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2020/01/11

OEKニューイヤーコンサート2020 ユベール・スダーンさん指揮 森麻季さんのソプラノによるバロック・オペラの名曲+オッフェンバック+シュトラウス・ファミリーの音楽。楽しさとこだわりが両立した充実の公演。ヤングさんのチャールダーシュも言うことなし。もちろんOEKどら焼きもゲット #oekjp

本日の午後は,2020年最初の公演,OEKのニューイヤーコンサートを聞いてきました。今年の指揮はプリンシパル・ゲストコンダクターのユベール・スダーンさん,ソリストとしてソプラノの森麻季さん,OEKの第1コンサートマスターのアビゲイル・ヤングさんが登場しました。

この公演については,毎年,通常の定期公演とは少し違う趣向が凝らされていますが,今回特にスダーンさんらしさが出ていたと思いました。前半は森麻季さんの得意のレパートリーを中心とした,バロック~古典派のオペラ・アリア中心。後半は今年が没後140年(昨年は生誕200年でした)となるオッフェンバックの「パリの喜び」の抜粋の後,シュトラウス・ファミリーの音楽。その間に,ヤングさんのソロを数曲,といった構成でした。

色々な時代,ジャンルの小品中心ということで,雑然とした感じになるのかなとも思ったのですが,スダーンさんは意図的に多彩な小品の組み合わせの妙を楽しませようとしていたように思いました。モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークの第1楽章と痔2楽章を別々に演奏してその間に別の曲を入れたり,ヴィヴァルディの四季の冬だけを演奏したり...数年前の北谷直樹さん指揮による,パスティッチョ特集を思い出しました。

曲と曲の間に何回も拍手が入りましたが,これも敢えてそういう形にしているようで,拍手を積み重ねていきながら,新年のコンサートに相応しいお祭り感が自然に盛り上がっていきました。それでいて,全体がビシッとしまっていたのは,やはりスダーンさんの熟練の指揮の力だと思いました。OEKならば指揮者なしでも演奏できそうな弦楽合奏の曲もかなりありましたが,スダーンさんはきっちりリズムを取って指揮をするというよりは,曲のイメージを明確に示すような指揮ぶりで,どの曲についても,音楽の自然な勢いがあり,曲想に応じたメリハリが鮮やかにつけられていました。

前半に登場した森麻季さんの歌も,いつもどおり素晴らしかったですね。森さんならではの,精緻で丁寧な滑らかさのある歌,透明感だけでなく,ぞくぞくさせてくれるような艶っぽい声を楽しませくれました。ヘンデルのアリアは,森さんの十八番ばかりだったと思いますが,「ドン・ジョヴァンニ」中ののドンナ・アンナのアリアも森さんにぴったりだと思いました。前半のじっくりとした感じを受けて,最後の方にコロラトゥーラが入る構成で,とても聞き応えがありました。

そして,ヤングさんのヴァイオリンも素晴らしかったですね。改めて素晴らしいヴァイオリニストだなぁと再認識しました。モンティのチャールダーシュは,技巧的にも難しい曲ですが,その辺を鮮やかにクリアした上で,変化に富んだ曲想を持った内容のある音楽として,「どうだ!」という感じで楽しませてくれました。

後半の最初に演奏されたオッフェンバックの「パリの喜び」は個人的に大好きな作品で,一度,実演で聞きたかった作品です。全曲ではなく,抜粋でしたが,この曲の持つ華やかさと軽妙さをしっかり伝えてくれました。個人的な定番はシャルル・デュトワのCDで,それに比べると,少々大人しいかなという気はしましたが,特に冒頭の序曲を実演で聞けたのは大きな収穫でした。

最後は,新年の定番と言っても良い,ヨハン・シュトラウスのポルカ2曲とワルツ1曲でした。「田園のポルカ」という作品は,オーケストラのメンバーによる「ラララ」という楽しげな声が入る曲でした。数年前のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで聞いた記憶があります。

「雷鳴と電光」に続いて,締めの定番「美しく青きドナウ」,アンコールの定番「ラデツキー行進曲」で演奏会はおひらきとなりました。スダーンさんのテンポ感はとてもスムーズでしたが,「ドナウ」の中間部では,思い入れたっぷりにテンポを落としたり,所々で思いの強さが伝わってきました。ラデツキー行進曲も,拍手しやすいテンポのリラックスムードでしたが,全体の雰囲気が,がっちりとした行進曲になっていたのが良いなぁと思いました。

終演後,スダーンさんのサイン会があった後,新年恒例の茶菓工房たろうさん提供による,「OEKどら焼き」のプレゼントがありました。今年も,多彩なプログラムを楽しませてくれそう,という期待感いっぱいのニューイヤーコンサートでした。

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