OEKのCD

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2016年2月28日 - 2016年3月5日

2016/03/03

急遽思い立って,西田幾多郎記念哲学館で行われた,OEKの大澤さんを中心とした弦楽四重奏によるシューベルトとベートーヴェンの晩年の大曲2曲を鑑賞。聞きごたえ十分でした #oekjp

本日は,たまたま某所で見かけたポスターに反応して,西田幾多郎記念哲学館で行われた,チェロの大澤さんを中心としたOEKメンバーによる弦楽四重奏の演奏会を聞いてきました。プログラムが非常に素晴らしいもので,ベートーヴェンとシューベルトの後期の弦楽四重奏曲の大曲2曲を組み合わせたものでした。

演奏されたのは,前半がベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番,後半がシューベルトの弦楽四重奏曲第15番でした。特にシューベルトの方は,大澤さんが,「37年間ずっと演奏したかった曲」とのことです。両方とも大変歯ごたえのある曲でしたが,やはり,このシューベルトの方が特に素晴らしい演奏だったと思います。

大澤さんのトークによると,この公演のために9カ月準備をしたとのことです。西田記念館のホールは響きがデッドで,残響がほとんどないのですが,その分,演奏全体がキリっと締まった感じに聞こえました。両曲ともサラサラと流れすぎることなく,両作曲家の最晩年の作品に相応しい,「意味深さ」をじっくりと感じさせてくれました。

シューベルトの方は,第1楽章から「晩年のシューベルト」らしく,この世のものではない世界に片足を踏み込んでいる雰囲気がありました。短いモチーフを何回も繰り返し,積み重ね,大交響曲のようになってくるような雰囲気があり,聞きごたえ十分でした。個人的に,この曲を実演で一度聞きたいと思っていたのですが(実演で聞くのは今回が初めてでした),やはり素晴らしい作品だと再認識しました。

前半,後半とも40分ぐらいかかる曲というのは,室内楽の演奏会としては異例でしたが,「是非この曲を演奏したかったという」気持ちがしっかりと伝わってくる見事な演奏だったと思います。大澤さんを中心としたOEKメンバーはこのホールの常連で,毎年,クリスマス頃に演奏会を行っているとのことです。是非また,今回のような歯ごたえのある弦楽四重奏曲に挑んで欲しいと思います。

2016/03/01

ドリーム・チームによる美しい舞台のオペラ「夕鶴」金沢公演。佐藤しのぶさんの華やかな雰囲気にもぴったり。しっかり浸らせてくれた素晴らしい舞台でした #oekjp

3月になったとはいえ,昨日積もった雪が残る中,團伊玖磨作曲の名作オペラ「夕鶴」を金沢歌劇座で観てきました。このオペラについては,「つるの恩返し」を題材としているだけあって,着物を着た人が方言で歌う,「泥臭いオペラ」という先入観があったのですが,今回の市川右近演出,佐藤しのぶのつう,現田茂夫指揮OEKによる公演を観て,そのイメージが一新されました。

最初から最後まで,具体的な民家や風景が出てくるような大道具はなく,場面ごとに照明を切り替えることで,イメージが鮮やかに切り変わっていました。その分,ステージがすっきりと大きく広がり,さらに回り舞台を使うことで,滑らかな動きが生まれていました。

特に照明の効果が素晴らしく,前半,つうや与ひょうが歌う場面では,背景全体が星空に包まれ,まさに「スペース・オペラ」といったスケール感たっぷりのロマンティックなムードに包まれました。佐藤しのぶさんの歌を聞くのは,久しぶりだったのですが,「ドレスを着たつう」は,まさにプリマドンナという感じのオーラを振りまいていました。声の方はちょっとヴィブラートが大きいかなと感じたのですが,常にドラマを秘めた歌は,聞きごたえ十分でした。

音楽全体のスケール感も素晴らしく,前半の途中からは,つうと与ひょうが出ずっぱりで,2人の心情の綾が切々と歌われました。背景が抽象的なので,音楽と歌詞(字幕も付いていましたが,しっかりと聞こえました)の世界にしっかりとはまることができました。本当に2人の場面が長く,聞きごたえがあったので,ちょっとワーグナーのオペラを思わせるムードがあったのでは,と思ったりました。佐藤さんの歌や立ち姿全体から出てくるスケール感ともぴったりでした。

後半では,例の「見るなのタブー」を破ることになるのですが,この機織りの場の音楽も効果的でした。ハープの鮮やかな音とパーカッションが組み合わさり,わくわくさせるようなファンタジーの世界を作っていました。

オペラの最初と最後では,おなじみOEKエンジェルコーラスのメンバーも登場しました。エンジェルコーラスは,過去何回かオペラに出演していますが,今回がいちばん出番が多く,重要な役割を演じていたと思います。

最初の場では,つうと与ひょうが平和に暮らしていた時の象徴として,エンジェルコーラスの歌う,わらべ歌が素朴に響いていました。逆に,最後の場面で,おなじ曲が歌われることにより,つうの不在感が際立っていました。そこに,与ひょう役の倉石真さんの「つぅ~,つぅ~」という痛切な(ゴロ合わせみたいですが)声が重なり,何ともいえぬ哀感が出ていました。

しかし,最後,「鶴が飛んでいく」という歌詞が出てきて,音楽が少し明るくなると,別れの場面だけれども,何か希望が出て来たような気分になりました。この複雑な情感は,言葉では表現できず,音楽でないと表現できないものだった気がします。

ドラマ全体としては,「大人の世界=お金への欲」と「子供+つうの世界=美しいものが最高」のすれ違いを,「子供+つう」の側から描いていたと思うのですが,そうは言われても,今の世の中,お金なしでは生きてはいけないのも事実です。このオペラを観るのにもお金を払っているのですが,この作品を観ている間だけは,現実を忘れさせてくれる。そういう作品だったのかもしれません。

それにしても,今回のステージの視覚的な美しさは素晴らしかったと思います。プロジェクションマッピングを観るように,色彩が自在に変わったり,ホリゾントの部分に子どもたちの影が切り絵のように映ったり,どこをとっても「絵になる」舞台でした。チラシには,「美術:千住 博,照明:成瀬一裕,衣装:森 英恵=ドリームチーム」と書かれていましたが,確かにそのとおりだと思いました。

というようなわけで,大変完成度の高い上演だったと思います。機会があれば,是非もう一度見てみたいものです。

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