OEKのCD

2020年9月
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2020/02/20

鈴木優人指揮OEK定期公演。自然な息遣いと抑揚が感じられたメンデルスゾーンの「イタリア」。前半の川久保賜紀さんによる「揚げひばり」は息を呑むような美しさ。バーバーの協奏曲とともにCD化に大いに期待しています。

鈴木優人さん指揮によるOEKの定期公演を石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。鈴木さんがOEKを指揮するのは2回目のことですが,後半で演奏されたメンデルスゾーンの「イタリア」交響曲を中心に,どの曲についても,自然なしなやかさが息づく魅力的な演奏を聞かせてくれました。

今回のもう一つの期待は,ソリストとしてヴァイオリンの川久保賜紀さんが登場することでした。前半の2曲が協奏曲的作品というのは,少し珍しい構成でしたが,川久保さんのヴァイオリンもお見事でした。

まず,選曲が素晴らしいと思いました。最初に演奏されたヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」,次に演奏されたバーバーのヴァイオリン協奏曲は,どちらも20世紀前半に書かれた叙情性のある作品という点で共通点がありました。川久保さんは,この両曲を完璧といって良いぐらい見事に抑制された美しさで聞かせてくれました。

「揚げひばり」では,ヴァイオリン単独で演奏する部分がかなりあったのですが,そういった部分での,全く揺らぐことのない安定した静けさが本当に見事でした。息を呑むような美しさにあふれた演奏でした(その分,結構,会場のノイズもよく聞こえてきたのですが....)。鈴木さん指揮OEKの演奏も,春がすみを思わせるようなデリケートな気分を作っており,一足早く,春の気分を感じさせてくれました。

バーバーの方も抒情的な部分が多かったのですが,3楽章からなる協奏曲ということで,より変化に富んだ曲想を楽しむことができました。実演で聞くと,冒頭から隠し味のように入っているピアノの音がよく効いていることが分かります。静かな部分では,特に不思議な透明感が感じられました。

川久保さんの演奏は,この曲でも安定感たっぷりで,不安定な部分が全くありませんでした。しっかりと歌い込まれているのに,ふやけた感じはなく,全編,抑制された美しさに溢れていました。OEKの演奏も素晴らしく,管楽器などがソリスティックに鮮やかに活躍する面白さも楽しむことができました。

第3楽章だけは,急にテンポが速くなるのですが,ヴァイオリンだけでなく,トランペットやホルンなども華やかに活躍し,オーケストラのための協奏曲のようにクールに盛り上がっていくのが良いなと思いました。

この日のステージにはマイクが沢山立ち並んでいましたが,前半2曲についてはライブ録音を行っていたようでした。非常に完成度の高い演奏でしたので,このCDは発売されたら絶対聞き逃せないものになることでしょう。今から大変楽しみです。

後半はメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」が演奏されました。鈴木さんは,古楽の専門家のイメージがあったのですが,近年はレパートリーをどんどん拡大しているようですね。本日の「イタリア」も,歌う喜びに溢れたような演奏でした。第1楽章冒頭から力んだところはなく,柔らかく音楽が流れて行きました。鈴木さんの呼吸がそのまま音楽の抑揚となっているような自然さがあり,聞きながら一緒になって身体を動かしてしまいたくなるような演奏でした。こちらもまた春のような音楽だと思いました。

第2楽章の方は,低音部と高音部とが独立的に動いていくような感じで始まりますので,結構,バロック音楽に通じる雰囲気があるのではと思いながら聞いていました。第1楽章同様,自然な息づかいで流れる第3楽章の後,気分が一転してキビキビとした音楽が続く第4楽章になります。鈴木さんの音楽は,荒れ狂うような感じにはならないのですが,そのベースには,常に「熱い思い」が感じられました。「イタリア」はこうでなければ,と思わせる,生き生きとした演奏でした。

ちなみに本日の「イタリア」ですが,通常の楽譜とは違う新版(ツイッターの情報によると,クリストファー・ホグウッド校訂による版)で演奏されていたようです。確かに第1楽章のティンパニの感じなど「どこか違うなぁ」と思いました。

プログラムは後半やや短めだったので,「何かアンコールはあるだろう」と思っていたらやはりありました。考えてみればこれしかない,バーバーの弦楽のためのアダージョがアンコール曲。暖かさと痛切さとが同居しているような素晴らしい演奏でした。このアンコールの時までそのままマイクが立っていたので,もしかしたら川久保さんのヴァイオリンの「埋め草」としてこの曲もCD化されるのかもしれません。

世の中全体が,新型コロナウィルス騒動にかき乱されている中,演奏会の間だけは,別世界が広がっているようでした。金沢では今のところ感染者が出ていませんが,少しでも早く,世界的な感染の拡大が納まることを願っています。

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