OEKのCD

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2018年2月

2018/02/26

#マルク・ミンコフスキ 指揮 #レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル 金沢公演 メンデルスゾーン「イタリア」「スコットランド」他を独特の色合いで表現。懐の広さのある指揮者だなぁと期待が増しました。

土曜日から3日連続となる石川県立音楽堂通いです。本日は,9月からOEKの芸術監督に就任することが決まっているマルク・ミンコフスキさん指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーブルの来日公演が行われたので聞きに行ってきました。この公演は,OEKファンならずとも聞き逃すわけにはいきませんね。

プログラムは,メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」,交響曲第4番「イタリア」,第3番「スコットランド」の名曲3曲でした。プログラムには,序曲,第3番,第4番の順に記載されていたのですが,ミンコフスキさんらしく,直前に変更され,序曲,第4番,第3番の順に演奏されました。曲の長さ的には,変更後の方が「落ち着く」感じです。

レ・ミュジシャン・デュ・ルーブルの編成は,OEKを少し上回るぐらいの,「思ったより大編成」でした。公演を聞くのは2回目ですが,やはりメンデルスゾーンの曲をオリジナル楽器で演奏するとなると,これくらいが適正かなと思いました。楽器のピッチは,モダン楽器の場合よりも,やや低く感じました。特に管楽器については,オリジナル楽器ならではの,独特の落ち着きと素朴さを感じさせる音が印象的でした。

オーケストラ全体としても,磨き抜かれたつややかさというよりは,さらりとした軽さやほの暗さが基調となっていると感じました。というわけで,最初に演奏された「フィンガルの洞窟」,最後に演奏された「スコットランド」の雰囲気に特にぴったりだと思いました。色の発色はやや地味だけれども,微妙な色合いの変化と重なり合いが美しい,透明水彩といった趣きがありました。

メロディの歌わせ方については,熱くなり過ぎないけれども,所々,深い情感が沈潜していく部分もあり,どこかミステリアスな気分があります。これもミンコフスキさんならではの魅力だと思います。

その一方,「イタリア」の最終楽章,「スコットランド」の第2楽章などの急速楽章での,妥協のないテンポによる軽やかさもお見事でした。メンデルスゾーンにぴったりです。オリジナル楽器ということで,音程が取りにくそうな部分もあったのですが,それがまた,良い味付けになっているところもありました。

「イタリア」の3楽章の中間部に出てくるホルンの信号なども,途中,ゲシュトップフト奏法を使うなど,野趣たっぷりでした。「スコットランド」の最終楽章のコーダの部分もオリジナル楽器を使うことで勇壮さがさらに強調されていたと思いました。

「スコットランド」については,メンデルスゾーンの指示によると,各楽章間は連続的に演奏することになっていますが,本日の演奏では,「イタリア」についても同様のスタイルだったと思います。それどころか,前半最初に演奏された「フィンガル」と「イタリア」でさえ,連続的に演奏していました。通常,序曲が終わった後は,一旦,指揮者は袖に引っ込むのが普通ですが,ミンコフスキさんは,「フィンガル」終了後,拍手をしばらく受けた後,パッと「イタリア」を演奏し始めました。その他の楽章間もインターバルは短めでした。

こういう形で演奏することで,演奏会全体として「フィンガル」+「イタリア」≒「スコットランド」というバランスの良い構図になっていると感じました。

ミンコフスキさんの演奏については,どの部分をとってもミンコフスキさんらしさが浸透していますが,演奏全体として見ると,オーケストラのメンバーの自発性や演奏する喜びが感じられます。演奏の雰囲気についても,重苦しくならないけれども,随所に意味深さがある。スリリングさがあるけれどもシリアスになりすぎない...と相反するものが常に共存しているような,「懐の深さ」といって良いような不思議な魅力があると思いました。そして...この日も演奏曲順を急に変更したように,ミンコフスキさんには,常にお客さんを驚かせようという「茶目っ気」もあります。

まずは7月のドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」公演が大変楽しみです。そして,9月以降,芸術監督に就任した後は,OEKというオーケストラのあり方であるとか,金沢という都市全体にも影響を与えてくれるのではないか,と期待が広がりました。ミンコフスキさんへの期待がさらに大きくなった演奏会でした。

PS.本日は,演奏の直前に会場のお客さんに向けて,マルク・ミンコフスキさんから「ごあいさつ」がありました。ミンコフスキさんが「アンサンブル金沢」と発音すると,「ア」の音が鼻に掛かったようになり,「さすが(?)フランス人」と妙なところで感心してしまいました。

2018/02/25

音楽堂室内楽シリーズ #ピーター・ブレイナー 編曲・指揮によるOEKメンバーがソリストとして活躍するビートルズ・ゴー・バロック。念願の #カンタ さん独奏によるハイドンのチェロ協奏曲も楽しめました #NAXOS #oekjp

今年度最後の「音楽堂室内楽シリーズ」として行われた,OEKメンバーによる演奏会「ビートルズ・ゴー・バロック」を聞いてきました。この「ビートルズ・ゴー・バロック」というのは,1990年代にNAXOSレーベルから発売されたCDのタイトルです。ビートルズの作品をバロック音楽の合奏協奏曲風に編曲して楽しもうというコンセプトのアルバムで,世界的に話題を集めました。今回はそのCDの編曲と指揮を担当した,ピーター・ブレイナーさんを指揮者に招き,このCDに収録されている曲の中から数曲が演奏されました。

このブレイナーさんですが,実は,OEKの首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんとも旧知の仲で,約30年前に,カンタさんとブレイナーさんのコンビで,同じくNAXOSレーベルからハイドンのチェロ協奏曲集のCDをリリースしています。この録音は,「ジャズ風のカデンツァが突如出てくる!」ということで話題を集めました。今回は,ビートルズのアレンジものに加え,この「ジャズ風カデンツァ版」ハイドンも演奏されました。

というようなわけで,かなりマニアックであると同時に誰でも楽しめるコンサート...特にNAXOSレーベルのファンにとっては,興味津々のコンサートとなりました。

今回,「ビートルズ・ゴー・バロック」の中から3つの「合奏協奏曲」が演奏されました。それぞれ,ヘンデル風,ヴィヴァルディ風,コレルリ風という設定になっていました。この中では,ヴィヴァルディの「四季」のパロディだというのが,一目瞭然だったヴィヴァルディ風がいちばん分かりやすかったと思います。巧く溶け込みすぎていて,「本当にビートルズ?」といった曲もありましたが,バロック音楽とビートルズの相性の良さを改めて実感しました。

そして,OEKファンとしてうれしかったのは,ソリストが曲ごとに次々と交替していた点です。今回登場した,OEKのヴァイオリンとチェロのほとんどの方がソリストを担当していました。どこか,学校の授業中,順番に指名されて,立ち上がって発表をしていくような趣きがあり,見ていて楽しかったですね。

今回,最初に合奏協奏曲の「サンプル」として,ヘンデルの合奏協奏曲が1曲演奏されたのですが,それと全く同じ楽章数+ソリストでビートルズ風合奏協奏曲が演奏されたのも面白いと思いました。

演奏の方は,古楽奏法的な感じではなく,しっかりとヴィブラートを掛けて演奏していましたが,それがとても良いと思いました。ブレイナーさんの指揮の下,難しいことは言わず,のびのびと楽しんで演奏しましょうといったところがあり,バロック音楽の楽しさを気持ち良く感じることができました。

前半の最後は,もう一つの目玉のカンタさんの独奏による,ハイドンのチェロ協奏曲第1番が演奏されました。この曲を実演で聞くのは,昨年の夏以降,3回目なのですが,今回は1階席で聞いたこともあり,オーケストラとソリストとのやりとりの面白さを強く感じることができました。ジャズ風のカデンツァについては,意外にシリアスな感じで,ちょっと唐突かなと思いましたが,「滅多に聞けないものを聞けた」というお得感(?)がありました。平然と演奏された3楽章の超絶技巧も良かったのですが,2楽章でも暖かな歌は,カンタ+OEKならではのアットホームさだと思いました。

最後にオーボエの加納さんを加えての「この胸のときめきを」(この曲だけはエルヴィス・プレスリーの曲ですが)とフルートの松木さんを加えての「イエローサブマリン」が演奏されました。加納さんのオーボエですが,いつもにも増して,音が素晴らしく,客席には「うっとり」というオーラが漂っているのが見えるようでした。曲自体,ロックンロールではなく,もともとイタリアのカンツォーネ風の曲なので,マルチェルロのオーボエ協奏曲の第2楽章あたりと区別が付かないぐらいのハマり具合でした。

最後の「イエローサブマリン」は,もともと鼻歌風の曲なのですが,松木さんのフルートで演奏すると,どこかゴージャスになっていました。最後の方には,ブレイナーさんの合図の下,「ヘイ!」の掛け声も入り,楽しくお開きとなりました。

この日のプログラムは,「室内楽シリーズ」の枠を超えた編成で,音楽を聞く楽しさをしっかりと伝えてくれました。これを機会に,NAXOS提携(?)シリーズなどを期待したいところです。

2018/02/24

代役で登場した #マティアス・バーメルト 指揮OEK定期は夭逝作曲家特集。一本筋の通った力強さと味わい深さのある巨匠の演奏 #ジャスミン・チェイ さんのフルートは驚くほどの鮮やかさ #oekjp

2月後半のOEK定期公演フィルハーモニー・シリーズには,当初,OEK初登場となる,ヘスス・ロペス=コボスさんが登場予定でしたが,健康上の理由でキャンセルとなり,マティアス・バーメルトさんが登場しました。ロペス=コボスさんの演奏が聞けなかったのはとても残念だったのですが,バーメルトさん指揮による,この日の公演は,期待を上回る大変充実した内容でした。

プログラムは,アリアーガ,モーツァルト,尾高尚忠,シューベルトの曲ということで,夭逝の(若くして亡くなった)作曲家特集でした。このプログラムがまず魅力的で,古典的な明快さと同時に,どこか哀愁やドラマを感じさせる曲が並んでいました。

特に両端に演奏された,アリアーガとシューベルトの交響曲では,バーメルトさん指揮OEKによる,大変バランスの良い充実したサウンドが見事でした。バーメルトさんは,派手な演出は加えない,職人的な雰囲気のある指揮者ですが,随所に一本筋の通った力強さと味わい深さがあり,安心して音楽を楽しむことができました。室内オーケストラ的な精度の高さに加え,色々な要素を多彩に聞かせる幅広さとスケールの大きさを感じました。一言で言うと「巨匠」的な演奏だったと思いました。

シューベルトの交響曲第6番は,ハイドン,ベートーヴェン,ロッシーニを併せたような雰囲気の中に,シューベルトならではの瑞々しい歌をもった曲ですが,そこに堂々たる貫禄も加えたような演奏だったと思います。最初に演奏されたアリアーガの交響曲は,実演では初めて聞いたのですが,「スペインのモーツアルト」というニックネームに相応しい,大変魅力的な作品でした。「疾走する哀しみ」が魅力の曲ですが,バーメルトさんの指揮はしっかり抑制が効いており,曲自体の美しさをしっかりと伝えてくれました。この曲については,是非,OEKのレパートリーに加えてもらい,CD録音なども期待したいところです。

この日のもう一つの聞き物は,ジャスミン・チェイさんのフルートでした。ジャスミンさんは,6年前にOEKのフルート奏者として客演していたことがあります。その時から韓国のポップスターを思わせる華やかな雰囲気が印象的でしたが,その実力も素晴らしく,モーツァルトのアンダンテでは,曲想に相応しい,マイルドさとクリアさが共存したような素晴らしい音を聞かせてくれました。短い曲の中にさりげないドラマが潜んでいるような演奏でした。

尾高尚忠のフルート協奏曲も,実演で聞くのは初めてだったのですが,非常に魅力的な作品でした。イベールのフルート協奏曲あたりと組み合わせても違和感がないような,洗練された雰囲気と第2楽章でのエキゾティックな雰囲気とがバランス良く楽しめる曲です。ジャスミンさんの演奏は,曲の冒頭から才気煥発!といった生きの良さがあり,自在で滑らかな演奏を楽しませてくれました。

そして,ジャスミンさんの演奏では,アンコールで演奏された独奏曲が驚くべき演奏でした。フルート一本で列車が走っている様子を描写したような現代的な曲だったのですが,特殊奏法満載の凄まじい曲でした。音色自体多彩だったのですが,二つの音が出ているように聞こえたり,声が混じったり,叫び声が混じったり...ジャスミンさん以外演奏できるのだろうか?と思わせるほどでした。この曲を,楽々と楽しげに演奏。まさにフルート界のスターといった感じの魅せて,聞かせる演奏でした。

というようなわけで,プログラミング,オーケストラの演奏,独奏者のパフォーマンス...すべての点で大満足の演奏会でした。

2018/02/05

大雪の中,金沢市アートホールで,アンサンブル・ミリムによるバッハのモテット全曲演奏会を聞いてきました。「言葉」がしっかりと伝わってくる,聞き応え十分の演奏。そしてモテットの世界は多彩だと思いました。

本日の金沢は,朝からずっと雪が降り続き,「このまま降り続くと大雪になりそう」という状況で,出かけようかどうか迷ったのですが,バッハのモテット全曲を精鋭を集めた声楽アンサンブルの演奏で聞く機会は滅多にないことなので,がんばって(?)聞いてきました。

登場したのは,指揮者を含め12人編成の声楽アンサンブル,アンサンブル・ミリムです。アンサンブル・ミリムは,バッハ・コレギウム・ジャパン,東京混声合唱団,新国立劇場合唱団など,東京にあるプロの合唱団のメンバーによるアンサンブルということで,根本卓也さんの指揮のもと,美しさと強さを兼ね備えたような,大変質の高い音楽を聞かせてくれました。最初の「一声」を聴いただけで,パッと目が覚めるような鮮やかさがありました。

バッハのモテットの全曲をまとめて聴くのは今回初めてだったのですが,6曲を連続して聴いてみて感じたのは,「色々なタイプの曲があるなぁ」ということでした。最後に演奏された「主に向かって新しい歌をうたえ」の凜とした華やかさ,11曲からなる「イエスよ,わが喜び」のシンメトリーな感じの構成感。この2曲以外も,それぞれに生き生きとした表情を持っており,退屈することなく楽しむことができました。

アンサンブル・ミリムのメンバーは,個々のメンバーの声が素晴らしいので,各曲のクライマックスの部分などでは,ちょっとした声の饗宴に参加するような趣がありました。色々な声部の声が飛び交い,絡み合いながら,大きく盛り上がっていく感じが素晴らしいと思いました。この日の会場の,金沢市アートホールで聞くのにピッタリのボリューム感でした。

プログラムの中で,指揮の根本さんは「今夜お聞きいただく演奏は古楽に慣れた人々の耳からすれば荒っぽくもあり,合唱に慣れた人々の耳からすれば滑らかさに欠けるかも知れません。しかしそれは,全てバッハが語りたかった抑揚で皆さんに語りかけるための挑戦」といったことを書れていました。確かに(ドイツ語が分かるわけではないのですが),非常に明確に言葉が伝わってくるな,と感じました。

バッハの曲自体,強調したい語句を何回も何回も繰り返していたので,「言葉をしっかり伝える」という意味で,「バッハに忠実」な演奏なのだなと思えました。そういえば,「ミリム」という単語自体,ヘブライ語の「言葉」という意味だということも思い出しました。

アンサンブル・ミリムのメンバーは,12人中3人が石川県出身ということで,これからも「第2の故郷」という感じで,金沢公演を期待したいと思います。数年前のラ・フォル・ジュルネ金沢びテーマが「バロック音楽」だったのですが,例えば,その時聞いた,モンテヴェルディの声楽曲など,是非,もう一度聞いてみたいものです。いずれにしても...次回は,もう少し気候の良い時に聞いてみたいものです。(自分を含め)皆様お疲れ様でした。

2018/02/03

#井上道義 指揮OEK定期はショスタコーヴィチ,メンデルスゾーン,ヒンデミットを詰め込んだ充実のプログラム。特に #クニャーゼフ さんと共演したチェロ協奏曲第1番は底知れぬ凄みを持った記憶に残るような演奏 #oekjo

本日の午後は,井上道義さん指揮によるオーケストラ・アンサンブル金沢の定期公演マイスターシリーズを聞いてきました。井上さんは,3月いっぱいで音楽監督を退任することが決まっていますので,音楽監督として最後のマイスターシリーズということになります。

そのことを反映してか,非常に盛りだくさんで,編成も多彩。聴き応え十分の定期演奏会となりました。最初にヒンデミットの「エロスとプシュケ」序曲が生き生きと演奏された後,ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番,メンデルスゾーンの八重奏曲,ヒンデミットの交響曲「画家マティス」が演奏されました。どの曲も30分ぐらいの長さで聴き応え十分。井上道義さんの一押しの曲をずらっと並べたプような充実プログラムでした。

特に2曲目に演奏された,チェロのアレクサンドル・クニャーゼフさんと共演したショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番は,OEKの定期演奏史に残るような凄い演奏だったと思います。

曲の最初,いきなりクニャーゼフさんのチェロがゴツゴツとした感じで登場。まず,その音の凄みに一気に引きつけられました。何というか根源的な強さを持ったような音で,一見泥臭い雰囲気の中から,底知れぬ奥深さのようなものが伝わってきました。

第2楽章後半から第3楽章にかけては,チェロ協奏曲としては異例なほど長いカデンツァ風の部分になります。ちょっとしたピツィカート一つ取っても意味深さがあり,クニャーゼフさん自身の人生であるとか,ソ連~ロシアの歴史のようなものまで連想させるようなスケールの大きさを感じました。この部分の最後では,「技巧を超えたような技巧」といった独特の凄みのある雰囲気になりました。

この演奏を盛り上げるOEKの演奏も素晴らしいものでした。特にホルンはチェロの次に出番が多い感じで,朗々とした音で曲にアクセントを付けていました。ホルンは1本だけでしたので,ピアノ協奏曲第1番のトランペット的な役割に近い気もしました。演奏は,エキストラの女性奏者でしたが,クニャーゼフさんと対照的な真っ直ぐな音を聞かせてくれました。要所要所で,バシッと入るティンパニも効果的だったと思います。

曲は第4楽章の後半からは,第1楽章の再現のようになって,力強く終了します。この曲を実演で聞くのは...調べてみると約20年ぶりのことでしたが,改めて名曲だと思いました。

演奏会の後半は,メンデルスゾーンの八重奏曲で始まりました。この演奏は指揮者なしで,オリジナルどおりの8人編成で演奏されました。この日のゲスト・コンサートミストレスは,ベルリン・フィルの町田琴和さんで,この演奏も町田さんのリードで演奏されました。この曲については,音楽堂の交流ホールなどでは何回か聞いたことがあります。間近で聞くと,編成の大きな室内楽だけあって,いつも「熱さ」を感じていたのですが,今回はコンサートホールでの演奏ということで,より伸びやさを感じました。演奏全体に余裕があり,「大人のメンデルスゾーン」といった気分を感じました(ちなみに,この作品はメンデルスゾーン16歳の時の作品,というのも驚くべきことです)。

井上道義さんは,「大編成の曲も小編成の曲も入れられるのがOEKの魅力」と語っていました。確かにそのとおりです。演奏会の「箸休め」...というには立派な演奏でしたが,ショスタコーヴィチとヒンデミットという,やや疲れる曲の間に聞くには絶好の選曲だと思いました。

# その一方,この曲については弦楽合奏版というのもあるので,それを聞いてみたかったという思いもありました。

最後に演奏されたヒンデミットの「画家マティス」は,曲名は有名なのですが,実演ではあまり演奏されない気がします。私自身,実演で聞いたのは今回が初めてでした。聞いた印象は,「CDで聞くより,ずっと楽しめる。ヒンデミットは聞き映えがする」というものでした。通常のOEKの編成にかなりの数のエキストラが加わっており(第2ヴァイオリン以下の弦楽器を2人ずつ増強,ホルンを4人に増強,トロンボーン3本,テューバ1本を追加,打楽器4人ぐらいでしょうか),強奏したときの音に安定感と芯の強さがありました。

曲は中世の宗教画からインスパイアされた3つの楽章から成っています。宗教画の雰囲気にふさわしく,ロマンティックになりすぎずに色彩感を感じさせてくれるたが良いと思いました。各楽章ともに違った雰囲気がありましたが,やはり,金管楽器を中心に華やかに盛り上がる第3楽章がいちばん聞き映えがしました。

ヒンデミットについては,もっと地味で難解な印象を持っていたのですが,オーケストラの響きに浸る喜びを感じさせてくれるような曲でした。さらに井上/OEKの演奏には,交響曲という名前に相応しい密度の高さもありました。伸びやかさだけではなく,和音の美しさであるとか,各楽器のソロの受け渡しであるとかに,バランスの良さがあるのが良いと思いました。

美しいメロディが次々出てくる,といった曲ではないので,確かに親しみにくい部分もあったのですが,もっと評価されて良い作曲家だと思いました。ヒンデミットの曲では「ウェーバーの主題による交響的変容」あたりも,そのうち聞いてみたいものです。

井上道義さんの音楽監督としての在任期間も残りわずかとなってきましたが,本日の演奏は,最高の置き土産になるような演奏ばかりだったと思います。

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