OEKのCD

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2016年6月26日 - 2016年7月2日

2016/06/30

OEKのクラリネット 木藤みきさんとチェロのカンタさん+鶴見彩さんのピアノによるブラームスとベートーヴェンの室内楽曲。明るいけどしみじみとした世界が広がっていました。

OEKのクラリネット奏者,木藤みきさんを中心としたグループ,ムシカ・レソナンテによる室内楽を3曲聞いてきました。演奏された曲は,ベートーヴェンとブラームスの作品ということで,大変オーソドックスな内容でしたが,どの曲も親しみやすく楽しめる曲想だったこともあり,サブタイトルにあるとおり,「室内楽のたのしみ」をしっかり味わうことができました。演奏全体に「明るいけどしみじみ」といった風情があるのが,ベテラン奏者ならではの味だと思いました。

今回の編成は木藤さんに,同じくOEKのチェロ奏者であるルドヴィート・カンタさんと金沢を中心に活躍しているピアニストの鶴見彩さんが加わった三重奏でした。クラリネット,チェロとピアノという組み合わせの曲となるとかなり限定されるのですが,その中で,最初に演奏されたベートーヴェンの三重奏曲「街の歌」は,いちばんよく知られた曲だと思います。

木藤さんの音色には,ピリッとした張りがあるので,急速な楽章は特にキビキビとした気持ちの良い音楽となっていました。特にニックネームの元になっている第3楽章の「街の歌」の変奏での多彩な表情を持った響きは聞きものでした。カンタさんの柔らかい音としっとりと音が溶け合っていた第2楽章も大変味わい深いものでした。

2曲目に演奏されたブラームスのクラリネットソナタ第2番は,ブラームスの「本当に最晩年の作品」です。安らかさと明るさの中にちょっとしみじみとした味わいが翳る,魅力的な作品でした。第2楽章には,どこか堂々とした風格のようなものがありました。力強く締められた第3楽章のエンディングもさすがブラームスという渋さがありました。

後半演奏されたベートーヴェンの三重奏の方は,おなじベートーヴェンの七重奏曲を編曲したものです。この曲自体,6楽章からなる40分ほどもかかる大曲です。それを3つの楽器用に圧縮していたのですが,演奏時間の方は,ほぼ原曲と同じぐらいでした。

原曲の方は,室内楽にしても大きな編成で,小型オーケストラを聞くような豊かで多彩な音色が魅力的な作品です。それを二回りぐらい小ぶりにした今回の演奏は,音のボリューム感や色彩感の面では,少し地味になっていたましたが,演奏のキレの良さが浮き彫りになっており,速い楽章でのノリの良さが特に印象的でした。

7人を3人に減らして演奏ということで,ピアノの鶴見さんも大活躍でした。特に最終楽章などでは,古典的な清潔さのある,珠をころがすような音が素晴らしくOEKのベテラン奏者2人のペースメーカーになっているようでした。

というわけで,特に出ずっぱり(吹きっぱなし)だった木藤さんには大変ハードだったと思うのですが,滅多に聞くことのできない,クラリネットを中心とした室内楽をじっくりと楽しむことができました。

2016/06/26

グラズノフ,侮るべからず。金沢大学フィル サマー・コンサートで交響曲第5番をしっかり楽しんできました。

この時期恒例の金沢大学フィルのサマーコンサートを聞いてきました。金大フィルは,毎年1月頃にプロの指揮者による定期演奏会を行っており,どうしてもそちらの方が年間を通してのメインのイベントになるのですが,今年のサマーコンサートでは,メインプログラムとしてグラズノフの交響曲第5番という大胆な選曲がされました。この心意気に感銘(?)を受け,聞きに行くことにしました。この演奏が本当に良い演奏でした。この曲を取り上げた,思いが伝わってきました。

プログラム前半では,ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲とボロディンの「中央アジアの草原にて」が演奏されました,それぞれ,しっかりと真面目に演奏されていたのですが,どちらもやや味が薄いかなという印象でした。後半に演奏された,グラズノフの方は,一転して,冒頭から非常に深みのある音を聞かせてくれました。

実は,私自身,グラズノフという作曲家の作品自体,ほとんど聞いたことがありませんでした。バラキレフと混同しており,ロシア5人組の一人かな...と勘違いしていたほどです。年代的にはチャイコフスキーより若い世代で,ラフマニノフよりも年上です。

ロシアの作曲家といえば,ダイナミックで豪快という印象もあるのですが,グラズノフの場合,CDなどで聞いた感じ(少し予習をしました)では,チャイコフスキーの後継者的で,とてもまとまりの良い作品を作るロマン派の作曲家という印象を持ちました。ドイツの作曲家でいうとメンデルスゾーンのような位置づけでしょうか(実は,最近,メンデルスゾーンが大好きになってきたのですが)。

CDで聞くとちょっと印象の薄い感じのするグラズノフですが,今回の実演を聞いて,「この交響曲第5番は大変素晴らしい作品だ。グラズノフ,侮るべからず」と感じました。

第1楽章は3拍子系で書かれていることもあり,ベートーヴェンの「英雄」やシューマンの「ライン」の第1楽章などに通じる,堂々としたスケール感を持った流れの良さがありました。伸びやかさと自信に溢れており,ロマン派の交響曲らしいなぁと思いました。第2楽章はフルートを中心とした木管楽器が活躍し,メンデルスゾーンのスケルツォを思わせる粋な感じがありました。金大フィルの管楽器の音色もキラキラとしていました。

第3楽章はホルンの重奏から始まる,静かなロマンを感じさせる楽章でした。途中,トロンボーンなどに何かを警告するような感じの重いモチーフが出てくるのですが,その意味深な感じとの対比も魅力的でした。ラフマニノフの交響曲に通じるような切ない甘さもある見事な演奏でした。

第4楽章は,チャイコフスキーの初期の交響曲にありそうな,元気で素朴な曲想が印象的でした。途中,テンポが少しアップして,後半ではタン・タ・タン・タ・ター・ターといったメロディが何回も出てきます。これを中心として,段々盛り上がって行く感じが実に格好良いと思いました。

というような感じで,「~のような」という部分が多い曲なのですが,曲全体がとても健全にがっちりとまとまっており,大変聞きごたえがありました。これまで,この曲を実演で聞いたことはなかったのですが,もっと演奏されて良い曲だと思いました。

私の記憶によると,この曲が金沢で演奏されるのは,ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルが金沢で演奏会を行った時(私は行っていませんが1970年代中頃だと思います)以来ではないかと思います。

大胆な選曲で,しっかりと楽しませてくれた金大フィルの皆さんに大きな拍手を送りたいと思います。是非,これからもこの路線で(時々で良いと思いますが),知られざる名曲を発掘していって欲しいと思います。

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