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2019/11/13

洋邦コラボレーション・コンサート コラージュ:能による3つの情景。渡邊荀之助ファミリーとコンスタンチン・リフシッツさんを中心とした,アートの素晴らしさを讃えるような「展覧会の絵」。石川県立音楽堂邦楽ホールの機能を使いまくっていました。

今晩は,「洋邦コラボレーション・コンサート コラージュ:能による3つの情景」という石川県立音楽堂ならではの演奏会(というよりはパフォーマンスといったところでしょうか)が行われたので聞いてきました。石川県立音楽堂には,洋楽用,邦楽用の2つのホールがありますが,その2つの要素をコラボさせようという試みです。同様のコンセプトの演奏会は,ホールの開館以来,毎年のように行われて来ましたが,今回の「能」と「ピアノ」を中心としたコラボレーションは,特に素晴らしい内容だったと思います。

演奏会の構成は,謡と囃子による居囃子「松風」,ピアノ独奏によるヤナーチェクの「草かげの小径にて」第2集,能舞とピアノのコラボによるバッハのパルティータ第6番のサラバンド。そして,能舞,モダンバレエ,ピアノ,笛によるムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」全曲というものでした。

最初の居囃子からステージの照明効果が素晴らしく,非常にドラマティックな雰囲気が出ていました。逆に言うと正統的な邦楽の世界とは別世界になっていたのですが,新しい切り口で邦楽を聞かせようという今回の演奏会のコンセプトにはぴったりでした。

その後の曲については,コンスタンチン・リフシッツさんのピアノと渡邊荀之助ファミリーの能舞が中心となっていました。何と言っても,後半に演奏された「展覧会の絵」が素晴らしかったですね。渡邊荀之助さん,茂人さん,さくらさんの親子孫3代に川瀬隆士さんが加わった4人による舞が実に華やかでした。そこに,中村香耶さんのモダン・バレエが絡み,和洋が渾然一体となって,芸術を賛美するようなパフォーマンスとなっていました。

リフシッツさんのピアノは,冒頭のプロムナードから大変堂々とした歩みでスタート。私がこれまで聞いたこの曲の演奏でも特に遅いテンポでしたが,その中に精緻な表現から豪快な表現まで,多彩な音楽が詰まっていました。「バーバヤガーの小屋」の前の「カタコンベ」の部分では,意表を突いて謡も加わり,死者の霊を弔うような,何とも言えない不思議な雰囲気が漂っていました。

最後の「キエフの大門」は,出演者総出演の壮麗な「大団円」という感じでした。その点では,本来の能とは全く違う,能のキャラクターを活かした総合芸術といった趣きでしたが,その辺に他では見たことのないオリジナリティを感じました。

邦楽ホールのステージは,色々な部分が,「上がったり,下がったり」させることができるのですが,それを駆使して,次は誰がどこから出てくるのだろう,というわくわくとした気分にさせてくれました。邦楽ホールでしか実現できない,金沢ならではのパフォーマンスだったと思います。

この「華やかなステージ」と対照的だったのが,バッハのサラバンドのステージでした。渡邊荀之助さんは出家した尼さんのような面+衣装で登場。リフシッツさんの演奏する,悲しみと甘美さに満たされたようなピアノ演奏の雰囲気そのままの舞を見せてくれました。
以上以外にも,リフシッツさんの独奏でヤナーチェクのピアノ曲が演奏されました。どこかジャズのピアノ曲を聞くような自在さが感じられると同時に,精緻で多様なタッチの素晴らしさを堪能できる演奏でした。

邦楽ホールの機能を使い尽くしたような,工夫に溢れたパフォーマンスに触れながら,石川県立音楽堂の素晴らしさも実感できた演奏会でした。

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