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2017/11/03

待望の #アマデウスLIVE 日本初公演を石川県立音楽堂で堪能。映画版以上に堪能できます。OEKと合唱団の皆さん,そして指揮者の #辻博之 にブラーヴォ! #oekjp

本日は海外で人気を集めている #アマデウスLIVE の日本初公演が行われたので,午後からたっぷり3時間,石川県立音楽堂でどっぷりと堪能してきました。この企画は,1984年に作られた,モーツァルトの生涯を,当時のライバル作曲家だったサリエリの視点から,ドラマティックに描いた名作映画「アマデウス」の音楽部分を生で演奏してしまう,というすごい企画です。


サウンドトラックのうち,一人の歌手が歌っているパートやチェンバロなどを独奏している部分などをのぞき,オーケストラと合唱が関わっているような部分は,全部,OEKと特別編成の合唱団が吹き替えてしまうといった趣向です。

すでに完成されている映像に後から音を入れるということで,一体どうなるのだろう,と思ったのですが...驚くほど違和感を感じませんでした。これは私の座席が,いわゆる「スターライト席」(3階のバルコニー席)だったことにもよるのかもしれませんが,大変良いバランスでした。そのため,うっかり(?)映画のストーリーにのめり込んで,生演奏だということを忘れてしまいそうな部分もありました。

私にとっての唯一の問題点は,やはりバルコニー席だった点で,約3時間斜めになって「台形補正」しながらスクリーンを観るというのは,少々辛いところがありました。ちなみに,映画の中で,サリエリがオペラを観る時はいつもバルコニーだったので,良く言えば「サリエリ気分」を味わったとも言えます。

まずはこの職人芸的なアフレコをした辻博之さん指揮OEKと特別編成合唱団に大きな拍手を送りたいと思います。恐らく,映像にぴったり合わせることが主眼になるので,「手かせ,足かせ」が掛けられたような状態だったのかもしれませんが,その制限を逆手に取ったようなビシッと締まった響きを聞かせてくれました。

特に合唱団(東京芸術大学声楽家卒業生ということで,当然といえば当然ですが)のビシッとした力感のある精度の高い響きは後半のレクイエムの雰囲気にぴったりでした。

やはり生演奏ということで(マイクが沢山並んでいたので,多少増幅していたのかもしれませんが...詳細は分かりません),場面によっては,台詞が埋もれてしまう部分もありましたが,もともと「日本語吹き替え字幕」がついているので,その点では問題はありませんでした。

それにしても,この映画はよくできた作品だと再認識できました。もともとのピーター・シェーファーの戯曲が面白いのだと思いますが,モーツァルトの天才性を言葉だけで語るのではなく,実際の音楽が次々と証明していくような作りになっているのが,音楽映画ならではです。例えば,次のようなエピソードです。
  • アイネ・クライネ・ナハトムジークのメロディを口ずさんで...その曲なら知っています!...だけどサリエリの曲ではない
  • グランパルティータの緩徐楽章の楽譜をたまたま見てしまい...凄さを実感。ただし,凄さが分かるのは自分だけ!
  • サリエリが一生懸命作った行進曲を,モーツァルトは一瞬で記憶し,即興で再現し,さらに変奏。もっとインスピレーションにあふれた曲に修正
  • 奥さんのコンスタンツェがアマデウスのオリジナル楽譜を束ねたポートフォリオを持参して,サリエリのところに売り込みに...オリジナルなのに書き直しがない!完成度の高さ!・・・
こういうエピソードがジャブのように前半続き,物語に弾みがつく一方,サリエリの凡庸さが対比され,天才性をいちばん理解できる耳を持っていることの悲劇が蓄積されて行きます。
ただし,これはストーリーをドラマティックにするためのフィクションであり,サリエリの作品にも良い作品はあったと思います。 例えば,映画の途中,サリエリのオペラを上演し,皇帝から褒められるシーンがありましたが,実際,とても聞き映えする良い曲だと思いました。

「後宮からの誘拐」「フィガロの結婚」などのオペラのエピソードが続いた後,前半の最後で父レオポルドの死亡。これが後半のドラマの伏線となります。そして,そのレオポルドとの格闘を描いたような「ドン・ジョヴァンニ」で前半は閉められました。

ここで20分の休憩が入りました。

この映画については,過去,2回映画館で鑑賞し,衛星放送で録画したものを数回見ていますが,以上のとおり,本当にエピソードの積み重ねが見事だと思います。そして,それぞれのエピソードにぴったりの音楽が使われていることに感嘆します。

音楽的には,上記の「グランパルティータ」の部分と「オリジナル楽譜のポートフォリオ」の音楽の部分が大好きなのですが,今回の生演奏版を聞いて,さらに臨場感たっぷりにアマデウスの天才性を実感できました。OEKの木管楽器の皆さんの神妙さと精緻さと精彩のある演奏あってのシーンだったと思います。

特にポートフォリオの部分は,いわゆる「ザッピング」のような感じで,短い単位で音楽が切り替わるので,実演で対応するのは至難の技だと思います。オリジナル・サウンドトラックと区別が付かない精度の高さで,今回の奏者たちの職人芸に感激しました。

それ以外にも,ピアノ協奏曲22番の第3楽章が,フッと出てくる部分での透明な明るさも以前から気に入っています。モーツァルトがウィーンの街中で「ピアノ弾き振り」をする場です。軽快なロンド主題が終わり,優しい主題に切り替わった後,モーツアルトの指が一瞬アップになるのですが,この「手の感じ」が何故か好きなのです(非常にマニアックなことを書いてしまいましたが...)。

映画の後半は,最後の1時間です。父と同じ仮装マスクをかぶった謎の人物(実はサリエリ)からレクイエムの作曲を依頼され,最終的に死に至ります。このレクイエムの作曲シーンについては,誰もが引き込まれる名シーンの連続ですね。各パートごとに譜面を記載していくシーンということで,モーツアルトの作曲のプロセスにお客さんの方も参加しているような感じになります。サリエリ自身も芸術家魂に火が付いた感じで引き込まれていくのですが,お客さんも引き込まれていき,「すごい」ということになります。この引き込まれ具合が,映画で観る時以上だったと思います。誰もがレクイエムを全部聞きたくなると思います。
映画で作曲過程がクローズアップされていた「呪われた者」の性急な音楽が,そのまま,「愛想を尽かして温泉地に静養に出かけていた妻コンスタンツェの胸騒ぎの音楽」にもなっていることにも感嘆します。

このレクイエムの作曲に先立ち,狂気じみてくるモーツァルトの様子が描かれますが,こちらの方は「魔笛」の序曲の主部に出てくる,印象的な細かい音の連続で表現されています。これもまたぴったりです。

最後は,レクイエムの作曲途中で,力尽きてしまいモーツァルトが亡くなります。サリエリが
殺したと明確に言えるのかどうか分かない状況だったと思います。サリエリとしては,最後の作品の作曲に立ち会い,生で「神に愛された天才」に触れられたことの喜びと,その天才が永遠に消えてしまった悲しみに呆然としているという状況だったと思います。

それにしても,この映画でずっと積み重ねられてきた「天才性」の華やかさと最後の埋葬シーンでの寂しさを対比すると悲しくなりますね。レクイエムの中のラクリモーサが背後に流れているのですが,その気分にぴったりの音楽です。

しかし,その後,「モーツァルトの音楽はずっと生きている...」という感じでピアノ協奏曲第20番の第2楽章がさりげなく開始します。このシンプルな美しさを聞いて,クールダウンしながら,モーツァルトの素晴らしさを反芻して映画全編が終了します。

映画でモーツアルトとサリエリの人生を堪能した感じです。そして,今回のLIVEでは,映画で観たとき以上に深く堪能できたと思いました。

繰り返しになりますが,OEKと合唱団の皆さん,そして指揮者の #辻博之 にブラーヴォです。来年春の音楽祭のテーマは「モーツァルト」とのことですが,是非,この「アマデウスLIVE」メンバーによるアンコール公演などを期待したいと思います。

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