OEKと北陸聖歌合唱団の「メサイア」(抜粋)公演は,三河正典さん指揮による,じっくりとしたテンポによる,晴れやかで気持ち良い演奏。独唱の皆さんの歌唱も充実。#oekjp
本日は年末恒例のOEKと北陸聖歌合唱団の「クリスマス・メサイア」公演を聞いてきました。今年は,抜粋版による演奏で,指揮は三河正典さん指揮でした。第1部はほぼ全曲が演奏され,第2部と第3部は「はずせない」定番曲中心という感じでした。
プログラムに掲載されていた,北陸聖歌合唱団による60年に渡る公演リストを見ると,三河さんは今回で4回目の登場。地元の指揮者以外では,最多の登場回数です。今回の演奏を聞いて,北陸聖歌合唱団と三河さんの相性は抜群だと思いました。三河さんのテンポ設定は,基本的に遅めでしたが,そのことにより,合唱団だけでなく,オーケストラの演奏についても,表現が徹底していると感じました。それでいて,演奏全体はすっきりまとまっており,「ハレルヤ・コーラス」をはじめ,合唱団が大きく歌い上げる部分は,とても晴れやかでした。聞いている方も気持ち良かったのですが,歌っている皆さんも気持ちよかったのではないかと思いました。
「アーメン・コーラス」などでは,三河さんは,曲中の要所要所で非常に大きな間を取っていました。最後は,非常に壮麗でスケール感たっぷりに締めてくれました。
今回はソリストの皆さんも素晴らしい歌唱の連続でした。序曲に続いて,テノールの伊達達人さんの,全く苦しげな感じのしない瑞々しい声。バリトンの高橋洋介さんは,過去,OEKの定期公演にも登場しています。第1部と第3部の魅力的なアリアを威厳のある美しい声で聞かせてくれました。
メゾ・ソプラノのパートは,今回はカウンターテノールのデキョン・キムさんが担当しました。古楽の歌唱法で,非常にすっきりとしているのですが,その中に優しさの溢れており,第2部の長いアリアなども自然な哀しみがこもっているようでした。ソプラノは,お馴染みの朝倉あづささんではなく,韓錦玉さんでした。韓さんの声にも暖かみがあり,第1部後半などは,クリスマスの物語をお母さんが子どもに読み聞かせてくれているような親しみやすさを感じました。
今年も無事に平和な気分で「メサイア」を楽しむことができました。少々早いのですが,今年の演奏会通いは本日で最後になりそうです。アンコールの「きよしこの夜」を聞きながら,無事1年が終わりそうなことに感謝したいと思います。
PS.今回は,「メサイア」に先だって,春日朋子さんによる,パイプオルガン演奏で2曲演奏されました。これまで,プレコンサートの形だったのですが,このスタイルの方がじっくりと楽しめるので,良いなと思いました。
« 12月恒例のPFUクリスマスチャリティコンサート。今年の指揮は,OEK初登場のキハラ良尚さん。オーソドックスでありながら,非常に新鮮で勢いのあるベートーヴェンの7番を聞かせてくれました。村治奏一さんとの共演のアランフェス,池辺さん監修の映画音楽集も楽しめました。 | トップページ | 今年最後の演奏会通いは金沢市安江金箔工芸館で行われたOEKの首席第2ヴァイオリン奏者,江原千絵さんとピアノの白河俊平さんによる「きらめきコンサート:イタリアに憧れて」。新しさと古さが混ざった絶妙のプログラムを江原さんのトークとともに楽しんできました。 »
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