4連休最終日は #ガル祭 秋の陣 #藤田真央 さんのピアノ独奏,小松長生指揮中部フィルによるベートーヴェンの4番。曲の最初から最後まで,藤田さんの魔法のようなタッチと音色に魅了され続けました。
9月の4連休の最終日は,「ガル祭」秋の陣として行われた,藤田真央さんのピアノ独奏,小松長生さん指揮中部フィルによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番とエグモント序曲の公演を聞いてきました。
この公演,まず何よりも藤田さんのピアノの音色とタッチに魅了されました。技術的なことは分からないのですが,ピアノ協奏曲第4番の冒頭の一音から,柔らかで温かみのある音の世界に引き込まれました。ピアノを叩くという感じは全くなく,「どこへ連れて行ってくれるのだろうか?」というファンタジーの世界を開いてくれるような開始でした。
曲のテンポはどちらかといえば遅めでしたが,全体の印象は軽やか。速いパッセージでは鮮やかな技巧を聞かせてくれましたが,それが本当に自然で,藤田さんが自由自在に作り出す音の世界にオーケストラも聴衆も魅了されている,そんな感じのベートーヴェンだったと思いました。
第2楽章は深刻なムードで始まりますが,こちらも藤田さんの「マジック・タッチ」から出てくる癒やしの音で,平静な世界に落ち着いていくようでした。そして,第3楽章。ここでも慌てることなく,落ち着きのある柔らかさと鮮やかな愉悦感にあふれた音楽を聞かせてくれました。
前回,藤田さんを聞いた時は,チャイコフスキーコンクールに出場する直前だったのですが,コンクール受賞後は,「題名のない音楽会」をはじめ,テレビの音楽番組に出演する機会が一気に増えました。ステージでの印象もその明るい雰囲気のままでした。少々言葉は悪いかもしれませんが,ヘラヘラした感じでステージに登場した後,全く緊張することなく演奏を始めると,柔らかな音が会場いっぱいに広がり,お客さんを陶酔させるてしまう...という感じで,ただただ凄いなぁと思いました。
藤田さんが,これからどういうピアニストとして成長していくのか,目が離せないですね。個人的な希望としては,OEKとの共演で,モーツァルトのピアノ協奏曲などを聞かせて欲しいなぁと思いました。
オーケストラのことを書くのを忘れていましたが,OEKの方は大阪出張中ということで,今回は小松長生さん指揮中部フィルとの共演でした。初めて聞くオーケストラでしたが,エグモント序曲では,まとまりの良い響きと,コーダの部分での爽快な音の流れを楽しませてくれました。
この連休は,北村朋幹さんの「皇帝」で始まり,藤田真央さんの4番で締めた感じです。まったく違うタイプだけれども,どちらも大変瑞々しい演奏でした。コロナ禍のことを忘れ,ベートーヴェンのアニバーサリーイヤーだということを思い出させてくれる2人の演奏でした。
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