#三浦文彰 さんの指揮とヴァイオリンによるOEK定期公演。K200台のモーツアルトの作品3曲を楽しんできました。特に仲間との楽しいセッションのようなセレナータ・ノットゥルナが精気あふれる楽しい演奏でした。ヴァイオリン協奏曲3番では大らかで晴れやかな気分を堪能
本日は石川県立音楽堂コンサートホール行われた,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)第437回定期公演マイスター・シリーズを聞いてきました。指揮とヴァイオリン独奏は,三浦文彰さんで,プログラムはすべてモーツアルトのK.200番台の作品という,OEKならではと言っても良い構成でした。
三浦さんとOEKは,過去何回か共演していますが,弾き振り+指揮者としての登場は初めてのことです。プログラムのプロフィールにも「近年は指揮活動も行っている」といった記述はなかったので,本日の公演は,三浦さんにとっても,大きなチャレンジだったのではないかと思いました。
今回,最後の交響曲第29番だけは,三浦さんはヴァイオリンを持たず純粋に指揮者として登場しました。きっと,コンサートマスターの位置で「弾き振り」としてリードするのだろうと思っていたので,ヴァイオリンなしで指揮棒を持って登場された時は,「おお」と思いました。29番については,1週間ほど前に,「指揮者なし,アビゲイル・ヤングさんのリード」という形で三島市で演奏したばかりなので,プレッシャーもあったと思うのですが,特に両端楽章ではしっかりとした音が鳴り,推進力のある音楽をOEKから引き出していました。三浦さんの指揮ぶりは,この曲を熟知しているヤング+OEKを指揮するには,やや指示が多すぎるるように見えましたが,この辺は仕方がないところかもしれません。
演奏内容的には,2曲目に演奏されたセレナータ・ノットゥルナが大変ノリの良い楽しい演奏で特に素晴らしかったと思いました。バロック時代の合奏協奏曲のようなスタイルで,ヴァイオリン2,ヴィオラ1,コントラバス1がソリストグループとして登場し,それ以外の「トゥッティ」のティパニ+弦楽合奏と交互に演奏していくような,独特のスタイルの曲です。
三浦さんは第1ヴァイオリンのソロも担当していたのですが,その滴るような音がオーケストラの上に重なり,他のソリストとコミュニケーションを取りながら,ニュアンス豊かな音楽が展開していきました。推進力のある速いテンポ設定で,冒頭の行進曲風の部分も野暮ったくなることなく,全体としてオーケストラの仲間と作る楽しいセッションといった雰囲気を作っていました。このパターンで,色々な曲を聞いてみたいと思いました。
演奏会の最初に演奏されたヴァイオリン協奏曲第3番では,三浦さんのたっぷり,しっかりとした音を存分に楽しめました。ヴァイオリンの音がとてもよく鳴り,神経質な雰囲気は全くないので,心置きなくモーツァルトの音楽に浸ることができました。この曲は,第2楽章だけフルートが入るのですが,三浦さんのヴァイオリンと一体となって,何ともいえない晴れやかな気品のようなものが漂わせていたのが良いなぁと思いました。
三浦さんとOEKは,今後も共演を繰り返していくと思いますが,OEKファンとしては,セレナータ・ノットゥルナでの演奏のような,OEKメンバーとの室内楽などを期待したいと思いました。
« 大雪の中,結構苦労して,2021年最初のOEKの定期公演へ。モーツァルトの「パリ」とハイドンの「ロンドン」の間にヘンデルのオルガン協奏曲が入る「GO TOヨーロッパ」的構成。指揮とオルガンは鈴木優人さん。王道を行くような立派さと,鈴木さんならではのアイデアに溢れた素晴らしい演奏。鈴木家から持ち込んだポジティフオルガンの音も疲れを癒してくれました | トップページ | 今晩は平原綾香さんと渡辺俊幸指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のコンサートへ。昨年4月11日から延期された待望の公演。平原さんの声と表現力の多彩さを生オーケストラとの共演でしっかり味わってきました。 »
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