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2018/01/30

「原田智子バッハを弾く」 さりげなく凄い,原田さんの無伴奏ヴァイオリンの世界に浸ってきました。

オーケストラ・アンサンブル金沢のヴァイオリン奏者,原田智子さんのリサイタルが,金沢市アートホールで行われたので聞いてきました。今回のプログラムは全部バッハ。その無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータの中から3曲が演奏されました。

原田さんのリサイタルは,過去に何回か聞いたことはあるのですが,「最初から最後までヴァイオリン1本だけ」というのは今回が初めてかもしれません。金沢で,バッハの「無伴奏ヴァイオリン」がまとめて演奏される機会は,少ないので,平日の夜でしかも雪が降っていたのですが,聞きに行くことにしました。

演奏の方は,この演奏会のタイトルである「原田智子バッハを弾く」そのまんまでした。原田さんは,予定調和的ではない,オリジナリティにあふれ,しかも説得力十分のバッハを弾ききっており,大変聞き応えがありました。

演奏された曲は,ソナタ第2番,パルティータ第2番,ソナタ第3番の3曲でした。パルティータ第2番の最後の楽章の「シャコンヌ」が特に有名ですが,すべての曲のすべての瞬間に原田さんの個性が出ていると感じました。この日配布されたプログラムには,原田さん自身が執筆した,大変分かりやすく,しかも内容のある素晴らしい解説が掲載されていました。演奏の方にも,その文章に通じるような,バッハに対する思い入れが反映されていると思いました。そして,それに見合った個性的な表現が取られていました。

原田さんの演奏には,のびのびとメロディを歌わせるというよりは,研ぎ澄まされた音を語るようにじっくりと積み重ねていくような趣きがありました。音楽がすっと流れていくというよりは,常に何かを語っているように感じました。ヴァイオリンの音はとてもよく鳴っていたのですが,たとえば,有名な「シャコンヌ」などでも,熱く燃えたぎるような感じにはならず,常にしっかりとコントロールされているような知的な雰囲気がありました。

表現の幅もとても広く,いくつかある弾き方の中から,「これだ」というスタイルを吟味して演奏していると感じました。ややぶっきらぼうな感じで強い表現を感じさせたり,曲の最後でフッと終わって虚無的な空気を漂わせたり,たとえば,ギドン・クレーメルあたりの演奏に通じるような現代性を感じました。センチメンタルでロマンティックな甘さとは別世界の,さりげなく凄いバッハでした。

各曲とも繰り返しをしっかり行っていたせいか,演奏時間がかなり長く,その点では少々疲れたのですが,それは心地よい疲労感でした。演奏後の原田さんは,何もなかったように平然とニコニコされていました。このように「さりげなく凄い」原田さんのバッハの世界を堪能できた公演でした。この際,無伴奏の「残りの3曲」の演奏会にも期待したいと思います。

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