OEKのCD

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2019年12月

2019/12/31

2019年のOEK定期公演を振りかえる。OEKらしさに磨きがかかった一年。毎回聞き逃せないミンコフスキさんの公演を中心に,金沢ならではの公演が増えてきた気がします。

今年も大みそか。2019年のOEKの定期公演は,どの公演も楽しめました。

公演のタイプとしては,まず,(1)ハイドン,モーツァルト,ベートーヴェンの交響曲を核としたベーシックなプログラム,(2)室内オーケストラの可能性を広げようと独自性を追求するプログラムに分けられると思います。(1)は,ユベール・スダーンさんやラルフ・ゴトーニさんが登場した公演,(2)の方は,川瀬賢太郎さんが登場した,ジュリアン・ユー編曲版の「展覧会の絵」公演などが入ると覆います。

そして,マルク・ミンコフスキさんが登場した2回の公演。「ミンコフスキさんの「新世界」?」「ブラームスのセレナード第1番?」すべてが注目でした。そして,意表を突いて演奏されたドヴォルザークのスラヴ舞曲op.72では,曲の魅力を再発見させてくれました。

このミンコフスキさんの影響もあるのか,ポール=エマニュエル・トーマス,ピエール・ドゥモソー,パトリック・ハーンといった若い指揮者による公演が続いたのも今年の特徴だったと思います。この「才能の先物買い(?)シリーズ」も金沢ならでは魅力だと思います。

ソリストもそれぞれ素晴らしかったのですが,「一人」に絞れば,メゾ・ソプラノの藤村実穂子さんでしょうか。世界最高峰のワーグナーの声を堪能できました。

最後に,個人的にもっとも印象に残った公演は,OEKと初共演だったコーリャ・ブラッハーさん指揮+弾き振りによる定期公演でした。ブラームスのヴァイオリン協奏曲とベートーヴェンの交響曲第4番といったオーソドックスなプログラムを非常に立派で熱のこもった音で再現してくれました。

OEKについては,公演ごとに(指揮者の個性や編成によって)大きく雰囲気が変わる適応力の高さが面白い点だとと思います。2020年はどういう音を聞かせてくれるのか,大いに期待したいと思います。

2019/12/21

今年最後の演奏会通いは金沢市安江金箔工芸館で行われたOEKの首席第2ヴァイオリン奏者,江原千絵さんとピアノの白河俊平さんによる「きらめきコンサート:イタリアに憧れて」。新しさと古さが混ざった絶妙のプログラムを江原さんのトークとともに楽しんできました。

本日は金沢市安江金箔工芸館で行われた,OEK首席第2ヴァイオリン奏者の江原千絵さんとピアノの白河俊平さんによる,「きらめきコンサート:イタリアに憧れて」を聞いて来ました。今年の「演奏会通い」の締めになる見込みです。

金箔工芸館では,入口付近の多目的スペースを使って定期的にミニ演奏会を行っていますが,今回で48回目とのことです。金沢市内には色々な博物館や文芸館があり,金沢蓄音器館などでも定期的に公演を行っていますが,スペース的には金箔工芸館のこのスペースがいちばん行いやすいのではないかと思います。

プログラム(+曲目解説も)は,江原さんが考えたもので,とてもよく考えられたものでした。サブタイトルは,「イタリアに憧れて」でしたが,演奏された3曲は,バロック~古典派的な雰囲気を持つイタリア的な雰囲気のある3曲で,見事に統一感が取れていました。

最初のシュニトケの「古典様式による組曲」だけは,イタリアと一見関係なさそうでしたが,最後に演奏されたストラヴィンスキーの「イタリア組曲」と同じようなアイデアで書かれた曲で,現代の作曲家が過去の作品に,新鮮な光を当てて,蘇らせたような新古典派的な気分がありました。最初のシュニトケは,OEKの小松定期公演・秋で,弦楽合奏版を聞いたばかりでしたので,その点でも,ストラヴィンスキーの「プルチネルラ」と,それをヴァイオリンとピアノ用に編曲して「イタリア組曲」としたパターンと似ているなと思いました。

今回聞いた場所は,かなり前の方だったこともあり,ヴァイオリンとピアノの音を本当に間近で聞くことができました。白川さんのピアノの音は,会場内にたっぷりと染み渡り,江原さんの音は,曲想の変化に合わせて,多彩なニュアンスの変化を楽しませてくれました。シュニトケもストラヴィンスキーも,大半は明るく心地良い響きなのですが,特にシュニトケの方では,小松定期で聞いた時同様,突然不協和音が長く出てきて,音楽の雰囲気が一転するなど,捻りが効いていました。江原さんのヴァイオリンの音には,甘さよりは,引き締まった密度の高さのようなものがあり,これらの曲想にマッチしていると思いました。

この2曲の間に演奏されたのが,タルティーニのヴァイオリン・ソナタ「悪魔のトリル」でした。江原さんのトークによると,「ヴァイオリニストならば,一度は取り上げてみたいと思う曲」ということで,満を持しての演奏でした。この曲は,純正のバロック~古典派の曲ですが,「夢の中に悪魔が出てきて...」というエピソードがある点で,ロマン派的なアプローチも可能な曲かもしれません。実際,クライスラー版というのもあるようですが,今回の演奏は,センチメンタルな気分にはならず,快活さと壮麗さが交錯するような聴きごたえのある演奏を聞かせてくれました。

最初の楽章は,シチリアーノ風だったのですが,シュニトケの組曲の最初の曲もパストラーレで,少し似た感じだったので,その点でも「連想ゲームのようにつながったプログラムだなぁ」と思いました。

アンコール演奏されたのも,イタリアの作曲家プニャーニによる,ラルゴ・エスプレッシーヴォという甘いデザートのような小品。我が家では,今年はクリスマスケーキを食べる予定はないのですが,クリスマス気分にもぴったりと思いました。

今回は江原さんのトークも歯切れが良く,気持ちよく楽しむことができました。白河さんは,江原さんにとっては,「ほとんど我が子のような感じ」とのことで,これからの活動を応援したいとのことでした。今回の選曲は,「古くて新しいイタリア・プログラム」でしたが,是非また,一捻りあるデュオの続編に期待したいと思います。

2019/12/08

OEKと北陸聖歌合唱団の「メサイア」(抜粋)公演は,三河正典さん指揮による,じっくりとしたテンポによる,晴れやかで気持ち良い演奏。独唱の皆さんの歌唱も充実。#oekjp

本日は年末恒例のOEKと北陸聖歌合唱団の「クリスマス・メサイア」公演を聞いてきました。今年は,抜粋版による演奏で,指揮は三河正典さん指揮でした。第1部はほぼ全曲が演奏され,第2部と第3部は「はずせない」定番曲中心という感じでした。

プログラムに掲載されていた,北陸聖歌合唱団による60年に渡る公演リストを見ると,三河さんは今回で4回目の登場。地元の指揮者以外では,最多の登場回数です。今回の演奏を聞いて,北陸聖歌合唱団と三河さんの相性は抜群だと思いました。三河さんのテンポ設定は,基本的に遅めでしたが,そのことにより,合唱団だけでなく,オーケストラの演奏についても,表現が徹底していると感じました。それでいて,演奏全体はすっきりまとまっており,「ハレルヤ・コーラス」をはじめ,合唱団が大きく歌い上げる部分は,とても晴れやかでした。聞いている方も気持ち良かったのですが,歌っている皆さんも気持ちよかったのではないかと思いました。

「アーメン・コーラス」などでは,三河さんは,曲中の要所要所で非常に大きな間を取っていました。最後は,非常に壮麗でスケール感たっぷりに締めてくれました。

今回はソリストの皆さんも素晴らしい歌唱の連続でした。序曲に続いて,テノールの伊達達人さんの,全く苦しげな感じのしない瑞々しい声。バリトンの高橋洋介さんは,過去,OEKの定期公演にも登場しています。第1部と第3部の魅力的なアリアを威厳のある美しい声で聞かせてくれました。

メゾ・ソプラノのパートは,今回はカウンターテノールのデキョン・キムさんが担当しました。古楽の歌唱法で,非常にすっきりとしているのですが,その中に優しさの溢れており,第2部の長いアリアなども自然な哀しみがこもっているようでした。ソプラノは,お馴染みの朝倉あづささんではなく,韓錦玉さんでした。韓さんの声にも暖かみがあり,第1部後半などは,クリスマスの物語をお母さんが子どもに読み聞かせてくれているような親しみやすさを感じました。

今年も無事に平和な気分で「メサイア」を楽しむことができました。少々早いのですが,今年の演奏会通いは本日で最後になりそうです。アンコールの「きよしこの夜」を聞きながら,無事1年が終わりそうなことに感謝したいと思います。

PS.今回は,「メサイア」に先だって,春日朋子さんによる,パイプオルガン演奏で2曲演奏されました。これまで,プレコンサートの形だったのですが,このスタイルの方がじっくりと楽しめるので,良いなと思いました。

2019/12/07

12月恒例のPFUクリスマスチャリティコンサート。今年の指揮は,OEK初登場のキハラ良尚さん。オーソドックスでありながら,非常に新鮮で勢いのあるベートーヴェンの7番を聞かせてくれました。村治奏一さんとの共演のアランフェス,池辺さん監修の映画音楽集も楽しめました。

本日は12月恒例のPFUクリスマスチャリティコンサートを石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。このコンサートも回を重ね,今回で28回目とのことです。毎年のように,OEKが登場していますので,ほとんど12月の定期公演のようなものですね。

今回登場したのは,若手指揮者のキハラ良尚さん,ギター奏者の村治奏一さんでした。お二人ともOEKと共演するのは初めてだと思います。この2人に加え,案内役として池辺晋一郎さんが登場しました。

前半は,スッペの「軽騎兵」序曲で始まりました。非常に有名な曲ですが,あまりにも親しみやすい曲なので,演奏会で聞くのはかえって珍しい,といった曲かもしれません。キハラさんの指揮は大変率直で,のびのびとこの曲を魅力を伝えてきました。じっくり聞くと気持ち良い曲だなぁと思わせてくれました。

この曲ですが,実は,次に演奏された池辺さん作曲の黒澤明監督の映画「影武者」の音楽への伏線でした。池辺さんが「影武者」の映画音楽を担当した際,ラッシュ(未編集プリント)に「軽騎兵」序曲が入っていたそうです。「軽騎兵」序曲のイメージで音楽を付けて欲しいという黒澤監督のメッセージなのですが,その真意はよく分からないということで,あれこれ策を駆使して,「金管楽器の音を入れたい」ということが分かり,作曲したとのことです。

この「影武者」の音楽ですが(どういう場面で使われていたのか分からないのですが),「軽騎兵」というよりは,ベートーヴェンの「英雄」の第2楽章の葬送行進曲のような感じの曲でした。途中トランペットが出てくるということで,ワーグナーの「神々の黄昏」の「ジークフリートの葬送行進曲」的な感じもありました。「軽騎兵」序曲のような「景気」の良さ(池辺さんの本日のダジャレの一つです)はありませんでしたので,恐らく,戦いに敗れた感じの場面で使われたのかなと思いました。

続いて,武満徹「3つの映画音楽」から,第1曲「調練と休息の音楽」と第3曲「ワルツ」が演奏されました。「ワルツ」の方は,井上道義さんの時代から,アンコールピースとして何回も聞いてきた曲でしたが,第1曲の方を聞くのは...久しぶりだと思います。ちょっとブルースっぽい雰囲気のある魅力的な作品で,「ワルツ」並みに聞かれても良い曲だなぁと思いました。「ワルツ」の方は,井上さんに比べるとあっさりとした感じで,シュッとした感じの美しさがありました。

前半の最後は,村治奏一さんの独奏で,ロドリーゴのアランフェス協奏曲が演奏されました。金沢の冬とは正反対のカラッとした明るさのある演奏でした。村治さんのギターの音の澄んだ音が心地良く響いていました。有名な第2楽章も,ノスタルジックな雰囲気よりは,どこかニヒルでクールな雰囲気を感じました。第3楽章は力強さと同時に,ニュアンスの豊かさを感じました。キハラさん指揮OEKも,しなやかにバックアップをしていました。

アンコールでは,タレガの「アルハンブラの思い出」が演奏されました。最初の部分は,オッと思わせるほど揺らぎのある独特のテンポ感で始まりました。村治さんならではの語り口にグッと引きつけてくれるような演奏でした。

後半は,OEK十八番のベートーヴェンの交響曲第7番が演奏されました。9月の定期公演でも取り上げたばかりの得意曲です。ただし,私自身は都合でこの公演を聞けなかったので,そのリベンジ(?)の意味と,初めて聞く指揮者がどういう演奏を聞かせてくれるかの期待を込めて,大変楽しみにして聞きました。

そのキハラさんの演奏ですが,奇をてらった所のない,伸びやかな演奏だったと思いました。堂々とした部分は堂々と,テンポの速い部分はぐいぐい進む,というメリハリがしっかり効いていました。この曲を何回も演奏している,OEKの持つ安定感をベースにしつつも,要所要所で,力強い表現やデリケートなニュアンスを効かせたり,非常にバランスの良い演奏だと思いました。

特に後半の第3,第4楽章の流れの良さは,若手指揮者ならではだと思いました。しっかりと音やバランスが整ったままで,心地良く疾走するような演奏でした。第4楽章の最後の部分なども熱狂的に燃え上がるというよりは,ゴールインした後もそのまま,ゴールを超えてズーッと走り抜けていってしまうような,余裕のある伸びやかさを感じました。

案内役の池辺さんは,「キハラさんは,これから必ず名前をたびたび聞くようになる指揮者です」と紹介されていました。これからの活躍が大いに楽しみです。ちなみに,ちょっと気になる「キハラ」というカタカナ表記ですが,もともとは漢字表記だけれでも,「芸名(?)」として使っているとのことです。俳優でいうと「キムラ緑子」のような感じですね。

まだ時期的には早いのですが,「クリスマス・チャリティコンサート」ということで,アンコールでは,アダンの「オー・ホーリー・ナイト」が池辺さんのお弟子さんの日高さんによる編曲版で演奏されました。池辺さんは「クリスマス・ソングの中ではこの曲がいちばん好き」と語っていましたが,実は私も同様です。「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」などと比べると,大人っぽい雰囲気があり,聞いているうちに,どこか切ない感じにさせてくれるような美しさがあります。日高さんのアレンジは,OEKにぴったりの編成用のもので,期待どおりの美しさと切なさを味わうことができました。これからも,PFUコンサートのアンコール曲として毎年使ってもらっても良いかなと思いました。

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