OEKのCD

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2017年7月16日 - 2017年7月22日

2017/07/18

OEKの今シーズン最後は井上道義指揮,ティエリー・エスケシュのオルガンによる,OEKらしいプログラム。エスケシュの自作自演の新作はオルガンのイメージを変えるような,不思議な音世界。おなじみカンタさんのチェロ独奏によるサン=サーンスも安心して楽しめました #oekjp

OEKの2016/2017定期公演フィルハーモニーシリーズのトリは,井上道義音楽監督の指揮による,石川県立音楽堂のパイプオルガンを大々的に使ったプログラムでした。プログラムの中心は,OEKの今シーズンのコンポーザー・オブ・ザ・イヤーで,オルガン奏者でもあるティエリー・エスケシュ作曲によるオルガン協奏曲第3番という新作でした。

これまで,新曲は前半に演奏されることが多かったのですが,30分以上かかる未知の曲を最後に持ってくるというのは,余程,エスケシュさんに対する信頼がないとできないことです。実際,最後の曲に相応しいスケール感とストーリーを持った作品でした。

まず,「オルガン=重厚」というイメージを壊してくれました。冒頭から,どこか可愛らしさのある高音が印象的でした。曲の方は,打楽器を大々的に使っている点も特徴で,特に金属系の打楽器とオルガンの音が重なりあうことで,「この音は一体何の音だろう?」という,電子音を思わせるような不思議な響きが続出していました。

曲は4つの部分から成っており,古い時代から現代へと,音楽の歴史を辿るといったコンセプトを持っていました。聴けば何時代の音楽か分かる...というほどの明快さはありませんでしたが,各部分ごとに違った雰囲気で作られており,全曲を通して,壮大なスケール感を感じました。

エスケシュさんの使うオルガンの音には,どこか透明感があると思いました。オルガンの音だけが盛大に目立つことはなく,オーケストラの各楽器の音と一体となって,「これまでにない音」をブレンドしているように感じました。OEKの編成自体も,いつもよりもやや大きめでしたが(トロンボーンが加わっていました),オルガンが加わることで,室内オーケストラというよりは,フル編成オーケストラのような音になっているように感じました。

エスケシュさんは,演奏会の最初に,井上道義さんが提示した主題(交響曲「未完成」をもとにした主題)による即興演奏も行いましたが,本当に多彩な音のパレットを持ったオルガン奏者だと思いました。それと音の使い方のセンスがとても良いと思いました。

今回,エスケシュさんとOEKは,中部地方を中心に,パイプオルガンを持つホールをめぐるツァーを行います。各会場のオルガンの性能や音色に応じた形で,どういう即興演奏を行うのか,楽しみですね。追っかけるわけではないので,聞き比べはできませんが,画期的な企画と言えそうです。

その他,前半ではシューベルトの「未完成」交響曲とサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番が演奏されました。

「未完成」交響曲については,名曲中の名曲ということで,今回,井上道義さんは,ステージ下手側に弦楽器,上手側に管楽器を集めるという,非常に変則的な配置を取っていました。ただし,この配置については,数年前の北陸新人門登竜門コンサートの時に「未完成」を演奏した時も同様でした。「「未完成」については,この配置の方が良い」という確信に基づく配置だったと思います。

実際,冒頭から正面奥の高い場所に配置したチェロやコントラバスの音がとてもよく響いていました。また,弦の刻みもしっかりと聞こえてきました。管楽器の方は,上手側に集めることで,管楽器パート全体としての存在感が明確になっていたように聞こえました。「未完成」の場合,オーボエ,クラリネット,フルート,ホルンなどが第2楽章を中心に活躍しますが,その響きがとても美しく厚いと感じました。

そして何よりも,井上さんのじっくりとしたテンポ設定が印象的でした。シューベルトの晩年の作品ならではの,天国に一歩,近づいたような美しさがありました。あらためて「未完成」は良い曲だなぁと再認識しました。
前半最後は,OEKの首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんの独奏で,サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番が演奏されました。全曲を通じて,生き生きとした音楽と流れと,ノーブルなチェロの音色を楽しむことができました。第1楽章では,一瞬,カンタさんのチェロが乱れる部分がありました。例えば私だったら(ものすごく変な例えですが...何事につけ),動揺して,その後,ムタムタ(金沢弁)になってしまう気がするのですが,カンタさんは,その後,平然と気持ち良い音楽を聞かせてくれえました。その辺のリカバリー力に,ベテラン奏者のすごさを感じました。

これでOEKの2016/2017シーズンも終了です。最後に実にOEKらしいプログラムを楽しむことができました。

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