OEKのCD

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ

« 何といってもジャケットが凄い,井上道義指揮「ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂」にしっかりとサインをいただいてきました。 | トップページ | 鶴見彩ピアノリサイタル。20年に渡る活動の総決算になるような,曲の良さが率直に伝わる,聞きごたえのある演奏の連続でした »

2017/03/14

新鮮さ溢れる服部百音のヴァイオリンと反田恭平のピアノ+垣内悠希指揮OEK。さらに声明・雅楽・舞楽・バレエ・石井眞木。時空を超えた公演でした。 #oekjp

2人の新進アーティストによる,ベートーヴェンの協奏曲的作品と,雅楽や声明を取り入れた石井眞木の作品とを組み合わせた「悠久からの伝統と革新」と題した演奏会が石川県立音楽堂で行われたので聞いてきました。

時代と空間を越えて,新しい音楽を創造していこうという意図は,特に前半で演奏された石井眞木の聲明交響Ⅱに表れていました。この曲は,10年前に井上道義さんがOEKの音楽監督に就任した際の記念公演で演奏された曲です。声明と雅楽とオーケストラが組み合わさった音楽に,舞楽とバレエをさらに組み合わせた作品で,確かに聞いた記憶はあったのですが,前回はバレエは入っていなかったと思います。調べてみると10年前は,「OEKバージョン」というやや簡略化された形で演奏されていたようです。

今回,バレエ(「瀕死の白鳥」)が加わった版ということで,何とも不思議な世界が広がっていました。声明も雅楽も石井眞木の音楽も,通常聞きなれているクラシック音楽とは次元の違う音楽ばかりです。滑らかに気持ち良く音楽が流れていくというよりは,いくつかの音響が非連続的に切り替わるような雰囲気がありました。途中,バレエと舞楽の2人のダンサーが,サン=サーンスの「白鳥」と雅楽と現代音楽の上で踊るシーンを見て,「シュールレアリズムの絵を見るようだな」と感じました。明るい舞台だけれども,幻想的といった独特のムードを持った作品だったと思います。

後半は「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」のテーマに合わせるような形でベートーヴェンの協奏曲的作品が2曲演奏されました。

まず,若手ヴァイオリニスト,服部百音さんが登場しました。垣内悠希指揮OEKが共演したのは,ロマンス ヘ長調でした。この曲はとても良い曲なのですが,定期演奏会などではなかなか取り上げられない作品ですね。久しぶりにこの美しい作品を聞いて,懐かしくせつなくなるような気分になりました。

服部さんの演奏は,しっかりと情感がコントロールされた楚々としたムードの演奏で,この曲の雰囲気にぴったりでした。きめ細かいヴィブラートが美しく,すっと耳に入ってきました。服部さんの名前のローマ字表記には,Mon é とアクサンテギュが付いていました。確かにフランス音楽などに合いそうな,品の良いさらりとした味があると思いました。是非,次回はフランスの作品などを聞いてみたいものです。

最後に演奏されたのは,今話題のピアニスト,反田恭平さんとOEKの共演による「皇帝」でした。反田さんは,昨年,TBSの「情熱大陸」に登場して以来,その個性的な生き方に注目をしていたのですが,その期待通りのスリリングな演奏を聞かせてくれました。スター性も十分で,今後独自の地位を築いていくピアニストになるのではないか,と思いました。

第1楽章冒頭のカデンツァから,クリアな音で,余裕たっぷりに聞かせてくれました。重苦しい感じはなく,瑞々しい感性と華やかさを感じました。その一方,曲のどの部分をとっても,「何か表現してやろう」という企みが潜んでいるようで,聞いていて全く退屈しませんでした。音量を急激に小さくしたり,妙にしっとりと沈み込んだり,キラキラするような硬質な高音を聞かせたり,かなり個性的な演奏だったと思うのですが,全体を通してみると,まったく嫌味なところはありませんでした。反田さんの強い表現意欲が,演奏全体に満ちており,「若さは素晴らしいな」と感じました。

大変じっくりと演奏された第2楽章には,硬質な美しさと耽美的な美しさが共存していました。対照的に第3楽章には躍動感ががあり,次から次へと,色々な表現が湧いて出てくるようでした。速いパッセージでの鮮やかな技巧も見事でした。垣内さん指揮OEKによる,これもまた気持ちの良い清々しさのある演奏と一体となって,若いアーティストならではの「皇帝」を楽しませてくれました。

反田さんは,OEKの次のシーズンの定期公演では,井上道義さんとプーランクのピアノ協奏曲を共演するようです。井上さんとの組み合わせだと一体どういうことになるのか,大変楽しみです。

終演後,お2人によるサイン会も行われました。プログラムの表紙にお2人並んでサインをいただいたのですが,これは将来貴重なサインになるかもしれませんね。

« 何といってもジャケットが凄い,井上道義指揮「ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂」にしっかりとサインをいただいてきました。 | トップページ | 鶴見彩ピアノリサイタル。20年に渡る活動の総決算になるような,曲の良さが率直に伝わる,聞きごたえのある演奏の連続でした »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/152606/65015766

この記事へのトラックバック一覧です: 新鮮さ溢れる服部百音のヴァイオリンと反田恭平のピアノ+垣内悠希指揮OEK。さらに声明・雅楽・舞楽・バレエ・石井眞木。時空を超えた公演でした。 #oekjp:

« 何といってもジャケットが凄い,井上道義指揮「ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂」にしっかりとサインをいただいてきました。 | トップページ | 鶴見彩ピアノリサイタル。20年に渡る活動の総決算になるような,曲の良さが率直に伝わる,聞きごたえのある演奏の連続でした »

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック