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2018年5月

2018/05/31

#富田一樹 オルガン・リサイタル #石川県立音楽堂 のパイプオルガンをしっかりと鳴らした王道を行くようなバッハ演奏。プログラム全体として,統一感と多彩さを同時に楽しむことができました

富田一樹さんのオルガン・リサイタルが,石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。富田さんは,2016年のライプツィヒ・バッハ国際コンクールで優勝した方ということで,今回のプログラムも「ほとんどバッハ」というプログラムでした。

プログラムの構成としては,「前奏曲とフーガ」「トッカータ,アダージョとフーガ」「パッサカリア」などの重量感のある曲の間に,コラールなどの穏やかな感じの曲を配する絶妙の配置になっていました。前半後半とも,いかにもオルガン曲らしい,輝きと重厚さと力強さを持った曲の間に,1曲ごとに音色が変化する,柔らかな雰囲気を持った曲が挟まれていました。「トッカータとフーガ」「小フーガ」といった,超名曲が入っていなかったのも良かったと思います。プログラム全体として,統一感と多彩さを同時に伝えてくれました。

演奏された曲の中では,前半の最後に演奏された「トッカータ,アダージョとフーガ」と,後半の最後に演奏された「パッサカリア」が特に強く印象に残りました。

「トッカータ...」は3楽章からなるイタリア風の協奏曲の形式の曲でした。トッカータでのペダルだけによる迫力の演奏の後の,気力が充実した勢いのある音楽。アダージョの部分での少し甘さを持った静かな雰囲気。フーガの部分の輝かしさなど,変化に富んだ音楽を楽しむことができました。

「パッサカリア」の方は,この日演奏された曲の中でいちばん重量感のある曲で,荘厳な美しさ,日常とは別世界のような巨大な建築物に入ったような雰囲気を味わうことができました。いちばん最後の音はとても長く伸ばしており,演奏会全体を締めてくれました。

バッハ以外のブクステフーデ,パッヘルベル,シェイデマンの曲も,それぞれに特徴的で,演奏会全体の中でアクセントになっていると思いました。

これまであまり馴染んでこなかった,オルガンによるコラールも味わい深いと思いました。日常的には,寝る前などに聞いてみると,敬虔な気分で熟睡できそうな感じがしました。

石川県立音楽堂コンサートホールでのパイプオルガンだけでのリサイタルというのは,久しぶりの気がします。今回,富田一樹さんによる,王道を行くようなバッハ演奏を聞いて,年数回は,こういう演奏会に来て,気分を引き締めるのも良いかなと思いました。

2018/05/26

OEKオーボエ奏者 #加納律子 さんの初リサイタル。バロック音楽って良いものですねー。加納さんの金沢での20年が凝縮された,素晴らしい公演でした。#oekjp

オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のオーボエ奏者,加納律子さんのリサイタルが金沢市アートホールで行われたので聴いて来ました。加納さんは,OEKに入団して20年とのことです(早いものです)。今回は,それを記念しての初リサイタルということになります。

初リサイタルというのは意外だったのですが,その分,加納さんが演奏したいと思っているバロック音楽を集めてのプログラムとなりました。OEKファンとしては聞き逃せきません。今回配布されたプログラムの解説(とても分かりやすく,充実した内容でした)に書かれていたとおり,バロック音楽は,もともとバロック時代のオーボエを想定して書かれています。現代のオーボエは高性能であると同時に,演奏するのに非常にエネルギーが必要ということで,現代の楽器でバロック音楽を演奏することは,見た目以上に重労働のようです。

しかし,今回の加納さんの演奏は,そういう「大変さ」を感じさせることはなく,通奏低音のメンバーやOEKのフルート奏者の松木さやさんと共に,晴れやかで鮮やかなバロック音楽の世界を楽しませてくれました。

今回演奏された曲は,ヘンデルのオーボエ・ソナタ第3番へ長調,ヴィヴァルディのオーボエ・ソナタ ハ短調,C.P.E.バッハのトリオソナタ ニ長調,Wq.151,クープランのコンセール(新コンセール)第6番,J.S.バッハのオーボエ・ソナタ ト短調,BWV.1030bということで,一般的には知られていない曲ばかりでしたが,小ホールで聴くオーボエを中心とした室内楽は大変聴き応えがあり,存分に楽しむことができました。加納さんのオーボエの音は,OEKの中で聴いている時同様,真っ直ぐで,力のある気持ちの良い音でした。

最初のヘンデルのソナタは,メヌエットで終わる変わった構成の曲でしたが,上品な華やかさのある世界を楽しませてくれました。

ヴィヴァルディの曲は,全体にほの暗い歌に溢れていると同時に,技巧的な作品でした。最終楽章など,息継ぎをしているのかな?というぐらい吹きっぱなしでしたが,加納さんの演奏は余裕たっぷりでした。今回の通奏低音は,チェンバロの辰巳美納子とチェロ(エンドピンのないチェロでした)の懸田貴嗣さんが担当していましたが,どの曲でも,その安心感のあるベースの上に,加納さんがしっかりとコントロールされながらも,迫力たっぷりの音を聴かせてくれました。

前半最後のC.P.E.バッハの曲は,古典派に一歩近づいているだけあって,今回演奏された曲の中で,いちばん聞きやすい作品でした。そして,この曲では松木さんのフルートもお見事でした。加納さんの「妹分」という感じで,ぴったりと息の合った,「極上のハモリ」を聴かせてくれました。演奏後の加納さんのトークで,「実は,今日が私とさやちゃんの誕生日」という秘密(?)が披露されましたが,相性の良さの理由はここに合ったか,と妙に納得してしまいました。

後半はクープランのコンセール第6番が演奏されました。プログラムの解説を読んで,第4曲「悪魔のエール」というのが気になったのですが...「どこが悪魔?」という感じでした。曲の方は,ヘンデル,ヴィヴァルディとまたひと味違った,軽やかな明るさのようなものがあり,フランス王宮の雰囲気(と想像しているだけですが)に浸ることができました。

そして,最後は「やっぱり締めはJ.S.バッハ」という感じで,チェンバロとの組み合わせでソナタが演奏されました。元々はフルート・ソナタで,こちらのバージョンでは聴いたことのある曲でしたが,「まさに名品」という感じの,充実感がありました。フルート版とはまた違ったつややかさがある一方,チェンバロの辰巳さんと一体となって,対位法的な音の絡み合いを楽しませてくれました。

今回,加納さんは,地元の作家・安井美星さんのデザインした,和風テイストのある美しいドレスで演奏しました。こういう取り組みも素晴らしいと思います。演奏後,加納さんは「金沢に来て20年」の感謝の言葉をお客さんに伝えていましたが,今日の会場には,加納さんを応援しようお客さんが大勢集まっていました。加納さんの真摯にオーボエを演奏する姿が,しっかりと金沢のお客さんにも受け止められているのだと思います。

加納さんにとっては,今回が初めてのリサイタルとのことでしたが,これを機会に第2回,第3回...と続けて欲しいと思います。この日はOEKメンバーの姿を客席で見かけましたが,OEKの木管楽器メンバー総出演の演奏会があっても面白そうだと思いました。

2018/05/17

#池辺晋一郎 が選ぶクラシック・ベスト100 第4回  #小林沙羅 さんの歌を加え,#田中祐子 指揮OEKを中心に,色々な編成でフランス音楽を多彩に楽しませてくれました。平日の夜にぴったりかも #oekjp

OEKのファンタスティック・オーケストラコンサートシリーズで定期的に行われている「池辺晋一郎が選ぶクラシック・ベスト100」の第4回目が行われたので,聞いてきました。

この「ベスト100」シリーズは,毎回テーマを決めて,池辺さんが選ぶ「聴き所たっぷりの20曲」を演奏するというものです。今回のテーマはフランス音楽でした。このシリーズについては,池辺さん自身が「(全曲を演奏しない曲もあるので)欲求不満コンサートです」と語っていたとおり,「少々中途半端かな?」と思い,これまでは聞きに行かなかったのですが,今回初めて聞きに行ってみて,むしろ「通常のコンサートにはない豪華さがある」と感じました。

OEKは室内オーケストラなので,大編成の曲を演奏するのは(予算的に?)難しいのですが,それを逆手に取るように,室内楽曲が出てきたり,ピアノ伴奏の歌曲が出てきたり,バロック音楽があったり近代の曲があったり...大変変化に富んだ編成になっていました。交響曲が少ないフランス音楽の世界にぴったりの選曲だったように思いました。

聞く前は,「どの曲も途中で終わるのだろう」と予想していたのですが,大半の曲はしっかりと全曲を演奏していたと思います。例えば,10分近く掛かる,ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲など,OEKが滅多に演奏しない曲もしっかり全曲を演奏してくれたのも嬉しかったですね。この曲は,私がクラシック音楽を聞き始めた最初期の小学校高学年の頃に聞いた思い出の曲です。田中祐子さん指揮のキビキビとした気持ちよい指揮で爽快に楽しませてくれました。

ちなみにこの曲の打楽器なのですが,タンバリンが2人居たように見えました。これが沸き立つ躍動感のスパイスになっているんだなぁと実演を見て気づきました。

ソリストとして登場した,ソプラノの小林沙羅さんは,金沢ではすっかりお馴染みの歌手です。私自身,密かに(別に隠す必要はありませんが)応援している歌手の一人ですが,今回,聞きに行ったのも「小林さん目当て」の部分がかなりありました。小林さんは,予想以上に出番が多く,嬉しくなりました。その瑞々しさと華やかさを兼ね備えた歌をしっかり楽しむことができました。

小林さんが歌った曲は,グノーの歌劇「ファウスト」の中の「宝石の歌」(これも一度実現で聞きたかった曲でした),グノーの歌劇「ロメオとジュリエット」の中の「私は夢に生きたい」。さらに松井晃子さんのピアノ伴奏でデュパルクの「旅への誘い」,アーンの「妙なる時」,フォーレの「夢のあとに」,サティの「ジュ・トゥ・ヴ」が歌われました。まさに,フランス名歌曲集といった趣きがあり,この部分を聞いただけでも来た甲斐があったと思いました。

アーンの「妙なる時」だけは,全く聞いたことのない曲だったのですが,池辺さん自身の思い出の作品&お薦めの作品とのことでした。その言葉どおりの愛すべき作品でした。こういった曲に巡り会えたのも大きな収穫でした。

オーケストラ演奏の合間に,室内楽曲がかなり沢山演奏されていたのも特徴でした。今回は,ゲストコンサートマスターとして松浦奈々さんが参加していましたが,松浦さんを中心としたメンバーで,フランクのヴァイオリン・ソナタの一部,ドビュッシー&ラヴェルの弦楽四重奏の一部などが変奏されました。室内楽曲については,あえて完結感を無くし,「途中で終わりましたよー」という感じで終わっていたのも面白かったですね。池辺さんのお話だと,「もっと聞きたいと思わせる作戦」とのことでした。

室内楽編成の曲では,OEKの管楽メンバー5人+田島睦子さんのピアノで演奏された,「クープランの墓」のリゴードンが素晴らしい演奏でした。フランスの有名な管楽アンサンブルに「レ・ヴァン・フランセ」というアンサンブルがありますが,それと同じ編成だと思います。OEKの室内楽シリーズでも聞いた記憶はありますが,この編成で,また色々な曲を聴いてみたいものだと思いました。

OEKの演奏した曲では,池辺さんが語っていたとおり,フルートとハープが大活躍する作品が印象的でした。列挙すると,ビゼー「アルルの女」組曲第2番のメヌエット,ドビュッシー「小組曲」の「小舟にて」,フォーレの「ペレアスとメリザンド」のシシリエンヌという具合で,フルート音楽のファンには堪えられない,フルート名曲集になっていました。OEKの松木さんの,プリマドンナを思わせる豊かさのある演奏もお見事でした。

最後はドリーブのバレエ音楽「コッペリア」の中のマズルカが力強く演奏されてお開きと成りました。

全部で20曲も演奏したのですが,落ち着きのない細切れ感がなく,むしろ,大変じっくりとフランス音楽を楽しむことができました。一曲ごとが短く,疲労感も少なかったので,平日の夜に楽しむのにもぴったりだったと思います。

このシリーズ,食わず嫌い(?)でこれまで参加してこなかったのですが,個人的にはどなたにもお薦めできる内容だったと思います。楽器編成がコロコロ代わるので,演奏者の椅子のセッティングの変更がものすごく多いなど,裏方の仕事は大変だったと思いますが(恐らく,楽譜を揃えるのも大変だし,リハーサルも大変だったのではないかと思います),その労力に見合うだけの,楽しくて聞き応えのあるコンサートになっていたと思います。あと1回ありますので(テーマは...忘れました),是非聞きに行ってみたいと思います。

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