OEKのCD

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2016年8月21日 - 2016年8月27日

2016/08/23

沼尻竜典指揮OEKによる「英雄」とアダージェット,今川裕代さんのピアノによるシューマンの協奏曲。色々な点で工夫に満ちた北信テレネックス主催の公演を楽しんできました。 #oekjp

夏休みということで,8月はOEKの定期公演は行われませんが,北信テレネックス株式会社 創業50周年記念の演奏会が行われたので聞いてきました。今回の公演は,熊本地震被災地支援のためのチャリティーコンサートも兼ねており,指揮は沼尻竜典さんの,ピアノは今川裕代さんでした。

この公演は,企業主催のコンサートだったのですが,まず,マーラーの交響曲第5番のアダージェットで始まるなど,プログラム面でも演奏面でも大変充実した内容となっていました。

マーラーのアダージェットは,熊本地震被災者の追悼の意味を込めて演奏されたのですが,私の記憶によると,OEKがマーラーの交響曲(今回は一部ですが)を演奏するのは,室内オーケストラ版の「大地の歌」以来のことだと思います。弦五部とハープのみの楽章なので実現したのですが,心地よい浮遊感とやさしさに満ちた素晴らしい演奏でした

その後演奏された,シューマンのピアノ協奏曲とベートーヴェンの「英雄」については,両曲とも,今年定期公演で演奏されたばかりの曲ということで,万全の演奏でした。ちなみにこの選曲ですが,主催者の北信テレネックスの棒田社長が決めたものでした。1997年に福井にハーモニーホールがオープンした時に,ベルナルト・ハイティンク指揮ウィーン・フィルが公演を行ったのですが,その時と同じプログラムにしたとのこととです(ちなみに,この時のピアノは内田光子さんだったそうです)。

シューマンのソリストは,福井出身の今川裕代さんでした。棒田社長は,今川さんと親交があり,そのつながりで今回登場されたようです。すばらしいシューマンだったと思います。全体的に,テンポは遅めで,ちょっと重いかな,という気もしましたが,メランコリックな雰囲気が大変魅力的でした。第3楽章の最後の方では,ピアノが目まぐるしく上下に動く動きが繰り返される部分が大好きです。今川さんの演奏を聞いているうちに,色々な感情が溢れ,次第に幸福感を増していくように感じました。

今回の演奏で,もう一つ特筆すべきは,今川さんの手の動きをビデオカメラで撮影し,ステージ上のスクリーンに大きく投影をしていたことです。オーケストラのコンサートでこういう試みをするのを見るのは初めてでした。相当,照度の明るいプロジェクターがないと実現できない,とのことでしたが,プロのピアニストの超人的な手の動きをしっかりと楽しませてくれました。

後半の「英雄」は,井上道義音楽監督指揮で頻繁に演奏されている曲ですが,今回の沼尻さんの指揮による演奏もまた素晴らしいものでした。何より,沼尻さんのバトン・コントロールがすごいと思いました。この日は,1階席で聞いていたので,特によく分かりました。沼尻さんの指揮の動作には無駄がなく,大変自然で,流れの良い音楽をOEKから引き出していました。「指揮どおり」というのは,当たり前のことではあるのですが,ちょっとした指揮の動作にピタッと反応し,要所要所で「英雄」ならではのパンチの効いた音が飛び出してくる感じが本当に見事でした。

沼尻さんは,8月19日に京都市交響楽団の定期演奏会でショスタコーヴィチの交響曲第4番を指揮していますので(この公演の様子は次のブログのとおりです。 http://www.kyoto-symphony.jp/blog/index.php?itemid=327 聞いてみたかったです),今回の演奏会のためのリハーサルの時間はほとんどなかったと思うのですが,「さすが」という完成度の高さだったと思います。

ちなみにこの日のゲスト・コンサートマスターは,金沢市出身で岩城宏之音楽賞受賞者でもある,吉本奈津子さんでした。吉本さんは,オーストラリアのアデレード交響楽団のコンサートマスターをされているそうですが,こういう形での「里帰り」も,OEKファンとしても嬉しいですね。

北信テレネックスさんには,今後も重要なパトロンとして,OEKを支援していっていただきたいなぁ,(OEK事務局に成り代わって)と思いました。

2016/08/22

セイジ・オザワ松本フェスティバル2016スクリーンコンサート@金沢市文化ホール。小澤征爾指揮のベートーヴェンは巨匠的な重みのある演奏。ルイージ指揮の「典礼風」も感動的

ここ数年,この時期,金沢市でも恒例になっているセイジ・オザワ松本フェスティバルのスクリーンコンサートをを金沢市文化ホールで聞いてきました。「恒例」といっても,名称が変更になった昨年度は行われませんでしたので,2年ぶりということになります。

本日のコンサートの指揮は,前半がファビオ・ルイージさん,後半が小澤征爾さんでした。体力的に小澤さんが1つのコンサートを振り切るのは難しいため,この形を取ったと思うのですが,演奏曲目の方も,小澤さんの体力を気遣って,ブラームスの交響曲第4番からベートーヴェンの交響曲第7番に変更になりました。

やはり,小澤さんは,以前に比べると,かなりやつれて見えました。スクリーンコンサートだと,その辺がはっきり見えてしまい,楽章間ごとにたっぷりと休憩を取り,水分補給をしながらの指揮というのも,痛々しく感じました。ただし,その休憩の動作自体,どこか飄々としてユーモラスな感じさえあり,指揮をする仙人のような境地に入っているように見えました。

というわけで,どうしてもルイージさんの方は前座のようになってしまい,演奏会全体としてみると,小澤さん中心という形になっていました。

その小澤さんの指揮するベートーヴェンですが,まさに巨匠的なベートーヴェンだったと思います。小澤さんについては,ステージに登場するときに,「仲間といっしょに入ってくる」スタイルからして,「巨匠」という呼称は相応しくないと思っているのですが,オーケストラのメンバーが許さないのではないかと思います。

テンポ自体はそれほど遅くはなかったのですが,どの部分をとってもズシリとした質感がありました。第3楽章から第4楽章に掛けては,通常は「舞踏の権化」というニックネームどおり,音が飛び回る感じになるのですが,この日の演奏は,一音一音をしっかりと弾き切るような重みを感じました。その点で,「ベト7」らしくない,気もしましたが,小澤さんを盛り立てようとする,サイトウ・キネン・オーケストラのエネルギーが最大限に引き出された,大シンフォニーになっていました。

編成的には,やはり弦楽器の充実感がすごいと思いました。コンサートマスターは豊嶋泰嗣さんでしたが,その他にも東京のオーケストラのコンサートマスターが勢揃いしている感じでした。特に第1楽章のコーダでの,低弦の動きなど,映像で見ても迫力十分だったので,実演だとものすごい迫力だったのではないかと思います。日頃は聞こえないような,音の刻みがくっきり聞こえくる部分があったのも面白いと思いました。

管楽器の方は,外国人のメンバーが主体でした。この曲の場合,まず第1楽章のフルートに注目なのですが,この日は,おなじみのジャック・ズーンさんが首席奏者でした。見た感じ,もう少し跳ね回りたそうな感じがありました。それがまた,良いアクセントになっていました。

というわけで,演奏後は,いわゆる「一般参賀」のような状態になっていたのですが,朝比奈さんの時と違うのは,オーケストラのメンバー全員(+ファビオ・ルイージさんも)で「出たり,入ったり」していたことです。この辺が小澤さんらしいところだと思います。

前半のルイージさんが指揮した曲は,オネゲルの交響曲第3番「典礼風」でした。ベートーヴェンよりは大編成の曲でしたが,かなり渋い曲だったこともあり,スピーカーを通しての音量はベートーヴェンの方があったように感じました。ルイージさんの指揮ぶりには,誠実さがあり,音楽も知的に引き締まっている感じでした。

その中でいちばん印象に残ったのは,第3楽章の最後の部分です。3つの楽章を通じて,戦争の愚かさへの反発と平和への祈りが感じられる作品ですが,第3楽章では,行進曲風の部分に続いて,最後の最後に「平和」な気分になります。チェロの木越洋さん,フルートのズーンさん,ヴァイオリンの小森谷巧さん...と平和を象徴するような静かな感動を秘めた室内楽的な気分で終わったのが素晴らしいと思いました。ダイナミックな音響は,スクリーンコンサートで味わうことは特に難しいので,この曲については,是非,実演で聞いてみたいと思いました。

毎回,スクリーンコンサートに参加するたびに,拍手しても届かないもどかしさを感じるのですが,終演後は金沢でも大きな拍手が起こっていました。小澤さんの渾身の指揮ぶりは,オーケストラのメンバーを含め,多くの人に大きなエネルギーを与えてくれたのではないかと思います。

2016/08/21

IMA講師とOEKメンバーによる室内楽コンサート。今年はチェコ特集。ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタ,ドヴォルザークのピアノ五重奏など迫力十分の演奏

毎年8月下旬に行われている,いしかわミュージック・アカデミーの講師たちと,OEKメンバーによる室内楽コンサートが行われたので聞いてきました。今年はドヴォルザークとヤナーチェクの室内楽ということで,チェコの音楽特集ということになります。数年前までは,特にテーマを決めていませんでしたが,こういう形で統一テーマがある方が演奏会全体としての充実感は増す気がします。

前半は小編成の曲,後半は大編成の曲というのは,例年通りの構成でした。最初にホァン・モンラさんと,OEKの若松みなみさん,ヴィオラの石黒泰典さんで,ドヴォルザークの三重奏曲が演奏されました。初めて聞く曲でしたが,弦楽四重奏からチェロを引いた編成ということで,同一系統の楽器3台による陶酔的な響きを楽しむことができました。特にホァン・モンラさんの滴るような音が印象的でした。

2曲目のヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタは,ロラン・ドガレイユさんのヴァイオリンと鈴木慎崇さんのピアノで演奏されました。この曲は,以前から,ちょっと東洋風の独特の怪しい雰囲気が好きだったのですが,この日の演奏を聞いてさらに好きになりました。野性味と鬼気迫るような表情を持ったヴァイオリンとクールなピアノの響きとが絶妙のバランスで,全く別の世界に誘ってくれました。

後半のドヴォルザークのピアノ五重奏曲は,特に聞きごたえがありました。ピアノ五重奏曲には名作が多いのですが,この曲は親しみやすいメロディがいかにもドヴォルザークらしく,特に好きな作品です。

冒頭から,ハエスン・パイクさんのピアノ冴えた音と毛利伯郎さんの抑制の効いた清潔感のある音が印象的でした。その後,レジス・パスキエさんのヴァイオリンなどの楽器が加わって,ダイナミックに盛り上げっていくのが,ソリスト集団らしいと思いました。

じっく~と聞かせるドゥムカ風の第2楽章,予想外(?)の若々しさに溢れた第3楽章,楽し気に大らかに合わせた第4楽章とどの楽章も音楽する喜びにあふれていました。

前日に聞いた,受講生によるライジングスターコンサートも聞きごたえ十分でしたが,講師陣による,迫力十分の味わいに溢れた演奏もまた,聞きごたえがあります。受講生も大勢聞きに来ていましたが,色々な点で勉強になったのではないかと思います。

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