OEKのCD

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2018年6月17日 - 2018年6月23日

2018/06/23

#レオシュ・スワロフスキー指揮 #スロヴァキア・フィル 金沢公演。#石川県立音楽堂 にぴったりのヨーロピアン・サウンドによる「モルダウ」「新世界」。素晴らしい。#ルドヴィート・カンタ さんの万感の思いのこもったチェロ協奏曲も感動的

石川県立音楽堂コンサートホールで,スロバキア・フィルの来日公演が行われたので聞いてきました。演奏されたのは,スメタナの「モルダウ」,ドヴォルザークのチェロ協奏曲と交響曲第9番「新世界から」という,超名曲3曲でした。あまりにも名曲ばかりなので,行こうかどうか迷ったのですが,元OEK首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんがソリストとして登場するということもあり(そして,チケットが比較的安価だったこともあり),土曜日の夕方に聞きに行くことにしました。

「超名曲」と書いたのですが,金沢の場合,オーケストラ・アンサンブル金沢の編成が大きくないこともあり,大都市圏に比べると,この3曲が実演で取り上げられる機会は少ないと思います。今回,改めてスロバキア・フィルの演奏でこれらの曲を聞いてみて,何回も演奏してきたことによる,磨き上げられたサウンドが素晴らしいと思いました。派手に鳴り響くというよりは,どの曲も,弦楽器を中心全体とした安定感のある落ち着いたトーンがベースになっていました。石川県立音楽堂コンサートホールにぴったりで,山や森といった自然の美しさを思わせるバランスの良い響きでした。こういうのをヨーロピアン・サウンドと言うのかなと思いました。今日は聞きに来て良かったと思いました。

もちろんどの曲についても,クライマックスでは,金管楽器やティンパニが大活躍するのですが,エネルギーの大きさは伝わっても,うるさいと感じることはありませんでした。「本場の演奏」という表現は,好きではないのですが,これらの曲は数え切れないほど演奏してきた曲だと思いますので,完全に手の内に入った演奏だったのではないかと思います。

しかも今回演奏された曲は,どの曲からも指揮者や奏者の「思い」がしっかりと伝わって来ました。ルーティーンワークに陥るのではなく,前向きさが伝わってきました。このことは,今回の指揮者,レオシュ・スワロフスキーさんの力が大きかったのではないかと思います。

それと,やはり,30年ほど前まで,スロヴァキア・フィルに在籍しており,その後,OEKに移籍したカンタさんとの共演ということも大きかったと思います。カンタさんの独奏で,ドヴォルザークのチェロ協奏曲を聞くのは,3回目の気がしますが,今回の演奏には特に強い「万感の思い」が秘められていると感じました。もちろん,カンタさんの演奏スタイルは,いつも通りの平然とした自然体でしたが,高音の弱音で歌わせる部分については,スロヴァキアへの望郷の念と金沢の聴衆(本日は大入りでした)への感謝の気持ちが滲み出ていました。その姿が感動的でした。

この曲では,第3楽章の後半,音楽が明るくなって,別の世界への「あこがれ」のような気分が出てくる部分が好きです。コンサートマスターと独奏チェロとの重奏になり,なんとなくヴァイオリンの方が目立つ部分なのですが,この日のスロヴァキア・フィルのコンサートマスターは若い方で,瑞々しい音を聞かせてくれました。大先輩のカンタさんとの,実に味わい深いデュオでした。

「モルダウ」「新世界」も良い演奏でした。センチメンタルになることなく,上述のとおりのヨーロピアンサウンドで,充実感あふれる音楽を聞かせてくれました。

「新世界」の方は,4月上旬にクリストフ・エッシェンバッハ指揮のトンヨン・フェスティバル・オーケストラで聞いたばかりでしたが,力みすぎているような所はなく,この曲自体が持っている魅力をストレートに引き出したような演奏だったと思います。この曲では,カンタさんがメンバーの中に加わって演奏していたのですが,「再会の喜び」や「一緒に音楽をできるうれしさ」のようなものが,自然に音楽に表れていたと思いました。

終演後の拍手も大変盛大でした。客席には,OEKのメンバーの姿もちらほら見かけました。カンタさんを囲む会を中心とした,熱心なファンも多かったと思います。やはり,30年近くOEKに在籍したスロバキア出身のカンタさんの存在は大きかったと思います。これを機会に,是非またスロヴァキア・フィルには金沢公演を行ってほしいものです。

今年の6月は,川瀬賢太郎指揮OEKでシューマンの「ライン」(ドイツ)とチャイコフスキー(ロシア)プログラム,下野竜也指揮OEKでイタリア・プログラムも聞いていたので,今回のチェコ・プログラムと合わせて,公演ごとに世界各国を巡っているような気分です。考えてみると贅沢なことだなぁと感じています。

2018/06/22

#下野竜也 指揮OEKによるイタリアンな定期公演。#ロッシーニ 4連発は予想以上に多彩。4つの皿が順に出てくるフルコースを満喫。#吉野直子 さん独奏の #ニーノ・ロータ のハープ協奏曲は新たな定番曲かも。ラテン的な気分をしっかり楽しませてくれました。#oekjp

本日は,下野竜也さん指揮によるOEK定期公演フィルハーモニー・シリーズを聞いてきました。下野さんが以前,OEKの定期公演に登場した時,スッペの序曲4曲を後半に並べる意表を突くプログラムだったことがありますが,今回はその「姉妹編」のような形で,後半にロッシーニの序曲4曲が演奏されました。そして,そのロッシーニに合わせる形で,前半にブリテンのマチネ・ミュージックと,吉野直子さんをソリストに迎えて,ニーノ・ロータのハープ協奏曲が演奏されました。前半・後半とも,イタリアにちなんだ一ひねりある曲が並びました。まず,このプログラミングの斬新さが,下野さんの素晴らしいところです。

前半最初に演奏された,ブリテンのマチネ・ミュージカルは,一見,イタリアと関係なさそうですが,実はロッシーニの曲をブリテンがオーケストラ曲にアレンジして,バレエ組曲にしたもので,見事に後半の序曲集と対応していました。ロッシーニの音楽の持つ親しみやすさに,20世紀の音楽らしい鮮やかさが加わり,大変聞き映えのする音楽になっていました。

最初の曲には,ちょっとチープな感じのするトランペットのファンファーレが入るなど,全体にウィットが効いているのも面白いと思いました。20世紀に作られたバレエ組曲ということで,ちょっとショスタコーヴィチのバレエ音楽を思わせるような部分もあったのですが,皮肉な感じはなく,非常に健康的で,素直にオーケストラの音の美しさと凛としたキレの良さを楽しむことができました。

この日の演奏は,どの曲についてもそうだったのですが,下野さんは,OEKからビシッと引き締まったクリアな響きを引き出していました。安心して,ロッシーニの世界に遊ぶことができました。

続くハープ協奏曲の作曲者のニーノ・ロータは,往年の映画音楽の大家として有名な方ですが,実は本人としては,「クラシック音楽の作曲家」の方が本職だと言って欲しかったようです。今回演奏されたハープ協奏曲は,吉野さんの説では「日本初演かもしれない」とのことです。明確なことは言えないようですが,非常に演奏される機会の少ない作品です。

聞いた印象は,どこかロドリーゴのアランフェス協奏曲を思わせる雰囲気があるなぁと思いました。古典的でラテン的な「空気感」が漂う,大変魅力的な作品だと感じました。吉野さんのハープを聞くのは,5月の楽都音楽祭以来です。その時同様,繊細かつ鮮やかな音楽を楽しませてくれました。地中海的なカラッとした感じにミステリアスな気分が加わる第1楽章,寂しさと幻想的な美しさが交錯するような第2楽章。そして,品の良い躍動感のある第3楽章。各楽章,それぞれ楽しむことができました。

そして,吉野さんのハープの音を聞いているうちに,どこか現実離れした世界に運ばれたような感覚になりました。時間の流れ方が違う,澄んだ世界に浸ることができました。最終楽章は,最後の音がパタっと止むように終わるのですが,時の流れがパタっと止んだような不思議な寂寥感を感じました。

その後,アンコールでロータの映画音楽の名曲,「ゴッド・ファーザー」愛のテーマが,ハープ独奏で演奏されました。サイン会の時,吉野さんにお尋ねしたところ,ニーノ・ロータ自身によるハープ用のアレンジとのことでしたが,この曲のメロディの美しさに加え,どこかニヒルで虚無的なムードも漂っていました。

というわけで,ロータのハープ曲は,これから「定番曲」として,レパートリーに定着していって欲しいなと思いました。

後半は,ロッシーニの序曲が4曲演奏されました。最初プログラムを見たときは,「4つをまとめて,4楽章の交響曲のように聞かせる趣向かな?」と予想していたのですが,下野さんは,1曲演奏するたびに,袖に引っ込み,さらに各曲ごとに楽器編成が違っていましたので,「4皿からなるロッシーニ・フルコースを満喫」といった気分になりました。

正直なところ,ロッシーニの序曲で,「ウィリアム・テル」「セビリアの理髪師」「泥棒かささぎ」以外については,区別がつかなかったのですが(今回,この3曲を見事に抜かしていたのも下野さんらしい選曲だったと思います),楽器編成からして全然違うのが面白いと思いました。CDで聞くよりは,ずっと楽しめると思いました。

「シンデレラ」と「絹のはしご」には,打楽器は全く入らず,「アルジェのイタリア女」では,トルコ風の鳴り物とピッコロが活躍。そして,「セミラーミデ」では,トロンボーン3,ホルン4となり,ちょっとした交響曲を思わせるようなスケールの大きな響き。そして,全曲を通じて,前半のマチネー・ミュージカル同様の,メリハリの効いた引き締まったを楽しむことができました。

ロッシーニの序曲は,大まかにいうと,序奏部の後,木管楽器が大活躍する主部になり,最後はロッシーニ・クレシェンドで締め,というパターンなのですが,このパターンにも色々なバリエーションがあるのが面白いと思いました。そしてOEKの木管楽器メンバーの鮮やかな演奏が素晴らしかったですね。特に加納さんのオーボエ,松木さんのフルート(ピッコロ)が大活躍でした。「絹のはしご」の冒頭のヴァオリンの響きの瑞々しさ(この日もコンサートマスターは水谷晃さんでした),「セミラーミデ」での,たっぷりと歌ったホルンも素晴らしいと思いました。

何より「ロッシーニ・クレッシェンド」を4連発(正確にいうと,1曲の中に2回ずつぐらい出てくるので,8連発かもしれません)で聞くと,「癖になってしまう」ようなところがあります。終演後,頭の中でずっとクレッシェンドが続いているようなワクワク感が後に残りました。

やっぱり下野竜也さんの作る音楽は,最高と再認識した定期演奏会でした。

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