフォン,ティンパニと大変多彩なプログラムを楽しむことができました。

最初に登場したソプラノの中宮永莉香さんが歌ったのは,ヴェルディのオペラのアリアでした。その声を聞いただけでドラマを感じさせてくれました。声に力があり,ヴェルディのオペラの世界に強く引き込んでくれました。これからさらに声を磨いていけば,さらに大きく飛躍される方だと思いました。

サクソフォンの小川卓朗さんは,イベールの室内小協奏曲を演奏しました。アルトサクソフォーンはもともと表現力の豊かな楽器ですが,小川さんの演奏からは,どこか「男気」のようなものが伝わってきました。最初ステージに登場した時は,ちょっと緊張しているかな?という雰囲気でしたが,演奏が始まると一気に精彩が増し,集中力に溢れた演奏を楽しませてくれました。この曲はOEKのサイズにもぴったりです。音の動きが速く,井上さんによると「OEKも大変」とのことでしたが,室内協奏曲に相応しい鮮やかな演奏を聞かせてくれました。

最後に登場した,ティンパニの伊藤拓也さんは,既に中部フィルハーモニー交響楽団のティンパニ奏者として活躍されている方です。今回演奏されたラバンサーのティンパニ協奏曲「OBI」は,今回のプログラムの中でも,特に演奏されるのが珍しい作品です。こういう作品を聞けるのも,この登竜門コンサートならではです。

曲の方も大変分かりやすい曲で,この楽器らしい豪快さに加え,表現の幅の広さをしっかり楽しませてくれました。金管楽器も大活躍しており,ビッグバンドジャズを聞くような爽快さもありました。

今回は演奏時間が短かったこともあり,井上道義さん指揮OEKのみで,ヴェルディの「椿姫」前奏曲とメンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」が演奏されました。どちらも大変雄弁な演奏でした。特に,「フィンガル」の方は,「ナチュール」のテーマにもぴったりの,じっくりと聞かせる演奏でした。

OEKの方もラ・フォル・ジュルネ金沢明けに色々と演奏会が続きハードスケジュールですが,この公演は,今後も大切にしていって欲しいと思います。

« 2016年5月1日 - 2016年5月7日 | トップページ | 2016年5月29日 - 2016年6月4日 »

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック