OEKのCD

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2018年9月

2018/09/23

9/20の定期に行けなかったので,本日は大阪 #ザ・シンフォニー・ホール まで遠征し #川瀬賢太郎 指揮OEKを聞いてきました。筋肉質で引き締まってクリア,全身全霊を込めたベートーヴェン「運命」。さすがとしか言えない #小山実稚恵 さんのモーツァルト。大満足です。 #oekjp

9月20日に石川県立音楽堂コンサートホールで行われた,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の2018/19シーズンの開幕の定期公演に残念ながら行けませんでしたので,大阪への日帰り小旅行を兼ねて,ザ・シンフォニー・ホールでの大阪公演を聞いて来ました。指揮は,9月からOEKの常任客演指揮者に就任した川瀬賢太郎さん,ピアノ独奏は,日本を代表するピアニストの一人,小山実稚恵さんでした。

本当は,金沢の定期公演がそのまま大阪公演に振り替えてもらえるとともて良かったのですが,金沢公演のチケットを返却して音楽堂マネーに交換した上で,改めてチケットぴあで購入しました。その席ですが,私自身,これまで座った中でも「最高!」と思える席になってしまいました(自分で選んだのですが...)。図らずも,OEKの素晴らしさと同時に,日本初のクラシック音楽専用ホールの素晴らしさも実感できました。

今回のプログラムですが,常任客演指揮者に就任した川瀬さんの,ご挨拶がわりのプログラムであると同時に,OEKファンからすると,川瀬さんはOEKのコアなレパートリーであるウィーン古典派の作品でどういう解釈を聞かせてくれるのだろうか,という試金石のような内容でした。そしてその結果は...期待を上回るような,素晴らしさでした。

メインで演奏されたのは,クラシック音楽のコア中のコアである,ベートーヴェンの交響曲第5番でしたが,冒頭の「運命のモチーフ」からスリムに引き締まっており,無骨だけれども新鮮さのある音を聞かせてくれました。テンポはそれほど速い感じではなく,最終楽章などでは,じっくり,しっかりと音を鳴らし切りましょう,といったメッセージが指揮全体から伝わってきました。そして,実際,そのとおりの音が出ていました。

演奏後,コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんが,疲れ切った感じで川瀬さんと握手をしていましたが,見ていて(今回,かなり近くの席だったのです),音に対する集中度の高さとそこから出てくる熱量の高さが凄いと思いました。それでいて,音楽全体としては,がっちりと無骨にまとまった古典派の交響曲を聞いたなぁという実感が残りました。

OEKメンバーの個人技を聞かせる部分もしっかり作り(オーボエの加納さんの演奏など,協奏曲のカデンツァを思わせるボリューム感がありました),要所要所では,パンチ力とスパイスを効かせていました。第4楽章のピッコロなど,ピリーッとしていましたね。

この作品については,「今さら「運命」?」と思われることもあるかもしれませんが(ただし,トロンボーン3本とコントラファゴットが入るので,OEKは比較的演奏していないかもしれません),改めて,OEKの中心レパートリーとなる重要な作品だなぁと思いました。

最初に演奏されたハイドンの交響曲第90番についても,基本的なコンセプトは,「運命」と同じで,例えば,第1楽章に出てくる「タタタタタタ」という基本モチーフが,緻密にクリアに演奏されて,音楽ががっちりかつ瑞々しく構築されていくのが心地良かったですね。この曲では,いつものことながら,フルートの松木さんの高級なシルクの肌触り(...何となく書いているのですが)といった感じの音が素晴らしかったですね,聞く人の気持ちを幸せにするような音でした。

そしてこの曲の最大のポイントは最終楽章です。ここではネタをばらしてしまいますが,「終わった!」と見せかけて,「まだ続くよー」というハイドンならではのユーモアが入っています。川瀬さんはご丁寧に「終わりましたよー」と客席を振り返る動作を見せ,しっかり拍手が入ったのを確認した後,「ノーノーノー...実はまだ続くんです」という動作を見せて,曲を再開。この時の,オーボエの水谷さんによる「引っかかりましたねヘッヘッヘー(私にはそう聞こえました)」という感じのユーモラスな演奏も最高でした。「川瀬さん,おぬしも人が悪いのぉ」と言いたくなるような役者ぶりでした。

さらに「今度こそおしまい」と思わせて,再度拍手が入ったのですが...再度「ノーノーノー」の動作。楽譜の指定がどうなっているのか知らないのですが,いつもより多めに騙された感じです。というわけで,今回のハイドンの90番にニックネームを付けるならば,「二度あることは三度ある」「三度目の正直」もしくは「人間不信」といったところでしょうか。大変楽しいパフォーマンスに1曲目から大きく盛り上がりました。

そして2曲目には,小山実稚恵さんのソロを交えてのモーツァルトのピアノ協奏曲第20番が演奏されました。小山さんについては,ラフマニノフの大曲などもバリバリ弾きこなすロマン派の大曲がレパートリーのメインのピアニストだと思っていたのですが,今回のモーツァルトもお見事でした。

モーツァルトならではのシンプルなメロディをさらりと弾くだけで味がありました。この曲については,ベートーヴェンがカデンツァを書いており,ほぼデフォルトになっています(この日もこのカデンツァでした)。曲全体にもベートーヴェンに通じる気分が漂っています。小山さんのしっかりとした強さのあるタッチは,そのムードにぴったりでした。第1楽章,第3楽章終盤のカデンツァから終結部にかけての,音の迫力が特に素晴らしいと思いました。

その一方,第2楽章で聞かせてくれた軽みのある清潔感のある歌も印象的でした。小山さんはアンコールで,バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の第1曲のプレリュードを本当に美しいタッチで聞かせてくれましたが,古典回帰,バロック回帰の新境地を築きつつあるのかもしれません。というわけで,この曲もまた大満足でした。

今回の公演では,ハイドン,モーツァルト,ベートーヴェンの3人の大作曲家の「持ち味」を聞かせつつ,その上に川瀬さんらしさ,小山さんらしさも楽しませてくれました。10月の定期公演でも,ユベール・スダーンさん指揮,堀米ゆず子さんのヴァイオリンで,ウィーン古典派の曲を中心としたプログラムが取り上げられます。ミンコフスキさん指揮による,フランス音楽なども楽しみですが,OEKで古典派の曲を聞き比べる楽しみも期待できそうです。

PS.大阪のザ・シンフォニー・ホールに来たのは...恐らく15年ぶりぐらいだと思います。日本初のクラシック音楽専用ホールとして1980年代前半に開館した後,とても良い感じでエイジングが進んでいると思いました。日常生活としっかりと切り離された,良い意味での「敷居の高さ」があるホールだなぁと思いました。

2018/09/16

#木米真理恵 ピアノ・リサイタル #石川県立音楽堂 コンサートホールで開かれた意欲的な演奏会。弦楽四重奏伴奏版のピアノ協奏曲第1番をはじめ,留学の総決算となるようなオール・ショパンプログラム。しっかり最新CDにサインをいただいてきましたもゲットしました

9月の3連休の真ん中の日曜日の午後,金沢市出身のピアニスト,木米真理恵さんのピアノ・リサイタルが,石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。このリサイタルですが,色々な点で,型破りでした。

金沢で活動しているピアニストの場合,大体,金沢市アートホールか石川県立音楽堂交流ホールでリサイタルを行うことが多いのですが,今回は何とコンサートホールでのリサイタルでした。また,リサイタルといいながら,後半にはOEKメンバーによる弦楽四重奏が加わり,ショパンのピアノ協奏曲第1番の弦楽四重奏伴奏版の全曲を演奏。さらには,最近発売されたご自身のCDを販売し,終演後にサイン会を開催。

恐らく,木米さん自身の企画力なのだと思いますが,その「素晴らしい心意気」にひかれて,聞きにいってきました。木米さんは,中学校まで金沢で学んだ後,東京の音楽大学付属高校に進み,さらに,ポーランドの音楽大学などで学んでいます。今回は,8年半に渡る「音楽修行」を終えた帰国記念公演だったのですが,音楽的に研鑽を積むだけでなく,自ら活躍する場を広げていく積極性も身につけてこられたのではないかと,頼もしく感じました。

演奏の方は,北陸新人登竜門コンサートやガル祭などでの活躍で,何回か演奏を聞かせていただいたことがありますが,そのとき同様の,非常に安定感のある演奏でした。今回は,ポーランドで留学してきた成果を披露するかのように,オール・ショパンプログラムでした。ショパンの曲の場合,協奏曲以外については,もう少し小さめのホールの方が良いのかな,という気もしましたが。いずれも曲の美しさをしっかりと伝えてくれるような演奏ばかりでした。

前半のプログラムは,舟歌,幻想ポロネーズなど,「小品」というよりは,「中品(こんな言葉はありませんが)」と言った方が良い,しっとり系の曲を軸に,「革命」のエチュードやタランテラなど,運動性の高い曲を交えるといった,バランスの良いものでした。

この中では,4曲セットで演奏された,マズルカ作品30が特に良いなぁと思いました。プログラムを見た時,各曲の間にインターバルを入れるのかなと思ったのですが,実際には一気に演奏されました。短調と長調が交錯するのですが,その推移がとても自然で,幻想ポロネーズや舟歌に対応するような,しっとり系の「中品」になっていました。

後半は,ピアノ協奏曲第1番の室内楽伴奏版が演奏されました。8月末には,いしかわミュージックアカデミー(IMA)の講師,ピオトル・パレチニさんとOEKメンバーとでほぼ同様(このときは弦楽四重奏ではなく弦楽四重奏+コントラバスとの共演でした)の演奏で聞いたばかりだったので,2ヶ月連続ということになります。これは非常に珍しいことです。

その時は,交流ホールで聞いたのですが,今回はコンサートホールでの演奏ということで,より開放感のある雰囲気の中で楽しむことができました。木米さんの演奏は,前半同様,安心して曲の美しさに浸らせてくれるような演奏でした。特に第1楽章の第2主題や,第2楽章など,シンプルなメロディを率直かつしっとりと歌わせるような部分が良いなぁと思いました。

弦楽四重奏伴奏版だと,オーケストラ版とは一味違った「シリアスさ」と「透明感」があります。オーケストラ版に出てくる音が出てこないと,少々物足りない気はしましたが(ホルンとかファゴットとかトランペットとか...),「秋の気分」で聞くには良いと思いました。

第2楽章をオーケストラ版で聞くと,「春の宵」みたいな気分になりますが,弦楽四重奏版だと,「秋の夜」といった気分になります(個人の感想です)。澄んだ夜空に,中秋の名月が出ているといったところでしょうか。木米さんの清潔感のある演奏を,OEKがしっかりと盛り上げていました。第3楽章はオーケストラ版で聞く以上に軽快でした。細かい装飾的な音型も鮮やかに演奏しており,軽快なポーランド舞曲の世界を楽しむことができました。

盛大な拍手に応えて,アンコールが2曲演奏されました。遺作のノクターンは,アンコールの定番曲ですね。演奏前に木米さんは,お客さんに向かって「ご挨拶」をされていましたが,この感謝の気持ちがピアノによる歌となって表れたような,温かみのある演奏でした。そして,さらにもう1曲,おなじみの英雄ポロネーズが演奏されました。大げさに荒々しく聞かせるのではなく,端正さと立派さのある見事な演奏でした。

終演後,木米さんのCDを購入し,サインをいただいて来たのですが,OEKの定期公演の時同様,大勢のお客さんが列を作っていました。木米さんの演奏自体の見事さに加え,木米さんの活動を盛り上げようと,色々な人が協力しているのだなぁと実感しました。木米さんは,これから全国各地で,リサイタルを行う予定があるようですが,息長く,金沢で活動していって欲しいと思います。

2018/09/08

OEKのプリンシパル・ゲストコンダクターに就任した #ユベール・スダーン 指揮による,正真正銘の #岩城宏之メモリアルコンサート。#吉田珠代 さんの上質な声,#池辺晋一郎 作曲の新作 #この風の彼方へ 。どちらも素晴らしいと思いました #oekjp

本日は9月上旬恒例の「岩城宏之メモリアルコンサート」を石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。このコンサートでは,毎回,その年の岩城宏之音楽賞受賞者とオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が共演していますが,今年は,福井県出身のソプラノ歌手,吉田珠代さんが登場しました。さらに今回の注目は,9月からOEKのプリンシパル・ゲストコンダクターに就任したばかりの,ユベール・スダーンさんが指揮をすることです。そしてOEKのコンポーザー・オブ・ザ・イヤーである,お馴染み池辺晋一郎さんの新作が初演されました。

新作の初演,新しいアーティストの発掘というだけで岩城さんらしいのですが,今回は,その他に演奏された曲が,プロコフィエフの古典交響曲とモーツァルトのハフナー交響曲ということで,岩城&OEKの「お家芸」と言ってよい作品が並びました。過去の「メモリアルコンサート」の中でももっとも,岩城さんらしさの漂う演奏会になりました。

まず,ユベール・スダーンさんの指揮が素晴らしかったと思います。古典交響曲もハフナー交響曲も,既にOEKと何回も演奏してきたような自然さで,気負ったところのない正統的な演奏を聞かせてくれました。

最初に演奏された古典交響曲は,風刺を効かせて,結構毒のある感じで演奏することもできると思いますが,スダーンさんの指揮は,どっしりと聞かせる部分と,さらりと聞かせる部分のメリハリが効いており,「正調・古典交響曲」といった感じでした。

ハフナー交響曲の方は,ガル祭の時にリッカルド・ミナーシさん指揮のザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団による,盛大に花火を打ち上げるような感じの演奏もありましたが(これはインパクトのある演奏でした),スダーンさんの指揮は,古典交響曲同様に楽章間のバランスがよく,現代のスタンダードといった感じの洗練されたモーツァルトを聞かせてくれました。

第2楽章については,ロマンティックに演奏されるのも実は好きなのですが(私の原点はブルーノ・ワルターの指揮の録音なので),今回は「文字通りアンダンテです」というリズム感を感じさせる演奏で,とても新鮮に感じました。第3楽章のメヌエットも速めの演奏でしたが,中間部では時々,人を食ったように長~く伸ばす部分があったり余裕たっぷりのウイットを感じました。曲全体に感じられる,神経質になりすぎない,緻密さも素晴らしいと思いました。

これから,スダーンさんはOEKと,ウィーン古典派の曲を多く取り上げてくれると思いますが,「万全の演奏を聞かせてくれそう。安心」という期待感が湧きました。

ソプラノの吉田珠代さんとの共演もモーツァルトの作品でした。「どうしてあなたを忘れられましょう」というコンサート・アリアだったのですが(初めて聴く曲でした),ソプラノに加え,第2のソリストという感じでピアノが加わる変わった編成の作品でした。最初しっとりとした弦楽器の演奏に続いて,吉田さんの声が入ってくるのですが,その音にぴったりのしっとり感で,「素晴らしい!」と思いました。上質な声といった余裕と品の良さのを感じました。

後半は華やかさを増してくるのですが,コロラトゥーラ的な要素は,ピアノにお任せしている感じで,全曲を通じて,落ち着いた美しさを感じさせてくれました。ピアノは居福健太郎さんという方が担当していましたが,吉田さんの声にしっかりと絡み,曲を盛り上げてくれました。

そして,池辺さんの新作です。これもまた,素晴らしい作品でした。「この風の彼方へ」ということで,ちょっと武満徹の曲のタイトルを思わせる感じでしたが,詩的な要素を素材にしている点でも共通する部分があると思いました。

曲の最初の部分はピチカートっぽい弦楽器の音と打楽器各種が混ざったような音で始まり,フルートやクラリネットがそれぞれ,意味深でソリスティックなフレーズを演奏します。この出だしの部分から,強くひかれました。その後も色々な楽器のソロが出てきたりしましたが,池辺さん自身が演奏前に語っていたとおり,OEKのメンバーの顔をイメージして書いたのではと思わせるほど,OEKにフィットした音を聞かせてくれました。

曲の後半では,弦楽器が不協和音でザッザッザッザッザッ....といった「春の祭典」を思わせるようなリズムで演奏する部分があったり,池辺さん自身プログラムノートで「3.11以降の僕のライトモチーフ」と書かれていた,何かを深く語りかけるようなフレーズが出てきたり,現代の社会に漂う漠然とした不安をしっかり伝えてくれるような「力」を感じました。

演奏前のトークで,「スダーンさんはとても細かく練習を行っていたので,イメージどおりの音が響いた。一音も修正の必要がなかった」と池辺さんは語っていましたが,池辺さんの会心の作品ではないかと思いました。この作品は,機会があれば,再演していって欲しいものです。

というわけで,プログラム的には一見地味目で,時間的にも短めでしたが,メモリアル・コンサートの趣旨にぴったりの内容だったと思います。特にスダーンさんの指揮が素晴らしかったですね。岩城メモリアルであると同時に,スダーンさんへの期待がさらに広まる,「襲名披露」公演だったと思いました。

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