OEKのCD

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2018年10月28日 - 2018年11月3日

2018/11/01

OEK初登場の #鈴木雅明 さん指揮による定期公演。「疾走する哀しみはとまらない」といった感じのモーツァルト40番。そして #RIAS室内合唱団 等との共演によるメンデルスゾーンの宗教音楽2曲。晴れやかな気分が残る,生きる力が湧いてくるような演奏でした。

今年も早くも11月です。11月最初のOEK定期公演は,OEK初登場となる鈴木雅明さんの指揮で,モーツァルトとメンデルスゾーンを中心としたプログラムが演奏されました。鈴木さんといえば,バッハ・コレギウム・ジャパンの音楽監督として世界的に有名な方です。今回は,バッハよりはもう少し時代的には新しい古典派から初期ロマン派にかけての作品が取り上げられましたが,「さすが」という説得力十分の演奏を聞かせてくれました。特に演奏会の後半,今回のもう一つの目玉である,RIAS室内合唱団との共演で演奏されたメンデルスゾーンの宗教音楽は,知られざる名曲を再発掘してくれるような,素晴らしい演奏だったと思います。

演奏会の最初は,「スウェーデンのモーツァルト(何となくキダ・タローさんを思わせるキャッチフレーズですが...)」と呼ばれることのある,クラウスという作曲家のシンフォニアで始まりました。実質的には,序奏部とフーガからなる序曲といった感じの作品でしがが,OEKの響きがすっかり「鈴木雅明仕様」に変わっていたのがすごいと思いました。

弦楽器の音は軽やかで透明。しかしサラサラと流れすぎる感じではなく,しっかりと各声部が絡み合う壮麗さのある音楽を聞かせてくれました。ヴィブラートも控えめですっきりとした感じでしたが,極端に過激な古楽奏法という感じではなく,現代のオーケストラによる古典派音楽の演奏に相応しいバランスの良さを感じました。この日のティンパニは菅原淳さんでしたが,そのバロック・ティンパニの引き締まった音も印象的でした。響きが軽くなる分,ビシッと曲を引き締めているようでした。

続いて演奏されたのは,おなじみのモーツァルトの交響曲第40番でした。今回は,クラリネットが入らない初稿で演奏されたのですが,そのこともあるのか,甘い感じは消え,弦楽器を主体としたシリアスさが際立っていました。今回の演奏で特徴的だったのは,そのテンポの速さです。どの楽章も大変速いテンポでした。

ただし,どの楽章も繰り返しをきっちりと行っていましたので(第4楽章の後半も繰り返すのは,かなり珍しいと思います),演奏時間的には30分ぐらい掛かっていたと思います。その結果,全4楽章を通じて,どこまで行ってもクールな哀しみがヒタヒタと迫ってくるような感じになっていました。「疾走する哀しみはとまらない」といった感じの演奏だったと思います。

その一方で,単純に走るだけの演奏ではなく,要所要所でテンポを落として,ドキッとするような陰影を感じさせてくれる部分がありました。特に第4楽章のシンコペーションのリズムの部分など,「押しの強さ」があり,独特の深さが後に残りました。

鈴木さんの指揮に接するのは今回が初めてだったのですが,大変エネルギッシュな指揮ぶりが印象的でした。透明感のある響きと,裏に秘めた熱さとのバランスがどの曲も素晴らしいと思いました。

後半は,どちらも初めて聞く,メンデルスゾーンの宗教曲2曲が演奏されました。タイトルだけを見ると,「難解そう?渋そう?」という印象を持ったのですが,さすがメンデルスゾーン。両曲とも,初めて聞いても「良い曲だなぁ」と実感できる作品でした。

オラトリオ「キリスト」については,構想としては,ヘンデルの「メサイア」同様,キリストの生涯を3部に分けて描くはずだったのですが,メンデルスゾーンが早逝してしまったため,「キリストの誕生」と「キリストの受難」までしかできていません。その点では「未完成」なのですが,音楽自体はしっかり完成していると思いました。

それほど長い作品ではなく,ヘンデルの「メサイア」第1部の要素とバッハの「マタイ受難曲」の要素とが,うまく合わさったような充実感を感じました。特に第2部の方は,「10分で楽しむマタイ受難曲」といった感じで,大変魅力的な合唱曲(そのまま,演歌としても行けそうな感じ?)の後,コラールで締められていました。オーケストラは,ほぼフル編成で,その響きには,ロマン派音楽的な雰囲気もありましたので,バッハやヘンデルの作品以上に親しみやすい作品になっていたと思いました。

テノールの櫻田亮さんの役割は,受難曲の福音史家同様レチタティーヴォ中心で,その凜とした声は,宗教音楽にぴったりでした。RIAS室内合唱団もまた,素晴らしい声を聞かせてくれました。「室内」という名称が付いているとおり,音量で圧倒するという感じではなかったのですが,その声はビシッと締まっており,十分なボリューム感と素晴らしい安定感がありました。特に輝きのある高音が印象的でした。

演奏会の最後に演奏された,同じくメンデルスゾーンの詩編42番「鹿が谷の水を慕いあえぐように」の方は,タイトル的にはさらに渋そうな感じでしたが,実際には大変聞きやすく,気持ちの良い作品でした。

この曲では,ソプラノのリディア・トイシャーさんも活躍していました。その清潔感と伸びやかさのある声は,櫻田さん同様,宗教曲にぴったりでした。加納さんのオーボエと絡むように歌われる曲がありましたが,どちらにも芯のある強さがあり,聞き応えがありました。

この曲は,「神を待ち望まん Harre auf Gott!」というフレーズがキャッチフレーズのように繰り返される曲で,終曲に向かって力強く盛り上がって終わります。オーケストラと合唱団が一体となった,晴れ渡ったような輝きが素晴らしく,「生きる勇気」を与えてくれるようでした。

この日は,後半に知名度の低い曲を持ってくる冒険的なプログラムでしたが,見事に締めてくれました。

今回,初めて鈴木雅明さんの指揮に接したのですが,予想したよりもエネルギッシュで,透明感と同時に根源的な力強さを持った音楽を聞かせてくれる方だと思いました。機会があれば金沢で,鈴木さんの指揮による,バッハの作品も聞いてみたいものだと思いました。

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