OEKのCD

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2019/06/15

第32回県教弘クラシックコンサート #沖澤のどか さん指揮OEKによるシューベルトの交響曲第5番は,ストレートに曲の美しさが伝わってくる理想的な演奏。#新垣隆 さんのピアノによる自作の協奏曲「新生」も現代的感覚とロマンティックな情熱とが合わさったような聴きごたえのある作品 #oekjp

本日は,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の設立当初からこの時期に行われている,県教弘クラシックコンサートを聞いてきました。今回で32回目ということになります。無料の演奏会なのですが,応募して整理券をもらう必要があることもあり,実はこれまでほとんど行ったことのない演奏会でした。

今年は,昨年の東京国際音楽コンクール(指揮者)で第1位を取った注目の若手指揮者・沖澤のどかさんが登場すること,そして,才能豊かな作曲家,新垣隆さんの作品が自身のピアノで演奏されるということで,整理券を応募し,聞きに行くことにしました。実は,沖澤さんについては,井上道義さんによる指揮講習会の受講生だったころに一度聞いたことがあります。新垣さんについては,ガル祭の常連になりつつありますので,お二人とも金沢との縁が強いアーティストといえます。

非常にすっきりと心地良いテンポ感で演奏された,モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲に続き,前半は,新垣隆作曲によるピアノ協奏曲「新生」が演奏されました。この曲は,新垣さんと佐村河内さんをめぐる「ゴーストライター事件」後に,新垣さんが作曲家としての新しいスタートを切るのに際して作られた作品です。

この事件の後,新垣さんは,この事件さえ「ネタ」にするような感じで,バラエティ番組なども含め,非常に精力的に活動の場を広げています。そのしたたかさは,本当に素晴らしいと,個人的に思っています。そして,新垣さんを応援する人が多いのは,新垣さんの音楽的な才能と誠実な人柄あってのことなのだと思います。

今回演奏された「新生」を聞いて,そのことを再確認できました。曲は20分ぐらいで,3つの楽章から成っているのですが,続けて演奏されますので,単一楽章とも言えます。無機的で重苦しい雰囲気(ちょっとバルトークの曲を思わせる感じ)で始まった後,暗い情熱を秘めた,少しロマンティックな気分のあるような音楽になっていきます。途中,抒情的な雰囲気になった後,最後はピアノの名技性をしっかり聞かせるような,活力のある音楽になります。明るく晴れ渡る感じにはなりませんが,「新生」というタイトルどおり,力強く立ち上がるような感じで曲は締められました。

現代的で不気味な部分とロマンティックで親しみやすい気分とがバランス良く合わさっているのがさすがだと思いました。弦五部以外の管楽器については,各パート1名ずつという室内オーケストラ編成でしたので,まさにOEKと共演するのにぴったりの曲でした。

そして,新垣さんのピアノが素晴らしかったですね。クールでキレの良い打鍵も素晴らしかったのですが,抒情的な部分での透明感のある音も素晴らしいと思いました。そのうち,新垣さんには,OEKのコンポーザー・オブ・ザー・イヤーに就任してもらい,ピアノ協奏曲第2番を作ってもらいたいぐらいだと思いました。

アンコールでは,新垣さんによる自作のピアノ曲が演奏されました。何となくサティの「ジュ・トゥ・ヴ」を思わせるような「いい曲だなぁ」と思って聞いていたのですが,後半最初の部分でのトークによると,くまモンをイメージして作った,「小熊のワルツ」とのことでした。途中,即興的に色々な「ユーモア」を入れるあたりも,新垣さんならではでした。

後半の最初では,沖澤さんと新垣さんによる対談が行われました。沖澤さんは,指揮の雰囲気同様,とても明快で爽やかな語り口で,新垣さんから色々興味深い話題を引き出していました。これについては,後日,別途ご紹介しましょう。

後半に演奏されたシューベルトの交響曲第5番は,OEKがたびたび演奏してきた作品です。まず,平成元年の第1回定期公演で,天沼裕子さん指揮で演奏されています。令和元年の最初は,沖澤のどかさん指揮ということで,ちょっと不思議な縁のようなものを感じます。

個人的に大好きな曲なのですが,沖澤さんの作る音楽は,本当に率直で,スーッと音楽の魅力が伝わってきました。シューベルトやモーツァルトの曲を聞いていると,明るく純粋であるほど,ほのかに哀しさが漂ってくることがありましたが,そういう魅力的な瞬間が随所に出てくるような演奏で,この曲の理想的な演奏なのではと思いました。弦楽器の瑞々しい響きに,フルートを中心とした管楽器が美しく絡み,さりげないけれども華やいだ気分にさせてくれました。

第2楽章の緩徐楽章も重苦しくなることはないのに,音楽が進むにつれて,「懐かしい思い」がどんどん募ってくるように感じました。第3楽章も短調の部分と長調の部分が交錯します。その移行が大変自然でした。

というわけで,全曲どこを取っても,瑞々しくストレートな美しさに溢れた素晴らしい演奏だったと思いました。アンコールでは,チャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレが暖かみのある音で丁寧に演奏されました。もともとは弦楽四重奏で演奏される曲ですが,コントラバス入りの弦楽合奏での演奏ということで,控えめながらゴージャスさも感じられました。

シューベルトの交響曲では,楽章ごとに拍手が入るなど,定期公演の時とは,違った客層だったようですが,誰もが「良いなぁ」と感じられるとても気持ちの良い演奏会だったと思います。これから,お二人の活躍の場が広がっていくことを確信した演奏会でした。

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