OEKのCD

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2019年3月

2019/03/27

#ユベール・スダーン 指揮OEKの定期公演は,「英雄」交響曲がメイン。「現代のスタンダートのベートーヴェンはこれだ」と思ってしまいました。#リーズ・ドゥ・ラ・サール さんによる憂いを持った「ジュノム」も最高でした。#oekjp

本日は,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のプリンシパル・ゲストコンダクター,ユベール・スダーンさん指揮による,ベートーヴェンとモーツァルトによるプログラムを聞いてきました。昨年9月以来,スダーンさん指揮による,素晴らしく充実したウィーン古典派の音楽の数々を聞いてきましたが,本日の自信に溢れた「英雄」を聞いて,スダーンさん指揮OEKは最強のコンビだと確信しました。

最初に演奏された,モーツァルトの歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲から,引き締まった音と揺るぎない構築感を持った世界が広がっていましたが,後半のベートーヴェンの「英雄」は,その世界がさらに拡大され,もしかしたら「現代のスタンダードのベートーヴェンはこれかも」と思わせるほどの説得力十分の演奏を聞かせてくれました。

まず冒頭の和音2つの緊迫感に凄まじいものがありました。バロック・ティンパニの強く乾いた音とともに,弛緩することのないベートーヴェンの世界が始まりました。もちろん曲想の変化に応じて,柔らかい響きが出てきたり,滑らかなメロディラインが出てきたりするのですが,ベースは,速いテンポでキビキビと引き締まった緊張感がありました。ゴツゴツとした力強さがあったのも,私にとってのイメージどおりの「英雄」でした。

第2楽章も速めのテンポで,暗く落ち込むようなウェットな感じはなく,比較的サラリと演奏していました。そのことによって,楽章内の部分と部分の間での明暗の対比や楽器の重なり合いによるテクスチュアの変化などが,鮮やかに浮かび上がっていたと思いました。

第3楽章も快適なテンポ。中間部のホルンの重奏の部分も速めのテンポで生き生きとしたノリの良い音楽が続きました。第4楽章も同様でしたが,変奏曲形式ということで,次から次へと音の風景が代わり,前へ前へと進んでいきました。途中,管楽器が次々と活躍する部分での,花がパッ,パッと咲いていくような感じも鮮やかでした。

この部分では,何とクラリネットがベルアップをしていました。マーラーの交響曲の演奏を観るようなデフォルメの効果があった気がしましたが,演奏自体がビシッと引き締まっているので,違和感というよりはこれが正解と思わせる説得力を感じました。コーダの部分では,テンポが速くなるのではなく,平静さをしっかりキープした威厳のようなものが伝わってきました。見事なフィナーレでした。

スダーンさんのベートーヴェンは,以上のとおり非常によくまとまっており,部分部分がしっかりと組み合わさった構築感があるのですが,そのベースには,常に「熱」や「若々しさ」があります。その一方で,演奏全体に揺るぎのない自信が満ちており,安心して楽しむことができました。スダーンさんとOEKによるベートーヴェンについては,既に2年前の楽都音楽祭でその片鱗を聞いていますが(2番と6番),是非,全曲を聞いてみたいものです。

さてこの演奏会ですが,リーズ・ドゥ・ラ・サールさんをソリストに迎えての,モーツァルトの「ジュノム」協奏曲も素晴らしい演奏でした。リーズさんの音には常に詩的なセンスがあると思いました。第1楽章は全体的に軽快な音楽なのですが,カラッと晴れた感じというよりは,所々で憂いを感じさせるような,奥行きを感じました。

第2楽章はさらに憂いに満ちていました。静かだけれども,切々と迫ってくる感じが魅力的でした。中間部での強い表現は,曲全体のクライマックスを作っているようでした。第3楽章は,第1楽章以上に快速のテンポで演奏されました。リーズさんの見事な技巧に支えられたスピード感も素晴らしかったのですが,途中テンポをグッと落としたメヌエット風の部分での夢の世界に入り込んだような深さは全曲中の白眉だったと思いました。

アンコールでは,ケンプ編曲によるバッハのシチリアーノが演奏されました。この演奏が少しグレン・グールドを思わせるような,トツトツとした感じがあり何とも言えない孤独感が伝わってきました。ただし,エキセントリックな感じはなく,健康的な美しさを持っていたのがリーズさんの演奏の魅力だと思いました。

もともと,モーツァルトとベートーヴェンはOEKの最も大切なレパートリーですので,「良くて当たり前」的なところもありますが,今回の演奏を聞いて,さらにスダーンさんへの信頼が高まりました。同じプログラムで東京公演も行われますので,少しでも多くの方に聞いてもらいたいものです。

2019/03/24

#石川県ジュニアオーケストラ 定期演奏会を聞いてきました。中学生ピアニスト,矢崎紫さんとの共演による瑞々しい演奏。グノー「ファウスト」,シャブリエ「スペイン」など,音楽による世界巡りを楽しむことができました。

本日は年度末恒例の,石川県ジュニアオーケストラの定期演奏会を聞いてきました。今回で25回目。四半世紀ということになります。指揮はお馴染みの鈴木織衛さんでした。
この演奏会のプログラムについては,色々な趣向が凝らされて来ましたが,今回はオーソドックスにオーケストラの音をたっぷりと楽しませてくれる曲が中心でした。
これまでになかった趣向は,金沢市の中学生ピアニスト,矢崎紫(しき)さんとの共演でした。矢崎さんはピティナ・コンペティションの優秀者で,今回はアンサンブルのオーディションで合格して共演することになったとのことです。
演奏されたのは,ハイドンのピアノ協奏曲ニ長調でした。OEKが演奏するとぴったり来るような古典派の作品で,矢崎さんはクリアな音楽で明快な音楽の世界を楽しませてくれました。ジュニアオーケストラの演奏ともども,大変瑞々しい演奏でした。
その他の曲は,ジュニアオーケストラ単独の演奏でした。プログラムの趣旨としては,「世界の色々な国の音楽を楽しむ」ということで,西部開拓時代の気分を持ったリロイ・アンダーソンの「馬と馬車」,楽都音楽祭のテーマに合わせたようなシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ。そして後半は,グノーの「ファウスト」のバレエ音楽,シャブリエの狂詩曲「スペイン」が演奏されました。後半の2曲はフランスの作品なのですが,内容的にはエジプトとスペインですので,文字通り,世界各国の音楽を楽しんだ感じです。

「馬と馬車」は,ウッドブロックとムチの音が効果的に使われており,ちょっとレトロな西部劇の映画を観るようでした。アンダンテ・フェスティーヴォは,どこか早春の気分を思わせる淡い情感があったのが良いと思いました。鈴木さんは「音楽に羽が生えて飛んでいくよう」という表現をされていましたが,のびのびとした気分にさせてくれる作品ですね。
「ファウスト」のバレエ音楽は,個人的に大好きな作品です。短い7曲からなる組曲ですが,オーケストラの色々な楽器が活躍し,多彩な表情を持っているので,ジュニア・オーケストラのレパートリーにぴったりだと思います(演奏するのは難しいと思いますが)。トロンボーンやテューバには,「大人」のメンバーも加わっていましたが,その充実した音に支えられて,親しみやすい音楽が次々出てきました。特に「トロイの娘たちの踊り」の滑らかなワルツ,「鏡の踊り」での軽快なリズム感が心地良かったですね。この日はハープを3台使っていましたが,フルートの数もものすごく(?),9人も居ました。そのこともあって,独特の豪華さがあると思いました。
最後の「スペイン」も大編成を活かした充実感のある演奏でした。フル編成の響きも気持ち良かったのですが,途中に出てくる管楽器のソロなども聞きものでした。日頃地味な印象のあるファゴットが,スペイン旅行の気分を盛り上げるような感じで活躍していたのが良かったと思いました。全体にじっくりとしたテンポだったので,めくるめくような楽しさと色彩感を感じることができました。
最後に「くるみ割り人形」の「行進曲」がアンコールで演奏されて,演奏会は終了しました。ジュニア・オーケストラは,来週の「オーケストラの日」コンサートに出演後,「楽都音楽祭」にも登場します。今回の演奏会は,大きな自信になったのではないかと思います。

2019/03/13

#ファビオ・ルイージ 指揮 #デンマーク国立交響楽団 金沢公演。#横山幸雄さんのピアノによる鮮やかな「皇帝」,見事に構築されたチャイコフスキーの交響曲第5番に感服

本日は,石川県立音楽堂コンサートホールで,この時期恒例の東芝グランドコンサートを聞いてきました。今年登場したオーケストラは,ファビオ・ルイージ指揮のデンマーク国立交響楽団でした。今年の連休に行われる楽都音楽祭は,北欧がテーマの一つですので,それを先取りするような感じもありました。

プログラムは,まず,デンマークのオーケストラの挨拶代わりのような感じで,ニルセンの歌劇「仮面舞踏会」序曲が明快に演奏された後,横山幸雄さんをソリストに迎えて,ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。後半はチャイコフスキーの交響曲第5番が演奏されました。個人的には「これまで実演で聞いたことのない大編成の曲」を聞いてみたかったという思いもありましたが,「必ず楽しめる鉄板プログラム」とも言えます。そして,そのとおりでした。特に後半に演奏された,チャイコフスキーは,ルイージさんの本領発揮が発揮された,立派な建物のように見事に構築された素晴らしい演奏だったと思います。

ベートーヴェンの「皇帝」は,冒頭,オーケストラの予想外に柔らかな音で始まった後,横山さんの鮮やかなピアノの音が入ってきました。横山さんのピアノは,全曲を通じて,高音を美しく聞かせる部分が特に印象的でした。表現の引き出しも多く,自由自在にスマートな演奏を聞かせてくれました。今回,ステージからかなり遠い席で聞いたので,やや音が遠く,ソツがなさ過ぎる感じに聞こえる部分もありましたが,さすが横山さんという演奏だったと思います。

ルイージさんの作る音楽も印象的でした。後半のチャイコフスキーでも同様だったのですが,力づくで暴力的に大きな音を聞かせるようなところはなく,かなり抑制された感じで始まった後,音楽が進むにつれて,どんどん歌が溢れてくるといった感じの音楽になっていました。OEKの演奏で何回も聞いてきた曲ですが,大編成でゆったりと聞くのも良いものだと思いました。

後半のチャイコフスキーは,冒頭の2本のクラリネットの演奏から,暗~い情感が漂っていました。しかも非常に遅いテンポ。その徹底した表現が素晴らしいと思いました。第2楽章冒頭のホルンも憂いに満ちた深い味がありました。楽章の後半になると熱いカンタービレも出てきましたが,しっかりと引き締まっており,すべて「ルイージさんの表現」となっていたのが素晴らしいと思いました。

熟成された味わいのある第3楽章に続く,第4楽章も,どこか威厳の高さを感じさせるような雰囲気で始まりました。主部に入ってからもじっくりとしたテンポで進み,各パートがしっかりと絡み合った密度の高い音楽が続きました。楽章の後半になると,徐々に音楽に解放感が出てきます。コーダの部分は,反対に軽快な感じの行進になりました。それでも浮ついた感じはなく,全曲を振り返ってみると,見事に「暗から明へのドラマ」になっていました。しっかりと設計された聞き応え十分の音楽になっていると同時に,自然に燃えるようなカンタービレも随所にある,大変魅力的な音楽になっていました。

盛大な拍手に応えて演奏されたアンコールが,コンチネンタルタンゴの名曲「ジェラシー」。この曲の作曲家のゲーデは,デンマーク出身ということで,最後もお国もので締められました。どこか古いミュージカル映画の1シーンを見るような暖かみのある演奏でした。

ルイージさんの演奏を聞くのは初めてでしたが,チャイコフスキー以外でも,構築感のある音楽を聞かせてくれるのではと思いました。是非,また聞いてみたい指揮者です。

2019/03/09

快晴の中,エンリコ・オノフリさん指揮・ヴァイオリンによるOEK定期公演へ。モーツァルト25番はこれまで聞いたことがないような濃い演奏。未知の作品,ハイドンの70番もとても面白い作品。「春へのコンブリオ」といった感じの公演でした。

本日の金沢はすっかり春になったような快晴。その中,午後からエンリコ・オノフリさん指揮によるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)定期公演,マイスター・シリーズを聞いてきました。今シーズンのマイスター定期には,「コン・ブリオ」というキャッチフレーズが毎回入っているのですが,今回演奏された,モーツァルトの交響曲第25番とハイドンの交響曲第70番には,共に第1楽章に「コン・ブリオ」という指示が入っていましたので,このコンセプトにぴったりと言えます。今年の金沢は暖冬でしたが,この両曲を中心に,精緻さと同時に前向きな熱気のある演奏で,「春へのコンブリオ」といった感じの素晴らしい公演でした。

オノフリさんが登場する公演については,毎回,どういう表現をするのか読めないスリリングさがあります。今回も,お馴染みのモーツァルトの交響曲第25番がオノフリ流にガラッと変貌していました。初めて聞くハイドンの交響曲第70番については,「ハイドンはこんな変わった交響曲も作っていたのか」という発見の喜びがありました。

まず最初にオノフリさんの弾き振りで,ハイドンのヴァイオリン協奏曲ト長調が演奏されました。演奏される機会の少ない作品ですが,バロック音楽の名残を残しながらも,ハイドンらしい朗らかさな美しさもある良い曲でした。オノフリさんのヴァイオリンは,バロック・ヴァイオリンということで,音色的にはやや落ち着いた感じがしました。その清潔感のある音と同時に,急速なテンポの最終楽章での見事な技巧に圧倒されました。さすがと思いました。

ちなみにこの日のオノフリさんは,マフラーをしていなかったですね。以前はマフラーでヴァイオリンを固定していたと思うのですが...方針を変えたのでしょうか?

続いて上述のとおり,モーツァルトの交響曲第25番が演奏されました。冒頭からゴツゴツした雰囲気の中に十分なエネルギーが込められたような演奏でした。各楽器とも,音を長く伸ばす時に,クレッシェンド気味に音を膨らませていたのが独特で,オノフリさんならではの,濃い音楽を作っていました。その一方,いつも聞き慣れているのとは違う対旋律がしっかり聞こえてきたり,細かい音のバランスにもしっかり配慮をしていました。

この曲はホルンが4本入るのですが,このホルンを最後列両端に2本ずつ分けていたのも独特でした。それと各楽章とも繰り返しをしっかりと行っており,オノフリさんならではの「過剰感」が倍増している感じでした。これまで聞いたこの曲の演奏の中でも,特に個性的で印象的に残る演奏だったと思います。

後半はロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲で始まりました。オノフリさんの指揮のレパートリーも,バロック音楽から古典派,ロマン派へと拡大しているのかもしれません。この演奏を聞いてまず,「イタリアだなぁ」と思いました。冒頭からトランペットの音が明るく突き抜けて聞こえてきました。テンポは全体に速めでしたが,弦楽器のカンタービレに透明感がありしっかりと歌われていました。管楽器にもすっきりとした美しさが溢れていました。曲の最後の部分の,お祭り騒ぎの雰囲気もラテン的で良いなぁと思いました。

独特だったのは,通奏低音が入っていたことです。この日は,ロッセッラ・ポリカルドさんという方がチェンバロを担当していましたが,主部が始まる部分で,チャッチャッチャッチャッ...と音が聞こえてくると,ちょっとヴィヴァルディの「冬」の第1楽章あたりと通じる雰囲気になるのが面白いな,と思いました。

演奏会の最後は,ハイドンの交響曲第70番でした。未知の曲でしたが,この曲の構成自体が独特でした。第1楽章は,トランペットやティンパニが力強く入り,祝典的な気分で始まります。独立した序曲のような感じがありました。第2楽章は,反対にちょっと不気味な気分が漂う,暗さと明るさが交錯するような楽章。第3楽章は異様に力強いメヌエット(これはオノフリさんの指揮のせいかもしれませんが)。最終楽章が二重対位法を使った楽章ということで,後期の交響曲の展開部がいきなり始まったような充実感。ハイドンの交響曲にも色々ありますが,特に個性的だと感じました。

このちょっと破格な雰囲気が,オノフリさんの指揮の,良い意味での少々エキセントリックな雰囲気とうまくマッチしていると思いました。コンサートミストレスのアビゲイル・ヤングさんを中心としたOEKの音には,美しさと精緻さがありましたが,それにオノフリさんの「思い」がしっかりと加わり,ハイドンの技や工夫に命が吹き込まれていたように感じました。

というわけで,是非,オノフリさんには,今後も古典派交響曲シリーズを期待したいと思います。

2019/03/03

#太田弦 指揮によるカレッジコンサート2019。石川県内の大学オーケストラメンバーとOEKが共演。大編成のブラームスの交響曲第2番等に加え,OEK単独によるシューベルトの交響曲第1番も素晴らしい演奏でした。 #oekjp

本日の午後は,この時期恒例のカレッジコンサートを石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。石川県内の大学オーケストラメンバーとオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の共演ということで,ステージに乗っていたメンバーは若い人中心でしたが,今回は指揮者の太田弦さんも25歳ということで,過去,最も若いメンバーによる公演になったのではないかと思います。

この太田さんですが,4月から大阪交響楽団の正指揮者になります。異例の若さと言えると思います。ただし,本日の指揮ぶりは非常に冷静で落ち着きがあり,ステージいっぱいに乗った大オーケストラを見事にドライブしていました。若手指揮者といえば,「速いテンポで情熱的に聞かせる」という先入観を持ってしまいますが,熟練の指揮ぶりだったと思います。プログラムの方は,ドヴォルザーク,シューベルト,ブラームスとこの演奏会にしては渋めでしたが,2曲の交響曲を中心に,大変聞き応えのある音楽を楽しませてくれました。

学生オーケストラとOEKの合同演奏については,前半最初に演奏されたドヴォルザークの「謝肉祭」の方がOEKメンバーが首席,後半メインで演奏されたブラームスの交響曲第2番の方は学生が首席という形になっていました。ドヴォルザークの方は,OEKの管楽器の名手たちの闊達な演奏をちりばめた華やかさがありましたが,上述のとおりテンポに落ち着きがあり,浮ついた感じになっていないのが特徴だったと思います。タイトルどおり「お祭り」でも面白い曲ですが,他の曲とのバランスの良い充実感がありました。

後半の合同演奏のブラームスの交響曲第2番は,さすがに管楽器の安定感の点では「謝肉祭」に及ばない部分はありましたが,弦楽器の音に威力があり,ドイツの交響曲らしさがしっかりと感じられる,見事な演奏だったと思います。冒頭のコントラバスの音の深さ,各楽章で出てくる息の長いカンタービレなど,ゆったりとしたテンポ設定と相俟って,大交響曲を聞いた充実感がありました。第3楽章の「肝」であるオーボエも大変立派な演奏だったと思います。第4楽章のコーダの部分では見事な盛り上がりを作っていましたが,それが唐突ではなく,少しずつ音楽を耕していくように,音楽の威力を増していっていたのが素晴らしいと思いました。

そして,この日の演奏で特に素晴らしいと思ったのが,真ん中で演奏されたシューベルトの交響曲第1番でした。過去,この曲を実演で聞いた記憶はないのですが,両端楽章の大編成の演奏に負けない充実感のある演奏でした。OEK単独だと,かえって音のクリアな強靱さが明確に感じされる部分ありました。この曲については,CDなどで聞く感じだと,やや冗長な曲かなと思っていたのですが,全楽章を通じて,磨かれた緻密さと新鮮な歌があり,全く退屈しませんでした。最終楽章では,トランペットのハイトーンが大活躍していましたが,この点もCDで聞いた印象とは一味違っていました。

なんといっても太田さんは,まだ25歳。今後もOEKとの共演の機会があると思いますが,今回の安定感と精緻さのある演奏を聞いて,今後の活躍が非常に楽しみになりました。

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