OEKのCD

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2019/11/07

オーケストラ・アンサンブル金沢小松定期公演・秋に,ブザンソン指揮者コンクールで優勝したばかりの沖澤のどかさんが登場。ディーリアスに始まり,フォーレで終わる,こだわりの「なつかしさ」のあるプログラム。小泉詠子さんの新鮮なメゾ・ソプラノとの相性もぴったりでした。#oekjp

このところ2週連続で,木曜日の夜に富山市まで出かけて演奏会を聞いていたのですが,本日(木曜日)は,小松市まで出かけ,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の小松定期公演秋を聞いてきました。今回の注目は,つい先日,ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝したばかりの,沖澤のどかさんが指揮者として登場することでした。

ただし,この演奏会自体は,このニュースの前からしっかり決まっていたもので,予定どおり,沖澤さんこだわりの,しっとりとした美しさのある曲が並ぶプログラムが演奏されました。もしも優勝することが分かっていたならば,もう少し華やかな雰囲気の曲が演奏された気がしないでもありませんでしたが,これまでのOEKの演奏会で演奏されたことのない曲が並ぶ,OEKファンなら大喜び(?)といった感じのプログラムでした。それに加え,石川県出身のメゾ・ソプラノ。小泉詠子さんの素晴らしい声を楽しむことができました。

今回のプログラムで意表を突いたのは,後半最後に演奏された曲が,フォーレの組曲「マスクとベルガマスク」だったことです。OEKが演奏するのは初めてだったかもしれません。沖澤さんは,OEKのキャラクターにあった曲を選んだとのことですが,まさにその通りの,小粋で変化にとんだ美しい作品でした。個人的には「オーケストラの演奏会の最後は,やっぱり交響曲かな」とは思うのですが,今回の場合,沖澤さんのトークを聞いて納得しました。

本日のプログラムの最初に演奏された,ディーリアスの「春初めてのカッコウを聞いて」と対応させる形で,フォーレの「マスクとベルガマスク」の終曲のパストラールを配置したとのことでした。説明を聞いてからこの曲を聞くと,なるほどディーリアスと非常によく雰囲気が似ており,「なつかしい」気分にさせてくれました。

この「なつかしさ」というのが今回のプログラムのポイントだったのですが,曲の雰囲気自体「なつかしさ」があるのと同時に,プログラムの最後で最初に演奏された曲を思い出させるという二重の意味での「なつかしさ」にこだわっていたことになります。この選曲のセンスが素晴らしいと思いました。

沖澤さんの指揮については,今年の6月,シューベルトの交響曲第5番などを聞いたことがありますが,オーケストラを強く引っ張っていくというよりは,オーケストラが自発的に作り出す音楽に乗りながら,気づいてみれば,自然と沖澤さんの考える音楽へと導かれている。そういう感じの音楽だなと思いました。

今回演奏された曲で面白かったのは,後半に演奏されたシュニトケの「古典様式による組曲」でした。この曲もOEKが演奏するのは初めてでしょうか?曲の雰囲気としては,レスピーギの「古風な舞曲とアリア」ような感じで,一見,とても心地良く聞きやすい音楽なのですが,所々,隠し味のような感じで,「ちょっと違和感があるな」という毒が混ざったような響きが混ざってきます。それがわざとらしくなく,とてもスマートに品良くユーモアを感じさせてくれたのが良かったと思いました。

そして,この日のもう一人の主役が小泉詠子さんでした。小泉さんは,パーセル,モーツァルト,ロッシーニのオペラのアリアを歌いました。まずソプラノではなくメゾ・ソプラノという点が,まず,沖澤さんが考えた,ちょっと地味目のプログラムの雰囲気にぴったりだったと思います。

モーツァルトのケルビーノのアリア2曲はお馴染みの曲でしたが,パーセルの「ディドとエネアス」のアリア,ロッシーニの「アルジェのイタリア女」のアリアなど,魅力的なアリアを4曲聞かせてくれました。小泉さんの声には瑞々しさと,品の良さがあり,沖澤さんが作る自然体の音楽ともしっかりマッチしていました。

今回は沖澤さんと小泉さんの曲目解説を交えての演奏だったのですが,まず,パーセルの作品での痛切な響きと,低音楽器が半音ずつ下行していくラメント進行が印象的でした。このお二人を中心とした,バロックオペラの企画などあれば(ヘンデルの「メサイア」の全曲でも良いですね),聞いてみたいものだと思いました。

ロッシーニのアリアは,女性の2面性を描いたようなアリアでした。曲の前半での滑らかな美しさと,曲の後半での男を騙すしたたかさ。そのキャラクターをデフォルメしたような感じはありませんでしたが,古典的な雰囲気を保ちながら,鮮やかな歌い分けを楽しませてくれました。

というようなわけで,トーク以外の実質的な演奏時間はかなり短めの演奏会でしたが,その分,それぞれの曲をじっくりと楽しむことができました。今回の演奏会を聞いて,沖澤さんの指揮で,これまでOEKが取り上げてこなかったような作品を色々と聞いてみたいなと思いました。今後の活躍に大いに期待しています。

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