OEKのCD

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2017年12月

2017/12/31

今年もOEKを中心に沢山の音楽を #石川県立音楽堂 などで楽しむことができたことに感謝。来年は平成30年,OEKも30年&新音楽監督に。楽都音楽祭は2年目。新しい扉が開かれることを楽しみにしたと思います。#oekjp

2017年も大晦日となりましたので,今年1年の金沢周辺で行われたコンサートをふり返っていたいと思います。私の方は,今年も石川県立音楽堂でのOEKの公演を中心に,色々な演奏会に行くことができました。定期公演PHとMも全部聞くことができました。まずは,ライブでの音楽鑑賞を生活の中に置いた生活を続けることができたことに感謝したいと思います。

1月
  • エンリコ・オノフリ指揮 PH定期 王宮の花火の音楽やモーツァルトの「ハフナー」交響曲を中心とした,古楽奏法によるニューイヤーコンサートはとても祝祭的でした。
  • 笈田ヨシ演出,中嶋彰子ソプラノによる新演出の「蝶々夫人」。ベテラン演出家ならではの,リアルに日本的で新鮮な公演でした。こういう新演出が金沢からスタートしていることは素晴らしいことだと思います。
2月
  • マルク・ミンコフスキ指揮 PH定期 定期公演の中でのロッシーニの「セヴィリアの理髪師」全曲。生きの良い若手歌手が音楽的にもパフォーマンス的にも縦横無尽に躍動していました。
3月
  • 井上道義指揮 M定期 モーツァルトの「レクイエム」を中心としたプログラム。抑制の効いた,深い内容を感じさせる演奏。ダニイール・グリシンさんの独奏によるバルトークのヴィオラ協奏曲も充実の演奏でした。
4月
  • 鈴木優人指揮 PH定期 OEK定期初登場の鈴木さん指揮による,春にふさわしい柔らかさのある演奏はとても魅力的でした。ヴァイオリンの木嶋真優さんもすっかり大人の演奏家になりました。
5月
  • いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2017 ラ・フォル・ジュルネ金沢の後継音楽祭として,ベートーヴェンをテーマに行われました。ラ・フォル・ジュルネのスタイルを踏襲しつつ,「地元アーティスト」の活躍が増えていたのが特徴だったと思います。充実した公演も多かったのですが,全体的に見ると,2年目以降,さらに金沢的に発展していって欲しいと思いました。
  • 新人登竜門コンサート ピアノ部門 川畑夕姫さん,尾田奈々帆さんはともに立派な演奏。これから色々な公演での再会を期待しています。
6月
  • ハインツ・ホリガー指揮 PH定期 70代後半とは思えない,チャレンジングでスリリングな選曲と演奏。
  • アビゲイル・ヤング リーダー&ヴァイオリン M定期 指揮者なし,ソリストなし(全部ヤングさんが兼務!)だからこそ,OEKの魅力がストレートに伝わってくるような素晴らしい公演。
7月
  • 辻博之指揮 M定期 M定期はモーツァルトの音楽がテーマでしたが,その締めくくり。マイナーなオペラアリアや重唱を組み込むなど,そのまま来年の「楽都音楽祭」に持って行ってもよさそうな内容でした。
  • 井上道義指揮 PH定期 ティエリー・エスケシュさんの自作・自演によるオルガン協奏曲(新作)を中心とした音楽堂ならではのプログラム。
9月
  • 井上道義指揮 PH定期 新シーズン最初は,神尾真由子さんとがっぷり四つに組んだベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と井上さんが「この曲はOEKとしか演奏する気がしない」と語っていたベートーヴェンの「田園」。この頃,井上さんの退任が発表されましたが,いつかまた,井上さんの「田園」は聞いてみたいものです。
10月
  • シュテファン・ヴラダー指揮,ピアノ PH定期 ヴラダーさんの弾き振りによるモーツァルトの協奏曲と筋肉質の「ジュピター」。新しいウィーンのスタイルといった感じの充実した演奏の連続でした。
11月
  • アマデウスLIVE 映画「アマデウス」の映像に合わせて,全編サウンド・トラックを演奏するという凄い企画。指揮者の辻博之さんとOEKの職人技で,名作映画の魅力がさらにアップしていました。
  • 歌劇「トスカ」 広上淳一指揮 河瀬直美新演出による全国巡回公演の一つ。日本的で新鮮な映像美と濃厚なドラマとを堪能させてくれる公演。「トス香」役のルイザ・アルブレヒトヴァさんも役柄にぴったりでした。
  • ミヒャエル・ザンデルリンク指揮 M定期 10月に続いてのモーツァルト中心のプログラムでしたが,全く違うアプローチから,説得力のある音楽を聞かせてくれました。この柔軟性がOEKの素晴らしさだと思います。
  • デーヴィッド・アサートン指揮 PH定期 OEKがこれまであまり取り上げてこなかったイギリス音楽特集+おなじみのベートーヴェンの7番。とても合理的であると同時に,ベテラン指揮者ならではの風格が伝わってくる充実した公演でした。
その他,IMA関連の室内楽公演,オペラを落語化した「死神」,北陸初演だったヴェルディの「レクイエム」,岩城さんのスピリットを引き継ぐ「メモリアルコンサート」,ジャズ・ヴァイオリン奏者・マッズ・トーリングとの共演,管楽器メンバー大活躍の室内楽公演...どれもこれも素晴らしい内容でした。

私の場合,大抵の曲については「このスタイルでないとダメ」という聴き方ではなく,「今度はこう聞かせてくれたか」という感じで,違いを見つけるのが好きです。どの公演でも,曲の素晴らしさや面白さを伝えてくれる工夫があり,それを見つける喜びを感じました。

来年2018年は,平成30年であると同時に,OEK創設30周年の年になります。そして,約10年OEKの音楽を務めた井上道義さんが退任されます。考えてみると,春の連休中に行われていた,ラ・フォル・ジュルネ金沢と在任期間が連動していたんですね。いずれにしても,節目の年になることは確かです。まずは,OEKの次期音楽監督がどなたになるかが大変気になります。いろいろな点で新しい扉が開かれることを期待したいと思います。


これはいつも思っていることですが,来年については,少しでも平和な世界となり,少しでも多くの人が生で音楽を聞くことの喜びや楽しみを味わうことのできる年になって欲しいと思います。

それでは,良いお年をお迎えください。

2017/12/28

今年の「演奏会納め」は,#永峰大輔 さん指揮 #金大フィル 定期演奏会。青春の音楽といった感じのシベリウスの交響曲第1番にすっかり魅せられました。

本日は仕事納めの人が多い日でしたが,私の「演奏会納め」は,石川県立音楽堂で行われた,金沢大学フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会でした。指揮者は永峰大輔さんで,ドヴォルザークの序曲「オセロ」,リストの交響詩「レ・プレリュード」,そして,後半にシベリウスの交響曲第1番が演奏されました。「レ・プレリュード」がいちばん有名な作品だとは思いますが,どの曲も実演で演奏される機会が少ない作品です。比較的地味なプログラムかなと思ったのですが,大変聞き応えのある演奏会になりました。

特に後半に演奏されたシベリウスの交響曲第1番が素晴らしい演奏でした。第2番に比べると演奏する機会の少なく,私自身,実演で聞いた記憶が残っていない作品なのですが(確か,同じ金大フィルの演奏会で聞いたことがありますが)...特に終楽章を聞いて,「これは青春の音楽だなぁ」と素直に感動してしまいました。

永峰さんの指揮は大変明快で,金大フィルから思い切りの良い響きを引き出していました。特にヴァイオリンをはじめとした弦楽器が美しく,随所で痛切な美しさを感じました。ティンパニの強打も印象的でした。見るからに気合いの入った演奏で,ストレートに聞き手の心に音が飛び込んでくるようでした。

それでいて熱くならないのがシベリウスの音楽です。冒頭のクラリネットの独奏から,ひんやりとした感触のある,ミステリアスな世界が広がりました。柔らかな響きが印象的な第2楽章。大変軽快な第3楽章とそれぞれの楽章ごとに違った世界が広がりました。

そして,第4楽章が特に感動的でした。プログラムの解説に「この演奏会で3年生メンバーは最後。色々な思いがこもっている」といったことが書かれていたのですが,まさにその通りの音楽でした。複雑な思いと感動がこみ上げてくるようなエンディングだったと思います。
シベリウスのこの曲については,これまであまり聞いてこなかったのですが,若い奏者にぴったりの音楽だと思いました。

前半に演奏されたドヴォルザークの「オセロ」,リストの「レ・プレリュード」もそれぞれも立派な演奏でした。「オセロ」の方は,今回初めて聞く曲でしたが,ロマンティックな気分,嫉妬を思わせるミステリアスな雰囲気など,ニュアンスの変化に富んだ音楽を楽しむことができました。「レ・プレリュード」では,パーカッションが活躍する終結部に向けて,率直に盛り上がっていくのが爽快でした。

シベリウスの後にアンコールとして,同じシベリウス作曲の「アンダンテ・フェスティーヴォ」が演奏されました。そして,この曲については,学生指揮者の正村さんが指揮をしましました。これまで,金大フィルの定期演奏会を何回も聞いてきましたが,学生指揮者が登場するのは初めてのことかもしれません。

正村さんの指揮については,今年のサマーコンサートでチャイコフスキーの交響曲第5番の演奏を聞いて,「すごい」と思ったことを思い出しますが,永峰さんもその熱い指揮に魅せられたのかもしれませんね。凜とした力強さのある演奏を聞きながら,改めて,学生オーケストラは良いなぁと思いました。

というわけで,大変気持ちよく「1年納めの演奏会」を楽しむことができました。

2017/12/23

年末恒例 ベートーヴェン「荘厳ミサ」公演を石川県立音楽堂で聴いてきました。合唱は石川県合唱協会合唱団,オーケストラは#田尻真高 指揮 #石川フィルハーモニー交響楽団。平和への祈りが真摯に伝わる充実感のある演奏でした。

年末恒例の石川県音楽文化協会主催の「荘厳ミサ」の公演を石川県立音楽堂で聴いてきました。合唱は石川県合唱協会合唱団,オーケストラは石川フィルハーモニー交響楽団。指揮は,田尻真高さんでした。

年末に第9を演奏する団体は,日本中にありますが,毎年,ベートーヴェンの荘厳ミサ(ミサ・ソレムニス)を毎年演奏しているアマチュア合唱団は多くないと思います。1970年から毎年演奏しているということですので,そろそろ50周年に近づいています。

しかもここ数年は,オーケストラの方も地元のアマチュアオーケストラの石川フィルが演奏しており,ソリスト以外は,全部地元音楽家によるという形がすっかり定着しています。昨年,久しぶりにこの公演を聴いたのですが,伝統の重み,アマチュアならではの熱さに加え,演奏自体の水準が高く,「年末の締めに必須」と思い,今年も聞きに行くことにしました。

今年の公演で注目していたのは,若手指揮者の田尻真高さん指揮でした。そして,その期待通りの,引き締まった演奏を聴かせてくれました。昨年までの山口泰志さんの指揮も素晴らしかったのですが,伝統のエネルギーを若さが引っ張るような見事な演奏でした。

第1曲のキリエの最初から,合唱,オーケストラともに音のバランスがとても良く,密度の高さが感じられました。第2曲グローリアの最初の音での,バシッと揃って,パンと飛び出してくる感じ。後半のフーガの部分での,合唱とオーケストラが一体となった推進力のある充実感。この部分では,パイプオルガンがしっかりと低音を支えており(おなじみ黒瀬恵さんがオルガンでした),音楽堂ならではの響きに浸ることができました。

第3曲クレドでは,途中,イエスの生涯が語られる部分の雄弁さが印象的でした。今回のソリストは,昨年と全員同じでした。この部分に限らないのですが,ソプラノの石川公美さんの輝きのある声,テノールの倉石真さんの柔らかな声を中心に,派手になり過ぎることなく,じっくりと感動を伝えてくれるような歌を聴かせてくれました。

第4曲のサンクトスから第5曲のアニュス・デイに掛けては,通常の宗教音楽から一歩踏み出した,コンサートホールで聴くのにふさわしい音楽です。サンクトゥスでは,後半のヴァイオリン・ソロが注目です。石川フィルのコンサート・ミストレスの方が,繊細で心に染みる歌を見事に聴かせてくれました。ソリストたちとの絡み合いは,天上の音楽といった感じでした。

第5曲のアニュス・デイは,平和への祈りの音楽です。最初の部分に出てくるバスの清水宏樹によるしみじみとした「ミゼレーレ」の声に続き,平和への祈りの音楽が続きます。この部分の音楽では純粋な祈りと同時に,フランス革命などが起こった後の作曲当時のヨーロッパの空気が感じられます。その点がベートーヴェンらしいなぁといつも思います。最後の「Pacem(平和)」の繰り返しが,しっかりと感動を残して締められました。

相変わらず紛争が絶えない世界です。世界だけではなく,もっと身近なレベルでも異文化間での紛争は絶えません。そういう時代だからこそ,ベートーヴェンの音楽の持つ,理想主義的な強さが必要な気がしています。

2017/12/10

12月恒例のOEKと北陸聖歌合唱団による #メサイア 公演はダグラス・ボストックさん指揮。これぞスタンダードという感じの「大人のメサイア」だったなぁと思いました。 #oekjp

12月恒例の北陸聖歌合唱団とOEKによるクリスマス・メサイア公演を聞いてきました。今年の指揮者は,英国出身のダグラス・ボストックさんでした。OEK指揮をされるのは,数年前の定期公演以来のことだと思います。「メサイア」の歌詞が英語なのですが,考えてみるとこの年末メサイア公演に英国出身の指揮者が登場するのは,初めてかもしれません。

そのせいもあるのか,今年の「メサイア」は,非常にスタンダードで紳士な雰囲気があると思いました。我が家にある「メサイア」のCDは,トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサートの録音で,いつの間にかこれがデフォルトになってしまっているのですが,その気分に近いと感じました。第1曲の序曲から,歪みの少ない,イメージどおりメサイアを聴いたなぁという実感が残るような演奏でした。

ハレルヤ・コーラスにしても,最後のアーメン・コーラスにしても,非常に率直で,大げさなテンポの変化はなく,ストレートに「主をほめたたえる」気分が伝わってきました。トランペットが加わって,壮麗さが加わる曲では,過去,音楽堂のパイプオルガンのステージで演奏するケースもありましたが,今回は通常の「1階席」でオーケストラの一員として演奏していました。オーケストラとしっかり溶け合いつつ,音全体として壮麗さを増しているようでした。OEKによる「メサイア」も20回近くになっているはずですが,今回の公演は,「大人のメサイア」という感じで,公演自体成熟してきているなぁと感じました。

「メサイア」の前に,いつも演奏しているOEKエンジェルコーラスの合唱は,榊原栄さん編曲によるおなじみのクリスマス・ソングメドレーというのが定番で,個人的には大変好きなアレンジだったのですが,今年は,オルガンの伴奏による宗教的な気分のある合唱曲が3曲でした。今回の「大人のメサイア」の気分にぴったりだったと思いました。

今回,ボストックさんは,ソリストの入る曲の時は指揮棒なし,合唱曲の時は指揮棒ありで指揮されていました。この方針は非常に明確でした。その音楽も大変明快でした。北陸聖歌合唱団の皆さんをしっかりコントロールしつつ,いつもにも増してまとまりのよい歌を聞かせてくれたと思います。英国というと合理的と連想してしまうのですが,音楽全体に,健全な合理性のようなものが感じられ,聞いていて,「メサイア」という曲がベースとして持っている,希望や安らぎに向けてのベクトルがしっかりと最短距離で伝わってきました。

独唱者の皆さんは,毎年素晴らしいメンバーが揃っているのですが,今年も声の饗宴のような素晴らしさでした。テノールの鈴木准さんの若々しく,清々しい声,バリトンの久保和範さんの威厳と慈愛に溢れた声。池田香織さんの余裕のある深く輝かしい声。そして,金沢の「メサイア」には無くてはならない朝倉あづささんの可憐な声。プログラムによると,今年が26回目のメサイア公演ということで,まさにエバーグリーンの声だと思います。というわけで,ソリストの方もまた,私にとっての「デフォルト」でした。

残念だったのは,第2部を中心にカットが多かったことでしょうか。特にいちばん長い,メゾ・ソプラノのアリアがないと,「受難の気分」が薄まるかなと思いました。

というわけで,この「大人のメサイア」で是非,一度,全曲を聞いてみたいと思いました。期待をしています。

2017/12/09

#ミッシャ・マイスキー と #広上淳一 指揮OEKが共演したPFU創立30周年記念クリスマス・チャリティコンサート。マイスキーさんのニュアンス豊かで情熱を秘めた音をしっかり味わってきました。 #oekjp

毎年12月恒例のPFU主催のクリスマス・チャリティコンサートも,今年で30周年となります。オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の設立当初からずーっと毎年のように開催されている伝統ある演奏会です。今回は記念の年ということで,スペシャル版となり,世界でもっとも有名なチェリストの一人,ミッシャ・マイスキーと広上淳一指揮OEKが共演しました。定期公演でも実現していない,夢の共演が実現しました(ただし,調べてみると,海外公演ではマイスキーさんとOEKは共演しているようですね)。

前半後半とも,マイスキーさんの独奏が入る曲が最後に演奏されていたので,「マイスキーさんが主役」という内容の演奏会でしたが,曲の雰囲気に統一感があったので,とてもまとまりの良い構成になっていました。

私自身,マイスキーさんの演奏を生で聴くのは,今回が3回目だったのですが,過去2回については,結構後ろの座席で聞いたせいか,実はあまり印象が残っていません。今回もそれほど聞きやすい席ではなかったのですが(今回,座席は自分では選ぶことができず,少々苦手な(斜めに聞くのが苦手なのです)バルコニー席でした),音の方はよく聞こえました。改めて,素晴らしいチェリストだと思いました。そのニュアンス豊かで情熱を秘めた音をしっかり味わうことができました。

前半のハイドンのチェロ協奏曲第1番は,「地味にすごい曲」です。第1楽章は,屈託なく始まるのですが,さりげなく技巧的で,特に第3楽章は,超絶技巧的な感じになります。マイスキーさんのチェロの音には輝きがあり,特にぐっと音を弱くして意味深さを感じさせてくれるのが印象的でした。第2楽章ではしっかりとした歌を聞かせてくれました。呼吸が深く,息長く続くチェロの歌を堪能できました。第3楽章は,挑みかかるような速いテンポで,広上さん指揮OEKと一体になって,野性味のある演奏を聞かせてくれました。部分的にはちょっと粗いかなと感じさせる部分もありましたが,どの楽章についても,表現意欲とニュアンスの多彩さ,そして歌に溢れた演奏を聞かせてくれました。

後半最後に演奏された,チャイコフスキーの「ロココ変奏曲」は,さらにこなれた「十八番」といった演奏でした。広上/OEKによる,センシティブで憧れに満ちた序奏に続いて,くっきりと確信に満ちた主題が始まりました。この古典的な明快さに続いて,さり気なく深い表情を持った変奏が続きました。この曲でも弱音でじっくりと演奏される変奏での意味深さが素晴らしいと思いました。急速なテンポで演奏された,最後の変奏は,さすがに演奏するのは大変そうでしたが,最後の最後の部分では,少しテンポを落としており,歌舞伎の名優が見得を切って,決め台詞を言うような語り口の上手さを堪能できました。

マイスキーさんの髪の毛のボリュームは相変わらずでしたが,色の方はすっかり真っ白になっていました。その一方で,演奏の方は,気力に満ちており,円熟味を増しているなと感じました。こういうマイスキーさんとOEKの共演を聞くことができ,とても良かったと思いました。

その他のOEK単独で演奏された曲も楽しめました。

最初に演奏されたモーツァルトの「劇場支配人」序曲は,現在の「題名のない音楽会」で,テーマ曲として使っている曲です。意外に実演では聞く機会のない曲ですね。広上さんのテンポ設定は,大変どっしりとしたもので,大船にのった気分で,「ゴージャスに開幕」といった気分を伝えてくれました。

後半最初に演奏された,チャイコフスキーの「モーツァルティアーナ」は,チャイコフスキーがモーツァルトの曲をオーケストラ用に編曲した組曲です。最初の3曲が短く,4曲目だけが10分以上かかる変奏曲という,少々変わった構成の曲です。「ロココ変奏曲」の方も,古典志向の曲でしたので,取り合わせはとても良いと思いました。

とても聞きやすい曲でしたが,オーケストレーションすることによって,言葉は少々悪いですが,「のんべんだらり」とした緩い雰囲気の曲だと思いました。特に最後の変奏曲がそういう感じでした。しかし,そこがまた良いところで,木管楽器を中心とした各楽器の語らいを楽しむことができました。特に最後の変奏での,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんの独奏はかなり長大なもので,聞きごたえがありました。そして,曲が終わる直前に「ちょっと待ったー」という感じで入る,クラリネットの遠藤さんによる,鮮やかなソロも見事でした。広上さんの慌てない指揮ぶりで,堂々たるスケール感も伝わってきました。

アンコール曲は,マイスキーさんとオーケストラの共演で2曲演奏されました。1曲目は,チャイコフスキーのノクターンでした。ストレートにマイスキーさんのチェロの音の美しさとセンチメンタルな歌の味わいに浸ることのできる演奏でした。

2曲目は,サン=サーンスの白鳥が演奏されました。弦楽合奏とハープ伴奏版で聞くのは珍しいことですが,息の長い歌に酔わせてくれました。そして,弦楽合奏+ハープの伴奏ということで,聞いているうちに,マーラーの「アダージェット」と似た浮遊感があるなぁと思いました。

以上のとおり,マイスキーさんの魅力だけではなく,OEKらしさも感じられる曲が並んでいました。マイスキーさんについては,大編成のオーケストラと共演するよりは,小編成での演奏の方が個性を強く味わうことのできるアーティストではないかと思いました。というわけで,機会があれば是非,OEKとの再共演や音楽堂での室内楽公演を期待したいと思います。

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