エンリコ・オノフリ指揮OEK ニューイヤーコンサート。祝祭的な気分に溢れたヴィヴァルディ,ヘンデル,モーツアルト。そして森麻季さんの幸福感たっぷりの声。余は満足じゃという公演でした #oekjp
OEKの2017年のOEKの定期公演は,エンリコ・オノフリさんの指揮による,ヴィヴァルディ,ヘンデル,モーツァルトの作品によるニューイヤーコンサートで始まりました。オノフリさんの選曲は,「祝祭」を意識したもので,どの曲にも健康的な華やかさがありました。
この日のOEKの演奏は,古楽奏法を意識したもので,弦楽器の音色を中心に透明感と軽やかさがあったのですが,オノフリさんの解釈はイマジネーションに溢れ,どの曲もニュアンスの豊かさを感じました。
最初のヴィヴァルディの曲の精緻さも素晴らしかったのですが,前半最後に演奏された,ヘンデルの「王宮の花火の音楽」の見事なまでの祝祭的な気分には,「さすが!余は満足じゃ」と英国王になったような気分で特に楽しむことができました。
この曲の序曲の冒頭,打楽器のロールが入る時と入らない時があるのですが,本日の演奏は,バロック・ティンパニによる,ほとんどカデンツァのような感じの華やかなロールが入っており,一気に気分が盛り上がりました。その後,トランペットが大活躍します。本日は,エキストラに元NHK交響楽団の関山さんが加わっており,これまたキラキラとした祝祭的な音を楽しませてくれました。王宮の花火の音楽の全曲を実演で聞くのは,今回が初めてだったのですが,どの部分にも,喜びに満ちた音楽を楽しませようというエネルギーが感じられ,大満足の演奏でした。
後半は,ソプラノの森麻季さんをソリストに招いて,モーツァルトのモテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」が演奏されました。森さんは,前半のヘンデルの曲でも軽やかさと暖かみのある歌を聞かせてくれましたが(この曲はオノフリさんとの二重協奏曲のようでした),後半のモーツァルトでは,この名曲をさらにじっくりと聞かせてくれました。コロラトゥーラの技巧も楽しみな曲ですが,とてもじっくりと歌っていたせいか,技巧を技巧と感じさせないような説得力があり,愛情と幸福感に溢れた音楽を聞かせてくれました。
演奏会の最後は,OEKの十八番であるモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」が演奏されました。古楽奏法による演奏を実演で聞くのは...多分初めてだと思います。この曲でもまた,オノフリさんのイマジネーションの豊かさとそれにぴったりと反応したOEKの素晴らしさを感じることができました。全体にテンポを遅めで,オノフリさんならではの,フレーズの歌わせ方,強弱の付け方,間の取り方があったのですが,それらがすべて,音楽の生命力を高めているようで,聞いていて充実感を感じました。
井上道義さん指揮による,音楽が流麗に流れるような演奏も大好きなのですが,同じオーケストラから全く別の表現を聞かせてくれました。個人的には,お馴染みの曲について,いろいろな表現を楽しむことが,クラシック音楽のいちばんの楽しみだと思っています。実演ならではの,熱さも加わり,オノフリ+OEKらしさをしっかり印象付ける「ハフナー」を楽しむことができました。
そして...ニューイヤーコンサート恒例のOEKどら焼きのプレゼントもありました。この公演は,全国数か所で行われますが,お近くの方は是非お出かけください。
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