OEKのCD

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2020年11月

2020/11/26

今晩は園田隆一郎さん指揮によるOEKの定期公演を聞いてきました。安定感抜群,ニュアンス豊かな「ジュピター」,ヴァイオリンの渡辺玲子の熱さと激しさが際立っていたメンデルスゾーン。そして園田さんお得意のロッシーニ。充実の70分でした。#oekjp

園田隆一郎さん指揮,渡辺玲子さんのヴァイオリン独奏による,OEKの11月の定期公演を聞いてきました。指揮者も独奏者の変更というのは10月の定期公演に続いてのことです。指揮の園田さんは,数年前のOEKのオペラ公演に登場したことはありますが,定期公演は初登場です。まず,この園田さんがどういう音楽を聞かせてくれるのかを楽しみに聞きに行ってきました。

プログラムのプロフィールを読むと,園田さんは,オペラ(それもロッシーニ)の専門家といった感じでしたので,最初に演奏されたロッシーニの歌劇「アルジェのイタリア女」序曲は,「定期公演初登場のご挨拶がわり」といったところでした。じっくりとしたテンポから,カラッとしていながらニュアンス豊かな音楽がしっかりと聞こえてきました。テンポの速くなる主部での,自然に湧き上がってくるような愉悦感が素晴らしいと思いました。オーボエがしっとり聞かせる,というのは「ロッシーニあるある」の1つですが,この曲でソロを担当していたエキストラの橋爪絵梨香さんのくっきりとした音。お見事でした。

2曲目は,生で聞くのが今月2回目となるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲でした。ソリストはおなじみの渡辺玲子さんでした。今回の定期公演では,OEKとは久しぶりの共演となる渡辺さんの演奏も聞き所でした。渡辺さんは,以前から気合たっぷりの音楽を聞かせてくれる方ですが,それにさらに磨きがかかり,随所に「鬼気迫る」雰囲気のあるメンデルスゾーンを聞かせてくれました。

冒頭から情感たっぷり,というか隠そうとしても情感があふれ出てしまう,といった感じの演奏でしたが,全体の雰囲気がスリムでキリッと締まっているのが渡辺さんらしいところだと思います。今月14日に白山市で聞いた,若手ヴァイオリニストの郷古廉さんの演奏よりは,随所に「頑固さ」のある演奏で,渡辺さんの「思い」が発散されていました。第2楽章もかなり崩した感じの歌いっぷりで,ちょっとポルタメントを入れるなど,ベテラン奏者の味がありました。第3楽章はかなりのスピードで,「このスピードについてこれるかな?」と挑発するかのように,自由自在なテンポ感で演奏。園田さん指揮OEKは,これにしっかりと反応しており,実にスリリングでした。曲の最後の部分では,渡辺さんのヴァイオリンは,さらにいっそう激しさを増し,強烈な印象を残して全曲を締めてくれました。

アンコールでは,多分パガニーニの無伴奏の曲が演奏されました。メンデルスゾーンの終楽章の延長戦のような感じの切れ味の素晴らしさを楽しませてくれました。

後半はモーツァルトの「ジュピター」交響曲が演奏されました。7月にOEKが公演を再開して以後,ほとんど毎回のようにモーツァルトの交響曲を聞いていますが,毎回毎回,雰囲気が違うのが本当に面白いですね。「ジュピター」は,8月末に栁沢寿男さん指揮で聞いていますが,今回の園田さん指揮の演奏は,どっしりとした安定感の上で自在に遊ぶような,素晴らしい演奏でした。

園田さんは雰囲気としては...どこか大相撲の琴奨菊(つい先日,引退発表したばかりですが)といった感じで,包容力と朴訥さが指揮の動作から感じられたのですが,その音楽はニュアンス豊かで,楽章ごとのキャラクターがしっかりと描きわけられていました。第1楽章からは堂々としたたくましさ。第2楽章からは,何とも言えない寂し気な情緒。第3楽章からはサラリと流れるような爽やかさ。そして第4楽章は全部を総括するような,どっしりとした包容力を感じました。特に「これみよがし」なことはせずに,じっくり,くっきりと立体的な音楽を聞かせてくれた第4楽章の味わいが素晴らしいと思いました。

実は,今回登場予定だったギュンター・ピヒラーさん指揮による「ジュピター」を聞くのをとても楽しみにしていました。今回聞けなかったのは大変残念だったのですが,園田さんの指揮で,恐らく,ピヒラーさんとは全く違うアプローチでこの曲を聞くことができたのは,大きな収穫でした。園田さんには,是非,今後もOEKに客演をしていただきたいと思います。OEKのロッシーニといえば,ミンコフスキさん指揮による「セビリアの理髪師」全曲を思い出しますが,これに続く,ロッシーニのオペラ全曲などに期待しています。

2020/11/14

快晴の秋晴れの土曜日の午後,OEK白山公演へ。太田弦さん指揮による熟練のモーツァルトの40番と郷古廉さんとの共演による非常にたくましいメンデルスゾーンの協奏曲を楽しんできました

快晴の秋晴れの土曜日の午後,白山市まで出かけ,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)白山公演2020を聞いてきました。指揮は11月3日のピアノ協奏曲公演に続いて太田弦さん,ヴァイオリン独奏は郷古廉さん。2人の若手アーティストの共演でした。

今回の会場,白山市松任文化会館ピーノに来るのは,2月上旬以来のことです。思い起こせば,コロナ禍が拡大する直前の公演で,しかも演奏曲目は,現時点では演奏が難しい曲となってしまったベートーヴェンの第9ということで,遙か遠い昔のことに思えます。

本日のプログラムは休憩なしで,前半がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲,後半がモーツァルトの交響曲第40番でした。両曲とも10月の定期公演で取り上げた曲+11月の定期公演で取り上げる曲ということで,それらとの比較の楽しみが聞き所といえます。

メンデルスゾーンは過去何回も演奏されて来た曲ですが,今回の郷古さんの演奏は,非常にたくましく,力強さを感じさせる演奏だったと思います。宮城県出身の郷古さんが東日本大震災直後に登場した「忘れられない」定期演奏会以来,数回OEKと共演をしていますが,ますます立派なアーティストに成長しているとなぁと感じました。

この松任文化会館については,やはり音楽専用でない多目的ホールということで,サイズ的にはOEKに丁度良いのですが,音が客席まであまり飛んで来ず,残響も少なめです。石川県立音楽堂コンサートホールで聞くような優雅な気分が味わえなかったのが残念でしたが,その分,郷古さんの切れ味の良い技巧をしっかりと感じることができました。カデンツァの部分などでは,バッハの無伴奏ヴァイオリンを聞いているような切実さな迫力が伝わってきました。最終楽章の最後の方はテンポをぐっと上げ,大変,生き生きとした音楽になっていました。OEKもぴったりと息の合ったバックアップでした。OEKのツイッターでは,「太田さんと郷古さんは同級生」と書かれていましたが,これからも何回も共演をしていくコンビになっていくのかもしれませんね。

後半のモーツァルトの40番は,10月に高関健さん指揮による,「全部繰り返しを行う」形での演奏を聞いたばかりでしたが,今回は「全部繰り返しを行わない」形での演奏でした。どちらが良いとは簡単には言えませんが,やはり「全部繰り返す」のは,時々ならば良いというのが正直なところでしょうか。今回の演奏時間は25分ぐらいでした。

太田さんの指揮ぶりは,今回も安定感抜群でした。力んだような部分はなく,要所要所のみで力を入れ,こだわりの表現を聞かせる,といった感じでした。その結果として,音楽全体としての形の良さやバランスの良さが出てくると思いました。各楽章とも,オーケストラの各楽器の音がしっかりと聞こえ,モチーフの積み重ねで曲が構成されていることが実感できるような,職人的な音楽なのではと思いました。これから,色々な曲について,味わい深く聞かせてくれるような指揮者になっていくのではと思いました。

アンコールでは,これもまた定番曲の「フィガロの結婚」序曲が演奏されました。無駄のない動きから,音楽の流れがしっかり伝わってくるような鮮やかな演奏で,太田さんはオペラの指揮にも向いているかも,と勝手に想像しながら聞いていました。

演奏時間は丁度60分程度と短めでしたが,終わってみれば,序曲,協奏曲,交響曲が揃っており,きっちりとしたプログラムを聞いたという充実感が残りました。このお二人は来年早々,七尾市で行われるOEKの公演に登場します。その共演の方も聞いてみたくなりました。

 

2020/11/03

文化の日の午後「OEK&石川県ピアノ協会スペシャルコンサート」を石川県立音楽堂で聞いて来ました。ピアノ協奏曲3曲と独奏曲1曲の充実の内容。特に樋口一朗さんの独奏による,輝きに満ちた「皇帝」らしい「皇帝」がお見事でした。太田弦さん指揮OEKの演奏も大船に乗ったような安心感がありました。#oekjp

文化の日の午後,「OEK&石川県ピアノ協会スペシャルコンサート」を聞いて来ました。石川県ピアノ協会関係のピアニストとOEKが共演する演奏会は過去定期的に行われてきましたが,今回は文化庁主催という形になり,座席数を限定していた代わりに,公演の動画は後日配信されるなど,「新しい様式」に従った内容となっていました。

内容の方は,ピアノ協奏曲3曲+独奏曲1曲という充実の内容。15分の休憩時間を含めて,2時間少しの長さがありました。段々と通常の公演に近づいているなぁという印象です。

今回登場したピアニストは,江端玲子さん,加藤恵理さん,坂下幸太郎さん,樋口一朗さんの4人で,それぞれ,ラーション/ピアノのためのコンチェルティーノ,シューマン/ピアノ協奏曲イ短調,メンデルスゾーン/ロンド・カプリチオーソ(ピアノ独奏),ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏しました。

どれも大変充実した内容でした。ラーションの作品がいちばん珍しい曲でしたが,シンプルな雰囲気の中から北欧らしい空気感が漂ってくるようなとても良い曲でした。江端さんの自然体の落ち着きのある演奏の雰囲気に合っていると思いました。

シューマンのピアノ協奏曲は,加藤さんの曲に対する思い入れがしっかりと伝わってくるような演奏で,特にゆっくりとロマンティックな情緒を聞かせてくれる部分の濃い味わいが良いと思いました。第3楽章最後の方で,ピアノの音が延々と上下するような部分の丁寧かつノリの良い演奏も素晴らしいと思いました。

メンデルスゾーンのロンド・カプリチオーソを演奏した坂下さんは,恐らく,まだ小学生か中学生。この曲を作曲した時のメンデルスゾーンも大変若かったはずですが,その瑞々しい美しさとロンドの部分での軽やかさに感嘆しました。これからが大変楽しみなピアニストだと思います。

最後に登場した樋口一朗さんによる「皇帝」は,まさに王道を行くような堂々たる演奏でした。冒頭のカデンツァ風の部分から磨かれた音の輝きが素晴らしかったですね。この日の指揮は,樋口さんと同世代でまだ20代の指揮者,太田弦さんでしたが,その指揮も素晴らしく,曲全体に,大船に乗ったような安定感がありました。第3楽章は少し疲れ気味かな,という気がしましたが,曲全体から堂々とした力強さが発散されており,曲のどこを取っても,皇帝らしい皇帝だなと思いました。

地元のアーティストにとっても,今年は苦難の年だったと思いますが,今後への希望を感じさせてくれるような素晴らしい内容だったと思いました。

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