OEKのCD

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 2017年8月20日 - 2017年8月26日 | トップページ | 2017年9月3日 - 2017年9月9日 »

2017年8月27日 - 2017年9月2日

2017/09/02

今年の岩城宏之音楽賞は受賞者なし。その分,岩城宏之メモリアル・コンサートの方は,井上道義+OEKらしさをたっぷりある楽しめる内容に。やっぱり「ジュピター」は良い曲です。 #oekjp

毎年この時期に行われている岩城宏之メモリアル・コンサートでは,その年の岩城宏之音楽賞受賞者とOEKが競演するのが恒例だったのですが,今回は受賞者は不在で,過去の受賞者の中から,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさん(10回岩城宏之音楽賞受賞者)と首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタ(第4回岩城宏之音楽賞受賞者)さんがソリストとして登場し,井上道義指揮OEKと共演しました。

演奏したのは,サン=サーンスの「ミューズと詩人」という曲でした。ヴァイオリン、チェロ、管弦楽のための二重協奏的作品で,OEKが演奏するのは今回初めてです。ほとんど知られていない作品ですが,何といってもサン=サーンス。メロディが美しく,とても気持ちよく楽しめる作品でした。ややセンチメンタルな雰囲気もあったのですが,ヤングさんとカンタさんが演奏すると,ちょっと抑えの効いた大人のロマンといった雰囲気になります。ハープの入った,品の良い色彩感のあるOEKの演奏と合わせて,曲の魅力をしっかり伝えてくれました。こういう知られざる佳曲の発掘というのは,是非,これからも継続していって欲しいと思います。

今回の公演のもう一つのポイントは,最初に演奏された,邦楽器とオーケストラが共演する,三木稔「序の曲」でした。OEKは岩城さんの時代から邦楽器との共演を伝統的に行ってきましたが,この曲では,尺八,二十五絃箏,太棹三味線という3つの楽器が登場しました。邦楽器とオーケストラによる協奏的作品というと,武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」を思い出しますが,あの曲のような,緊迫感溢れる作品ではなく,「序の曲」というタイトルどおり,大きく盛り上がる前のイントロダクション的な雰囲気を持った作品でした。

実際,「序の曲」「破の曲」「急の曲」の三部作の最初の曲ということで,ちょっとインパクトが弱い印象はありましたが,まるでハープのようにオーケストラと溶け合って艶やかな気分を出していた野坂操壽さんの二十五絃箏。豊かさを感じさせてくれた本條秀慈郎さんの太棹三味線。そして,通常より大きめの楽器で曲全体にアクセントを付けていた三橋貴風さんの尺八(オーケストラも弦楽器だけだったので,唯一の管楽器でした)。これらが一体となって,スケール感と暖かみを感じさせる演奏を楽しませてくれました。

そして最後にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」が演奏されました。いうまでもなく,モーツァルトの交響曲の総決算のような堂々たる作品です。そして,今回の演奏もこれまで築いてきた井上/OEKのつながりの強さをしっかり感じさせてくれるような,堂々たる構えと余裕を持った演奏でした。

冒頭部から,適度な柔らかさと芯の強さを持ったオーケストラの響きが最高でした。石川県立音楽堂に最適化された音という感じでした。きっちりと締めつつも,OEKの柔軟性も生かした演奏で,ちょっとした間の取り方,ニュアンスの変化など,この組み合わせならではの表情の豊かさがありました。井上さんは,アンコールの時,「希望を感じさせる曲だ」と仰っていましたが,まさにそういう演奏だったと思います。「ジュピター」を聞くのは,意外に久しぶりの気がしますが,改めて完成度の高い作品だと思いました。

そして,楽しく,爽快な,モーツァルトらしいアンコールが2曲演奏されました。このアンコールについては,後日レビューでご紹介しましょう。井上さんのトークを聞きながら,来年からは,こういう雰囲気を味わう機会が減ってしまうんだな,と少々淋しくなりました。

井上さんはアンコールの時のトークの中で「何事にも終わりがある。だからこそ,そこまでは一生懸命やりたい」(不正確かもしれません)といった言葉をおっしゃられていましたが,このことは,音楽についても言えるし,人生についても言えるし...井上さんとOEKとの関係についても言える言葉だと感じました。

色々な点で名残惜しさを感じた演奏会でした。

2017/08/27

山下一史指揮OEK+合唱団OEKとやま+藤原歌劇団のソリスト4人によるヴェルディのレクイエム(北陸初演)を富山で聞いてきました。さすがヴェルディ!という名曲。たっぷり楽しんできました #oekjp

昨年まで,毎年のように夏にOEKと共演してきた「合唱団おおやま」が,名称を「合唱団OEKとやま」と変え,ヴェルディの「レクイエム」をOEKと共演するということで,夏休み最後の日曜日,金沢から富山に出向いて,この大作を聞いてきました。1時間30分近くかかる大作ということで,私自身,これまで実演で聴いたことはありません。それどころか,今回が北陸初演ということです。

この曲については,強烈な4つの和音で始まる「怒りの日」の最初の方だけは,テレビの効果音などで,非常によく耳にするのですが,実演での全曲となるとなかなか聞く機会はありません。私の場合,大昔,FM放送からエアチェックをしていた時代には,何となく全曲を聞いた記憶はあるのですが(アバド指揮ミラノスカラ座のライブ録音とか),CD時代になってからは,なぜか聞かなくなってしまい,今回,久しぶりにじっくりと予習をしてから,聞きにいきました。

今回初めて実演を聞いた感想は,「ヴェルディの気合い入りまくりの曲だ!すごい」と,この曲の良さを,初めて肌で実感できました。私にとっては,CDやカセットテープ(古くてすみません)だと,何故か聞き通せない曲だったのですが,実演だと全く退屈することなく,オペラ風味をもった壮大な宗教曲を丸ごと楽しむことができました。

その理由は,今回の演奏の水準の高さによると思います。そして,そのいちばんの原動力になったのは,山下一史さんと「合唱団OEKとやま」の皆さんの長年の信頼関係の力だと思います。プログラムによると2002年の「合唱団おおやま」の第7回演奏会以降,山下さんとは14回目の共演とのことです。この強いつながりが,集中力と熱気を持った演奏のエネルギーになっていたと感じました。

そして,藤原歌劇団に在籍する,砂川涼子,鳥木弥生,所谷直生,伊藤貴之の4人のソリスト,兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオケ)のメンバーを加えて増強されたOEK。これらが一丸となって,「合唱団OEKとやま」のデビューコンサートに相応しい,充実感のある演奏を生んでいました。

今回の会場は,富山市役所のすぐ向かいにある,富山県民会館でした。以前に一度来たことがあるのですが,ホール全体がきれいにリニューアルされていました。音楽専用のホールではなく,多目的ホールなので,残響は少な目で,今回の大編成にしては,やや小さいと感じましたが,その分,迫力たっぷりの生々しい音楽をクリアに楽しむことができました。

有名な「怒りの日」については,大太鼓(OEKの渡邉さんが担当されていました)の音が壮絶に響き,弦楽器の細かい音の動きなども,くっきり聞こえました。大きな音の部分だけでなく,例えば,「怒りの日」の後半に出てくる,合唱のソット・ヴォーチェの部分(文字通り,声をひそめてソット歌う部分。この部分,個人的に好きな部分です)など,非常に生々しく聞こえ,ゾクゾクしました。曲の冒頭部も,CDでは,「小さすぎてよく聞こえない」ようなところもあるのですが,実演だと,そのエネルギー量が全然違うと感じました。

第2曲の「怒りの日」は,「怒りの日」から「涙の日」までが連続的に演奏されるセクエンツィアなのですが,この部分が,オペラの一つの幕を見るように多彩な音楽が詰め込まれていて,「やはり,ヴェルディはすごい」と思いました。

「怒りの日」は,熱狂的に荒れ狂う感じではなく,しっかりと迫力のある声の力を聞かせてくれました。改めて,100人以上からなる合唱団のパワーは素晴らしいと思いました。その後の「トゥーバ・ミルム」では,トランペットの別動隊が楽しみだったのですが,ホールの両袖の上の方(お客さんからは見えない場所)に居たようです。山下さんは,半分以上,客席の方に体の向きを変えて指揮されていました。この部分での,爽快に音が広がる立体感も素晴らしいと思いました。今回,オーケストラのメンバー表が付いていなかったのが残念だったのですが,恐らく,PACオケの方が活躍されていたのだと思います。

その後は,ソプラノとメゾソプラノによる二重唱,テノールの独唱など,「ほとんどオペラ?」みたいな部分が続々と出てきました。4人のソリストは,みなさん本当に素晴らしかったのですが(この4人でヴェルディのオペラを何か聞いてみたいものです),このセクエンツィアでは,金沢ではお馴染みのメゾ・ソプラノ,鳥木弥生さんの存在感が特に大きかったと思いました。鳥木さんの声には,聞いた瞬間,「ヴェルディのオペラだ」的な充実感がありました。特に「涙の日」での,文字通り泣かせる歌は素晴らしいと思いました。

そして,この「涙の日」の最後の部分の雰囲気が実にいいなぁと思いました。ちょっと明るく転調して,静かに終わる感じが,いかにも「ヴェルディのオペラにありそう」で,終結感と期待感が混ざったような後味を残してくれました。
第3曲から後も,「ヴェルディの総決算」のような色々な曲が続きました。「サンクトゥス」は合唱だけ,「アニュス・デイ」はユニゾン中心の素朴な感じの曲。「ルクス・エテルナ」は,ミサの中心である聖体拝領の場に相応しい神秘的な雰囲気がありました。

そして,最後の「リベラ・メ」では,レクイエム全体を回想するような,聞きごたえがありました。この部分では,ソプラノの砂川涼子さんの声が見事でした。「リアルな朗誦」のようなソロも印象的でしたが,合唱とソプラノが一体になった時の,中から浮き上がってくるような,高揚した声の力も素晴らしいと思いました。

最後の方で,「怒りの日」が再現したり,二重フーガが出てきたリ,合唱団の皆さんには,最後まで,エネルギーと集中力が必要だったと思いますが,素晴らしい盛り上がりを聞かせてくれました。二重フーガの部分では,ヴェルディの音楽がいちいち「ジャン,ジャン」と念を押すよう感じで,結構,泥臭い(?)感じもしたのですが,それが音楽全体の熱さにつながっていたと思いました。

今日の演奏については,休憩なしで一気に演奏されたのですが,先に書いたとおり,充実した時間を楽しむことができました。一気に演奏して良かったと思いました。

今年の夏は,7月中旬,大阪で聞いた井上道義さん指揮大阪フィルによるバーンスタインの「ミサ」で始まり,8月末の富山でのヴェルディのレクイエムで終わった感じです。とても良い「夏の思い出」となりました。本日の演奏を聞いて,「合唱団OEKとやま」の今後の活躍がますます楽しみになりました。毎年,夏の思い出作りに富山に来たいなと思います。

その一方,富山県民会館は,100人編成だとやや小さい気がしたので,残響の豊かな石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてみたい気もします。ヴェルディのレクイエムは,北陸初演というほどには大編成ではなかったと思いますので(トランペットは大勢必要ですが),是非機会があれば,「金沢初演」にも期待したいと思います。

« 2017年8月20日 - 2017年8月26日 | トップページ | 2017年9月3日 - 2017年9月9日 »

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック