OEKのCD

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2017年10月15日 - 2017年10月21日

2017/10/21

いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2017 秋の陣 を聞いてきました。 前半は石川公美,水上絵梨奈,近藤洋平,門田宇,OEKエンジェルコーラス,白河俊平(Pf)の皆さんによるベートーヴェン物語。後半は菊池洋子さんの公開レッスン+地元奏者との連弾+ソナタ第13番

今年の春の連休期間中に行われた「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」の関連公演として「秋の陣」と題した演奏会が石川県立音楽堂邦楽ホールで行われたので聞いてきました。


この音楽祭のテーマは,ベートーヴェンということで,公演の前半は「ベートーヴェン物語」と題して,北陸を中心に活躍する若手声楽家,ピアニストとOEKエンジェルコーラスの皆さんがベートーヴェンとその前後の作曲家たちの作品を演奏しました。「~物語」とあるとおり,ベートーヴェンの生涯を石川公美さんの語りを交えてたどりながら,声楽曲やピアノ曲を聞くという構成になっていました。

石川公美さんの語りはとても分かりやすく,全体の流れもとてもスムーズでした。ソナタの全曲を聞くという形ではなかったので,「ベートーヴェン入門編」のような感じで,「石川県のクラシック音楽のすそ野を広げる」といったことを意図するような公演と感じました。

ただし,この日の演奏は,どの曲も素晴らしく,しかも,意外に演奏される機会のない,ベートーヴェンの声楽曲を楽しむことができました。テノールの近藤洋平さんによる「アデラーデ」,バリトンの門田宇さんによる「君を愛す」,石川公美さん,水上絵梨奈さん,,近藤さん,門田さんによる「自然における神の栄光」など,どの曲も若手歌手たちの瑞々しい声を間近で楽しむことができました。

OEKエンジェルコーラスの方は,少々お行儀が良過ぎのような気もしましたが,ウィーンの音楽に児童合唱はぴったりだと思いました。

白河俊平さんのピアノの音は,とても滑らかで美しいものでした。ベートーヴェンの「悲愴」2楽章,「月光」1楽章,シューベルトの即興曲op.90-3の雰囲気にぴったりでした。特にシューベルトの即興曲は個人的に大好きな曲だったので(この曲が演奏されると知らなかったので),得した気分になりました。

前半最後は4人の声楽家によって「歓喜の歌」が歌われて,締められました。

後半はモーツァルトのピアノ曲ばかりが演奏されました。金沢でもお馴染みの菊池洋子さんによる公開レッスン及び菊池さんと地元奏者による連弾の後,菊知さんのソロで,ピアノ・ソナタ第13番が演奏されました。

後半のステージも,「地元の子供たち」を絡めた企画ということで,「クラシック音楽のすそ野を広げる」ような内容でしたが,こちらも大変面白いものでした。

最初にモーツァルトの4手のためのピアノ・ソナタK.381の第1楽章について,菊池さんが公開レッスンを行いました。最初に2人の子供たちの連弾で演奏されたのですが...これが本当にしっかりとした演奏で驚きました。これ以上,どう指導されるのだろうか?と思ったのですが,さすが菊池さん。「2人の演奏はしっかり仕上がっている。これは一つの考え方だけれども...」と前置きをした後,もしかしたらモーツァルト演奏の「ツボ」につながるようなアドバイスをされました。次のような感じです。
  • どの音もきっちりと弾き過ぎているかも。
  • モーツァルトについては,軽やかさの欲しい部分がある。力を抜くところは抜く。
  • トレモロについてはそれほどしっかり弾く必要はなく,響きを作る感じで。
  • 軽やかに弾くときは,それに合った指使いに変えると良い。
  • モーツァルトの場合,ひじを回して演奏する必要はあまりない。

抽象的なアドバイスではなく,技術的なアドバイスになっているのが素晴らしいと思いました。

その後,菊池さんと地元のピアニストによる,4手のためのソナタが2曲演奏されました。こちらは,菊池さんが低音に加わることで,どこか大船に乗ったような幸福感が感じられました。

ちなみに,今回レッスンに使われたK,381の第1楽章ですが,一瞬,「フィガロの結婚」のケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」を思わせるメロディがふっとよぎり,ちょっと嬉しくなります。今回の演奏を聞いて,好きな曲になりました。

最後は,K.333のピアノソナタが菊池さんのソロで演奏されました。やはり連弾で演奏する場合よりは,自由度が高く,より柔軟で流れるような気持ち良さと健やかさをもった演奏を聞かせてくれました。平穏な世界が段々と深まって行くような第2楽章。クッキリとした明快で陰影のある世界が広がる第3楽章。この曲も良い曲だな,と思いました。

アンコールで,ちょっとアドリブ的な音が入った「トルコ行進曲」が快適なテンポで演奏されて,演奏会は終了しました。

菊池さんのトークによると,「来年の音楽祭のテーマは...モーツァルトなのかもしれませんね」とのことでした。こじんまりとした感じで行われた「秋の陣」でしたが,来春のエリア・コンサートはこれで万全と思わせるような内容でした。

2017/10/18

OEK定期公演は#シュテファン・ヴラダー の弾き振りによるハ長調,ハ短調,ハ長調のオール・モーツァルト・プログラム。1カ月前の「ジュピター」と全く違う,ものすごく引き締まった演奏に感嘆。主張がすっきり伝わってくる素晴らしい公演 #oekjp

10月のOEKの定期公演フィルハーモニーシリーズは,「常連」になりつつあるシュテファン・ヴラダーさんによるモーツァルトのみによるプログラムでした。OEKの定期公演の場合,古典と現代曲を組み合わせることが多いので,「全部モーツァルト」というのは,意外に珍しいことです。今回はヴラダーさんが登場するということで,前半は弾き振りの形になっていました。

まずプログラムの並びが面白いと思いました。ピアノ協奏曲第21番→24番→交響曲第41番ということで,ハ長調→ハ短調→ハ長調という見事なシンメトリーになっていました。実は,「ジュピター」は,9月にも井上道義さん指揮OEKで聞いたばかりなので,2カ月連続の演奏だったのですが,これがまた,ガラッと違った雰囲気になっていました。

今回の公演はこの,指揮者によってガラッと変わってしまうOEKの適応力の素晴らしさに感動しました。この日のOEKは,バロック・ティンパニを使い,弦楽器のヴィブラートがほとんどない,古楽的な奏法が特徴的で,特に後半に演奏された「ジュピター」では,第1楽章の冒頭からハッとさせるような,体脂肪率ほとんどゼロといった感じの筋肉質で引き締まった演奏を聞かせてくれました。

井上さん指揮による「ジュピター」も,OEKによる演奏の一つの典型だった思いますが,それとは全く違うアプローチで,生気と力感に溢れる「ジュピター」を聞かせてくれたヴラダーさんの手腕は素晴らしいと思いました。

これはこの日演奏されたどの曲にも言えたのですが,指揮者の主張がスッと伝わってくるような論理的な明快さのようなものを感じました。情緒的に甘く溺れるようなところが全くなく,基本的に速目のテンポでビシッと引き締まった中に美しさのある音楽を聞かせてくれました。特に両端楽章は,これまでに聞いた「ジュピター」の中でも特に快速の演奏だったと思います。

ただし,第1楽章,第4楽章に加え,第2楽章も繰り返しを行っていたような感じで(多分),演奏時間は30分以上掛かっていたと思います。全く弛緩することのないクールさと明晰さに,ライブならではのスリリングさが加わった見事な演奏でした。第4楽章の最後の音が短くバシッと終わっていたのも実に爽快でした。

前半のピアノ協奏曲2曲も同様に速いテンポによる演奏でした。特に第21番はとても速いテンポだったと思います。個人的には,この曲については,第2楽章を中心に少々ロマンティックな甘さのある演奏が「デフォルト」になっているので,もっとおっとりとした演奏が好みではあるのですが,速いパッセージが続いても崩れることのない,一本筋のとおったような演奏も素晴らしいと思いました。

第24番の方は,よりベートーヴェン的な響きのする曲で,ヴラダーさんの演奏の硬質な感じにぴったりだと思いました。この曲も基本的に速いテンポで,甘さに溺れるようなところはありませんでした。それに加え,OEKの木管楽器とピアノとの「対話」が素晴らしく,短調と長調の陰影のコントラストだけではなく,ピアノと管楽器のコントラストも楽しむことができました。

ヴラダーさんはお客さんに背を向け,ピアノの蓋を全部取り外す形で演奏していました。そのせいもあるのか,ピアノの音は,オーケストラとしっかりと溶け合い,全体として室内楽的な雰囲気があると感じました。弾き振りならではの演奏だったと思います。

演奏後は,お客さんから盛大な拍手が起こると同時に,OEKメンバーも大歓迎しているようでした。OEKの音を,メンバーと一緒になって「自分の音」に変えたヴラダーさんの指揮者としての素晴らしさを楽しむことのできた演奏会でした。この日は,特にアナウンスはなかったのですが,ステージ上にマイクロフォンがかなり沢山並んでいました。もしかしたら何かの収録かレコーディングを行っていたのかもしれません。是非もう一度,聞いてみたい,完成度の高い演奏でした。

2017/10/15

ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭 特別演奏会で,花本康二&山口泰志指揮石川フィル+石川公美(S),糸賀修平(T)によるオペラアリアなどとブラームスの交響曲第1番を聞いてきました。

2年に一度,秋に行われている「ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭」の特別演奏会として,石川フィルハーモニー交響楽団の演奏会が石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので,聞いてきました。近年の石川フィルの演奏会では,マーラーやラフマニノフの交響曲など,ロマン派~近代の大曲を演奏することが多かったのですが,今回は前半にオペラアリアが入るなど,「ビエンナーレ」という「お祭り」により相応しい内容となっていました。

前半は,まず,ヴェルディの「運命の力」序曲が演奏されました。花本康二さん指揮で演奏されました。OEKが演奏する機会は少ないので,実演で聞くのは久しぶりだったのですが,冒頭のファンファーレから聞いていると,力が湧いてきますね。がっちりとまとまった充実した演奏だったと思います。
その後は,指揮が山口泰志さんに代わり,ソプラノの石川公美さん,テノールの糸賀修平さん,石川県合唱協会の合唱との共演で,アリアや合唱曲が演奏されました。ヴェルディの「椿姫」の中の3曲が中心で,特に石川公美さんによる,「ああ,そはかのひとか~花から花へ」が大変聞きごたえがありました。まさに脂が乗った声という感じで,その声を聞くだけでヴェルディのオペラの世界が広がりました。前半は重くしっとりと,「花から花へ」の部分は,技巧的に軽やかに飛翔,という構成なので,一人の歌手が歌うのは,大変難しい曲だと思うのですが,その難曲に挑戦する意気込みが演奏の迫力となって迫ってきました。「花から花への」最後の部分での,「超高音」は出していませんでしたが(ただし,出さない方がオリジナルですね),大満足の歌唱でした。
この曲では,「遠くからテノールの声が聞こえる」という設定ですが,テノールの糸賀さんは,パイプオルガンのステージから歌っており,立体感のある効果を視覚的にも出していました。
糸賀さんの声は,大変軽やかで,どんな高音も楽々と出せる感じでした。ヴェルディの「女心の歌」や,最後に歌われた,レハールのオペレッタのアリアの曲想にぴったりの歌唱でした。石川県合唱協会の合唱も,暖かみのある声を聞かせてくれました。
後半は,再度指揮者が花本さんに代わり,ブラームスの交響曲第1番が演奏されました。花本さんと石川フィルによる演奏は,毎年のように聞いているのですが,今回の演奏は,特に立派さのある演奏だったと思いました。全体に慌てることのないテンポ設定で,しっかりと深みのある音を聞かせてくれました。
第1楽章冒頭の柔らかさと芯の強さの絶妙のバランスの取れた音(これは石川県立音楽堂の良さもあるとい思います),第2楽章から第3楽章に掛けての味わい深さ,第4楽章のコーダでの全体のバランスを壊すことのない自然な盛り上がり。要所要所での充実感が特に素晴らしいと思いました。
今後もこの組み合わせによる,交響曲の演奏に期待をしたいと思います。
PS. 今回指揮者として登場した,花本さんと山口さんは同級生で,金沢大学フィルの時に,今回のように,2人で分担して演奏会を行ったことがあるそうです。30数年後,こういう形で,また2人で分け合って登場する,というのは,「なんか良い話」だなぁと思いました。私も金大フィルの演奏は長年聞いているので,当時のプログラムなど残っていないか探してみたいと思います。

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