OEK富山特別公演 今年はベートーヴェンの #ミサ・ソレムニス。#山下一史 さんの指揮,#合唱団OEKとやま の歌唱はバランスよく爽快。ゲストコンサートマスター #荒井英治 さんのソロもお見事 #oekjp
本日は富山市で行われた,合唱団OEKとやまとオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)富山特別公演を聞いてきました。昨年はヴェルディのレクイエムが演奏されましたが(あれから早くも1年なんですね),今年はそれに匹敵する大作ベートーヴェンのミサ・ソレムニスが演奏されました。
金沢では,石川県音楽文化協会の合唱団が毎年12月に第9とセットでこの曲を演奏していますので,個人的にはお馴染みの作品ですが(この年末公演のおかげで大好きな作品になりました),オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)にとっては,演奏するのは久しぶりだと思います。
今回は,「富山での夏のミサ」公演ではお馴染みの山下一史さん指揮でこの大曲が演奏されました。大曲といいつつ,実は,本日の演奏は,予想以上にテンポの速い演奏で,CD1枚に収まるテンポだったと思います。会場での事前アナウンスでは80分を予定と言っていましたが,75分ぐらいだったと思います。その一方で,慌てた感じはなく,じっくりとこの曲を楽しませてくれた,という実感が残りました。
山下さんは,若い頃,往年の大巨匠,ヘルベルト・フォン・カラヤンのアシスタントをされていましたが,その師匠譲りの充実感の残るミサだったと思います(カラヤンはこの曲を何回もレコーディングしていますね)。冒頭「キリエ」の和音から,合唱のボリューム感がホールのサイズにぴったりで,バランスよく,しっかりと祈りの音楽へと導いてくれました。
ソリストの方は,昨年同様,藤原歌劇団の皆さんでしたが,ソプラノの川越塔子さんとテノールの中鉢聡さんについては,「押しが強すぎ」といったところがあり,ややバランスが悪い気がしました。恐らく,オペラならば丁度良かったと思うのですが,声がダイレクトに飛び込んでくる富山県民会館で聞くと,特に川越さんの声は,かなり大仰な感じに聞こえました。その一方,お馴染みメゾ・ソプラノの鳥木弥生さんの声は,最終楽章の「ミゼレーレ」の部分をはじめ,染みこむような声を聞かせてくれました。バリトンの豊嶋祐壹さんは,他の3人に比べると,ややインパクトが弱い印象でした。
今回の演奏では,グローリアやクレドの後半に出てくる,フーガの部分のテンポの速さが特徴だったと思います。その点で「合唱団OEKとやま」の皆さんは大変だったと思うのですが,その躍動感のある表現からは,「晩年のベートーヴェン」というよりは,「フランス革命の時代のベートーヴェン」といった前向きの気分伝わってきました。
今回の公演のMVPと言っても良いのは,サンクトゥスの途中「ベネディクゥス」の部分に出てくる,コンサートマスターのヴァイオリン・ソロだったかもしれません。プログラムに名前がクレジットされていなかったのが大変残念だったのですが,東京フィルのコンサートマスターの荒井英治さんがゲストコンサートマスターで(だったと思います),安定感たっぷりの「至上のオブリガード」を聞かせてくれました。最初はフルートと一緒に出てくるのですが,OEKの岡本さんとの息もぴったりで,天井から精霊がそっと降りてくるようなミステリアスな美しさのある音楽を聞かせてくれました。
最終楽章の「平和への祈り」は,もしかしたら「8月に聞く」のに相応しいのかもしれません。ティンパニとトランペットがフランス革命的なムードを盛り上げた後に続く,平和への祈りを込めた音楽は,ベートーヴェンの作品の中でも特に好きな部分です(交響曲第6番「田園」の最終楽章と通じる気分があると思います)。本日の演奏には,爽快な爽やかさを感じました。
というわけで,今年もまた「大曲」をしっかりと楽しむことができました。OEKの夏休み企画として,是非,これからも定着していって欲しいと思いました。
PS. 本日はせっかく富山市に来たので,演奏会の前に,富山県水墨美術館にも寄ってきました。平屋建ての贅沢さを感じさせる,大人向けの素晴らしい美術館でした。これにつては,また別途ご紹介しましょう。
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