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2021年2月

2021/02/27

川瀬賢太郎さん指揮OEK定期公演は,酒井健治さんの新曲「ジュピターの幻影」で始まる「モーツアルト不在のモーツァルト」プログラム。サン=サーンスが15歳で作った交響曲で締めるなど,マイナーでひねりの効いたプログラムを考え,それを気持ちよく聞かせてくれた川瀬さんらしさ満載のプログラムでした

本日の午後は,川瀬賢太郎さん指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演フィルハーモニー・シリーズを石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。プログラムは,OEKの2019~2020年のコンポーザー・オブ・ザ・イヤー,酒井健治さんの新曲「Jupiter Hallucination(ジュピターの幻影)」が演奏された後,チャイコフスキーの組曲第4番「モーツァルティナーナ」,サン=サーンスの交響曲イ長調と続く,新曲と無名の曲が続く,チャレンジングな内容でした。

そのテーマは,プログラムで飯尾洋一さんが書かれているとおり「モーツァルト不在のモーツァルト・プロ」。モーツァルト自身の曲は演奏されないけれども,モーツァルトの作品を引用・編曲した曲が並ぶという趣向でした。というわけで,「モーツァルトらしさ」であるとか「モーツァルトの曲(特に「ジュピター」交響曲)についての知識がある方が楽しめる,一種「知的なプログラム」とも言えたのですが,どの曲についても,川瀬さん指揮OEKの演奏には,瑞々しさとエネルギーが溢れており,予備知識なしでも楽しめたのではないかと思います。

最初に演奏された酒井さんの曲は,タイトルどおり,「ジュピター」交響曲のフレーズが断片的に出てくる曲でした。雰囲気としては,ある映像の中に,突然,ザザザと砂嵐的なノイズが入り込み,一瞬別の映像が見えてくるけれども,すぐにまた元に戻るといった感じがあったのが面白いと思いました。現実と非現実が交錯する感じには,複線的で不安げなところもあり,コロナ禍の気分を表現しているようにも感じました。ただし,最後の部分は,酒井さんのプログラムノートに書かれていたとおり,「アーメン終止」となっており,コロナ禍収束に向けての祈りの気分がありました。

OEKの編成は「ぴったり定員どおり」(酒井さんは「注文に合わせて作曲するのが仕事」と言われていましたが,そのとおりだと思いました)で,打楽器も2名だったのですが,ものすごく沢山の種類の打楽器を使っており,演奏全体に色々な表情を加えていました。オーケストラ全員で厚く演奏するというよりは,色々な楽器が次々出てきて,明快に絡み合うすっきりした感じが,モーツァルトのすっきり感と通じるような気もしました。

今回は「モーツァルト不在」での演奏でしたが,一度,「ジュピター」とセットにしたプログラムにも期待したいと思いました。

次の「モーツァルティアーナ」も,モーツァルトの曲をチャイコフスキーが編曲した組曲なのですが,飯尾さんの解説を読んで,モーツァルトがバッハの影響を受けて作った曲であったり,グルックの作った曲の変奏曲であったり,リストがアレンジした曲であったり...結構,ひねりの効いた「二重のオマージュ作品」だと分かりました。

酒井さんの作品との取り合わせもぴったりという感じでした。アヴェ・ヴェルム・コルプスをアレンジした第3曲の暖かな響きも良かったのですが,グルックの主題による変奏曲をさらに編曲した第4曲の多彩な色合いも面白いと思いました。最後の方,アビゲイル・ヤングさんによるかなり長大なヴァイオリン独奏が入るのですが,さすがといった感じの語り口の巧さでした。曲の最後のところで,目が覚めるような鮮やかなソロを聞かせてくれた遠藤さんのクラリネットも印象的でした。

そして演奏会の最後は,サン=サーンスが15歳の時に作曲したという交響曲イ長調。サン=サーンスの交響曲は3曲だと思っていたのですが,それ以外に番号なしの曲が2曲あるとのことです。その一番最初の作品が本日演奏されたイ長調。

この日の「コンセプト」どおり,いきなりモーツァルト「ジュピター」の「ドーレーファーミー音型」が第1楽章の序奏部から登場(低弦の透明感のある響きが美しかったです),主部に入ってからもまず,「ドーレーファーミー」が出てくるなど,「元祖・ジュピターの幻影」というタイトルを付けたくなるような雰囲気がありました。

その他の楽章についても,確かに先人の影響を沢山受けて「公式どおり」作曲したような作品だったのですが(シューベルトやメンデルスゾーンの曲を聞いたような雰囲気),その完成度は非常に高く,魅力的なメロディが次々と湧き上がってくる親しみやすさに溢れていました。特に第2楽章は,ベートーヴェンの曲を思わせる,秘めた強さを感じさせるような美しさがあると思いました。

最終楽章の最後の部分など,ティンパニの一撃でノックアウトを決める,ような気持ち良さがあり,演奏会の最後を締めるのに相応しい爽快感がありました。

というわけで,こういう,マイナーでひねりの効いたプログラムを考え,それを気持ちよく聞かせてくれた川瀬さんは,さすがだなぁと思いました。今年はサン=サーンス没後100年(何というか意外に新しい人だということが新鮮な驚きです)ということなので,色々な曲を発掘して,聞いてみた

2021/02/23

石川県立音楽堂で行われたルドヴィート・カンタ チェロ・リサイタル。沼沢淑音さんのピアノと一体となったスケールの大きなプロコフィエフ&ラフマニノフのチェロ・ソナタ。堪能しました。そして驚きのアンコール7曲。演奏できる喜びに溢れた公演でした。

本日の午後は石川県立音楽堂コンサートホールで,ルドヴィート・カンタさんのチェロ・リサイタルを聴いてきました。カンタさんは,OEK時代から活発にソロ活動を行っており,リサイタル以外でも,色々な機会で演奏を聴いてきたのですが,コロナ禍の影響もあり,私自身カンタさんの演奏を聴くのは,1年ぶり以上のような気がします。カンタさんも,コンサートホールでリサイタルを開けたことをとても喜んでいたようでした。

今回のプログラムは,プロコフィエフとラフマニノフのチェロ・ソナタを中心のスラブの風味のある内容でした。カンタさんは,これまでチェロの主要作品を「百科事典を作るように」網羅してきているのですが,本日の2曲は特にカンタさんにぴったりだと感じました。

前半,まずラフマニノフのチェロの小品2曲が演奏されたのですが,最初の一音からカンタさんの音が素晴らしいと思いました。オリエンタルで,ちょっと艶っぽいメロディも大変魅力的でした。

2曲目のプロコフィエフのソナタでは,さらにスケールの大きな演奏を楽しむことができました。この日のピアノはモスクワ音楽院で勉強をしていた沼沢淑音さんでしたが,沼沢さんのピアノとカンタさんのチェロとが一体となって,大変充実した音楽を作っていました。この日は特に,カンタさんのチェロの低音が特にしっかりと響いていると思いました。全体的に上機嫌な感じの作品で,コロナ禍の中でも,しっかりとリサイタルを開催できたことの喜びのようなものを感じながら聴いていました。

後半のラフマニノフのソナタはさらに規模の大きな作品でした。カンタさん自身によるプログラムの曲目解説では,ラフマニノフのことを「王様のような作曲家」と書いていましたが,まさにその気分のある曲であり演奏でした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と同時期に書かれた作品ということもあり,随所にラフマニノフならではの熱いメロディがあふれる曲でした。その曲をカンタさんは,強い共感を持って,ただし,大げさになりすぎずに,情感がしっかりとこもった密度の高い音で聴かせてくれました。そして,この曲でも沼沢さんの深々とした広さを感じさせるようなピアノが素晴らしかったですね。ピアニストでもあったラフマニノフの曲らしく,ピアノの方が華やかかつ力強く活躍する部分も多く,曲のスケール感を何倍にも広げていたように感じました。カンタさんは,沼沢さんのピアノに惚れて,今回ご指名で共演したようですが,今後もこの2人でスラブ系の作品などを聴いてみたいものです。

そしてこの日の演奏会で凄かったのは,この後でした。何とアンコールが7曲も演奏されました。私自身が体験した最大数かもしれません。ラフマニノフの雰囲気に合わせるかのように,ノクターン系の曲が続いた後,「荒城の月」が出てきたり,ハバネラ(ラヴェルのハバネラと言っていたと思います)が出てきたり,最後はジョプリンのラグタイムが出てきたり,コロナ禍であちこち出かけられないかわりに,世界各国の音楽を楽しんだような感じになりました。

最初から譜面を沢山持って来ていたので,複数曲を演奏されるのかなとは思っていたのですが,ここまでサービスしていただけるとは思ってもいませんでした。カンタさんと沼沢さんの音楽に酔わせていただいた後,カンタさんファン感謝祭的な雰囲気で締められた,演奏できる喜びに溢れた公演でした。

2021/02/18

梅干野安未オルガン・リサイタルを石川県立音楽堂で聴いてきました。これまで馴染みの薄かった,フランスのオルガン音楽の楽しさに触れることができました。また聴いてみたいと思いました。

数日前の春のような陽気から一転して,ここ数日の金沢は雪。山は越えたようですが,市内に雪が残る中,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた,梅干野安未さんのオルガン・リサイタルを聴いてきました。まず,梅干野さんのお名前ですが,「ほやの」と読みます。最初見た時「誤植かな?」と思ったのですが,しっかり漢字変換されましたので,完全に私の「誤解」でした。

このリサイタルですが,当初は,フランスのオルガン奏者,オリヴェイエ・ラトリーさんが出演するはずでしたが,コロナ禍で来日できなくなったため,その代役として,ラトリーさんの弟子でもある梅干野さんが出演することになったものです。演奏された曲も,フランスのオルガン曲が中心でした。「オルガンといえばバッハ」という印象を持つ方は多いと思いますが,本日の梅干野さんの演奏を聴いて,「ドイツのオルガン曲よりも親しみやすいのでは」と感じました。多彩な音色という点に加え,新たな響きを作り出そうと各作曲家が色々な技を追求している感じがしました。これまで馴染みの薄かったフランスのオルガン作品を存分に楽しむことができました。

プログラムは約1時間で,夕食後にゆっくり聴くのにちょうどよい感じでした。今回のプログラム中,唯一,フランスの作曲家ではない,バッハのカンタータ第29番の中のシンフォニアでスタートしたのですが,この曲もフランスのオルガン奏者,マルセル・デュプレ編曲のものでしたので,「オール・フランス・プログラム」と言っても間違いではないと思います。この曲ですが,演奏が始まるとすぐ,「あ,あの曲か」と分かる作品で(バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番の最初の曲),演奏会全体の開始にふさわしい明快さがありました。

その後,ヴィエルヌの「ヒンクリーの鐘」という曲が演奏されました。鐘の音を模した曲なのですが,梅干野さんによる曲目解説に書かれていたとおり,曲の最後の部分の「流星のごとく降り注ぐ下降音階」の部分が素晴らしく,何かすごい世界包み込まれたような気分になりました。

フォーレの「シシリエンヌ」のオルガン編曲版は,オリジナルのフルート版よりも,もっと鄙びた感じがありました。フランクの「祈り」は,厚みと暖かみのある響きが最高でした。本日は,ところどころで梅干野さんのトークが入りましたが,この曲については,「何に対する祈りなのかフランク自身は示していない。どんな思いにも使える」と語っていました。私の場合,「ひたすら気持ちが落ち着く曲だなぁ」と思いつつ,何も祈らずじまいだったので,今度聴くときは,しっかり祈ってみたいと思います。

アランの「アニ・ヤヴィシュタによる2つのダンス」という曲も初めて聴く曲でしたが,作曲者のアランの才能のすばらしさを感じさせるようなオリジナリティあふれる作品だと思いました。名オルガニスト,マリー=クレール・アランのお兄さんで,曲目解説によると戦争で29歳の若さでなくなった方です。東洋的な雰囲気を持った不思議な響きが続き,次は一体どんな音が出てくるのだろう,とワクワクさせるような作品でした。その他にも曲があるようなら,是非聞いてみたいものだと思いました。

ローランの「想い」という作品は,東日本大震災の被災者のために書かれた作品です。作曲者のローランは,梅干野さんのパリ音楽院時代の学友ということで,年齢を逆算すると,20代前半に書かれた曲ということになります。文部省唱歌「ふるさと」のメロディの断片をちりばめた作品で,この曲もまた,アランの曲に通じるような不思議な響きが随所に出てきていました。

今回は,オリジナルの「ふるさと」のメロディを演奏した後,この曲が演奏されたのですが,このアイデアは素晴らしいと思いました。オリジナルの「ふるさと」は,震災前の穏やかなふるさとを象徴し,ローランの作品の方は,震災でバラバラになってしまったふるさとを表現しているようでした。特に最初の方に出てくる,「思い出の波が漂うようなヴィブラートの響き(曲目解説の表現です)」の部分の何とも言えない不気味な音が印象的でした。

オリジナルの「ふるさと」については,明治初期に讃美歌をもとに作られたという話を聞いたことがあるのですが,こうやってオルガンで演奏されると,確かに讃美歌のようだな,と感じました。

演奏会の最後は,ギルマンのオルガン・ソナタ第1番の最終楽章(フィナル)が演奏されました。曲の最初の部分から。,バリバリと突き刺さるような輝きのある音と勢いのある音楽の流れが見事でした。最後の方は,サン=サーンスの「オルガン付き」交響曲の雰囲気を思い出させるような,コラールを交えた盛り上がりを作り,演奏会を爽快に締めてくれました。

アンコールでは,おなじみバッハ作曲の「主よ人の望みの喜びを」が軽やかに演奏されました。

演奏会全体を通じて,立派で壮大で圧倒的な迫力の世界だけでない,オルガンの多彩な音と表現を楽しませてくれるような内容だったと思いました。特に近代フランスのオルガン曲には,そういった作品が多いようなので,是非またフランス特集を聴いてみたいと思いました。

2021/02/14

本日午後は広上淳一さん指揮のOEKと京響による「和洋の響」公演。金剛龍勤さんの能舞などを加えた和洋コラボ,旭井翔一さんの楽しめる新曲,両オケ得意のプログラム...盛り沢山なプログラムはどの曲も充実の演奏。さらにはお楽しみプレゼントにも当選ということで,言うことなしの公演でした。#oekjp

本日午後は,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)と京都市交響楽団による合同公演「和洋の響き」を石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。指揮は京都市交響楽団の常任指揮者で,OEKにも頻繁に客演している広上淳一さんでした。

OEKは過去何回も色々なオーケストラとの合同公演を行ってきましたが,本日の公演は,その中でも特に充実し,かつ楽しい内容でした。前半はOEK,後半は京響という分担で,両オーケストラの良さを十分に楽しむことのできる曲が選ばれていたのが良かったですね。後半に演奏された,チャイコフスキーの交響曲第4番をはじめ,すべての演奏が充実していました。

OEKは,過去,現代の作曲家による和洋楽器のコラボ作品も定期的に演奏してきましたが,本日の公演のタイトルは「和洋の響」ということで,この要素も含まれていました。今回演奏された和洋コラボ作品は,今回の公演のために公募で選ばれた新作,旭井翔一さんによる「雲烟縹渺(うんえんひょうびょう)」という作品でした。タイトルだけ見ると難しそうですが,音楽の雰囲気としては,荘重な雰囲気で始まった後,大河ドラマのテーマ曲を思わせるような,華やかでリズミカルな部分が続き,会場は大いに盛り上がりました。この演奏での目玉は,北川聖子さんの箏,今藤長龍郎さんの三味線といった邦楽器との組み合わせに加え,金剛流の金剛龍勤さんの能舞が加わっていたことです。

先日行われたプレイベントで,金剛さんによる能の楽しみ方についての講座を聞いていたこともあり,能舞の型,手に持っている木の枝(?)の意味であるとか,能面の意味であるとか,色々なことを考えながら楽しむことができました。旭井さんの音楽には,豪快な雰囲気もあったのですが,このことは,金剛流の能舞の特徴ともうまく合致していたのでは,と感じました。とても分かりやすい作品でしたので,OEKのレパートリーとして,今度は加賀宝生との共演をしても面白いのでは,と思いました。

続いてOEKの単独演奏で,シューベルトの交響曲第5番から第1,2楽章とロザムンデ間奏曲第3番が演奏されました。OEKの得意とする曲で,広上さんも大変楽しそうに指揮をされていました。春の一日,のどかで幸福感に溢れているけれども,ふっともの悲しくなる。そんな感じが漂う,言うことなしの演奏でした。交響曲の方は,時間の関係で,前半の2つの楽章だけだったのが大変残念でしたが,こうやって2つだけ切り出してみると「未完成交響曲」のような感じにも聞こえてくるのも新鮮でした。

ロザムンデの方もOEKのアンコール曲の定番なので,何度も聞いてきた曲ですが,今回の演奏は特に最後の部分で,テンポぐっと遅くし,これまで味わったことの内容な深い情緒を感じさせてくれました。さすが広上さんという指揮でした。

後半は京響のステージで,まず,池辺晋一郎作曲による「ワルツと語ろう」という作品が演奏されました。井上道義さんによる委嘱作品と書いてあったのですが,ダンス好きの井上さんにぴったりの曲と思いました。ファンファーレ風に始まった後,ロシア風のワルツが出てきたり,五拍子の「ワルツ」が出てきたり,池辺さん自身,楽しみながら作っていたのでは,と感じさせるような,ウィットのある作品でした。

最後に,今回の曲の中で特に楽しみにしていた,チャイコフスキーの交響曲第4番が演奏されました。金沢で演奏されるのは,数年前の楽都音楽祭でのユベール・スダーンさん指揮による演奏以来だと思います。

冒頭のホルン4本によるファンファーレから,クリアな音がバチッと決まっていました。テンポは速すぎず,遅すぎず。十分な余裕をもって,しっかりと美しいサウンドを聞かせるような演奏でした。まず,金管パートの音のまとまりとボリューム感が素晴らしく,聞いていて幸せな気分になりました。第1ヴァイオリンを中心とした弦楽パートのクリアな美しさ,曲に彩りを加える木管楽器の鮮やかさ...久しぶりに聞く,フル編成オーケストラの音の魅力に浸ることができました。

第2楽章での深みのある表現,第3楽章での余裕のあるウィットも良かったですね。そして,第4楽章では,冷静でありながら,要所要所で熱く盛り上げる見事な設計。コーダの部分では,音楽に全く乱れを見せず,常に余裕を感じさせながら,どんどん音楽が巨大化していくスケールの大きさを堪能できました。

終演後,各オーケストラの事務方トップと広上さんによるトークがあった後,バレンタインのプレゼント代わりにアンコールが演奏されました。演奏された曲が...先週,最終回だったNHK大河ドラマ「麒麟が来る」のテーマ曲!確か,広上さんが指揮をされていたはず。個人的には「うれしいサプライズ」といったアンコールでした。この曲だけは,両オケ合同演奏。大編成で聞くと,壮大な交響詩といった感じのスケール感がありました。

さらには各オーケストラや金沢駅百番街提供の商品などの当たる「お楽しみプレゼント」。プログラムの表紙裏に赤いシールの貼ってある人が当選ということで...見事当たりました(百番街の1000円分商品券でした)。

というわけで,和洋コラボの盛り沢山なプログラム,聞き応え十分の演奏,さらにはプレゼントにも当選という,言うことなしの公演でした。

2021/02/13

本日の金沢は,4月ぐらいの好天。午後から金沢市安江金箔工芸館で行われた,ピアニストの大澤美穂さんによる「きらめきコンサート:ピアノの詩人たちに魅せられて:シューマン,リスト,ショパン」へ。シューマンの「森の情景」など初期ロマン派のピアノ曲を間近で味わうことができ大満足でした。

本日の金沢は,4月ぐらいの好天気。午後から自転車に乗って,金沢市安江金箔工芸館まで出かけ,ピアニストの大澤美穂さんによる,「きらめきコンサート:ピアノの詩人たちに魅せられて:シューマン,リスト,ショパン」を聞いてきました。金沢市内の文化施設では,色々なイベントを行っていますが,この館の入口横のホールは,かなり大きいので,室内楽や器楽のミニ公演がすっかり定着しているようです。今回で54回目となります。

今回出かけようと思ったのは,ピアノ独奏の生演奏をむしょうに聞きたくなったからです。石川県立音楽堂での公演はかなり戻って来ていますが,文化施設での公演に行くのは1年数か月ぶりのことです。そして,今回のプログラムに入っていた,シューマンのピアノ曲「森の情景」を一度生で聴いてみたかったということもあります。

今回のプログラムは,シューマン,リスト,ショパンという同世代の作曲家のピアノの名曲を,大澤さんの解説とともに,約1時間楽しむという内容でした。臨場感溢れるピアノの音を間近で聴き,3人の作曲家の個性をしっかりと楽しむことができ,大満足の公演でした。

最初に演奏されたお目当ての「森の情景」は,シューマンのピアノ曲の中では後期に書かれた作品で,ちょっと不気味な作品かな,と思っていたのですが,大澤さんがトークの時に「シューマンのピアノ曲には暖かみを感じる」おっしゃられていたとおり,曲の最初から,あたたかな雰囲気に包みこまれるようでした。不気味な森に迷ってしまうというよりは,ドイツのメルヘンの世界に入ったような親しみやすさを感じました。現在,世界中が「コロナの森」に迷い込んでいるような状況ですが,この音楽を聞きながら,何とか抜け出して,この曲の終曲のような穏やかな気分になりたいものだと感じました。

その後演奏された,リストとショパンの作品は有名な曲ばかりでした。リストの「愛の夢」やショパンのノクターンでは,しっかりと歌いこまれ,充実感のある時間に浸ることができました。リストの「ラ・カンパネラ」は,間近で聴くと,ピアノがまさに「鐘の音」のように響いており,「金箔」にぴったりの「金属的な輝き」に感じました。

憂いに満ちたショパンのワルツ第7番は,やっぱり良い曲です。最後のショパンのスケルツォ第2番では,切れ味よく切り込むように始まった後,多彩な曲想が続きます。特に中間部でピアノの音が静か~に響くような雰囲気が良いなぁと思いました。

最後,アンコールでショパンのノクターン第2番が気持ちよく歌われるように演奏され,公演は終了しました。

大澤さんは,コロナ禍の中でも色々と工夫をしながら,演奏活動を続けられています。今回の内容もトークと演奏のバランスがとてもよく,どの曲についても「大人のピアノ」を楽しませてくれた気がします。終演後,大澤さんのCDを販売しており(正真正銘の実演販売),「森の情景」の入ったものを購入。さらには,大澤さんからサインもいただきました。サイン入りCDコレクター(?)としては,久しぶりの機会だったので,うれしかったですね。今から,もう一度「シューマンの世界」を楽しみたいと思います。

2021/02/03

今晩は平原綾香さんと渡辺俊幸指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のコンサートへ。昨年4月11日から延期された待望の公演。平原さんの声と表現力の多彩さを生オーケストラとの共演でしっかり味わってきました。

今晩は,コロナの影響で昨年4月11日から延期されていた,歌手の平原綾香さんと渡辺俊幸指揮オーケストラ・アンサンブル金沢によるファンタスティック・オーケストラコンサートを聞いてきました。半年以上待たされたことになりますが,自粛気味の生活が続いていることもあり,この間振り返ってみても「一体何をしていたのだろう?何もしていなかったなぁ」という気分ですね。

3月にこの公演のチケットを買ったときは「4月になれば,OEKの公演も再開するだろう」と(今から思えば呑気に)思っていたのですが,第2波,第3波と続き,影響が1年以上になることは必至という状況。それでも,「コロナの要所」に注意しつつ,クラシック音楽系のコンサートについては,対策を取れば再開できる状況になってきていることには感謝したいと思います。

今回のプログラムは,平原さんの代名詞でもある「クラシック音楽のカバー曲」を中心に8曲。オーケストラのみで2曲演奏が演奏されました。平原さんの歌を生で聞くのは今回が初めてだったのですが,表現力豊かな歌唱の連続で,聴きごたえたっぷりでした。平原さんの声は,音域が非常に広く,音域ごとに表情が変わるようなところが魅力だと思いました。ドスの効いた低音,輝きと力強さのある中音域,可愛らしさを感じさせる高音。さらには,聴き手の耳に絡みついてくるような少し粘り気のあるような声。こういった声を使い分けて,安定感たっぷりの歌を聞かせてくれました。

平原さんについては,「音楽大学卒業の歌手」ということで,声楽科卒だとずっと思っていたのですが,実はサックスが専攻,その後ジャズの勉強をしていたということで,「クラシック音楽の専門家ではない」とのことでした。言われてみれば,歌唱法はジャズっぽい感じですね。音楽大学時代,朝早い1限目の授業でたまたま聞いたホルストの「木星」がきっかけとなって,クラシック音楽のカバー曲でデビューして,大当たりしたという話を聞いて,世の中のめぐりあわせというのは面白いものだと思いました。

最後に,この「Jupiter」が歌われましたが,それ以外にも一つとして同じスタイルの曲はなく,変化に富んだ歌唱の連続でした。渡辺俊幸さんをはじめとした各曲のオーケストレーションも変化に富んでおり,平原さんが途中何回も語っていた「生オーケストラと共演できる喜び」を実感することができました。個人的に特に印象に残ったのは,前半の最後歌われた「明日」という曲でした。「今はおかしな世界になっているが,心の豊かさだけは失いたくはない」といった思いが込められた,「しみる歌」でした。

考えてみれば,クラシック音楽以外のコンサートに行くのは本当に久しぶりのことでした。クラシック音楽系以外については,クラシック音楽以上に大変な状況なのかもしれませんが,平原さんの力強い歌を聴きながら,「希望」を感じることができました。

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