OEKのCD

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2017年12月3日 - 2017年12月9日

2017/12/09

#ミッシャ・マイスキー と #広上淳一 指揮OEKが共演したPFU創立30周年記念クリスマス・チャリティコンサート。マイスキーさんのニュアンス豊かで情熱を秘めた音をしっかり味わってきました。 #oekjp

毎年12月恒例のPFU主催のクリスマス・チャリティコンサートも,今年で30周年となります。オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の設立当初からずーっと毎年のように開催されている伝統ある演奏会です。今回は記念の年ということで,スペシャル版となり,世界でもっとも有名なチェリストの一人,ミッシャ・マイスキーと広上淳一指揮OEKが共演しました。定期公演でも実現していない,夢の共演が実現しました(ただし,調べてみると,海外公演ではマイスキーさんとOEKは共演しているようですね)。

前半後半とも,マイスキーさんの独奏が入る曲が最後に演奏されていたので,「マイスキーさんが主役」という内容の演奏会でしたが,曲の雰囲気に統一感があったので,とてもまとまりの良い構成になっていました。

私自身,マイスキーさんの演奏を生で聴くのは,今回が3回目だったのですが,過去2回については,結構後ろの座席で聞いたせいか,実はあまり印象が残っていません。今回もそれほど聞きやすい席ではなかったのですが(今回,座席は自分では選ぶことができず,少々苦手な(斜めに聞くのが苦手なのです)バルコニー席でした),音の方はよく聞こえました。改めて,素晴らしいチェリストだと思いました。そのニュアンス豊かで情熱を秘めた音をしっかり味わうことができました。

前半のハイドンのチェロ協奏曲第1番は,「地味にすごい曲」です。第1楽章は,屈託なく始まるのですが,さりげなく技巧的で,特に第3楽章は,超絶技巧的な感じになります。マイスキーさんのチェロの音には輝きがあり,特にぐっと音を弱くして意味深さを感じさせてくれるのが印象的でした。第2楽章ではしっかりとした歌を聞かせてくれました。呼吸が深く,息長く続くチェロの歌を堪能できました。第3楽章は,挑みかかるような速いテンポで,広上さん指揮OEKと一体になって,野性味のある演奏を聞かせてくれました。部分的にはちょっと粗いかなと感じさせる部分もありましたが,どの楽章についても,表現意欲とニュアンスの多彩さ,そして歌に溢れた演奏を聞かせてくれました。

後半最後に演奏された,チャイコフスキーの「ロココ変奏曲」は,さらにこなれた「十八番」といった演奏でした。広上/OEKによる,センシティブで憧れに満ちた序奏に続いて,くっきりと確信に満ちた主題が始まりました。この古典的な明快さに続いて,さり気なく深い表情を持った変奏が続きました。この曲でも弱音でじっくりと演奏される変奏での意味深さが素晴らしいと思いました。急速なテンポで演奏された,最後の変奏は,さすがに演奏するのは大変そうでしたが,最後の最後の部分では,少しテンポを落としており,歌舞伎の名優が見得を切って,決め台詞を言うような語り口の上手さを堪能できました。

マイスキーさんの髪の毛のボリュームは相変わらずでしたが,色の方はすっかり真っ白になっていました。その一方で,演奏の方は,気力に満ちており,円熟味を増しているなと感じました。こういうマイスキーさんとOEKの共演を聞くことができ,とても良かったと思いました。

その他のOEK単独で演奏された曲も楽しめました。

最初に演奏されたモーツァルトの「劇場支配人」序曲は,現在の「題名のない音楽会」で,テーマ曲として使っている曲です。意外に実演では聞く機会のない曲ですね。広上さんのテンポ設定は,大変どっしりとしたもので,大船にのった気分で,「ゴージャスに開幕」といった気分を伝えてくれました。

後半最初に演奏された,チャイコフスキーの「モーツァルティアーナ」は,チャイコフスキーがモーツァルトの曲をオーケストラ用に編曲した組曲です。最初の3曲が短く,4曲目だけが10分以上かかる変奏曲という,少々変わった構成の曲です。「ロココ変奏曲」の方も,古典志向の曲でしたので,取り合わせはとても良いと思いました。

とても聞きやすい曲でしたが,オーケストレーションすることによって,言葉は少々悪いですが,「のんべんだらり」とした緩い雰囲気の曲だと思いました。特に最後の変奏曲がそういう感じでした。しかし,そこがまた良いところで,木管楽器を中心とした各楽器の語らいを楽しむことができました。特に最後の変奏での,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんの独奏はかなり長大なもので,聞きごたえがありました。そして,曲が終わる直前に「ちょっと待ったー」という感じで入る,クラリネットの遠藤さんによる,鮮やかなソロも見事でした。広上さんの慌てない指揮ぶりで,堂々たるスケール感も伝わってきました。

アンコール曲は,マイスキーさんとオーケストラの共演で2曲演奏されました。1曲目は,チャイコフスキーのノクターンでした。ストレートにマイスキーさんのチェロの音の美しさとセンチメンタルな歌の味わいに浸ることのできる演奏でした。

2曲目は,サン=サーンスの白鳥が演奏されました。弦楽合奏とハープ伴奏版で聞くのは珍しいことですが,息の長い歌に酔わせてくれました。そして,弦楽合奏+ハープの伴奏ということで,聞いているうちに,マーラーの「アダージェット」と似た浮遊感があるなぁと思いました。

以上のとおり,マイスキーさんの魅力だけではなく,OEKらしさも感じられる曲が並んでいました。マイスキーさんについては,大編成のオーケストラと共演するよりは,小編成での演奏の方が個性を強く味わうことのできるアーティストではないかと思いました。というわけで,機会があれば是非,OEKとの再共演や音楽堂での室内楽公演を期待したいと思います。

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