OEKのCD

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2020年1月

2020/01/29

冨田一樹オルガン・リサイタル「真冬のバッハ」バッハの多彩なオルガン曲のキャラクターを鮮やかに弾き分けた素晴らしい演奏。トークも分かりやすく,大満足の公演でした。

本日は,「真冬のバッハ」と題された,冨田一樹さんのオルガン・リサイタルを石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。冨田さんのオルガン・リサイタルが音楽堂で行われるのは2回目ですが,前回以上に楽しめる演奏会になっていたと感じました。演奏された曲はタイトルどおり,バッハの曲が中心でしたが,トッカータとフーガ ニ短調,小フーガト短調という有名曲を交えながら,演奏会の最初と最後に,聞き応え十分の内容と構成を持つ,前奏曲とフーガを配置するという,万全のプログラムという感じでした。

特に最後に演奏された,前奏曲とフーガホ短調BWV.548でのクライマックスに向けてのスケール感満点の盛り上がりが見事でした。バッハに圧倒された,という感じの演奏でした。その他の曲についても,それぞれの曲の持つキャラクターを最大限に活かすような,演奏ばかりでした。

トッカータとフーガ ニ短調では,CDなどで聞き慣れている演奏よりは,即興的な要素が多く入っているようで,自由奔放なエネルギーの動きを感じることができました。中間部では,映画「ファンタジア」の1シーンを思い出すような,千変万化の色合いの変化を実感しました。演奏後のサイン会の時に,この曲の演奏について尋ねてみたのですが,「楽譜は同じだが,トッカータという曲の性格上(演奏者の裁量の部分が多い)」といったことをおっしゃられていました。なるほど,と思いました。

コラールなども数曲演奏されましたが,こちらでは,息の長いメロディをヴィブラートたっぷりの甘い感じの音でじっくり聞かせてくれました。こちらもまた,各曲の性格の核心を突くような演奏だと思いました。

その他,バッハに影響を与えた,パッヘルベル,ベーム,ブクステフーデの曲も加えたり,バッハがアレンジした曲(マルチェッロのオーボエ協奏曲の第2楽章)やアレンジされたバッハの曲(グノーのアヴェ・マリア)を加えたり,プログラムにアクセントが加えられていました。

冨田さんのトークも大変流暢で分かりやすく,一見取っ付きにくいところのあるオルガン音楽を大変親しみやすく楽しませてくれました。お客さんの反応も素晴らしく,大満足の公演になっていたと思いました。冨田さんは,「大きなパイプオルガン」を演奏できる機会は少ない,と語っていましたが,是非,今回のような感じの演奏会の続編を期待したいと思います。今年の金沢は暖冬なので,「真冬?のバッハ」という感じでありましたが,今後,「秋のバッハ」そして「春のバッハ(「春の小川」ですね)」にも期待したいと思います。

終演後の冨田さんのサイン会も大盛況でした(冨田さんのセールストークがよく効いていたと思います)。この際,石川県立音楽堂コンサートホールのパイプオルガンを使ったバッハのレコーディングにも期待したいと思います。

2020/01/25

マキシム・パスカル指揮OEK定期公演。理詰めだけれども雄弁なベルクの室内協奏曲。輝かしさと堂々たる聞きごたえのあった挟間美帆さんの「南坊の誓い の世界初演。そして記念の年のスタートに相応しい生きの良さのあったベートーヴェンの交響曲第2番。若い世代による新鮮さ溢れる公演 #oekjp

本日は午後から,フランスの若手指揮者,マキシム・パスカルさん指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演を聞いて来ました。プログラムは,前半は,ベルクの室内協奏曲と挟間美帆さんの新曲,後半はベートーヴェンの交響曲の中でも比較的演奏される機会の少ない第2番という非常に冒険的な内容。若い世代のアーティストたちによる新鮮さ溢れる公演となりました。

ベルクの室内協奏曲をOEKが演奏するのは今回が初めてかもしれません。。ピアノとヴァイオリンがソリスト的,それ以外は13管楽器という変則的な編成で,その名のとおり,協奏曲的要素と室内楽的要素が混ざったような作品でした。新ウィーン楽派のベルクの作品ということで,モチーフの設定やその組み合わせ方は理詰めで(ベルク,シェーンベルク,ウェーベルンの名前を読み込んだモチーフなどは,ちょっとショスタコーヴィチを思わせる感じかも),単純に感情移入するのは難しい曲ではあるのですが,パスカルさんの作る音楽には,明晰さと同時にしなかやかさがあり,どこか詩的な気分やドラマが漂っているように感じました。ユージュン・ハンさんのヴァイオリン,アルフォンセ・セミンさんのピアノは,技巧的に鮮やかであると同時に,音で対話をするような雰囲気があり,とっつきにくい音楽ではあったのですが,曲の最後の部分など,どこか意味深く,ミステリアスな雰囲気を持っていました。

続いて,OEKのコンポーザー・オブ・ザ・イヤーの挟間美帆さんの「南坊の誓い」が世界初演されました。この作品は,安土桃山時代に加賀藩に滞在していたことのあるキリシタン大名,高山右近をモチーフにした作品で,タイトルの「南坊」というのも,高山右近が名乗っていた名前とのことです。挟間さんは,最新のアルバムがグラミー賞にノミネートされているとおり,現在最も注目度の高いジャズ作曲家の一人です。実は,もう少しジャズ的な要素のある軽い感じの作品になるのでは,と予想していたのですが,本日初演された曲は,爽快で輝かしい部分と内省的な部分のメリハリがしっかりと付けられた,分かりやすさと同時に堂々たる聞きごたえを持ったオーケストラ作品でした。OEKの編成ぴったりで演奏できる辺りも含め,OEK側の期待どおりの作品に仕上がっていたのではないかと思いました。

曲は3つのパートに分かれているように思いました。両端部分はがっちりとした感じ+生き生きとした感じ,中間部がしっとりとした感じでしたので,ガーシュインの「パリのアメリカ人」の金沢版といった趣きがあると思いました("Ukon in Kanazawa"といったところでしょうか)。最初の部分で,同じリズムパターンが何回も繰り返されたり,ポリフォニックに絡んだりする辺りも面白かったのですが,中間部でヴィオラが深々とした歌を聞かせる辺りが,個人的には特によいなぁと思いました。終演後のサイン会の時に挟間さんにこのことを話してみたところ,「ヴィオラで高山右近を描いた」とおっしゃられていました。やっぱり主役だったんですね。

最後の部分は,輝かしい響きで締められ,演奏後は盛大な拍手に包まれました。とても演奏効果の上がる曲だったので,今後,この曲はOEKの基本レパートリーとして,国内の演奏旅行などで再演しても面白いのでは,と思いました。

後半はベートーヴェンの交響曲第2番が演奏されました。パスカルさんの作る音楽は,全曲を通じて若々しいものでした。第1楽章の主部や第4楽章などは,かなりのスピード感で,一気に駆け抜けていく感じでした。両楽章ともアビゲイル・ヤングさんを中心とした弦楽器が,いつもどおりの切れ味の良い演奏でしっかりとこたえていました。対照的に,第1楽章の序奏部や第2楽章では,しっかりと歌い込まれた,豊かなニュアンスを持った演奏を聞かせてくれました。特に停滞することなく,伸び伸びと歌い込まれた2楽章が良いなぁと思いました。

両端楽章については,個人的には,ちょっと慌て過ぎに感じたのですが,ベルクの時とはまた違った,率直な音楽を聞かせてくれました。ベートーヴェン生誕250年の記念の年のスタートに相応しい生きの良い演奏だったと思います。

挟間美帆さんがノミネートされているグラミー賞は,アメリカ時間の1月26日に発表されるので,公演後,挟間さんはロサンゼルスに移動するとのことでした。今回の定期公演は,その前祝い公演だったのではと思っています。大相撲初場所の優勝の行方も気になっていますが,グラミー賞の結果発表も益々楽しみになってきました。

2020/01/18

山下一史さん指揮の第80回金大フィル定期演奏会は充実のロシア・プログラム。メインのラフマニノフの交響曲第2番を聞きながら若者たちの前途に広がる明るい未来のようなものを感じました。

本日は金沢大学フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会を聞いてきました。確か昨年は年末に行われたと思いますが,今年は以前と同じ「センター試験の日」に戻りました。この定期公演ですが,今年で80回目です。この回数も考えてみると凄いですね。年1回行っているはずなので,金沢大学の創設の頃からずっと続いている伝統のイベントということになります。

その記念すべき回の指揮者は,OEKでもお馴染みの山下一史さんでした。金大フィルとのつながりも30年近くになるのではないかと思います。そして演奏された曲は,オール・ロシア(ソ連)プログラム。メインとしてラフマニノフの交響曲第2番,前半はグラズノフの祝典序曲とハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」組曲の抜粋が演奏されました。ここ数年,金大フィルは,ロシア音楽をよく演奏している気がしますが,その総決算といったところでしょうか。

やはり最後に演奏された,ラフマニノフの交響曲第2番の演奏が大変聞き応えがありました。55分近くかかる大曲ですが,全く長さを感じさせない,前向きなエネルギーを感じさせる演奏でした。山下一史さんは,常にエネルギッシュな指揮をされる印象があったのですが,曲全体の設計が素晴らしく,冷静に各楽章を構築しているように感じました。そこに若い大学生たちの演奏が加わり,各楽章の聞かせどころでは,自然に熱気を帯びた盛り上がりがありました。

第1楽章の最初の方で,木管楽器の和音がパーンとバランス良くくっきりと登場したのを聞いて,「素晴らしい演奏になりそう」と感じ,そのとおりになりました。随所に出てくる,ラフマニノフ節といってもよい弦楽合奏だけでなく,管楽器のソロもしっかりと決まっており,安心して練り上げられた音楽に浸ることができました。特に第3楽章に出てくる,クラリネットの長いソロはお見事でした。

全曲を通じて,暗く沈み込むような感じではなく,前向きな明るさを感じました。こうやって生きのよい演奏で聞いてみる,最終楽章はタランテラといった感じに聞こえました。若い学生たちの前に広がる未来を祝福するような音楽だったと思いました。

前半に演奏された2曲も楽しめました。グラズノフの祝典序曲は,初期のチャイコフスキーの交響曲に通じるような雰囲気のある明るい親しみやすさのある曲でした。「祝典」という感じはあまりしなかったのですが,とても品良くまとまっていたと思いました。

ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」組曲からの4曲は,最初に演奏された「ワルツ」が,女子フィギュアスケートの浅田真央さんが使ってから一気に有名になった作品です。個人的には,もっと重苦しく憂鬱で退廃的なイメージを持っていたので,少々軽いかなと感じたのですが,曲が進むにつれてノリの良さが出てきた気がします。ビシッと引き締まった,最後の「ギャロップ」は大変鮮やかでした。その前の「ロマンス」での,しっとしとした気だるい気分も魅力的でした。それとトランペットのソロの音が素晴らしいと思いました。

金大フィルの今後の予定として,6月のサマーコンサートでは,チャイコフスキーの「悲愴」と書いてありました。3月のカレッジコンサートにも金大フィルのメンバーが多数参加しますが,ここではショスタコーヴィチの交響曲第5番。ロシア3大作曲家を代表する名曲を立て続けに演奏する感じですね。学業を行いながら,取り組むにはハードな曲ばかりですが,逆に考えると,そういう学生生活を送ることができるのもうらやましいなぁという気もします。是非,これらの公演も聞きにいってみたいと思います。

2020/01/11

OEKニューイヤーコンサート2020 ユベール・スダーンさん指揮 森麻季さんのソプラノによるバロック・オペラの名曲+オッフェンバック+シュトラウス・ファミリーの音楽。楽しさとこだわりが両立した充実の公演。ヤングさんのチャールダーシュも言うことなし。もちろんOEKどら焼きもゲット #oekjp

本日の午後は,2020年最初の公演,OEKのニューイヤーコンサートを聞いてきました。今年の指揮はプリンシパル・ゲストコンダクターのユベール・スダーンさん,ソリストとしてソプラノの森麻季さん,OEKの第1コンサートマスターのアビゲイル・ヤングさんが登場しました。

この公演については,毎年,通常の定期公演とは少し違う趣向が凝らされていますが,今回特にスダーンさんらしさが出ていたと思いました。前半は森麻季さんの得意のレパートリーを中心とした,バロック~古典派のオペラ・アリア中心。後半は今年が没後140年(昨年は生誕200年でした)となるオッフェンバックの「パリの喜び」の抜粋の後,シュトラウス・ファミリーの音楽。その間に,ヤングさんのソロを数曲,といった構成でした。

色々な時代,ジャンルの小品中心ということで,雑然とした感じになるのかなとも思ったのですが,スダーンさんは意図的に多彩な小品の組み合わせの妙を楽しませようとしていたように思いました。モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークの第1楽章と痔2楽章を別々に演奏してその間に別の曲を入れたり,ヴィヴァルディの四季の冬だけを演奏したり...数年前の北谷直樹さん指揮による,パスティッチョ特集を思い出しました。

曲と曲の間に何回も拍手が入りましたが,これも敢えてそういう形にしているようで,拍手を積み重ねていきながら,新年のコンサートに相応しいお祭り感が自然に盛り上がっていきました。それでいて,全体がビシッとしまっていたのは,やはりスダーンさんの熟練の指揮の力だと思いました。OEKならば指揮者なしでも演奏できそうな弦楽合奏の曲もかなりありましたが,スダーンさんはきっちりリズムを取って指揮をするというよりは,曲のイメージを明確に示すような指揮ぶりで,どの曲についても,音楽の自然な勢いがあり,曲想に応じたメリハリが鮮やかにつけられていました。

前半に登場した森麻季さんの歌も,いつもどおり素晴らしかったですね。森さんならではの,精緻で丁寧な滑らかさのある歌,透明感だけでなく,ぞくぞくさせてくれるような艶っぽい声を楽しませくれました。ヘンデルのアリアは,森さんの十八番ばかりだったと思いますが,「ドン・ジョヴァンニ」中ののドンナ・アンナのアリアも森さんにぴったりだと思いました。前半のじっくりとした感じを受けて,最後の方にコロラトゥーラが入る構成で,とても聞き応えがありました。

そして,ヤングさんのヴァイオリンも素晴らしかったですね。改めて素晴らしいヴァイオリニストだなぁと再認識しました。モンティのチャールダーシュは,技巧的にも難しい曲ですが,その辺を鮮やかにクリアした上で,変化に富んだ曲想を持った内容のある音楽として,「どうだ!」という感じで楽しませてくれました。

後半の最初に演奏されたオッフェンバックの「パリの喜び」は個人的に大好きな作品で,一度,実演で聞きたかった作品です。全曲ではなく,抜粋でしたが,この曲の持つ華やかさと軽妙さをしっかり伝えてくれました。個人的な定番はシャルル・デュトワのCDで,それに比べると,少々大人しいかなという気はしましたが,特に冒頭の序曲を実演で聞けたのは大きな収穫でした。

最後は,新年の定番と言っても良い,ヨハン・シュトラウスのポルカ2曲とワルツ1曲でした。「田園のポルカ」という作品は,オーケストラのメンバーによる「ラララ」という楽しげな声が入る曲でした。数年前のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで聞いた記憶があります。

「雷鳴と電光」に続いて,締めの定番「美しく青きドナウ」,アンコールの定番「ラデツキー行進曲」で演奏会はおひらきとなりました。スダーンさんのテンポ感はとてもスムーズでしたが,「ドナウ」の中間部では,思い入れたっぷりにテンポを落としたり,所々で思いの強さが伝わってきました。ラデツキー行進曲も,拍手しやすいテンポのリラックスムードでしたが,全体の雰囲気が,がっちりとした行進曲になっていたのが良いなぁと思いました。

終演後,スダーンさんのサイン会があった後,新年恒例の茶菓工房たろうさん提供による,「OEKどら焼き」のプレゼントがありました。今年も,多彩なプログラムを楽しませてくれそう,という期待感いっぱいのニューイヤーコンサートでした。

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