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2018/08/19

本日は石川県立音楽堂で講談&オペラ「卒塔婆小町」(神田松之丞+田中祐子指揮OEK,家田紀子,小林由樹他)とIMAライジングスター・コンサートをハシゴ

本日は午後から久しぶりに石川県立美術館に出かけ,講談&オペラ「卒塔婆小町」といしかわミュージック・アカデミー(IMA)のライジングスター・コンサートをハシゴしてきました。

石川県立音楽堂の邦楽ホールでは,年1回ぐらいのペースで,「日本人作曲家による室内オペラ」の上演を行っています。昨年は,落語の「死神」と池辺晋一郎さん作曲によるオペラ版「死神」を組み合わせた公演がありましたが,今年は,「卒塔婆小町」がテーマです。

この作品は,もともとは能として作られたものですが,三島由紀夫が「近代能楽集」の1つとして戯曲に翻案したものもあります。今回のオペラも,この三島版に基づいたもので,作曲者は石桁眞禮生です。演奏時間は45分程度ということで,それと組み合わせる形で,前半では,講談師の神田松之丞さんによる,新作講談「卒塔婆小町」が披露されました。

この松之丞さんの講談ですが,オリジナルの能を翻案したものでした。この点については,すべて松之丞さんに「お任せ」になっていたようで,その辺の裏話(1週間前に完成!)が,「アフター・トーク」で披露されました(アフター・トークは,演劇の後に行われることが近年増えているのですが,とても良い企画だと思いました)。

講談を聞く機会は,金沢では非常に少ないのですが,まず松之丞さんの声に惹かれました。マイクは使っていましたが,小さな声の部分でもクリアに染み渡るようにセリフが聞こえました。「講談は,ストーリーを克明に表現するもの」と説明されていましたが,まさにそのとおりでした。スラスラとセリフが連なっていくのを聞くのが心地良かったですね(「男はつらいよ」の寅さんのイメージ)。要所要所で,台をパンパンと叩くのも講談ならではの手法です。これもまた新鮮でした。「ストーリーの流れを作り,盛り上げていく」という点で,オペラに共通する部分もあると思いました。

ストーリーの方は,オリジナルの能に基づいているだけあって,ひんやりとした感触のある深さのようなものを感じました。マクラの部分は,落語を聞くような面白さでしたが,その後は,しっかりと古典を聞いたような充実感が残りました。

後半のオペラの方は,小編成のOEKがピットに入り,かなりしっかりとした大道具のある舞台で演じられました。衣装の方も現代風になったり鹿鳴館風になったり,変化に富んでいました(1回だけの上演にはもったいないぐらい)。全体は1幕構成でしたが,途中,鹿鳴館時代にワープする(この辺の時空を超える辺りが,能と共通する部分ですが)場が入っていましたので,全体は3部構成という感じでした。

音楽の方は,覚えやすいメロディが出てくる感じではなかったので,「現代音楽」風の難解さもありましたが,特に中間の鹿鳴館の場では,ワルツが出てきたり(男女ペアのダンサーも登場していました),小町と詩人の熱い歌が出てきたり,聞き応えがありました。歌手については,この小町(老婆)役の家田紀子さんと詩人役の小林由樹さんを中心に迫力のある声を聞かせてくれました。コンパクトな大きさの邦楽ホールならではの良さだと思います。特に家田さんの方は,最初と最後は老婆役,中間部ではドレスを来た「小町」役ということで,45分の間で,若さと老いと演じ分けており見事でした。

田中祐子さん指揮のOEKは,小編成の割に打楽器と沢山使っていたこともあり,大変ダイナミックで色彩的なサウンドを聞かせてくれました。邦楽ホールでのオペラ上演は,この点でもメリットがあると思います。

「三島作品を通して存在する「命」とそこにつながる「愛と美」を考えさせてくれる」と演出の知久晴美さんは,プログラムに書かれていました。実のところ,なかなかそこまで理解できなかったので,講談の内容と合わせて,今からしっかりと反芻してみようと思います。

アフタートークの中で,講談とオーケストラのコラボのことが半分冗談交じりで語られていましたが,実際,この邦楽ホールに特にぴったりだと思うので,実現することを期待したいと思います。既存のオペラを講談+室内オペラに編曲するというのもありだと思います(「ガル祭」の企画でも良いかも)。

アフタートークの後,今度は交流ホールに移動し,IMAライジングスターコンサートを聞いてきました。このコンサートも毎年恒例です。今年も,IMAで講習を受けている,日本と韓国等の若手演奏家たちの水準の高い演奏を楽しむことができました。

今回登場したのは次の人たちです。
ナキョン・カン,外村理紗,エイミー・M・オ,吉江美桜,ドンヒュン・キム(ヴァイオリン),牟田口遙香(チェロ),ジュヒ・イム(ピアノ)

昨年に続いて登場した方も多かったのですが,技術的には全く問題がなく,安心してその表現を楽しむことができました。特に印象に残ったのは,吉江美桜さんが演奏した,エルンストの「魔王」でした。シューベルトの「魔王」の歌唱部分と伴奏部分を一人で演奏するような凄い曲です。以前にも聞いたことはありますが,ヴァイオリンの作り出す多彩な音を駆使した音のドラマになっていました。

最後に演奏されたショーソンの「詩曲」も,このコンサートによく出てくる曲ですが,次第に熱気を帯びてくるように盛り上がるドンヒュン・キムさんの演奏は迫力十分でした。

IMAについては,あさって火曜日に,講師の先生方による室内楽公演があるので,こちらも聞きに行こうと思います。

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