OEKのCD

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ

« 2019年8月 | トップページ | 2019年10月 »

2019年9月

2019/09/17

#朝日新聞 プレゼンツ「オーケストラ・アンサンブル金沢 おしゃべりクラシック」#松木さや #永野光太郎 フルート,チェンバロ,ピアノによる優雅な時間。リーズナブルで贅沢な演奏会でした

本日は午後から休みを取って,「朝日新聞プレゼンツ オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK) おしゃべりクラシック」を聞いてきました。出演したのは,OEKのフルート奏者,松木さやさんとピアノ,チェンバロ奏者の永野光太郎さんでした。この「おしゃべりクラシック」シリーズには以前から関心があったのですが,なかなか行くことができなかったのですが,まだ「夏休みモード」が残っている時期ということで,休暇を取って,約1時間,石川県立音楽堂交流ホールでゆったりと楽しんできました。

チラシの感じだと,松木さんが主役,というイメージだったのですが,実は永野さんの方も大活躍で,フルートとチェンバロのための作品2曲,フルートとピアノのための作品1曲に加え,ピアノ独奏のための小品が2曲演奏されました。というわけで永野さんの方が出ずっぱりでした。

今回,フルートで演奏された作品は,モーツァルトとJ.S.バッハ(不確実なのですが)のソナタとフランスのヴィドールによる組曲でした。標題のついた曲がなかったので一見地味目でしたが,松木さんのフルートには,いつもどおりの余裕たっぷりの美しさが溢れていました。不自由な部分が全くないような健康的な気分と優雅な世界を満喫することができました。音量の小さなチェンバロとの共演の曲でも,しっかりと音量的なバランスが取れており,伸びやかさだけでなく抑制された美しさも味わうことができました。

特にモーツァルトのソナタK.14(モーツァルト8歳!の時の作品)の最終楽章では,チェンバロは,非常に繊細な音を使っており,フルートの音色とあいまって,小さな宝物を丁寧に扱うような美しさを味わうことができました。

伝バッハの曲も「オブリガートチェンバロのための作品(右手パートもしっかり楽譜に書かれている作品)」ということで,チェンバロとフルートのコラボレーションを楽しむことができました。この曲では,第2楽章のシチリアーノのかげりのあるメロディが大変有名です。松木さんの息の長い,流麗さのある演奏でたっぷりと楽しむことができました。

その後,永野さんのピアノ独奏でショパンのピアノ小品が2曲演奏されました。チェンバロの音も良いのですが,やはりピアノの音を聞くと,落ち着きます。特に「やさしい雨」が降り注いでいるような感じの「雨だれ」は,平日の午後に聞くのにぴったりだと思いました。

最後に演奏されたのは,松木さんお気に入りのヴィドールの組曲でした。組曲というタイトルになっていますが,楽章の構成的にはソナタと同様だと思いました。初めて聞く曲でしたが,各楽章のキャラクターの違いが鮮明で,大変親しみやすい作品でした。どの楽章もメロディが美しく,隠れた名曲(もしかしたらフルート界では有名な曲なのかもしれませんが)だと思いました。チェンバロとの共演の時と比べ,音域的にも広くなり,演奏全体の伸びやかさもさらにアップしている感じでした。

アンコールでは,ドビュッシーの「小組曲」の中の「小舟にて」がじっくりと演奏されました。この曲はオーケストラ版では何回も聞いたこともありますが,今回の演奏では,いつもにも増して,松木さんのフルートの美しさを堪能できました。

というわけで,聴きごたえ十分でした。ホテルのレストランがランチタイムの時だけ,夜の時間帯よりもリーズナブルな価格設定でメニューを提供する,というのは良くありますが,今回の公演の料金は,何と500円。その雰囲気のある演奏会だと思いました。お客さんもとてもよく入っていました。というわけで,今後も平日午後の公演も「要チェック」と言えそうです。機会があれば,また,このシリーズを聞きにきたいと思います。

2019/09/14

岩城宏之メモリアルコンサート #鶴見彩 さんのピアノによる誠実さのある協奏曲第4番。#ユベール・スダーン さん指揮OEKによる,新鮮で骨太の交響曲第5番。このベートーヴェン2曲に加え, #木村かをり さんのクールなピアノによる #湯浅讓二のピアノ・コンチェルティーノ #oekjp

毎年9月,OEKの秋の新シーズンの開始の時期に行われている,岩城宏之メモリアルコンサートを聞いてきました。この演奏会では,その時の岩城宏之音楽賞受賞者とOEKが共演することになっています。今年はピアニストの鶴見彩さんが受賞しました。

鶴見さんといえば,石川県新人登竜門コンサートに出場して以来OEKとのつながりの深い方で,金沢で行われるOEKメンバーとの室内楽公演にも頻繁に登場されています。OEKのメンバーにとっても,「ファミリー」と言って良いような信頼を寄せている実力者です。

その鶴見さんが選んだ協奏曲は,ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。「皇帝」や第3番に比べるとちょっと控えめだけれども,ロマンティックな香りや美しい瞬間にあふれ,さらには,ベートーヴェンらしい芯の強さのようなものも求められる作品です。この選曲は,鶴見さんの雰囲気にぴったりだと思いました。

演奏の方も,第1楽章冒頭の印象的なソロから誠実さのある演奏を聞かせてくれました。大げさになりすぎないけれども,しっかりとした足取りの中から美しさがにじみ出てくるようでした。第3楽章を中心に軽快な音の動きも心地良く,しかし浅薄にならず聞かせてくれました。

ユベール・スダーンさん指揮OEKの演奏も,共感に溢れたもので,鶴見さんをしっかりバックアップしていました。第3楽章に出てくる,チェロやヴィオラのオブリガードのメロディを室内オーケストラらしい響きで美しく聞かせてくれたのも印象的でした。第3楽章のコーダの部分の力強い演奏などは,「これからもがんばって」と強く後押しをしてくれているようでした。

前半では,岩城さんの夫人であり,音楽賞の審査者でもあった,木村かをりさんの独奏で,久しぶりの再演となる湯浅讓二さんのピアノ・コンチェルティーノが演奏されました。木村さんの演奏は,相変わらずクールでした。この曲自体にも涼やかな雰囲気があり,ピアノとオーケストラが一体になって透明感のある世界を作っていました。曲の最後の方は,ピアノの音がクリアな空気に溶け込んでいくような不思議な雰囲気を感じました。岩城さんは,生前「初演魔」と呼ばれていましたが,過去のコンポーザー・イン・レジデンスの作品の中から,特に特徴的な作品を再演していくのも意義のあることだと思います。

演奏会の後半では,ベートーヴェンの交響曲第5番が演奏されました。定番中の定番の作品ですが,スダーンさんの解釈は非常に新鮮でした。全体的に速めのテンポで,所々,前のめりな性急さを感じさせる部分もありましたが,この辺もしっかり計算されている感じで,曲全体として聞くと,揺るぎない安定感を感じました。

各パート,各楽器ごとの歌わせ方に独特の強弱を付けているなど,「小技」を色々と盛り込んでいるようなところもありましたが,そのアイデアの数々がビシッと決まっており,演奏全体を非常に生気のあるものにしていました。

ただし,全体の印象としては,細かい部分にこだわることよりは,楽章ごとに,太い筆でしっかり描かれたような骨格をしっかり感じさせるような演奏で,4つの楽章の性格がきっちりと描き分けられた,交響曲らしい演奏だったと思いました。

スダーンさん指揮OEKは,来週は定期公演として,同じベートーヴェンの交響曲第7番を演奏します。同じ奇数番の曲を,どう聞かせてくれるのか大変楽しみです。

PS. この日は終演後,サイン会が行われました。サイン会には毎回のように参加しているのですが,本日はすぐに帰宅する必要があったので,参加できませんでした。残念。

2019/09/07

オーケストラ・アンサンブル金沢 高岡特別公演 with #合唱団OEKとやま #山下一史 さんの指揮でコダーイのミサ・ブレヴィス,ブダ城のテ・デウムなど挑戦的なレパートリーを楽しんできました。「歌いたい」という意欲がしっかり伝わる演奏でした。 #oekjp

本日は富山県の高岡市で行われた,オーケストラ・アンサンブル金沢 高岡特別公演 with 合唱団OEKとやまを聞いてきました。この公演は,過去2回は,8月末に富山市で行われていましたが,今回は少し時期が遅くなり,場所を高岡市に変えて行われました。

この合唱団の前身の「合唱団おおやま」との共演の時は,あまり知られていない作曲家による「知る人ぞ知るレクイエム」の名作を取り上げるのが恒例でしたが,一昨年,「合唱団OEKとやま」の名称に変わってからは,ヴェルディのレクイエム,ベートーヴェンのミサ・ソレムニスとメジャーな路線に変更した感じでした。今年はどうなるのかな...と思っていたのですが,今年度はしっかり(?)当初のマイナー路線に戻ってくれました。

メインで演奏されたのは,20世紀ハンガリーの作曲家,コダーイによる,ミサ・ブレヴィス(小ミサ曲)でした。コダーイは,有名な作曲家ですが,そのミサ曲となると,北陸地方で演奏される機会はほとんどないと思います。選曲については,いつも合唱団側から出されているようですが,最初,指揮の山下一史さんが「本当にできる?」と言ってしまったぐらいに難しい作品とのことです。

この作品が後半に演奏されましたが,非常に良い曲だと思いました。そして,「歌いたい」という意欲が伝わってくる素晴らしい演奏だったと思いました。「小ミサ曲」ということで,ミサ曲にしては,やや小ぶりでしたが,それでも30分以上はありました。楽器編成的には,ミサ曲には定番のトロンボーン3本に加え,テューバも入っていました。トランペット3本,ホルンも4本ということで,OEKの編成は金管楽器がかなり増強されていたことになります。こういった楽器が加わることで,OEKは冒頭からパイプオルガン的な響きを出していました。

曲の雰囲気的は,予想していたよりもオーソドックスな感じでした。ハンガリー風という感じはそれほどしませんでした。グローリア,クレドといった曲の最初の一節はテノールが語るように歌うあたり,本物のミサ(参加したことはないのですが)の気分がありました。歌詞の内容に沿って,曲想が変わっていく感じもオーソドックスな部分がありましたが,やはり20世紀の作品ということで,音のダイナミックレンジが広く,変化に富んだサウンドを楽しむことができました。

合唱団の方は,自身で選曲しただけあって,「歌いたい」という意欲がしっかりとした声となって伝わってきました。大編成のオーケストラに負けない力を感じました。OEKとのバランスの良さは,22回も共演している,この合唱団とOEKのつながりの強さによると思いました。

この曲は第2次世界大戦の末期に書かれ,演奏されているのですが,終盤の楽章に出てくる「平和への祈り」が特に切実なものに感じられました。「アニュス・デイ」で終わるのも良いのですが,この曲では「イテ・ミサ・エスト」という「平和を与えてくれた神に感謝」する楽章で終わっていました。作曲当時の状況を考えると,少し不安で不穏な雰囲気を持ちながらも,希望を感じさせ,聞き手を励ますような歌だったと感じました。

こういう素晴らしい曲を実演で聞けたことに感謝したいと思います。

前半でも,もう1曲コダーイ作曲による「ブダ城のテ・デウム」という作品が演奏されました。こちらの方はもう少しコンパクトな作品でしたが,ミサ・ブレヴィスと全く同じ編成で,充実した響きに満たされた,聴きごたえのある作品でした。何よりも,全体の雰囲気がとても格好良いと思いました。

この2曲のコダーイの作品には,4人のソリストも登場しましたが,それぞれ,瑞々しさがあり,宗教音楽に相応しい雰囲気があると思いました。特に,「テ・デウム」の最後の部分に出てきた,ソプラノの金川睦美さんのソロが印象的でした。曲の最後がソロになることで,祈りの気分がより切実なものに感じられました。金川さんの声には,あふれるような感動がこめられていました。

コダーイの2曲については,機会があれば再度聞いてみたいと思いました。

演奏会の最初には,富山県出身の作曲家,岩河三郎さんによる「富山に伝わる三つの民謡」という合唱とオーケストラのための作品が演奏されました。民謡を素材にした曲ということで,コダーイの曲と組み合わせるのにぴったりだと思いました。

この作品は,簡単に言うと富山県の3つの民謡を合唱曲に編曲したものなのですが,民謡本体の前に,イメージを含ませるような序奏的な部分が付いているのが特徴です。オリジナルの歌詞も付いているので,ジャズのスタンダードナンバーで言うところの「ヴァース」のような感じのイメージに近いと思いました。

全体の雰囲気は,少し懐かしさを感じさせるぐらい親しみやすさがあり,各曲とも気持ちよく盛り上がります。聞いていても心地良かったのですが,歌っていても気持ちの良い作品なのでは,と思いました。富山県の合唱団にとっては,特に大切な作品なのではと思いました。石川県にも,こういう合唱曲が欲しいな,とも思ったのですが,「越中おわら」と「こきりこ」に匹敵するような有名な民謡は石川県にはないかもしれないですね(山中節ぐらい?)。

ちなみに,この日のOEKは,金管楽器をはじめとして客演の方が多かったのですが,コンサートマスターがベルリン・フィルの町田琴和さん,ヴィオラのトップが東京フィルの須田祥子さん,チェロのトップがルドヴィート・カンタさんと,お馴染みの有名ソリストが集まっている感じで,万全の演奏だったと思います。ティンパニも常連の客演奏者の菅原淳さんが担当していましたが,特にコダーイの2曲では,パイプオルガンのペダルのような音をしっかり表現しており,素晴らしいと思いました。

今回の会場の高岡文化ホールに行くのは初めてだったのですが,大きさ的にはOEKにぴったりのサイズでした。多目的ホールということで,もう少し残響があると良いかなと思いましたが,その分,各楽器の音がしっかりと聞こえて来て,特に管楽器のソロなどをしっかり楽しむことができました(「こきりこ」の部分での,松木さんのフルートソロなどが特に印象的でした)。

本日は実験的に北陸自動車道も国道8号線も使わず,「山の方」から車で高岡に行ってみたのですが,我が家からは70分ほどで到着しました。駐車料金も掛からなかったので,今後も機会があれば,高岡には来てみたいなと思いました。

この公演が終わると,「夏の終わり」の気分になります。ここ数日,再度,夏の暑さが復活してきているのですが,行き帰りのドライブも含め,気持ちよく夏の最後の休日を楽しむことができました。

« 2019年8月 | トップページ | 2019年10月 »

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック