OEKのCD

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2016年1月24日 - 2016年1月30日

2016/01/30

ラ・フォル・ジュルネ金沢2016「ナチュール」 主要公演が決まりました。中嶋彰子,ラデク・バボラークなど金沢独自企画も強力です #lfjk

今年もラ・フォル・ジュルネ金沢のチケット発売のシーズンになってきました。これまでは,作曲者を中心としたテーマだったのですが,今年からは,作曲者や時代にこだわらないテーマになりました。2016は「ナチュール:自然と音楽」というテーマの下,多彩な音楽が演奏されます。

本日のOEK定期公演で「2月版」のパンフレットが配布されたのですが,「自然」というかなり緩いテーマですので,ありとあらゆる曲が含まれているようです。例えば,アンヌ・ケフェレックさんの独奏で演奏されるモーツァルトのピアノ協奏曲第21番...どこが自然?といったところがありますが,この際,あまり深く気にしない方が良いかもしれません。

今年は,以下のとおり公式Webサイトのデザインが早目に完成しているようです。その中から個人的に楽しみなポイントを紹介しましょう。
http://lfjk.jp/index.html

●4月29日 オープニングコンサート
井上道義指揮OEK+ジヨン・イム(ヴァイオリン),森川元気(バス・トロンボーン),中嶋彰子(ソプラノ),直野資(バリトン)。OEKの編成を拡大し,「ローマの松」の抜粋が演奏されるようです。

●5月3日
石川県中学校選抜吹奏楽団・・・これまで高校吹奏楽部が本公演に登場したことはありましたが,中学校選抜は初めてですね。

LFJKの常連,アンヌ・ケフェレックとカンマー・アカデミー・ポツダムによるモーツァルトのピアノ協奏曲第21番。以前,ケフェレックさんは27番の素晴らしい演奏を聞かせてくれました。21番はケフェレックさんの雰囲気にぴったりだと思います。

「プロヴァンスの海と陸」つながりでヴェルディ「椿姫」の抜粋が演奏されます。佐藤正浩指揮OEK。これも新しい試みですね。

ベルリン・フィルの第1ヴァイオリン奏者の町田琴和さんの独奏+OEKで,ヴィヴァルディの四季が演奏されます。

ホルンの名手,ラデク・バボラークが登場。これは「びっくりぽん」です。LFJKについては,昨年のヴェンツェル・フックスさんをはじめ,ベルリン・フィルとのつながりがあるようですね。

●5月4日
井上道義指揮京都大学交響楽団でドヴォルザークの交響曲第8番。

OEKの編成を大きくして(フェスティバル・オーケストラという名前になるようです),ストラヴィンスキー「火の鳥」とチャイコフスキー「白鳥の湖」組曲

ヨンミン・パク指揮プチョン・フィルでマーラーの交響曲第1番「巨人」。花の章付きというのがナチュールなところですね。

菊池洋子さんのピアノ独奏+OEKでグリーグのピアノ協奏曲。これは北欧の自然が目に浮かぶような曲ですね。

児玉麻里+児玉桃+OEKメンバーでサン=サーンス「動物の謝肉祭」。

数年前のLFJKにも登場したことのある,ピアニストのルイス・フェルナンド・ペレスが登場。このピアニストは聞き逃せませんね。

恒例の能舞との共演。今年は「月に憑かれたピエロ」抜粋など歌モノが中心。しかも歌手が中嶋彰子さん。

ハイドンの弦楽四重奏のタイトルは結構ナチュールです。「ひばり」「日の出」「鳥」がアルデオ弦楽四重奏団によって演奏されます。

北國新聞赤羽ホール公演が,5月4日にも行われます。これは初めての試みです。栗コーダーカルテットは,名前がナチュールですが,楽しい演奏を聞かせてくれそうです。

●5月5日
新日本フィルによるホルスト「惑星」。この曲が金沢で演奏されるのは...2001年の音楽堂開館の時以来ですね。

井上道義指揮新日本フィルによるグローフェ「グランドキャニオン」。これはテーマどおりの選曲ですね。武満徹「グリーン」との組み合わせというのが,井上さんらしいですね。グランド,グリーン,グローフェ...と韻を踏んでの選曲?

井上道義指揮OEKによるベートーヴェン「田園」。お馴染みの曲ですが欠かせませんね。

アブデル・ラーマン・エル=バシャの演奏でベートーヴェンのピアノ・ソナタ「田園」と「テンペスト」。これも聞き逃せません。続いて,OEKメンバーとの共演でシューベルトの「ます」

福間洸太朗さんのピアノで,自然関係の小曲各種。

2015のLFJKで素晴らしい演奏を聞かせてくれたオリヴィエ・シャルリエさん。今年はトリオ・オウオンのメンバーとして,ピアノ三重奏曲を色々取り上げます。

小山実稚恵さんの独奏でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。大トリの演奏ですね。

●その他
4月28日ガラコンサート@北國新聞赤羽ホール

5月1日 街なか公演@北國新聞赤羽ホール
中嶋彰子さんほかで千住明「滝の白糸」ハイライト 千住明さんが解説してくれるようです。

金沢の自然を音楽にしたら!?4人の人気作曲家が競演 池辺晋一郎,青島広志,千住明に加え...あの新垣隆さんも登場。

5月1日にもラデク・バボラークさんの公演がありますが,今回はたっぷり金沢に滞在してくれるようですね。

ちなみにパンフレットの表紙に使われているイルジー・ヴォトルバさんイラストですが...鼓門の奥にJR金沢駅ではなく,夕日(朝日?)があるという中々大胆なデザインです。

その他の無料公演などは,これから続々発表されてくることでしょう。

マティアス・バーメルト指揮OEK定期。ベテランらしい見事な音楽の運びで渋いプログラムを楽しませてくれました。アレクサンダー・クリュッヒェルさんの知的センス溢れる美しい演奏も見事 #oekjp

2016年になって2回目のOEK定期公演は,OEK初登場となるマティアス・バーメルトさん指揮,アレクサンダー・クリッヒェルさんのピアノによるマイスター・シリーズでした。今シーズンのマイスターシリーズには,「ショパンと友人たち」というテーマがあり,毎回ショパンのピアノ協奏曲的作品が取り上げられています。今回は協奏曲ではなく,実演で聞く機会の少ない,「お手をどうぞ」の主題による変奏曲と演奏会用ロンド「クラコヴィアク」」が演奏されました。

メインに演奏されたのは,メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」ということで,渋い感じのプログラムの印象だったのですが,どの曲も本当に素晴らしい内容でした。

まず,アレクサンダー・クリッヒェルさんの演奏したショパンの2曲ですが,何よりも音が素晴らしくクリアで明晰で,塵一つ落ちていないような透明度の高い演奏を聞かせてくれました。ショパンらしく,細かい音符がキラキラと続くのですが,それが明晰であると同時に安定しており,技巧的な華やかさだけが浮き上がる感じでないのが見事でした。

演奏された2曲は,似たタイプの曲でしたが,特に「お手をどうぞ」の主題による変奏曲の方が変化に富んだ音楽で楽しめました。この曲を聞いたシューマンが「諸君!脱帽しなさい,天才だ」と絶賛したとプログラムの解説に書いてありましたが,この言葉をそのままクリュッヒェルさんに贈りたいと思います。クラコヴィアクの方は,ピアノ協奏曲第1番の第3楽章の別バージョンといった感じの軽快な気分が印象的な曲でした。

アンコールで,自作のララバイという曲が演奏されました。ちょっと坂本龍一などの映画音楽を思わせるようなメロディアスな曲でしたが,俗っぽくなることがなく,クリュッヒェルさんの美意識のようなものが詰まっているように思えました。

クリュッヒェルさんは,プロフィールを読む限りではコンクール歴はなく,数学者としての一面も持つということで,かなり異色のピアニストなのですが,その健康的な音楽と知的なセンスの溢れる音楽を聞いて,才能が溢れていると感じました。

バーメルトさんの指揮で,まず,ブリテンのシンプル・シンフォニー,最後にメンデルスゾーンの宗教改革が演奏されました,どちらもさすがベテラン指揮者という演奏でした。大げさな演奏ではないのですが,音楽の運びが巧く,どちらの曲も,室内オーケストラらしく軽妙に聞かせる部分と,大きく盛り上げるクライマックスとがしっかりと描き分けられていました。

特に「宗教改革」は,ずしりとした聞きごたえの残る,素晴らしい演奏でした。第1楽章と第4楽章にコラールが出てくるのですが(第1楽章の方はワーグナーの「パルシファル」にも出てくるものですね),その効果が素晴らしいと思いました。弦楽器の清澄さ,トロンボーンやテューバを含む神を称えるような落ち着きのある明るさ,ティンパニの力強さ...地に足を付けながら,天を称えるという感じでした。

第2楽章の軽妙さもとても良いアクセントになっていました。第3楽章の静かで悲しい表情から第4楽章へと移行する辺りでは,岡本さんのフルートのソロをきっかけにどんどん光が差してくるように高揚していくのが感動的でした。そして,コーダの部分では,ブルックナーの交響曲を思わせるようなオルガンを思わせる響きを聞かせてくれました。ティンパニの音がオルガンのペダルのようで,力強い響きの後,それがスッと消えるように終わるのが宗教的だなぁと感じました。

アンコールでは,大変軽妙かつ味わい深いモーツァルトの小品が演奏されました。もしかしたらバーメルトさんの得意の曲かもしれません。演奏会全体の雰囲気にもぴったりでした。

というわけで,一見地味なプログラムをしっかりと楽しませてくれる,OEKらしさを堪能させてくれた公演でした。

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