OEKのCD

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2018/07/07

2017/18 OEK定期公演マイスターシリーズのトリは,#アレクサンダー・リープライヒ さんの指揮。メタモルフォーゼンとジークフリト牧歌の対象的な気分に加え,「ベートーヴェンは爆発だ!」といった感じの新鮮な交響曲第1番。室内オーケストラらしい素晴らしい内容でした #oekjp

全国的に梅雨前線による大雨が続く中,2017/2018のOEK定期公演マイスターシリーズのトリとなる,アレクサンダー・リープライヒさん指揮による演奏会を聞いてきました。リープライヒさんは,毎年のようにOEKに客演している,ドイツ出身の「常連」指揮者です。

今回のプログラムは,マイスターシリーズの通しテーマ「ドイツ,音楽の街」にちなみミュンヘンがテーマでした。リープライヒさん自身,ミュンヘンで活躍されていたということがまずポイントになりますが,今回演奏された3曲の中では,特にリヒャルト・シュトラウスの「メタモールフォーゼン」がミュンヘンにちなんだ作品です。それに加えて,ワーグナーの「ジークフリート牧歌」とベートーヴェンの交響曲第1番が演奏されました。

今回の公演は,「協奏曲なし」で,シュトラウスについては弦楽合奏のみ,ワーグナーについては,管楽器が少なめ。さらにトリがベートーヴェンの交響曲第1番ということで,かなり地味目の内容でしたが,その分,室内オーケストラとしてのOEKの本領が発揮された公演だったと思います。

まず,前半に演奏されたメタモルフォーゼンですが,「23の独奏弦楽器のための」とサブタイトルに書かれているとおり,一見、普通の弦楽合奏のように見えながら,実は23人全員が独立したパートを弾くという独特の書法で書かた作品です。今回は,配置も変わっており,正面奥にコントラバス3人,上手側の奥にヴィオラ5人,その前にチェロ5人。下手側にヴァイオリン10人が並ぶというレイアウトでした。チェロ以外は全員立ったままで,「全員がソリスト」的な扱いになっていました。

この編成のとおり,小編成の割に中低音が充実しており,演奏全体にもほの暗い気分が漂っていました。そして,戦争の記憶についての「悲しみ」を秘めた,「滅びの美」のようなものが緻密に描かれていると感じました。途中,音楽がやや明るくなる部分でも,「タタタ・ター」というベートーヴェンの「英雄」の葬送行進曲を思わせるモチーフが執拗に繰り返され,色々な音が飛び交っていました。その立体感が素晴らしいと思いました。実演ならではの面白さでした。最後の部分では,本物の「葬送行進曲」のモチーフが出てきて,荘厳な感じで締めてくれました。確かに,重苦しい作品でしたが,その中に時折,シュトラウスならではの甘さが入り,「ビター&スイート」風味になっていたのも良かったと思いました。

続くワーグナーの「ジークフリート牧歌」の方は,ワーグナーにしては例外的に爽やかな作品です。妻ゴジマへの「朝起きたらびっくり。サプライズ誕生日プレゼント」ということで,冒頭から朝のすがすがしさがあると思いました。前半に演奏された「メタモルフォーゼン」とは対照的な澄んだ世界が広がりました。

この曲をOEKが演奏するのは,意外に少ないのですが,OEKにぴったりの作品です。透明感のあるクールな弦に,ソリスティックに管楽器が彩りを加える感じが最高でした。さらにホルンのソロが加わると,ワーグナーの楽劇の気分がほのかに漂うのも良いですね。最後の方ではトランペットも加わるのですが,他の楽器に溶け合いながらもしっかり聞こえてくる音色が素晴らしいと思いました。

全曲を通じて,平穏な世界をしっとりと描いた「誠実な思い」の籠もったプレゼントになっていたと思いました。

トリに演奏されたのは,ベートーヴェンの交響曲第1番でした。考えてみると,作曲された年代はだんだん古い作品になる並びのプログラム構成でしたが,古い作品ほど,編成が大きいというのが,とても面白いと思いました。そして,このベートーヴェンはトリにふさわしい聞き応えがありました。リープライヒさんの個性が大変よく現れた素晴らしい演奏だったと思います。

第1楽章の冒頭から,音楽全体にしなやかさ,力強さ,勢いがありました。リープライヒさんの指揮は過去何回か聞いてきましたが,常に音楽がビシッと引き締まっており,クールな雰囲気があります。その感じが実に新鮮でした。第3楽章は一応「メヌエット」楽章ですが,スケルツォそのものでした。トリオの部分の木管のハーモニーの部分が大好きなのですが,この部分での美しいレガートも素晴らしいと思いました。

この演奏では,バロックティンパニを使っていました。時折聞かせるその強烈な響きも大変効果的でした。第3楽章の後,その勢いのまま,アタッカで第4楽章に入っいましたが,その最初のティンパニの一撃には驚きました。第1交響曲にして「あっと言わせてやろう」というベートヴェンの気概が伝わってくるような力強さがありました。

全体の響きはクールで硬質だけれども,音楽の底には常に熱いものが流れている。そして時折,思いが爆発する。そういう感じの演奏だったと思います。

アンコールでは,モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲が演奏されました。ベートーヴェンの交響曲第1番に通じる,前向きで,カチッと引き締まった気分があり,この日のアンコールにぴったりだと思いました。

OEKは前日の夜(!)に名古屋公演を行い,その後,移動し,本日の午後に金沢公演を行ったのですが,大雨のせいで移動は大変だったのではないかと思います(楽器の搬送も)。関係者の皆様お疲れ様でした。

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