OEKのCD

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2016年7月17日 - 2016年7月23日

2016/07/23

OEK定期公演2015/2016の最後は,3つの顔を持つイエルク・ヴィトマンの日。熱いメンデルスゾーン,アイデアに溢れた自作を始め,先週に続き大満足の公演でした。 #oekjp

OEK定期公演,2015/2016のフィルハーモニー・シリーズの最後は,ドイツのクラリネット奏者,作曲家,そして指揮者のイエルク・ヴィトマンさんが登場しました。これまでOEKには,色々な「弾き振り」の指揮者が登場しましたが,クラリネットの弾き振り(吹き振り?)は初めてかもしれません。今回はさらにヴィトマンさんの作曲家としての顔にも触れることができ,まさに「ヴィトマン・デー」といった演奏会となりました。

3つの顔の中で,いちばん印象に残ったのは,指揮者としてのヴィトマンさんでした。最後に演奏されたメンデルスゾーンの交響曲第1番は,演奏会を締めるには,地味目の曲かな?と聞く前は予想していたのですが,全くそういうことはありませんでした。何より,曲自体が素晴らしかったのですが,ヴィトマンさんは,OEKから素晴らしいエネルギーを引き出していました。冒頭から力感に溢れ,キビキビとした音楽が続きました。

この日はバロックティンパニを使い,ホルンもオリジナル楽器を使っていたようですが,古楽奏法を思わせる感じで,強弱のコントラストのハッキリとした明快な音楽を聞かせてくれました。静かな部分や楽章でのすっと沈み込むような気分とのコントラストも見事でした。

上述のとおり,本当に素晴らしい曲でした。メンデルスゾーンは,十代のうちに「夏の夜の夢」序曲,弦楽八重奏曲などを書いてしまっているので,当然といえば当然なのですが,15歳の曲とは思えない完成度の高さと魅力がある作品でした。ベートーヴェン,ハイドン,モーツァルトといった,前の世代の作曲家の作品を踏まえた上で,それにロマンの香りを加えたような作品には感服しました。

前半のプログラムは,ウェーバーの小協奏曲とロッシーニのクラリネットと管弦楽のための序奏、主題と変奏曲の間にヴィトマンさんの自作が挟まれる形でした。

クラリネット奏者としてのヴィトマンさんも大変素晴らしい音楽を聞かせてくれました。2曲とも,OEKメンバーのそれぞれとコンタクトを取りながら演奏しているようで,大変生き生きとした音楽を聞かせてくれました。静かな部分での澄んだ音も素晴らしく,演奏に強く引き込まれました。

今回は,ヴィトマンさんの自作として,「セイレーンの島」と「180ビーツ・パー・ミニット」の2曲が演奏されました。前半に演奏された「セイレーンの島」の方は,大変神秘的でかなり難解な印象もありましたが(私の隣の席の方の反応はそういう感じでした),弦楽器の超高音が空間を飛び交い,重なり合うような不思議な気分があり,ドラマを感じることができました。

もう1曲の「180ビーツ・パー・ミニット」の方は,文字通り1分に180ビートというとで,大変テンポの速い曲でした。弦楽六重奏の編成(といってもヴァイオリン2,ヴィオラ,チェロ3という変わった編成)で指揮者なしで演奏され,リズムに浸るだけで楽しめました。バルトークの弦楽四重奏曲にロックのテイストを加えた雰囲気だな,と思いながら聞いているうちに,「ヘイ!」という掛け声が。1週間前のマイスター定期でのキラールのオラヴァでも,「ヘイ!」を聞いたばかりだったので,これは面白い偶然だな,と思いました。この掛け声の後,さらに音楽は熱を帯びていきました。この曲もまた,OEKのとっておきの1曲にできそうです。

この日の終演後,OEKメンバーが盛大に足踏みをしてヴィトマンさんを称えていたのが印象的でした。近年最大だったかもしれません。是非,3つの顔を持つ,ヴィットマンさんには再登場してもらいたいと思います。

# 本日は,実は楽堂の近くの某所で書いているのでものすごく早いアップロードになってしまいました。

2016/07/18

ルドヴィート・カンタ サロン・コンサート バッハ,スラヴ風の小品,定番曲,日本のメロディ,ピアソラ...味わい深い演奏の数々を楽しんできました

OEKメンバーの中でいちばん活発にソロ活動を行っているのは,首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんでしょう。毎年1回以上はリサイタルや室外楽公演を行っています。

今回は「サロン・コンサート」ということで,石川県立音楽堂交流ホールを使い,カンタさんのこだわりのプログラムからお客さんのリクエストに答えて選んだ定番曲まで,約1時間20分一気に楽しませてくれました。

最初に演奏された,バッハの無伴奏チェロ組曲第6番の中のアルマンドとクーラントは,今回演奏された曲の中でいちばん重い曲でした。最近,ヨーロッパを中心にテロ事件が頻発していることを意識して,「平和への祈り」を込めての演奏でした。特にアルマンドは,とつとつとした語り口で始まった後,思いの深さを感じさせてくれるような演奏でした。

その後,チャイコフスキー,ラフマニノフなどスラヴ系の小品が続きました。どの曲にも,さり気なくロマンの香りと味わいの深さがありました。その中で,チャイコフスキーのカプリッチョ風の小品の後半での,急速なパッセージが印象的でした。キュイのオリエンタルは,タイトルどおりオリエンタルな曲で気に入りました。それにしても,キュイという作曲家は名前だけは,5人組の1人として有名ですが,実際に曲が演奏されるのは,珍しいですね。

後半は,事前に行っていたお客さんからのリクエストを参考にする形で選曲されました。定番の「白鳥」「夢のあとに」は言うまでもなく,その後に演奏された,「荒城の月」「赤とんぼ」「ゆりかごの唄」の3曲の美しさが大変印象的でした。さらっと演奏しているのに,歌詞の内容が伝わってくるような味わい深さを感じました。

久石譲のLa pioggia(雨)は,久石さんがカンタさんのためにアレンジした作品ですが,せつなくなるような美しい曲です。この曲は,チェロの定番曲として残っていくのではないかと思います。

最後はすっかりチェロの定番曲となったピアソラのリベルタンゴとル・グランタンゴが貫禄十分に演奏されました。そして,アンコールで,カンタさんが得意とするモンティのチャールダーシュが演奏され,交流ホール独特のアットホームな雰囲気につつまれて演奏会は終了しました。

この日の公演を聞いて,カンタさんのレパートリーの広さと,次々と新たなレパートリーを増やしていることを実感できました。素晴らしいと思います。特に今回演奏された,「日本のメロディ」路線は,今後期待したいと思います。それと,久石さんのLa pioggiaのCD録音が欲しいですね。期待しています。

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