OEKのCD

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2018年11月25日 - 2018年12月1日

2018/11/29

#オリ・ムストネン さん,OEK定期に初登場。フィンランドの作品を中心として,ムストネンさんの多彩さを実感できる素晴らしい公演でした。作曲家としても素晴らしいと思いました。 #oekjp

本日は,OEK定期公演初登場となる,オリ・ムストネンさん指揮によるフィルハーモニー定期を聞いてきました。ムストネンさんといえば,フィンランドを代表するピアニストという印象を持っていたのですが,実は,指揮者としても,さらには作曲家としても活躍の場を広げています。本日の定期公演は,そのすべてを聞かせてくれる充実の内容となりました。チラシの宣伝文句に書かれていたとおりの「天才」的な雰囲気を持つアーティストだと思いました。

プログラムは,最初に演奏されたヒンデミットの「4つの気質」以外は,すべてフィンランドの作曲家の作品。メインとなるシベリウスの「ペレアスとメリザンド」組曲は,過去の定期公演で聞いたことはありますが,それ以外は,定期公演に登場するのは初めての作品。ということで,ムストネンさんのこだわりのプログラムと言えます。

# 訂正です。調べてみると、「4つの気質」については、河村尚子さんのピアノ、広上淳一さん指揮で一度取り上げていましたので、「OEK初」ではありませんでした。

最初に演奏された,ヒンデミットの「4つの気質」は,ピアノ協奏曲と変奏曲が合わさったような独特の作品でした。古代ギリシャのヒポクラテスの時代から伝わる「人間の典型的な気質」を変奏曲として表現した作品なのですが,他のヒンデミットの曲同様,ややとっつきにくいところがありました。ただし,ムストネンさんのピアノの音には,独特の透明感のようなものがあり,苦み走っているけれども,後味がとても良い,といったムードがありました。

ムストネンさんのピアノを聞くのは今回初めてでしたが,とても手を高く上げて演奏したり,独特の奏法だったと思います(専門的なことは分かりませんが)。速い部分での軽快な躍動感が素晴らしく,重苦しくなるところのない演奏でした。機会があれば,是非,別の作曲家の曲も聞いてみたいものです。

続いては,ムストネンさん自身が作曲した九重奏曲第2番の弦楽合奏版が演奏されました。これは今回が日本初演とのことでした。聞く前はどういう作品なのか想像もできなかったのですが,とても魅力的な作品でした。4楽章構成の作品で,どこかベートーヴェンの交響曲や弦楽四重奏曲を思わせるような,躍動感と神秘性を感じました。しかも古くさい感じはなく,ベートーヴェンを現代的で新鮮な感性でバージョンアップさせたようなような,オリジナリティを感じました。急速なパッセージが連続する最終楽章では,この日のコンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんのリードが光っていました。この曲については,オリジナルがどういう編成だったのも気になります。機会があれば,オリジナル版も聞いてみたいものです。それと,ムストネンさんの他の作品も聞いてみたいものです。

後半は,指揮者としてのムストネンさんの魅力を味わうことができました。

最初に演奏された,ラウタヴァーラのカントゥス・アルクティクスは,鳥の鳴き声を収録した音源とオーケストラとが共演する独特の作品です。聞くのは2回目ですが,ムストネンさんの指揮で聞くと,非常に清々しく感じられました。不思議なことに,音を聞いているうちに,ビジュアルが喚起されるところもありました。最後の部分では,ティンパニとシンバルが盛大に入り,スケール感たっぷりの盛り上がりを聞かせてくれました。

次に演奏された,シベリウスの「ペレアスとメリザンド」組曲もとても魅力的な作品でした。ドビュッシーの同名の曲の印象からすると,もう少し淡い感じの演奏を予想していたのですが,ムストネンさんの指揮には最初の曲から,グイグイと音楽を引っ張っていくような力強さがありました。アンコール曲としても時々演奏されることのある,「間奏曲」などでは,ムストネンさんのピアノ演奏に通じるような躍動感を感じました。

最後の「メリザンドの死」は,重苦しい感じで始まった後,最後の方で,どこかシベリウスの交響曲第2番を思わせるような大きな盛り上がりを作り,その余韻を残すように静かに終了。OEKの音もとても良く鳴っており,演奏会をしっかり締めてくれました。

その後,同じシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォが演奏されました。この選曲は,事前に組み込まれたアンコール曲的な位置づけだったと思いますが,本当に見事な演奏でした。他の曲同様,速めのテンポでくっきりと演奏されました。その音には光り輝くような壮麗さがありました。

プログラム的には,あまり知られていない曲が並んでいたので一見地味な印象を持ったのですが,実際には,多彩であると同時に,フィンランド的な風味で統一感のある見事なプログラミングだったと感じました。何よりも,ムストネンさんの多彩な才能をしっかり実感できました。ムストネンさんには,是非またOEKに客演して欲しいと思います。OEKメンバーとの室内楽公演なども期待したいと思います。

2018/11/25

#鈴木織衛 指揮OEK他によるヴェルディ #リゴレット 金沢初公演@金沢歌劇座。#青山貴 さんと#森麻季 さんを中心に聴き応え十分の人間ドラマ

本日の午後は,金沢で全曲を上演するのが今回が初めてとなる,ヴェルディの歌劇「リゴレット」の公演が金沢歌劇座で行われたので聴いてきました。金沢では,ここ数年,全国のいくつかの公共ホールとの共同企画によるオペラを毎年のように行ってきましたが,今回の公演は,金沢独自企画とのことです。プログラムに書かれていた山田正幸プロデューサの言葉によると「遠慮なく作品を選べた」ということで,個人的には大歓迎です。

「リゴレット」は,ヴェルディの出世作として知られていますが,今日の感覚からすると差別的な表現や役柄が出てくるせいもあるのか,国内ではなかなか上演されないとのことです。が,本日の公演を聴いて,主要キャストの重唱を中心に進んでいく,聴き応え十分の人間ドラマだと改めて実感しました。特にタイトルロールの青山貴さんの輝きのある威力十分の声,リゴレットの娘,ジルダ役の森麻季さんの丁寧でしなやかな声は,それぞれの役柄にぴったりのはまり役と感じました。

その他の役柄もキャラクターが分かりやすく,現代の演劇などに通じる「わかりやすさ」を感じました。特に殺し屋スパラフチーレは,数あるオペラの中でも,いちばんクールな役柄ではと思いました。高岡出身の森雅史さんが,グッと広がるような低音で存在感を示していました。

唯一の問題点は(というかかなり大きな問題だったのですが),マントヴァ公爵役のアレクサンドル・バディアさんの体調不良のため,かなり歌唱が不安定だった点です。第2幕の最初に山田プロデューサが「最後までつとめますので...」という異例のエクスキューズが入りました。特に第1幕の最初の方は,高音が出ない部分があったりして,かなり不安でした。その後,山田さんの言葉どおりの熱のこもった歌で,見せ場の「女心の歌」(かなり独特の歌い回しでした)が出てくる第3幕まで,何とか歌いきってくれました。

この作品については,虐げられた存在であるリゴレットと正反対のキャラとしてマントヴァ公爵が位置づけられており,何でも思いのままに楽々と生きている感じを出すことが作品の一つのポイントだと思うので,「苦労している公爵」というのは少々残念でした。機会があれば,「リベンジ」を期待したいものです。

それにしても,リゴレットとジルダのアリアは,聴き応えがありました。リゴレットには,他人を傷つける道化の面と愛情たっぷり(過剰?)な父親の2面がありますが,特に第2幕の「悪魔め鬼め」での深い表現が素晴らしいと思いました。ジルダの方は,コロラトゥーラ・ソプラノの名曲として有名な「慕わしい人の名は」での美しさも素晴らしかったのですが,やはり同じ第2幕に出てくる「日曜日に教会で見かけてから...」とこれまでの恋愛の一部始終を語るようなアリアでの情感の豊かさが素晴らしいと思いました。

そして,第3幕での四重唱。4人の思惑が絡まりつつ,音楽の方がワクワクと高まっていく感じが最高でした。その後,ジルダが「予定変更」で殺害されることになるのですが,実はその「キャスティング・ボード」を握っていたのが,殺人者の妹のマッダレーナでした。藤井麻美さんの声には,その重役に相応しい,聴き応えがありました。

ドラマの起点となるのが,第1幕の最初の方のモンテローネ伯爵の「呪い」なのですが,李宗潤さんの威力のある声も良かったと思います。ドラマの要所要所にくさびを打ち込んでいる感じでした。

鈴木織衛さん指揮OEKのオーケストラも雄弁で流れの良い音楽を聴かせてくれました。ヴェルディならではのオーケストレーションも面白く(スパラフチーレが出てくる時のヴィオラやチェロの伴奏,嵐の中の殺人の場でのフルートなどによる描写的な音楽...),名曲だなぁと思いました。

合唱団の方は,今回は男声合唱のみでしたが,公爵の宮殿の場での軽妙な感じ,,嵐の場の恐怖感をハミング(?)で盛り上げたり,大活躍だったと思います。何より「ヴェルディあるある」的な楽しげな行進曲が出てくると嬉しくなりますね。

舞台の方は,比較的簡潔で回り舞台の上に可動式のついたてのようなものを組み合わせて,色々な場面を作っていました。ジルダの場については,「籠の鳥」のような形で取り囲んだり,天井から「ブランコ」が降りてきたり,色々な工夫がありました。特にブランコについては,ジルダの「揺れる気持ち」を象徴しているようで,効果的だったと思いました。

このオペラのストーリーは,「リゴレットの悲劇」なのですが,自ら死を選んだ形になるジルダ側から見ると,「ジルダの自立」とも言えるのかなとも思いました。ストーリーの細部を見ると,「どこか変?」といった部分もあるのですが,音楽の持つ迫力と合わせて聞くと,色々と深読みをしたくなる作品だなぁと感じました。

というわけで,公演に携わった多くの皆さんに感謝をしたいと思います。

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