OEKのCD

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2019/06/05

OEK小松定期公演・春は,#茂木大輔 さんのトークと指揮によるベートーヴェンの英雄交響曲を中心としたプログラム。分かりやすいトークに加え,剛毅な演奏を楽しませてくれました。前半のプロメテウスの創造物には英雄と同じ主題が登場。OEKメンバーのソロも存分に楽しめました #oekjp

今晩は小松市うららで行われた,OEK小松定期公演・春を聞いてきました。「平日夜の小松ということで,仕事の後,金沢から出むくのは少々大変でしたが,茂木大輔さんのトークと指揮を楽しみに出かけてきました。

茂木さんのお話によると,3月にNHK交響楽団の首席オーボエ奏者を定年退職された後,4月以降は,指揮者一本で活動されているそうですが,指揮者として依頼を受けて指揮台に立つのは本日が初めてとのことでした。少々大げさですが「第2の人生(?)」の門出の演奏会といえそうです。

その記念すべき演奏会ということもあり,今回のプログラムは,以前から茂木さんが「やってみたかった」ものでした。ベートーヴェンの「英雄」交響曲と同じくベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」(抜粋)を組み合わせ,茂木さんの解説付きで楽しもうという内容でした。

私が中学生の頃,NHK-FMでは,音楽評論家の金子建志さんが「ちょっと聞いてみましょう」と曲の部分を聞きながら解説をするような,クラシック音楽の番組があったのですが,そういう雰囲気とちょっと似た感じがあったと思いました(「英雄」の第2楽章の解説の時,ゴセックの葬送行進曲という珍しい曲を参考音源として聞かせていただきましたが,こういう聞き比べは大好きです)。

私自身,そういう放送を聞きながら,クラシック音楽に「ハマって」いったので,本日のトーク&演奏を聞いて,クラシック音楽って面白いものだな,と思った若い人も出てきて欲しいと思いました(お客さんには地元の中学or高校生がかなり沢山いました)。

まずこの2曲のつながりなのですが,「英雄」の最終楽章に,「プロメテウス」の終曲のメロディが大々的に登場することによります。ベートーヴェンのお気に入りのメロディということになります。「プロメテウス」の方は,バレエの終曲(ベートーヴェン作曲のバレエというのも,かなり意外性がありますが)ということで,何回も同じメロディが繰り返し出てくる感じです。「英雄」を聞いた後だと,「なかなか先に進まない」感もなきにしもあらずでしたが,オリジナルの形を聞けたのは大変貴重な機会でした。

「プロメテウス」の中では,第5曲「アダージョ」が特に聞きものでした。ベートーヴェンの曲の中で唯一ハープが出てくる曲という「トリビア」を得ることができましたが,このハープとからむように,フルート,ファゴット,クラリネットそしてチェロが大活躍します。OEKのメンバーを全部覚えているようファン(私のことです)にとっては,大変うれしい演奏でした。茂木さんが語っていたとおり,カンタさんのチェロが美しかったですね。

後半に演奏された「英雄」の方は,かなり速いテンポで演奏されました。一言でいうと「剛毅」な「英雄」だったと思います。茂木さんの書かれた解説によると,第1楽章は「戦場の英雄」ということで,あちこち戦況を見回っている英雄という感じがしました。個人的には,大河のように悠々と流れるような第1楽章も好きなのですが,血気盛んな若々しい英雄も良いなと思いました。

第2楽章も速目のテンポでしたが,中盤以降,ティンパニやトランペットを交えての盛り上がりが素晴らしく(小松のホールだと特に音がよく聞こえます),全曲のクライマックスがこの辺にあったように感じました。

いかにもドイツ風の雰囲気のあった第3楽章に続き,「プロメテウス」の再登場したような第4楽章に。やはり,いつも馴染んでいるこちらの方が良いですね。こちらも全体的に速目のテンポでしたが,コーダの部分は慌てることなく,威厳たっぷりに締めてくれました。

個人的には,まだ週のはじめの火曜日なのに,少々疲れ気味だったのですが,バシッとしまった「英雄」を聞いて,一気に気力が回復しました。今後,茂木さんとOEKが共演する機会があると良いと思います。演奏会の企画面でも(ファンタスティックシリーズとかどうでしょうか?)協力していただけると良いのでは,と思いました。

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