OEKのCD

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2020年9月

2020/09/22

4連休最終日は #ガル祭 秋の陣 #藤田真央 さんのピアノ独奏,小松長生指揮中部フィルによるベートーヴェンの4番。曲の最初から最後まで,藤田さんの魔法のようなタッチと音色に魅了され続けました。 

9月の4連休の最終日は,「ガル祭」秋の陣として行われた,藤田真央さんのピアノ独奏,小松長生さん指揮中部フィルによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番とエグモント序曲の公演を聞いてきました。

この公演,まず何よりも藤田さんのピアノの音色とタッチに魅了されました。技術的なことは分からないのですが,ピアノ協奏曲第4番の冒頭の一音から,柔らかで温かみのある音の世界に引き込まれました。ピアノを叩くという感じは全くなく,「どこへ連れて行ってくれるのだろうか?」というファンタジーの世界を開いてくれるような開始でした。

曲のテンポはどちらかといえば遅めでしたが,全体の印象は軽やか。速いパッセージでは鮮やかな技巧を聞かせてくれましたが,それが本当に自然で,藤田さんが自由自在に作り出す音の世界にオーケストラも聴衆も魅了されている,そんな感じのベートーヴェンだったと思いました。

第2楽章は深刻なムードで始まりますが,こちらも藤田さんの「マジック・タッチ」から出てくる癒やしの音で,平静な世界に落ち着いていくようでした。そして,第3楽章。ここでも慌てることなく,落ち着きのある柔らかさと鮮やかな愉悦感にあふれた音楽を聞かせてくれました。

前回,藤田さんを聞いた時は,チャイコフスキーコンクールに出場する直前だったのですが,コンクール受賞後は,「題名のない音楽会」をはじめ,テレビの音楽番組に出演する機会が一気に増えました。ステージでの印象もその明るい雰囲気のままでした。少々言葉は悪いかもしれませんが,ヘラヘラした感じでステージに登場した後,全く緊張することなく演奏を始めると,柔らかな音が会場いっぱいに広がり,お客さんを陶酔させるてしまう...という感じで,ただただ凄いなぁと思いました。

藤田さんが,これからどういうピアニストとして成長していくのか,目が離せないですね。個人的な希望としては,OEKとの共演で,モーツァルトのピアノ協奏曲などを聞かせて欲しいなぁと思いました。

オーケストラのことを書くのを忘れていましたが,OEKの方は大阪出張中ということで,今回は小松長生さん指揮中部フィルとの共演でした。初めて聞くオーケストラでしたが,エグモント序曲では,まとまりの良い響きと,コーダの部分での爽快な音の流れを楽しませてくれました。

この連休は,北村朋幹さんの「皇帝」で始まり,藤田真央さんの4番で締めた感じです。まったく違うタイプだけれども,どちらも大変瑞々しい演奏でした。コロナ禍のことを忘れ,ベートーヴェンのアニバーサリーイヤーだということを思い出させてくれる2人の演奏でした。

2020/09/18

新様式によるOEK新シーズンスタート。三ツ橋敬子さん指揮,北村朋幹さんのピアノによる高貴な光に包まれたような「Eフラット・ナイト」。ピアノの音もOEKの音も美しかったですね。特別な1年の開幕に相応しい希望に満ちた演奏会でした。

コロナ禍が続く中,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の2020/21の定期公演シリーズが新様式でスタートしました。指揮者は,当初ユベール・スダーンさんの予定でしたが,三ツ橋さんに交替になり,プログラムは当初のプログラムから,エグモント序曲を除いた,ベートーヴェンの「皇帝」とモーツァルトの交響曲第39番の2曲となりました。

変ホ長調の曲が2つのプログラム並ぶ,「Eフラット・ナイト」。三ツ橋さん指揮OEKの音色はいつもにも増して透明感があり,どこか,高貴な明るさに包まれたような70分でした。特別な1年の開幕に相応しい,希望に満ちた演奏会でした。

「皇帝」のソリスト,北村朋幹さんがOEKと共演するのは2回目ですが,前回は代理での登場でしたので,実質的には今回がOEK定期公演初登場と言えるかもしれません。そのピアノは,「センス抜群」でした。冒頭の華やかなカデンツァ風の部分から,大げさな雰囲気は全くないのに,北村さんの意図がしっかりと伝わってくるような演奏でした。どの部分にも北村さんのこだわりがあり,音に込められたメッセージが伝わってくるようでした。「ベートーヴェンはロマン派だな」と思わせる部分が随所にありました。

その一方で,三ツ橋さん指揮OEKともども,演奏全体の流れは大変スムーズでした。この日のOEKは,バロックティンパニを使っていたのですが,そのカラッとした音が随所で効果を出しており,全体の印象がとても新鮮でした。

第2楽章も速目のテンポでしたが,すべての音に透明感があるので,ちょっとしたニュアンスの変化がとても魅力的に響いていました。最終楽章もノリに乗った演奏。曲の最後,ティンパニとピアノだけになる部分では,その後の大きな間が印象的。若々しい雰囲気の中で全曲が締められました。

その後,北村さんのピアノ独奏によるアンコールがありました。この日はアンコールの曲名の紹介の案内がなかったので曲名は不明でしたが,明らかに「現代音楽」。ドビュッシーや武満徹のピアノ曲に通じるような詩的な雰囲気が漂い,「皇帝」の演奏の中で感じられた,泥臭くならないセンスの良さに通じるものを感じました。その共感にあふれた演奏を聞きながら,「いいなぁ」と思いました。

後半はモーツァルトの交響曲第39番。個人的にモーツァルトの作品の中でも特に好きな作品です。第1楽章の冒頭は,往年のモーツァルトで有名な指揮者,ブルーノ・ワルターやカール・ベームの時代には,重々しく演奏されていましたが,近年はその倍ぐらいのテンポで演奏されることが増えています。本日の演奏も,速めのテンポ。新シーズンの開幕を祝うような祝典的な気分で始まりました。ここでもカラッとしたティンパニの音が生きていました。主部も端正な透明感と勢いのある音楽。この曲の魅力である,木管楽器が彩りを加え,俗世間から離れたような,高貴さのある世界が広がっていると思いました。第2楽章も速めのテンポでしたが,しっとりとした味もあり,落ち着きを感じました。

第3楽章のメヌエットは,三ツ橋さんの指揮の動作のとおりの,「円運動」を感じさせる生きた演奏。お楽しみのトリオの部分での遠藤さんのクラリネットもニュアンス豊かでした。最終楽章は慌てすぎることなく,明快に締めてくれました。

ちなみに今回,各楽章とも呈示部の繰り返しを行っていませんでした。近年では珍しいと思いますが,これも「休憩なしで行う新様式」の影響でしょうか。大好きな曲ということで,「音楽が終わって欲しくないなぁ」という気分を特に感じました。

というわけで,コロナ禍を忘れさせてくれるような,新シーズン開幕に相応しい明るさのある公演でした。

PS.この日は「皇帝」。そして,9月22日は同じホールで,藤田真央さんの独奏によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。今年の秋の連休は,若手ピアニストによるベートーヴェンの競演を楽しみたいと思います。

2020/09/09

朝日新聞プレゼンツ OEKおしゃべりクラシック@石川県立音楽堂交流ホール。今回は若松みなみさんのヴァイオリンと井口愛弓さんのピアノ。ヴァイオリンに加えて,若松さんのおしゃべりが冴えまくっていました。

本日は休暇を取って,朝日新聞プレゼンツ OEKおしゃべりクラシックの11:00からの部を石川県立音楽堂交流ホールで聞いて来ました。コロナ禍後初めてということで,「交流ホールなのに指定席」で行われました。出演されたのは,OEKの第2ヴァイオリン奏者若松みなみさんとピアニストの井口愛弓さんでした。

プログラムに書かれていた曲は3曲だけ。ベートヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」も第1楽章だけだったので,時間が余るのでは?と思ったのですが...その心配はなく若松さんが沢山おしゃべりをしてくれました。この雰囲気は交流ホールならではだと思いますが,コロナ自粛期間中のことを中心に,若松さんのキャラクターが大変よく分かるトークでした。

演奏された曲は,上述のベートーヴェンに加えて,モーツァルトのロンド ハ長調K.373。若松さんは明るい感じのするハ長調が大好きと語っていましたが,その言葉どおりの明快な演奏でした。 最後に演奏された,サン=サーンス作曲,イザイ編曲による「ワルツ形式の練習曲による奇想曲」は,コロナ自粛期間中にしっかり練習をされていた曲とのことでした。練習曲というよりは,とても優雅な曲として楽しませてくれました。

最後にベートーヴェンの「春」の3楽章,クライスラーの「美しいロスマリン」がアンコールで演奏され,ちょうど1時間ぐらいで終了しました。

公演の最初に若松さんが「みなさんおはようございます」とあいさつをされていましたが,考えてみると平日午前中の演奏会に行くのは大変珍しいことです。交流ホールの客席の方は例によって,間隔をあけて配置されていましたが,久しぶりにアーティストの方と「身近に交流」できたな,と感じさせてくれるような演奏会でした。

2020/09/06

いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2020 秋の陣オープニングコンサート。昨日に続き #川瀬賢太郎 さん指揮OEK,#菊池洋子さんのピアノ,#石川公美さんのソプラノ 他で楽しんで来ました。これから12月まで,音楽に親しむ人が少しでも増えるきっかけになってくれると良いと思います。

本日の午後は,いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2020 秋の陣 特別公演 オープニングコンサートを聞いてきました。今年の春に予定されていた「いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭(ガル祭)」は,コロナ禍の影響で実施できなくなったのですが,ガル祭のサイトには音楽祭自体「中止」になったとは書いてなく,「延期」となっています。その言葉どおり,ガル祭2020が秋の陣としてスタートする,記念すべきオープニングコンサートでした。

谷本石川県知事,山野金沢市長,池辺晋一郎音楽祭実行委員長が出席する,オープニング・セレモニーまで行われたのは驚いたのですが,この挨拶で池辺さんが語っていたとおり,金沢には芸術文化に関する底力のようなものがあると言えるのかもしれません。

今年のガル祭全体のコンセプト自体,「世界の国からこんにちは(ちょっと違ったか?)」で,何でもありでしたので,この日の公演も,世界各国の音楽が地元のアーティストも交えて演奏されるガラコンサートとなっていました。

最初にヴィヴァルディの協奏曲集「四季」の中の「秋」の第1楽章が演奏されました。ここでのポイントは,OEKと箏が共演する編曲だった点です。これが実によい感じでした。箏の音が加わることで,何とも言えない雅な華やかさが加わり,「ちょっと控えめに祭りのオープニング祝う」という感じにぴったりでした。ちなみにこの日のOEKのコンサートミストレスはベルリン・フィルの町田琴和さんでした。お名前に「琴」が入っているということで,絶妙の「琴つながり」のヴィヴァルディでした。

続いて,川瀬賢太郎さん指揮OEKによる,ストレートに聞かせるベートーヴェンの交響曲第5番の第1楽章,菊地洋子さんのピアノが加わってのモーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2,3楽章が演奏されました。ピアノ協奏曲の方は,キャンセルになった7月のOEK定期公演のリベンジ。真っ赤なドレスで登場した菊池さんの鮮やかな演奏と華やかな雰囲気は音楽祭の気分を盛り上げてくれました。それにしてもモーツァルトの2楽章の美しいメロディは染みますね。実演で聞くと,少々大げさですが「生きていて良かった」という気分になります。

この日の司会は,おなじみの石川公美さんだったのですが(大変スムーズな進行でした),1曲だけ歌手としての出番があり,プッチーニの「私のお父さん」が歌われました。この歌も素晴らしかったですね。安心して美しいメロディに身を任せることのできる歌でした。

続くモンティのチャールダーシュは,石川県出身のヴァイオリン奏者,坂口昌優さんとOEK名誉団員のルドヴィート・カンタさんのチェロをフィーチャーしての演奏でした。この音楽祭のコンセプトの一つは,地元アーティストの活躍の場を作ることがあります。その実力をしっかりと聞かせてくれるような,緩急自在の演奏でした。

榊原栄作曲「キッチン・コンチェルト」は,どういう流れでこの曲なのかな?と思っていたら,「コロナ禍でお父さんが台所に立つことが増えたので...」という素晴らしい説明でした。リロイ・アンダーソン的なリラックスした雰囲気の中,OEK打楽器奏者の渡邉昭夫さんが,各種台所用品を楽器として叩きまくる(?)楽しい曲で,OEKのレパートリーの中でも隠れた名作だと思います。途中のカデンツァでは,指揮の川瀬さんがキッチンタイマーで「そろそろ切り上げてくれ」と督促するなど,年々パフォーマンスも進化している曲です。

ビゼーの「カルメン」前奏曲と第3幕への間奏曲が演奏された後(松木さんのフルート,ホール内に染み渡っていました),最後に古関裕而作曲の「オリンピック・マーチ」が演奏されました。東京オリンピックについては,「本当に実現するのだろうか?」という思いもあるのですが,この曲の素晴らしさには変わりがありません。聞いているうちに,「派手でなくてよいから,実現して欲しいものだ」という気分になりました。

というわけで,ガル祭秋の陣については,短期集中型とは違う,12月までの「長丁場」音楽祭になります。OEKの定期公演と並行して行われるので,定期公演のシリーズがもう一つ増えるような感じでもあります。金沢に音楽文化をさらに根付かせる「実験の一つ」として期待をしています。この間,音楽に親しむ人が少しでも増えるきっかけになってくれると良いですね。


2020/09/05

岩城宏之メモリアルコンサート2020。川瀬賢太郎さん指揮OEKによるシューベルトの「グレート」は,まさに天国的長さでしたが,全く退屈することのない生命感あふれる天国。岩城賞受賞の塚田尚吾さんによる安定感抜群のリストともども,「通常の長さの定期公演」を聞いたのと同様の聞き応えのある公演でした。#oekjp

本日は午後から,OEKの新シーズン開始恒例の岩城宏之メモリアルコンサート2020を聞いてきました。毎回,この公演では,その年の岩城宏之音楽賞を受賞したアーティストと共演することになっています。今年は富山県出身のピアニスト,塚田尚吾さんが受賞されました。

塚田さんは,まだ20代の若手ピアニストですが,OEKと共演したり,北陸地方各地で演奏活動を行ったり,活発に活動されている点が評価されたようです。今回演奏した曲は,リストのピアノ協奏曲第1番でした。過去,塚田さんの演奏で,リストの他の曲を何回か聞いたことがありますので,「いちばん得意とする作曲家」なのだと思います。今回の演奏も安定感抜群で安心して,リストならではの起伏に富んだ音楽を楽しむことができました。

超絶技巧のピアニストでもあったリストらしく,この曲にも華やかな技巧やきらびやかな音も沢山出てくるのですが,それが浮ついた感じにならず,「美しい音楽」としてたっぷりと聞かせてくれたのがとても良かったと思いました。その分,少々真面目過ぎるのかなとも思いましたが,この辺はこれから演奏活動を重ねていくうちにどんどん,「塚田さんらしい味」のようなものが出てくるのではないかと思いました。この受賞を機会に,これからますます,金沢での演奏の機会も増えるのではないかと期待しています。

そして後半。当初予定していたユベール・スダーンさんの代理で登場した川瀬賢太郎さん指揮で,シューベルトの交響曲第7番「グレート」が演奏されました。コロナ禍に対応した新スタイルということで,今回の公演全体の長さも70分程度なのかな...と思っていたのですが,川瀬さんの「グレート」は,本当に「グレート」で1時間ぐらい演奏時間が掛かっていたのではないかと思います(公演全体の長さも,岩城賞の授賞式も含めて90分以上になっていました)。

ただし,この長さには退屈する部分は全くなく,この曲の魅力である,同一音型の繰り返しと流れるような歌との相乗効果を存分に楽しむことができました。恐らく,楽譜に書いてある繰り返しは,しっかりと行ってたのではないかと思います(第1楽章の繰り返しは分かったのですが,他の楽章は未確認です)。

テンポはやや速めで,第1楽章冒頭のホルンの部分などは,そっけないぐらいでしたが,各楽器の音はしっかりと澄んだ音を聞かせており,聞き応え十分でした。この日のプログラム解説(渡辺和さんによる,ちょっとマニアックな感じの解説。面白く読むことができました)では,第1楽章の序奏から主部へのテンポの変化がチェックポイントと書かれていたのですが,その移行が大変スムーズで,主部のテンポとのバランスを考えた序奏のテンポだったのだなと思いました。

全曲を通じて,川瀬さんらしく,どの部分も基本的には率直にパーンとした音楽を聞かせてくれるのですが,随所に「こだわりの歌わせ方」が出てきたり,リズムが常に生き生きと動いていたり,全体を通じて大変新鮮でした。そして,加納さんのオーボエをはじめとした,OEKのソリスティックな演奏も大変チャーミングでした。演奏時間的には「天国的」な長さでしたが,それは悪い意味ではなく,全く退屈することのない「生命感あふれる天国」だったと思いました。今回の演奏は,川瀬さんが思い描いている「グレート」がストレートかつ存分表現された,素晴らしい演奏だったと思いました。

というわけで,終わってみれば「通常の長さの定期公演」を聞いたのと同様の聞き応えのある公演でした。

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